【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,094,476千円となり、前事業年度末に比べ149,959千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が161,424千円増加したことによるものであります。固定資産は439,884千円となり、前事業年度末に比べ33,057千円減少いたしました。これは主にソフトウエアが38,945千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は1,534,360千円となり、前事業年度末に比べ116,902千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は161,133千円となり、前事業年度末に比べ18,952千円増加いたしました。これは主に未払金が13,922千円増加したことによるものであります。なお、長期借入金が1,797千円減少したことにより、固定負債はありません。
この結果、負債合計は161,133千円となり、前事業年度末に比べ17,155千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,373,227千円となり、前事業年度末に比べ99,746千円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が100,351千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は89.5%(前事業年度末は89.6%)となりました。
②経営成績の状況
当事業年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における我が国経済は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、緩やかながらも景気は持ち直しの動きが続きました。一方で、世界的に金融引締めが続く中、海外景気の下振れによる我が国の景気の下押し、物価上昇、金融資本市場の変動等のリスクがあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による調査「令和3年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2021年は前年比7.35%増の20.6兆円となり、依然として高い成長率を維持しております。また、EC化率(全ての商取引市場規模に対する電子商取引市場規模の割合)が前年比0.7ポイント増の8.78%となるなど、BtoC-EC市場は依然として着実な成長を続けております。
一方、クレジットカード番号等の情報を盗まれ不正に使われる「番号盗用被害」が急増している近年の状況を受け、改正割賦販売法において、クレジットカード番号等の不正な利用を防止するために必要な措置を講じることが義務化され、また、その実務上の指針となる、「クレジットカード・セキュリティガイドライン3.0版(クレジット取引セキュリティ協議会)」においては、非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策として、加盟店に対して「属性・行動分析(不正検知システム)」等の方策をリスク状況に応じて導入することが求められるなど、不正対策に対する社会的要請はますます高まっております。
このような事業環境のもとで、当社は「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」という経営ビジョンを掲げ、当社の有するセキュリティ・ペイメント・データサイエンスの技術とノウハウをもとに、アルゴリズム及びソフトウエアを開発・提供することで、企業の課題解決やチャレンジを支援する「SaaS型アルゴリズム提供事業」を展開してまいりました。
不正検知サービスにおいては、不正注文検知サービス「O-PLUX」について、上限額なしでクレジットカードの不正利用被害を補償する「O-PLUX Premium Plus(出荷判断代行サービス)」及び月額4,000円から利用可能な不正注文検知サービス「不正チェッカー」の販売拡大を進めるとともに、ECパッケージ・ショッピングカートとのシステム連携、カード会社とのパートナー契約締結等、アライアンスの推進に努めた結果、新規顧客の増加及び既存顧客の持続的な成長により、当事業年度の「O-PLUX」のストック収益額(定額課金である月額料金と審査件数に応じた従量課金である審査料金の合計額。「不正チェッカー」を含む。)は770,401千円(前年同期比11.7%増)に拡大しました。また、不正アクセス検知サービス「O-MOTION」について、引き続きサービスの拡充を図るとともに、新たにECパッケージ・ショッピングカートとのシステム連携をする等、多分野での販路開拓に取り組んでまいりました。
決済コンサルティングサービスにおいては、システム開発案件の受注獲得に努め、また、データサイエンスサービスにおいては、データ分析案件の受注獲得に努めてまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,076,805千円(前年同期比13.2%増)、営業利益176,665千円(前年同期比1.3%減)、経常利益154,039千円(前年同期比9.8%減)、当期純利益100,351千円(前年同期比16.6%減)となりました。
なお、当社はSaaS型アルゴリズム提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ161,424千円増加し、962,072千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、250,376千円(前事業年度は149,656千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益158,339千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、86,608千円(前事業年度は134,248千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出50,730千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,343千円(前事業年度は507,938千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出4,284千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(b) 受注実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(c) 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社はSaaS型アルゴリズム提供事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載をしております。
サービスの名称
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
不正検知サービス
865,419
111.90
決済コンサルティングサービス
160,103
117.24
データサイエンスサービス
51,283
124.44
合計
1,076,805
113.21
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
GMOペイメントサービス株式会社
230,265
24.21
237,909
22.09
ジャックス・ペイメント・
ソリューションズ株式会社
194,794
20.48
201,371
18.70
株式会社ジャックス
133,215
14.01
125,150
11.62
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積による不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社の資金需要のうち主なものは、システム運用に係る原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、システム開発への投資によるものであります。
これらの資金は、自己資金、金融機関からの借入、新株発行等により資金調達していくことを基本としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて、柔軟に検討を行う予定であります。
なお、当事業年度における借入金等の有利子負債の残高は1,797千円となっております。また、当事業年度における現金及び現金同等物の残高は962,072千円となっております。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標として、当社主力製品である「O-PLUX」のストック収益の金額を重要な経営指標と位置づけております。
当該指標については、次表のとおり継続的に増加しており、当事業年度末の「O-PLUX」のストック収益は、前年同期比の111.65%の水準となり、順調に推移しているものと認識しております。
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
「O-PLUX」のストック収益(千円)
594,709
690,008
770,401
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