【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績当連結会計年度は決算期変更(3月31日から12月31日へ変更)に伴い、9か月決算となっています。そのため前連結会計年度との比較は記載しませんが、2021年4月1日から2021年12月31日までの期間との比較を「前年同期比」として記載しています。当連結会計年度における国内外経済は、各国のウィズコロナ政策等により回復が継続していますが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化等による世界的な資源価格上昇やインフレの影響等により回復速度は鈍化しました。このような状況のもと、当社グループの主要市場の状況は、パワーエレクトロニクス事業は工作機械、半導体製造装置市場の拡大とともに堅調に推移しました。一方、情報通信事業では高速大容量へ対応した新規格Wi-Fiや第5世代移動通信システム(以下、「5G」)などの市場は引き続き拡大したものの、リチウムイオン電池市場や車載市場は世界経済の減速による需要低迷や半導体不足による影響等で落ち込みました。これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高95億3百万円(前年同期比7.2%増加)、営業利益4億11百万円(前年同期比55.2%減少)、経常利益5億12百万円(前年同期比46.6%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益35百万円(前年同期比95.9%減少)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
〔パワーエレクトロニクス事業〕当セグメントの売上高は48億17百万円(前年同期比31.3%増加)となりました。ノイズフィルタは、半導体製造装置向けの増加やロボットニーズの拡大、設備自動化需要に対する工作機械向けの伸張等により売上高が増加しました。また、電磁波ノイズ測定やフィルムコンデンサも増加し、セグメント全体で売上高は増加しました。営業利益は、売上高の増加による利益の増加があったものの、原材料やエネルギー価格の上昇に加え為替の円安影響に伴う輸入品のコスト増などにより84百万円(前年同期比55.2%減少)となりました。
〔情報通信事業〕当セグメントの売上高は48億37百万円(前年同期比9.1%減少)となりました。積層誘電体フィルタは、顧客の一部半導体不足による納期調整があったものの新規格Wi-Fi向け製品等の需要増加や為替の円安効果により売上高が増加しましたが、厚膜印刷基板はリチウムイオン電池に搭載されるヒューズ向けが世界経済の減速による需要低迷や半導体不足による影響等で減少し、セグメント全体で売上高が減少しました。営業利益は、為替の円安効果による利益の増加があったものの、売上高の減少に加え増産投資に伴う立ち上げ費用や減価償却費の増加等により2億86百万円(前年同期比60.6%減少)となりました。
生産・受注および販売の実績は以下のとおりです。
イ.生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
前期比(%)
パワーエレクトロニクス事業 (千円)
4,676,438
-
情報通信事業 (千円)
4,925,052
-
合 計
9,601,490
-
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.金額は販売価格によっています。3.決算期変更に伴い、当連結会計年度は9ヶ月決算となっていますので、前期比については記載していません。
ロ.受注状況当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
パワーエレクトロニクス事業
6,828,964
-
5,924,927
-
情報通信事業
4,585,739
-
1,386,884
-
合 計
11,414,703
-
7,311,811
-
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は9ヶ月決算となっていますので、前期比については記載していません。
ハ.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
前期比(%)
パワーエレクトロニクス事業 (千円)
4,680,427
-
情報通信事業 (千円)
4,823,490
-
合 計
9,503,917
-
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.決算期変更に伴い、当連結会計年度は9ヶ月決算となっていますので、前期比については記載していません。3.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社デンソー
1,331,387
11.0
976,814
10.3
デクセリアルズ株式会社
1,976,590
16.4
815,109
8.6
(2)経営者の視点による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析① 財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は、前期末に比べ1億65百万円減少し156億5百万円となりました。流動資産は売上高の増加に伴い売上債権が3億40百万円、長納期化する原材料の確保等により棚卸資産が4億2百万円、未収税金を主とした流動資産のその他が1億41百万円増加しましたが、増産対応のための設備投資の支払い等で現金及び預金が12億82百万円減少したこと等により、前期末に比べ3億99百万円減少し76億84百万円となりました。固定資産は退職給付に係る資産が2億64百万円減少しましたが、増産対応のための設備投資等により有形固定資産が5億9百万円増加したこと等により、前期末に比べ2億33百万円増加し79億21百万円となりました。負債は未払金が2億14百万円、未払法人税等が1億87百万円、賞与引当金が1億81百万円減少しましたが、増加要因として原材料価格の高騰の影響等による仕入債務が92百万円、短期借入金が4億94百万円、設備購入代金を主とした流動負債のその他が1億39百万円増加したこと等により、前期末に比べ1億36百万円増加し39億92百万円となりました。純資産は利益剰余金が1億8百万円減少したことに加え、その他の包括利益累計額が1億93百万円減少したことにより、前期末に比べ3億2百万円減少し116億12百万円となりました。これらの結果、自己資本比率は、前期末の75.6%から74.4%となり、1株当たり純資産額は、前期末に比べ17円68銭減少し679円08銭となりました。セグメント別の資産は以下のとおりです。
〔パワーエレクトロニクス事業〕当セグメントの総資産は、37億1百万円(前期比29.4%の増加)となりました。産業用機械、装置などに使用されるノイズフィルタの売上高の増加による売上債権の増加および受注増加による棚卸資産が増加しました。
〔情報通信事業〕当セグメントの総資産は、50億3百万円(前期比8.1%の増加)となりました。通信機器に使用される積層誘電体フィルタの受注増加による棚卸資産の増加および増産対応のための製造設備投資による有形固定資産が増加しました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6億68百万円(前期末は19億51百万円)となり、前期末と比べて12億82百万円減少しました。なお、決算期変更の経過期間である当連結会計年度は2022年4月1日から2022年12月31日までの9か月の変則的な決算となっています。このため、前年同期の数値については記載していません。また、12月決算の連結子会社について、前連結会計年度は2021年1月1日から2021年12月31日まで(12か月間)の決算数値を連結していましたが、当連結会計年度は2022年4月1日から2022年12月31日まで(9か月間)の決算数値を連結したことにより、2022年1月1日から2022年3月31日までのキャッシュ・フローについて、決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額として27百万円を表示しています。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、7億59百万円の支出となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益2億74百万円の計上等により資金が増加した一方で、棚卸資産、売上債権の増加等により資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、9億53百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、3億40百万円の収入となりました。主な要因は、配当金の支払で資金が減少した一方で、短期借入により資金が増加したことによるものです。
③ 資本の財源および資金の流動性に係る情報資本の財源および資金の流動性について、当社グループの資金需要は製品製造のための原材料の購入、人件費、外注費などの製造費用、営業費用や研究開発費、本社費用などの販売費及び一般管理費および設備投資資金です。当社グループは、事業運営上必要な運転資金および設備投資資金については自己資金で賄うことを基本方針としつつ、不足分は金融機関からの借入金により調達しています。また、一部はグループ内で資金の効率化を目的としてグループ会社間で融資を行っています。
(3) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しています。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。これらのうち主なものは以下のとおりですが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。① 棚卸資産の評価棚卸資産は、取得原価で計上していますが、当連結会計年度末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額を連結貸借対照表価額とし、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しています。正味売却価額は、販売実績に基づく価額から販売直接経費を控除するなどして算定しています。市場環境が想定よりも悪化した場合には追加の損失が発生し、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。② 固定資産の減損損失有形固定資産、無形固定資産について、独立したキャッシュ・フローを生み出す管理会計上の最小単位でグルーピングを行っており、減損損失の測定のステップに至った場合に、各グループの単位で回収可能価額を見積り、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しています。回収可能価額の算定にあたっては、将来キャッシュ・フローについては社内における将来事業計画を根拠として見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っています。事業環境の悪化により、収益性が当初の想定を下回る場合には、回収可能価額が低下することで損失が発生し、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。③ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積って回収可能と判断される将来減算一時差異等について計上しています。将来の課税所得の見積り額に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額され、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。④ 退職給付債務および退職給付費用の計算退職給付債務および退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。実際の計算が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合は、退職給付債務および退職給付費用が増額又は減額され、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 引当金の計上期末日において将来における費用又は損失が発生することが見込まれる場合に、入手可能な情報に基づいて見積りを行い、引当金を計上しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。