【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にありつつも、行動制限等は徐々に緩和され、多くの業界において経済活動の再開による景気回復の兆しが見えつつある一方で、世界的な原材料価格高騰や為替の変動といった様々なリスクが重なり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。そのような中、新型コロナウイルス感染拡大防止によるリモートワークの推進や各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、データ活用による業務効率化やAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。また、政府が人工知能(AI)等の最先端技術を社会課題解決に生かす「Society5.0」の一環として、DX推進を目的としたデジタル庁の創設等もあり、ビッグデータの活用やAIアルゴリズム技術等の社会実装を目指す機運がますます高まっております。そうした流れの中で、当社のデータインフォームド事業が内包されるビッグデータアナリティクス(BDA)・テクノロジー市場、及びそれを含むAI市場は拡大し続けております。この中でも特に関連の深い国内ビジネス・アナリティクス市場は、マーケティング・リサーチ会社であるデロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社によると、データ駆動型の経営・マーケティングや需要予測に取り組むユーザーの増加を背景として、2028年度まで年平均成長率12.0%増で拡大し、同年度の市場規模は9,341億円に達すると予測されております。(出典:2022年2月4日デロイト トーマツ ミック経済研究所「ビジネス・アナリティクス市場展望 2022年版」)
このような環境の下、当社は「あらゆる判断を、Data-Informed(データインフォームド)に。」をパーパスとして掲げ、業績拡大を目指しております。当社の掲げる「データインフォームド」は、データを用いて論理的に考え合理的に判断することで、人間による意思決定の精度を高め、事業運営における再現性を高めることを狙いとしております。当社は、このような“人間が判断の主体となる”ことを前提にしたデータ活用を推進する「データインフォームド市場(DI市場)」をターゲット市場と定義し、クライアント企業のニーズに合わせてDIコンサルティング・DIプラットフォーム・DIプロダクトの3つのサービス(総称:DIサービス)を柔軟に組み合わせて提供しております。昨今の不安定な社会情勢や経済環境においては、データインフォームドに対するニーズは日々高まっております。データインフォームドな判断をクライアント企業の各種業務に組み込むことで、業務における判断の精度が向上し、経営課題解決及び競争力強化が実現されます。
当事業年度も「データインフォームド」の思想に共感する多くのクライアント企業から価値提供の機会を頂戴しました。特に、従前より取引のある大手クライアント企業において、既取引部門・取り組み中の領域におけるDIサービスの利用継続・拡大(縦展開)及び、同社内の未取引部門・新規領域へのDIサービスの提供(横展開)が順調に進展いたしました。それにより、各社におけるデータインフォームドの思想の浸透が進み、多くの案件を受注するに至りました。また、並行して推進しております導入事例の他社への展開(新規顧客開拓)も相まって、前年を上回る売上成長を達成いたしました。売上成長の実現にあたっては、①縦横展開を加速するための、人材育成及びアセット活用の継続的な強化活動、②協業を核としたデータインフォームド思想の啓発活動及び営業体制・デリバリー体制の強化、③DIプロダクトサービス「マイグル」の拡販及び機能強化、の3つの領域に注力しました。①に関しては、前期に引き続き、プロジェクト推進で培った当社独自のノウハウをマニュアル、ツール、プログラム等の形式でアセット化し、再利用性を高めております。また、当該ノウハウを基にした人材育成に関しても、日々ブラッシュアップを重ね、効率性を高めております。加えて、2023年3月にBeyondge株式会社との業務提携を開始し、データサイエンティスト及びエンジニアの採用活動の円滑化及び強化に向けた取り組みも推進しています。②に関しては、前期に発表したBIPROGY株式会社、株式会社電通コンサルティング、株式会社ベーシックとの協業を中心に、人材の育成や交流、顧客紹介、プロジェクト推進体制の共同構築等を引き続き推進しております。③のDIプロダクトサービス「マイグル」は順調に拡大しておりますが、多くの引き合いをいただく中で見えてきた様々なニーズに対応するべく、スマートフォンアプリ「LINE」から参加できる「LINEミニアプリ版」や、各ユーザーに合ったコースを提案しスケジュールを作成する「AIプランナー」をリリースする等、機能強化のための継続投資を実施してきました。また、複数のキャンペーンを高頻度に実施したいというクライアント企業のニーズに応えた「サブスクリプションプラン」の提供も開始しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,686,061千円(前事業年度比59.5%増)、営業利益は349,392千円(同252.5%増)、経常利益は349,030千円(同271.2%増)、当期純利益は245,160千円(同237.0%増)となりました。
なお、当社はData-Informed事業のみの単一セグメントであることから、セグメントごとの記載を省略しております。
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,225,041千円となり、前事業年度末に比べ341,381千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が275,946千円増加したこと等によるものであります。固定資産は122,202千円となり、前事業年度末に比べ10,004千円増加いたしました。これは主に投資その他の資産が16,422千円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、2,347,244千円となり、前事業年度末に比べ351,385千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は363,734千円となり、前事業年度末に比べ144,165千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が69,199千円、未払金が47,377千円増加したこと等によるものであります。固定負債は80,822千円となり、前事業年度末に比べ49,771千円減少いたしました。これは主に長期借入金が50,004千円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、444,556千円となり、前事業年度末に比べ94,393千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,902,687千円となり、前事業年度末に比べ256,991千円増加いたしました。これは主に当期純利益245,160千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は80.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ275,946千円増加し、当事業年度末には1,899,346千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動の結果得られた資金は329,479千円となりました。これは主に、税引前当期純利益が351,878千円であったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は3,349千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,141千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は50,184千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出50,004千円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社はData-Informed事業を営んでおり、該当事項はありません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社はData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当事業年度
(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
1,867,103
162.3
480,822
160.4
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社はData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当事業年度
(自2022年7月1日 至2023年6月30日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
1,686,061
159.5
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自2021年7月1日
至2022年6月30日)
当事業年度
(自2022年7月1日
至2023年6月30日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
西日本旅客鉄道㈱
353,619
33.4
780,407
46.3
アサヒグループジャパン㈱
353,570
33.4
617,375
36.6
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状況を目指し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。運転資金需要のうち主なものは、当社サービス提供のための人件費や外注費等の営業費用によるものの他、納税資金等であります。運転資金は、手持資金、銀行借入及び新株発行により資金調達を行っております。今後も事業活動を支える資金調達については、低コストかつ安定的・機動的な資金の確保を主眼にして多様な資金調達方法に取り組んでまいります。なお、事業拡大に伴う研究開発投資の増大や人件費投資の増大といった多額の先行投資が見込まれる場合、これら資金需要に対応するため、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達することを予定しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。この財務諸表作成における見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。なお、この財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥経営者の問題意識と今後の方針について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と捉えております。また、当社は少数精鋭の優秀なコンサルタントにより、クライアント企業へ高い付加価値を提供することを目標としていることから、「従業員一人当たり売上高」の増加を挙げております。これらの指標の推移は以下の通りです。
決算情報等
前事業年度
(自2021年7月1日
至2022年6月30日)
当事業年度
(自2022年7月1日
至2023年6月30日)
売上高(千円)
1,057,232
1,686,061
営業利益(千円)
99,105
349,392
従業員数(人)
33
42
各種指標
前事業年度
(自2021年7月1日
至2022年6月30日)
当事業年度
(自2022年7月1日
至2023年6月30日)
前期比売上高成長率(%)
146.4
159.5
売上高営業利益率(%)
9.4
20.7
従業員一人当たり売上高(千円)
32,037
40,144
当社は創業から現在に至るまで売上高は順調に拡大し、安定的ではないものの一定の成長率を実現しております。一方、中期的に見ても、当社の成長過程において必要な人件費投資、研究開発投資が生じた期において、その原価や諸経費が利益を下げる要因となります。「従業員一人当たり売上高」は前事業年度においては高い数値となりました。中期的な目線においても、一時的な水準低下はあったとしても今後の事業拡大に伴い、増加していくものと想定しております。なお、当指標の目標数値は設けておらず、また、各指標が前期比を上回ることに関して当社として約束する趣旨のものではございません。なお、当該指標に関する有限責任監査法人トーマツの監査及びレビューを受けておりません。
前期比売上高成長率(%)・・・売上高÷前年同期売上高×100
売上高営業利益率(%)・・・営業利益÷売上高×100
従業員一人当たり売上高(千円)・・・売上高÷期末時点従業員数
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