【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績の分析当社グループは、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し事業を展開しております。当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)における我が国の経済状況は、当初は新型コロナウイルス感染第6波がピークアウトする状況から始まり、7月以降は第7波により感染者数が過去最高水準まで増加したものの、重症者の比率が低下したこともあり、徐々に経済社会活動の正常化が進みました。一方で、ウクライナ情勢の長期化などによるエネルギー価格を中心とする諸物価の高騰および供給制約、諸外国によるインフレ対策としての金利引き上げと金利差による急激な円安など、不安要素は払しょくされず、引き続き、為替・債券及び株式市場の変動に加え、景気の下振れリスクを注視しなければならない状況にあると判断しています。
この様な環境の中、既に開示いたしましたとおり、当社は当社の持分法適用関連会社であったPayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)の当社保有全株式を2022年8月にアセットマネジメントOne株式会社(以下、「AM-One社」という。)に譲渡いたしました。当社は、2021年11月に策定した「中期ビジョン2025」において総合エネルギー事業会社への変革を加速させることを掲げ、その中で戦略的投資と事業資産の入れ替え(選択と集中)を検討しておりました。譲渡先であるAM-One社は、PPAM社の更なる発展を目指す方針であり、本株式譲渡を行うことがPPAM社の今後の企業価値の更なる向上に資すると判断するとともに、本株式譲渡により得られる資本を総合エネルギー事業に直接かかわる事業に投下することが当社グループの株主価値の向上に寄与すると判断いたしました。アセット・マネジメント事業のセグメントについては、引き続きアストマックス・ファンドマネジメント株式会社を中心としたベンチャーキャピタルファンド等の運用業務を行うことに加え、再生可能エネルギーをはじめとするカーボンニュートラルに向けた取組みのファンド化や当社における他の総合エネルギー事業とのシナジー効果が期待される領域の事業展開等に重点を置く方針です。
当第2四半期連結累計期間のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2021年度の事業用太陽光発電のFIT価格は11円(税抜)、2022年度は10円(税抜)となり、250kW以上の設備は、引き続き入札制度適用区分として定められております。また、2022年4月に、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が改正され、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度、再生可能エネルギーのポテンシャルを活かす系統増強等が示されました。FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しておりますが、前述のようにFIT制度に加え、FIP制度の導入、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」「ESG(持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点)」等、世界的に推進されている脱炭素社会を目指す動きは急速に広がりを見せてきております。我が国においても、「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」や「エネルギー基本計画」等において、2050年までの温暖化ガス排出量実質ゼロ、S+3E(エネルギー政策の基本的視点。安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図るもの。)の原則に基づく再生可能エネルギーの主力電源化が政策目標とされています。ウクライナ情勢の影響によるエネルギー価格のさらなる高騰や脱ロシアの動き等により、各国は産業構造やエネルギー情勢等を踏まえた具体的な強化政策を打ち出しはじめており、脱炭素社会に向けた取り組みは実行段階に入りつつあります。国内においては、再生可能エネルギーの増加に伴い、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令されており、当社グループが保有する青森県の発電所では第1四半期連結会計期間に初めて出力抑制が発令されました(合計2回)。一方、熊本県の発電所への発令回数は第1四半期連結会計期間は季節外れの真夏日が多かったこともあり合計6回(前年同期間比11回減)となりましたが、当第2四半期連結会計期間の発令はありませんでした。また、頻発する勢力の強い台風や記録的豪雨による被害はありませんでした。
電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等により市場価格の変動リスクが高まっております。前連結会計年度は、燃料価格が上昇したことから発電コストが上昇し、電力卸売価格が高騰、燃料費調整の上昇や電力小売価格の値上げ等で需要家の負担が増えると同時に、安価での販売による小売電気事業者の収支の悪化、事業撤退が相次ぎました。当第2四半期連結累計期間もウクライナ情勢の悪化などにより燃料価格は高止まり傾向にあり、電力価格も高値で推移しております。こうした中、小売電気事業者や発電事業者の経営においては、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が再認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。
商品市場においては、前連結会計年度にウクライナ情勢を受けて大幅高となった原油価格および貴金属価格は、当連結会計年度に入り、落ち着きを取り戻しやや軟調に推移していますが、引き続きウクライナ情勢、世界的なインフレ傾向・金融政策を注視する必要があると考えます。
電力小売業界では700を超える小売電気事業者が参入した結果、顧客獲得に向けた価格競争は激化し、昨年来業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。2021年1月に端を発した電力スポット価格の高騰は、2021年10月以降も継続しており、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる小売電気事業者へ大きな打撃を与え、当該事業から撤退または倒産する企業や、新規契約の受付停止をする企業が相次ぎました。上昇する電力料金の消費者の負担感は高まってきており、「節電ポイント」制度を設ける等国が対策を取り始めている状況です。
このような市場環境等のもと、当第2四半期連結累計期間における経営成績は以下のとおりです。(単位:百万円)
2022年3月期第2四半期連結累計期間
2023年3月期第2四半期連結累計期間
増減
増減率(%)
増減の主要因ほか
営業収益
4,527
5,795
1,268
28.0
①電力取引関連事業(+1,120)②再生可能エネルギー関連事業(+4)③ディーリング事業(+22)④小売事業(+117)⑤アセット・マネジメント事業(+6)
営業費用
4,538
6,139
1,601
35.3
電力仕入の増加(+1,547)
営業損失(△)
△10
△343
△332
–
経常損失(△)
△106
△419
△313
–
①営業損失(△332)②投資有価証券売却益(+30)
特別利益
21
575
554
–
当社保有のPPAM社全株式を譲渡したことによる特別利益(+575)
特別損失
0
2
2
–
税金等調整前四半期純利益又は税金等調整前四半期純損失(△)
△84
154
238
–
法人税等合計(※1)
△0
△18
△18
–
非支配株主に帰属する四半期純利益
3
12
8
248.3
親会社株主に帰属する四半期純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△)
△88
159
248
–
※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。※2 当第2四半期連結累計期間の営業収益における電力取引関連事業に係る増加および減少の要因については、セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>をご参照ください。
セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。セグメント利益:再生可能エネルギー関連事業のセグメント利益は、前年同期間比増加しました。 ディーリング事業は、セグメント利益となりました。セグメント損失:小売事業のセグメント損失は、前年同期間比増加しました。 アセット・マネジメント事業のセグメント損失は、前年同期間比減少しました。 電力取引関連事業は、セグメント損失となりました。
(セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円)
2022年3月期第2四半期連結累計期間
2023年3月期第2四半期連結累計期間
増減
増減率(%)
再生可能エネルギー関連事業
営業収益
334
370
36
11.0
セグメント損益
5
32
26
476.3
電力取引関連事業
営業収益
3,883
5,090
1,207
31.1
セグメント損益
135
△229
△364
-
小売事業
営業収益
141
256
115
81.8
セグメント損益
△116
△128
△12
-
アセット・マネジメント事業
営業収益
73
79
6
8.3
セグメント損益
△76
△47
29
-
ディーリング事業
営業収益
181
204
22
12.2
セグメント損益
△9
2
12
-
その他(※1)
営業収益
13
11
△1
△13.7
セグメント損益
△6
△2
4
-
調整額
営業収益
△100
△218
△117
-
セグメント損益
△38
△47
△9
-
四半期連結財務諸表計上額
営業収益
4,527
5,795
1,268
28.0
セグメント損益
△106
△419
△313
-
※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。※2 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益および特別損失は含んでおりません。
<1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、前述の経営環境にあるとおり、足元のエネルギー価格の高騰等を受け、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルは今後も拡大していくと考えられ、当社も企業や自治体への展開に積極的に取り組んでおります。
(太陽光発電事業)当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。 再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境が引き続き想定されます。当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係わるノウハウとネットワークの力を活用して、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心に取り組んでまいります。また、併行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しつつ、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでまいります。
自社開発(建設中):
① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。
自社開発(運転開始):
当第2四半期連結累計期間に運転開始した案件はありません。
セカンダリー市場:
新たな案件についても精査を行っております。
ポートフォリオの入替:
当第2四半期連結累計期間に入替を実施した案件はありません。
維持・運営管理(O&M事業):
当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。
コーポレートPPA事業:
民間企業との取り組みのほか、既に開示いたしましたとおり、当社は北海道山越郡長万部町と包括連携協定を締結し、「持続可能な街づくりと脱炭素化・再生可能エネルギー推進を同時実現することを目的とした事業」を協同で推進しております。
(地熱発電事業等)当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業収益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、合計2回の匿名組合出資を受けました。損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。
再生可能エネルギー関連事業では、地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しているほか、今年度より源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度が始まったことによる負担が増加しましたが、前述のとおり、出力抑制が前年同期間に比べて大幅に減少したことや、発電効率向上のためパネル洗浄を実施したこと等により営業収益は前年同期間比増加しました。以上の結果、当事業における当第2四半期連結累計期間の営業収益は370百万円(前年同期間比36百万円(11.0%)の増加)、32百万円のセグメント利益(前年同期間比26百万円(476.3%)の増加)となりました。
<2 電力取引関連事業>当事業は、当社が推進し、小売電気事業者への電力取引の提供、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供を行っております。電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進し、乱高下する相場の中、リスクを適切に抑制しながら取引を実行しております。当第2四半期連結累計期間においては、電力卸売価格が小売価格より高値で推移したため、小売電気事業者からの取引ニーズが減少し、当第2四半期連結累計期間の営業収益は前年同期間比増加しましたが、取引量は前年同期間比減少しました。しかしながら、小売電気事業者の事業継続に向けた電力調達及び価格リスクヘッジから電力取引のニーズは引き続き高いことから、価格が落ち着つけば取引量は増加するものと考えております。業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。当社がコンサルタントとして開発に携わっている、日鉄ソリューションズ株式会社の電力リスク管理システム「エネファロス」の販売は、今年度から開始いたしました。なお、当第2四半期連結会計期間末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3カ月以上の期間のポジションは限月が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済利益124百万円(純額)と、当第2四半期連結会計期間末を越えて限月を迎える電力先物取引の時価評価益45百万円(純額)は、当第2四半期連結会計期間末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当第2四半期連結累計期間の営業収益を押し上げ、電力取引関連事業のセグメント損失を減少させる要因となっております。一方、同様の理由で、当第2四半期連結累計期間に受渡しが行われる電力現物先渡取引をヘッジする目的で行われた電力先物取引に係る前連結会計年度に認識された決済利益344百万円(純額)及び時価評価益82百万円(純額)は当第2四半期連結累計期間の営業収益を押し下げ、電力取引関連事業のセグメント損失を増加させる要因となっております。以上の結果、電力取引関連事業の当第2四半期連結累計期間の営業収益は5,090百万円(前年同期間比1,207百万円(31.1%)の増加)となり、セグメント損失は229百万円(前年同期間は135百万円のセグメント利益)となりました。
<3 小売事業>
当事業は、当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。AEKK社では個人を中心とする低圧市場の顧客への電力・ガス販売を行い、当社は特高・高圧市場の顧客への販売を行っております。
(電力小売事業)AEKK社では前連結会計年度に、固定料金の基本プランとして4つのプランのラインナップを揃え、また実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」を各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。一方、前述の事業環境のとおり、小売電気事業者から撤退する企業や倒産する企業が続出している中、電力会社の切替えを希望する顧客も多く、顧客を増加させる好機であるものの、現在の市場状況下での新規顧客獲得は電力調達コストが高騰していることから逆ザヤによる採算悪化となるため、プランを限定して新規顧客獲得を行わざるを得ない状況となっております。AEKK社でも、2022年4月より基本プランの新規受付を停止し、2022年6月には既存顧客に対する基本プランの料金改定を発表しました。このような状況の中AEKK社では、市場連動型プランでありながら市場価格と固定価格を自由に組み合わせることができる新プラン「フリープラン」の提供を2022年4月から開始いたしました。本プランは、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適した、他社との差別化ができる当社独自の商品となっております。また当社でも、特高・高圧の顧客に対して同様のフリープランの販売を開始しており、同プランによる新規顧客の開拓が着実に進んでおります。今後もサービスの拡充と知名度の向上に努め、早期の黒字化を目指して取り組んでまいります。なお、「フリープラン」と連携して自宅の家電をスマートフォン上のアプリでどこからでも制御できるスマートリモコンの機能と、自宅の電力使用量や太陽光発電の発電量を計測・分析できる機能を兼ね備えた「アストHEMS」の開発を終え、一般モニターの募集を2022年10月から開始する予定です。
(ガス小売事業)2021年1月より、AEKK社は当社のガス小売り取次店として、既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売を行っておりましたが、2022年10月以降は、AEKK社は当社の業務提携関係である株式会社グローバルエンジニアリングのガス小売り取次店として電気とガスのセット販売を継続することとなりました。
以上の結果、小売事業の当第2四半期連結累計期間の営業収益は256百万円(前年同期間比115百万円(81.8%)の増加)となりましたが、コスト先行が継続しており、128百万円のセグメント損失(前年同期間は116百万円のセグメント損失)となりました。
2021年4月に設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としております。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。当第2四半期連結累計期間においても、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。 業務代行サービスを提供している既存顧客の電力需要予測、および太陽光発電出力予測に関して、AIによる予測精度向上を確認し、順次、自動システム化に取り組んでおり、電力需要予測のAI化は適用社数を増加し実稼働しております。また、再生可能エネルギーのアグリゲート事業に必要な太陽光発電出力予測及び九州等のエリア全体の再生可能エネルギー発電出力予測や需要予測等のAI化に取り組んでおります。今後は、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池(発電所併設型含む)による蓄電事業への展開を検討しております。
<4 アセット・マネジメント事業>
アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月から開始したファンドの運用業務も継続しております。2022年9月には、学校法人東京理科大学が支援する新たな再生可能エネルギーファンドの受託を2022年10月から開始することが決定しました。AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も、前年同期間比増加しております。なお、冒頭に記載しましたとおり、当社は保有していたPPAM社の全株式を2022年8月にAM-One社に譲渡いたしました。本譲渡により当第2四半期連結会計期間において575百万円の特別利益を計上しましたが、当社のセグメント損益は経常損益を表していることから、当該特別利益はアセット・マネジメント事業のセグメント損益には反映しておりません。一方、2022年4~7月までのPPAM社の持分法による投資損失73百万円は営業外費用としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に含んで表示しております。以上の結果、当事業における当第2四半期連結累計期間の営業収益は79百万円(前年同期間比6百万円(8.3%)の増加)となり、47百万円のセグメント損失(前年同期間は76百万円のセグメント損失)となりました。
<5 ディーリング事業>
当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。当第2四半期連結累計期間における原油市場の動きは、3月の価格高騰後、金融引き締めによるインフレ懸念の後退と景気失速観測から軟調な推移が続いた後、OPECプラスの減産によりやや上昇しました。貴金属の価格も同様に上昇する場面もありましたが、その後は軟調に推移しました。裁定取引の機会は、特にプラチナの取引が国内外取引所の値差の動きが激しい中、安定してプラスに貢献しました。金や原油市場でも同じくコンスタントに裁定取引を行い、当事業における当第2四半期連結累計期間の営業収益は204百万円(前年同期間比22百万円(12.2%)の増加)、セグメント利益は2百万円(前年同期間は9百万円のセグメント損失)となりました。当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。
<6 その他(地方創生ほか)>
当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。当事業は北海道長万部町の「長万部地方創生事業」において、「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指し2017年11月に設立された長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)が主に推進しており、アグリ社の設立当初より出資していた当社グループは、2018年6月に第三者割当増資を引き受けて、アグリ社を子会社としております。アグリ社では、サンゴ及び焼成したホタテ貝殻のアルカリ培地を利用した新しい農法でミニトマトを生産・出荷しております。2020年2月にアグリ社の「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」が取得した、一般財団法人格付けジャパン研究機構の主催する格付け認証のミニトマト部門における総合評価における「データプレミアムNo1」の認証期限は、2024年まで延長されました。また、当第2四半期連結累計期間には、日本経済新聞、産経新聞、KBS京都(ラジオ番組)でも、エンリッチミニトマトが取り上げられました。近隣の小学生や未就学児を対象とした農場での収穫体験も再開するなど、地域に根差した活動も継続しております。アグリ社では継続的に商品販売の機会を確保することを目的としてEコマースプラットフォームを活用した「長万部アグリYahoo!店」「BASE店」を継続しており、新たにエンリッチミニトマトを使用したジャムやケチャップの販売も開始いたしました。SNS等を利用した情報発信によってもエンリッチミニトマトの周知活動を行っております。以上の結果、商品の売り上げは前年同期間比増加し、また、コスト削減を推進したことにより営業費用は前年同期間比減少しましたが、全体としてはまだ営業費用が営業収益をやや上回る状態が継続しております。
上記、セグメント利益又は損失は当第2四半期連結累計期間の経常損失と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。
(2)財政状態の分析(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて8.6%増加し、7,411百万円となりました。これは、主に現金及び預金が1,426百万円増加、自己先物取引差金が536百万円減少したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて2.1%減少し、6,166百万円となりました。これは、主に投資有価証券が168百万円減少したこと等によります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて3.5%増加し、13,581百万円となりました。(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて9.3%増加し、2,273百万円となりました。これは、その他に含まれる1年内返還予定の預り保証金が449百万円増加したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて3.2%増加し、5,028百万円となりました。これは、主に長期預り金が200百万円増加したこと等によります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて5.1%増加し、7,302百万円となりました。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1.8%増加し、6,279百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する四半期純利益等により利益剰余金が121百万円増加したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析 当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、4,074百万円(前年同期間比42.5%増)となりました。 当第2四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増減は、1,050百万円(前年同期間は△356百万円)となりました。 主たる要因は、主として預り保証金の増加による収入(449百万円)、自己先物取引差金(借方)の減少による収入(367百万円)等によります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の増減は、696百万円(前年同期間は△170百万円)となりました。 主たる要因は、投資有価証券の売却による収入(650百万円)等によります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の増減は、△320百万円(前年同期間は161百万円)となりました。 主たる要因は、短期借入金の返済による支出(短期借入れによる収入との純額は△130百万円)、長期借入金の返済による支出(△123百万円)等によります。
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