【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は372,560百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,683百万円の増加となりました。これは主に営業債権及びその他の債権、使用権資産、のれんが増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、負債合計が302,967百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,146百万円の増加となりました。これは主に社債及び借入金が増加したこと等によるものであります。
資本につきましては、資本合計が69,593百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,538百万円の増加となりましたが、これは主に配当の支払により減少した一方、為替の影響等により増加したものであります。
②経営成績
当第1四半期連結累計期間(2022年1月~3月)における事業環境は、未曾有の先行き不透明感をもたらした新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチン普及によりパンデミック収束への期待が高まっているものの、変異ウイルスによる感染拡大やウクライナ情勢など、国際情勢に重大な影響を及ぼす事象の発生が続いており、不透明感がなお色濃い状況でありました。
国内においては、景況感に持ち直しの基調が続くも、コロナ禍に限らず、長引く半導体不足等の下押し圧力により、主要顧客である大手メーカーにおいても回復の力強さに大きなばらつきが出ております。しかしながら、人手不足感も強まっており、ITをはじめ建設業やサービス業において、エンジニアの活用ニーズはいまだ活況であります。さらに、システム化需要やDX需要が増加の一途を辿り、会社売却や事業売却等の業界再編が製造系・IT系ともに進んでおります。
このような国内の事業環境に対して、当社グループは、かねてより業績平準化による成長基盤の強化を推進してまいりました。製造系分野においては、期間工が手掛けていた工程に長期間の派遣契約にて労働者を派遣することにより生産変動の影響低減を図っております。派遣管理のDX化を通じて生産性向上を図るHRテックサービスである派遣スタッフ管理システム「CSM(クラウド・スタッフィング・マネジメント)」も拡大が継続しております。半導体不足をはじめとするサプライチェーンの滞りが自動車業界の生産活動に一時的な影響を及ぼしておりますが、自動車需要は衰えておらず振替生産が見込まれるため、年間でみれば当社グループの事業への影響は緩和されるものと考えます。また、外国人技能実習生等の管理受託分野においては、適切な管理実績が顧客に高く評価され、コロナ禍に伴い新規来日が困難かつ帰国便は臨時運行している状況下にあっても、3月末の管理人数は18,510名と国内首位を維持しております。技術系分野においては、人とテクノロジーを融合して効率化・省力化を実現するビジネスモデル「派遣2.0」の対象領域拡大を図りました。当社グループの教育機関であるKENスクールを活用して、機械設計のみならず、ITや建設、医薬分野に至るまで、多岐にわたって未経験者を教育して配属するスキームを加速させ、採用単価の上昇を抑えながら増員して業績を伸長させました。加えて、新卒採用人数も国内首位を争う規模となり、4月には連結で3,200名超の新卒者が入社しております。このほか、マクロ環境の影響を受けやすい製造分野とは異なり、景気変動の影響を受けにくい事業分野も拡大しており、とりわけ米軍施設向け事業において、建物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響をそれほど受けず引き続き順調に伸長しました。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、当社の信用力を活かしてボンド枠を拡張し、利益率の高い大口受注へとつなげております。
一方、海外においては、ワクチンの普及と並行してコロナ禍への対策が進んだことにより、先進各国とも経済が回復基調にありますが、ウクライナ情勢に伴う地政学的リスクの急激な高まりや、エネルギー価格の高騰によるインフレ懸念、変異株の急拡大も相まって不確実性がいまだ高い状況にあります。
このような海外の事業環境に対して、当社グループは、海外においても従前より業績平準化による成長基盤の強靭化を力強く推し進めてまいりました。景気変動の影響を受けにくい政府事業等の公共系アウトソーシング事業等を拡充することに加えて、リモート対応可能な技術系分野を展開するほか、人材不足の国に対して人材の余剰感のある国から人材を流動化するスキームをグローバル規模で展開しております。デジタル政府機能への貢献をはじめ中央・地方政府向けが堅調であったことに加えて、ライフラインを支えるeコマースの流通系事業も更なる発展を遂げております。また、外国為替において、業績予想時の想定レートに比べて各通貨が円安に推移したことにも後押しされました。
当社は、2022年1月にオランダOTTOグループの残余株式早期買取の契約を締結しました。計上済のプットオプション負債と残余株式買取額の差額を金融費用として約24億円計上しております。この金融費用は税金計算には加味されず、税引前利益以下の各利益を同額押し下げる大きな影響を及ぼしました。早期買取により完全子会社となったため、このOTTOグループに係る一過性の金融費用は今回の計上が最終であります。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上収益は155,462百万円(前年同期比25.6%増、第1四半期として13期連続で売上収益の過去最高を更新)、営業利益は6,157百万円(前年同期比34.4%増)、税引前四半期利益は4,134百万円(前年同期比19.6%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,800百万円(前年同期比31.1%減)となりました。
なお、当社グループは、成長の持続可能性を重視しております。SDGs経営に向けたサステナビリティ方針として、当社グループでは、事業を通して世界の様々な人々の「就業機会」と「教育機会」の創造を実現し、社会課題の解決と事業の成長、ステークホルダーへの貢献に、持続的に取り組んでまいります。2021年を当社グループのSDGs元年と位置付け、アウトソーシンググループSDGs宣言、サステナビリティ委員会設置、国連グローバル・コンパクトへの署名とともにグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンへの加盟、女性のエンパワーメント原則への署名等、SDGs経営を推し進めてまいりました。引き続き、事業活動が広く社会に還元される仕組みを追求してまいります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
国内技術系アウトソーシング事業、国内製造系アウトソーシング事業、国内サービス系アウトソーシング事業、海外技術系事業、海外製造系及びサービス系事業、5つの報告セグメントすべてにおいて、第1四半期として売上収益の過去最高を更新する結果となりました。
(国内技術系アウトソーシング事業)
国内技術系アウトソーシング事業におきましては、コロナ禍の影響は限定的であり、引き続き前年同期比で大幅な増収増益となりました。4月入社の新卒約2,600名に関する先行投資費用を吸収してなお利益は2桁増の結果となりました。採用は、新卒入社を見据えてコントロールしながら、引き続きKENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用単価を抑制しながら伸ばしており、期末外勤社員数は、前年同期末(2021年3月末)比3,836名増の22,085名と、後発ながら業界トップに躍進しております。製造業の景気変動の影響を受けにくくするための重点分野として位置付けているIT分野や建設、医薬分野も拡大しました。
以上の結果、売上収益は34,225百万円(前年同期比24.0%増)、営業利益は2,779百万円(前年同期比64.8%増)となりました。
(国内製造系アウトソーシング事業)
国内製造系アウトソーシング事業におきましては、製造派遣・請負及び期間工の有料職業紹介にて、半導体不足やコロナ禍によるサプライチェーンの滞りによる生産調整の影響が継続しました。振替生産が見込まれるため、一過性の影響であると考えますが、足もとでは、工場停止等による売上減が生じました。期末外勤社員数は前年同期末比2,892名増の21,506名となりました。長引く半導体不足により採用をコントロールしておりますが、今後、振替生産の本格化に伴い増員していく見通しであります。管理業務受託におきましては、顧客メーカーの外国人技能実習生活用ニーズは引き続き堅調でありますが、技能実習予定者の来日が困難な状況が継続しており、成長が足踏みする結果となりました。しかしながら、適切な管理実績を引き続き高く評価され、国内首位の事業者として3月末の管理人数は18,510名となりました。
以上の結果、売上収益は27,033百万円(前年同期比17.6%増)、営業利益は1,454百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
(国内サービス系アウトソーシング事業)
国内サービス系アウトソーシング事業におきましては、製造系とは異なり景気変動の影響を受けにくい米軍施設向け事業が主力事業であり、米軍施設の建物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響もほとんどなく順調に伸長しました。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、当社の信用力を活かしてボンド枠を拡張し利益率の高い大口受注へとつなげております。なお、前年同期比減益でありますが、これは大型工事の検収が重なり極めて高い利益が生じた前年同期と比較したためであり、事業の収益力は損なわれておりません。
以上の結果、売上収益は8,374百万円(前年同期比20.3%増)、営業利益は1,064百万円(前年同期比20.9%減)となりました。
(海外技術系事業)
海外技術系事業におきましては、前年同期比で大幅な増収増益となりました。英国では公的債権回収の受託業務において一部に回収率悪化が見られましたが、アイルランドやオセアニアが好調を継続し、事業セグメントでは計画を上回る業績となりました。なお、英国の公的債権回収事業は、今後の回収増が見込まれております。
以上の結果、売上収益は36,731百万円(前年同期比39.4%増)、営業利益は1,697百万円(前年同期比61.8%増)となりました。
(海外製造系及びサービス系事業)
海外製造系及びサービス系事業におきましては、オランダの大手スーパーを中心としたインターネットショッピング関連事業が引き続き伸長したほか、英国では、政府向け人材紹介事業や地方自治体向けBPO事業が好調であり、南米では、物流向けや小売向け警備事業や清掃業務が堅調でありました。
一方、利益面では、のれんの減損が英国で4.6億円及びブラジルで0.6億円生じたほか、変異株急拡大に伴う対策費用が利益を押し下げる結果となりました。
以上の結果、売上収益は49,083百万円(前年同期比23.1%増)、営業利益は1,113百万円(前年同期比16.1%減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、特例子会社での障がい者による事務のシェアードサービス事業及び手話教室事業等が、堅調に推移しました。
以上の結果、売上収益は15百万円(前年同期比11.3%増)、営業利益は109百万円(前年同期は営業損失22百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,922百万円減少し、45,411百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は3,892百万円となりました。これは、営業債権及びその他の債権の増加5,731百万円、営業債務及びその他の債務の増加1,107百万円及び法人所得税等の支払5,557百万円等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は2,947百万円となりました。これは、事業の取得に伴う支出2,075百万円等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は2,564百万円となりました。これは、短期借入金の減少5,668百万円、長期借入れによる収入28,780百万円、長期借入金の返済による支出4,923百万円、リース負債の返済による支出2,086百万円、配当金の支払額3,904百万円、非支配株主との取引8,476百万円等を反映したものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
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