【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における自動車業界は、世界的な半導体不足や中国におけるロックダウンの影響等により、完成車メーカーの生産調整が長期化し、厳しい状況で推移しました。生産は回復しつつありますが、半導体不足や新型コロナウイルス感染症再拡大のリスクは依然として残っており、また、原材料やエネルギー価格の上昇も重なるなど、先行きは不透明な状況が続いています。なお、化学品の販売価格形成の基準となるナフサ価格は下落傾向にあるものの、引き続き高い水準で推移しました。
このような事業環境のもと、当社グループは、2022年5月、2023年3月期から2025年3月期までの3年間を対象とする第13次中期経営計画を発表しました。本中計では「強みのある事業の強化・成長分野の絞り込み」をテーマとし、「Ⅰ 安定した財務基盤の確立・収益力の強化」、「Ⅱ 研究開発の強化による価値創造と2030年に向けた種まき」、「Ⅲ サステナビリティ活動の推進による経営のレジリエンス向上」を基本戦略に掲げた取り組みを開始しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は、主要顧客の減産はあったものの、円安による為替影響等により、売上高は108,247百万円(前年同期比13.2%増)となりました。利益面では、減産影響に加えて、インフレ影響や北米の人件費高騰に伴うコスト増が響き、営業利益は1,185百万円(前年同期比21.6%減)、為替差益を計上した関係で経常利益は1,361百万円(前年同期比23.7%減)となりました。また、前年同期に多額の投資有価証券売却益を計上した反動に加えて、海外子会社における減損損失の計上により、親会社株主に帰属する四半期純損失は585百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益2,540百万円)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
①樹脂加工製品事業
樹脂加工製品事業においては、半導体不足や中国のロックダウンによる主要顧客の減産の影響を受けたものの、円安による為替影響がプラスに作用した結果、売上高は前年同期を上回りました。
利益面では、市況影響等の価格転嫁に向けた交渉を進めていますが、減産影響や生産計画の変動に伴う稼働ロス、原材料やエネルギー価格の上昇、北米の人件費高騰や要員確保のための労務費負担など生産コストの増加が重なり、前年同期比で減益となりました。
このような結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は85,782百万円(前年同期比14.3%増)、営業利益は126百万円(前年同期比39.8%減)となりました。
②ケミカル事業
ケミカル事業においては、完成車メーカーの減産の影響を受け、モビリティ分野の取引が減少したほか、スマホ需要の低迷により電子機器向けの原材料販売が伸び悩みました。また、ライフサイエンス・ファインケミカル分野でも需要が軟調に推移しました。その一方、ナフサ価格は高い水準に留まっており、販売価格の上昇と円安による為替影響により、売上高は前年同期を上回りました。
利益面では、原材料やエネルギー価格の上昇によるものづくり分野の収益性の低下や、運賃・出張費等の増加による販売費及び一般管理費の増加等により、前年同期比で減益となりました。
このような結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は22,465百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は1,235百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は72,166百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,891百万円減少しました。これは主に、仕掛品が2,229百万円、現金及び預金が1,713百万円減少したこと等によるものであります。
また、固定資産は60,342百万円となり、前連結会計年度末に比べ275百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が1,255百万円減少した一方、機械装置及び運搬具が681百万円、工具、器具及び備品が629百万円増加したこと等によるものであります。
これらの結果、総資産は132,508百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,616百万円減少しました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は53,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,917百万円減少しました。これは主に、短期借入金が1,961百万円、未払法人税等が1,108百万円減少したこと等によるものであります。
また、固定負債は8,693百万円となり、前連結会計年度末に比べ401百万円減少しました。これは主に、繰延税金負債が476百万円減少したこと等によるものであります。
これらの結果、負債合計は61,737百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,319百万円減少しました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は70,770百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,296百万円減少しました。これは主に、為替換算調整勘定が2,929百万円増加した一方、利益剰余金が2,068百万円、その他有価証券評価差額金が1,120百万円減少し、自己株式が1,004百万円増加したこと等によるものであります。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,230百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。