【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
① 事業の経過および成果当連結会計年度における我が国経済は、歴史的な円安水準やウクライナ情勢の影響を受けた資源価格の高騰など、国内企業物価の上昇から生産には持ち直しの動きに足踏みがみられ、企業収益は一部に弱さがみられるものの、企業の景況感判断は改善いたしました。世界経済においては、米国では景気は緩やかな持ち直しが続いているものの、金融引締めに伴う影響による下振れリスクが懸念される状況となりました。中国では、新型コロナウイルス感染再拡大の影響により、持ち直しの動きに足踏みがみられました。アセアンにおいては、インドネシアは緩やかに回復しており、販促強化による自動車販売台数の増加や部品の供給制約が緩和されたことから、新車の販売は好調に推移しました。タイの景気も持ち直し、マレーシアも生産の拡大は世界的な半導体需要の減速などにより一服したものの、内需主導で緩やかな回復が続きました。当社グループが属する自動車業界におきましては、中国政府の活動制限による部品の供給制約影響などから、日本国内の自動車生産台数は前年とほぼ同水準となりした。また、中国の生産台数は前年比で若干増加したほか、アセアンの自動車生産台数は、マレーシア、インドネシアが前年比で大幅なプラスとなった影響もあり、タイを含めた3か国合計では、前年比で大幅増となりました。
このような環境のもと、当連結会計年度においては、主力の日本国内の市場に対し当社単体の売上高の増減率は下回りました。しかしながら海外は、新製品立ち上げ効果などによりアセアン3か国の市場成長率をアセアン子会社3社の売上高の増加率が大幅に上回った結果、連結ベースでは売上高は135,451百万円(前年比7.9%増)と増収となりました。営業利益は経費削減や生産性の向上はあったものの、原材料費やエネルギー価格の高騰や為替の影響などから3,937百万円(前年比29.2%減)、経常利益は持分法による投資利益1,575百万円の計上などもありましたが、5,351百万円(前年比17.8%減)と減益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は一部の海外子会社での繰延税金資産の計上などにより4,423百万円(前年比11.1%増)と増益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 自動車部品事業 主力の日本国内の市場に対し当社単体の売上高の増減率は若干下回りました。しかしながら海外は、新製品立ち上げ効果などによりアセアン3か国の市場成長率をアセアン子会社3社の売上高の増加率が大幅に上回った結果、自動車部品事業の売上高は127,931百万円(前年比8.6%増)、営業利益は、経費削減や生産性の向上はあったものの、原材料費やエネルギー価格の高騰や為替の影響などから、3,460百万円(前年比31.9%減)となりました。② 用品事業 用品事業におきましては、ライティング商品や冬用ワイパーなどの量販店向けに加え、ディーラーオプションやインターネットを通じた販売も好調に推移したことなどから、売上高は9,069百万円(前年比6.4%増)と増収、営業利益は、円安による仕入費用の増加を売上増による利益で補い、472百万円(前年比8.7%増)と増益となりました。
なお、前連結会計年度において、「その他」に含まれていた自動車用電球製造販売事業については、当該事業の売却に伴い、当連結会計年度より「その他」の区分を廃止しております。これにより、当連結会計年度より「自動車部品事業」、「用品事業」の2つのセグメント区分となっております。
また、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。また各種増減額および増減率についても当該会計基準等を適用した後の数値との比較により算出しております。 収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は2,283百万円減少し、売上原価は1,636百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ646百万円減少しております。また、利益剰余金の当期首残高は1,031百万円増加しております。
(2) 財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は125,915百万円となり、前連結会計年度末比で13,394百万円の増加となりました。流動資産が15,120百万円の増加する一方で、固定資産は全体で1,726百万円の減少したことによるものであります。流動資産の増加は、現金及び預金が2,910百万円、受取手形及び売掛金が8,030百万円、棚卸資産が全体で2,606百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。固定資産の減少は、有形固定資産が全体で3,695百万円減少したものの、持分法適用会社に対する投資簿価の増加を主因として、投資その他の資産が全体で2,104百万円増加したことなどによるものであります。負債は70,907百万円となり、前連結会計年度末比で7,910百万円の増加となりました。流動負債が9,194百万円増加した一方で、固定負債が1,284百万円減少したことによるものであります。流動負債の増加は、1年内返済予定の長期借入金が2,264百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が7,772百万円、短期借入金が1,100百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。固定負債の減少は、リース債務が719百万円増加したものの、流動負債への振替により長期借入金が2,022百万円減少したことなどによるものであります。純資産は55,007百万円となり、前連結会計年度末比で5,484百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上が4,423百万円あることや、為替の変動を主因として、その他の包括利益累計額が全体で828百万円増加したことなどによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況営業活動の結果獲得した資金は13,005百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益4,408百万円、減価償却費5,684百万円、仕入債務の増加額7,217百万円等であり、主な減少要因は、売上債権の増加額-百万円、棚卸資産の増加額1,015百万円、持分法による投資利益1,575百万円等であります。投資活動の結果支出した資金は5,912百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が5,351百万円あること等によるものであります。財務活動の結果減少した資金は4,404百万円となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が4,286百万円、配当金の支払額が768百万円ある一方で、短期借入金の純増減が1,100百万円あること等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
自動車部品事業(百万円)
127,847
7.3
用品事業(百万円)
7,559
3.2
合計(百万円)
135,407
7.0
(注) 1.金額は販売価額によっております。
(2) 受注状況当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
自動車部品事業(百万円)
127,889
8.6
用品事業(百万円)
7,561
4.4
合計(百万円)
135,451
8.3
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
トヨタ自動車㈱及びそのグループ会社
41,785
33.3
39,959
29.5
日産自動車㈱及びそのグループ会社
24,592
19.6
33,775
24.9
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、当社グループが用いた会計上の見積りのうち重要なものについては、「第5
経理の状況」1「連結財務諸表等」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要に記載の通りであります。
① 経営成績の分析当連結会計年度の売上高は135,451百万円(前年同期比7.9%増)、となりました。売上原価は112,253百万円となり、売上原価率は2.6%増加しました。販売費及び一般管理費は19,260百万円となり、売上高比率では1.0%減少しました。以上の結果、営業利益は3,937百万円(前年同期比29.2%減)となりました。営業外収益は、1,926百万円となりました。また、営業外費用は、512百万円となりました。上記により、経常利益は5,351百万円(前年同期比17.8%減)となりました。特別損失は、943百万円となりました。法人税等調整額を含む、税金費用の合計額は△94百万円となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は78百万円となりました。以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は4,423百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
なお、当連結会計年度の営業利益率は2.9%であり、半導体の供給不足などの影響で一時的に利益率が下がったものの、来期は回復を見込んでおり営業利益率4.3%を上回る水準とすることを目指しております。企業価値の継続的な向上を図り、中期目標を達成するための成長戦略として、①品質改善・コスト低減、②研究開発・イノベーション、③マザー・ドーター(アセアンの成長支援)、並びに④グローバルモデル受注の4点を掲げており、これらに重点を置いて取り組んでまいります。
② 財政状態の分析
(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は、63,280百万円(前連結会計年度末は48,160百万円)となり、15,120百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が2,910百万円、受取手形及び売掛金が8,030百万円、棚卸資産が全体で2,606百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
(固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は、62,634百万円(前連結会計年度末は64,360百万円)となり、1,726百万円の減少となりました。主な要因は、有形固定資産が全体で3,695百万円減少したものの、持分法適用会社に対する投資簿価の増加を主因として、投資その他の資産が全体で2,104百万円増加したことなどによるものであります。負債は70,907百万円となり、前連結会計年度末比で7,910百万円の増加となりました。流動負債が9,194百万円増加した一方で、固定負債が1,284百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は、58,485百万円(前連結会計年度末は49,290百万円)となり、9,194百万円の増加となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が2,264百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が7,772百万円、短期借入金が1,100百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
(固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は、12,421百万円(前連結会計年度末は13,706百万円)となり、1,284百万円の減少となりました。主な要因は、リース債務が719百万円増加したものの、流動負債への振替により長期借入金が2,022百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、55,007百万円(前連結会計年度末は49,523百万円)となり、5,484百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上が4,423百万円あることや、為替の変動を主因として、その他の包括利益累計額が全体で828百万円増加したことなどによるものであります。
③ キャッシュ・フローの分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、8,631百万円となり、前連結会計年度末比2,910百万円の増加となりました。 営業活動の結果獲得した資金は13,005百万円(前連結会計年度は9,209百万円の獲得)となりました。当期における主な増加要因は、税金等調整前当期純利益4,408百万円、減価償却費5,684百万円、仕入債務の増加額7,217百万円等であり、主な減少要因は、売上債権の増加額1,584百万円、棚卸資産の増加額1,015百万円、持分法による投資利益1,575百万円等であります。投資活動の結果使用した資金は5,912百万円(前連結会計年度は6,684百万円の支出)となりました。当期における主な要因は、有形固定資産の取得による支出が5,351百万円があること等によるものであります。財務活動の結果返済した資金は4,404百万円(前連結会計年度は2,350百万円の返済)となりました。当期における主な要因は、長期借入金の返済による支出が4,286百万円、配当金の支払額が768百万円がある一方で、短期借入金の純増減が1,100百万円あること等によるものであります。
④ 当社グループの資本の財源及び資本の流動性当社グループの運転資金需要の主なものは、当社グループ製品の材料費、労務費、経費等であります。また投資資金需要は、新製品の生産、生産効率の向上や設備更新等の設備投資等であります。
当社グループは、運転資金については内部資金を基本としつつ、必要に応じて親会社からの借入をしております。投資資金については、内部資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関からの長期借入及びリースによる調達をしています。
なお、翌年度の主たる設備投資の予定及びその資金調達方法については、第3「設備の状況」3「設備の新設、除却等の計画」に記載の通りであります。