【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は2,843,568千円となり、前事業年度末に比べ151,444千円減少いたしました。これは主に、売上高増加により受取手形及び売掛金が83,578千円増加した一方で、現金及び預金が217,179千円、オフィス再編等に伴い有形固定資産および投資その他の資産が100,321千円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は1,499,541千円となり、前事業年度末に比べ756,425千円増加いたしました。これは主に、借入により長期借入金(1年内返済予定含む)が695,814千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,344,026千円となり、前事業年度末に比べ907,870千円減少いたしました。これは、当期純損失を計上したことにより、利益剰余金が941,138千円減少したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化や世界経済悪化の影響等により極めて厳しい状況となりました。一方、企業や人々の生活のデジタル化やモバイルシフトは引き続き促進しており、当社が属するモバイルアプリ業界の重要性はますます高まっております。
当社は、「Mobile Tech for All~デジタルを簡単に、社会を便利に~」というミッションの下、アプリ開発技術がなくてもノーコード(プログラミング不要)で誰でも簡単にスマートフォンアプリの開発・運用を行うことができるプラットフォーム「Yappli」を提供しております。「Yappli」は従来の企業のアプリ開発における様々な課題を解決するだけではなく、顧客企業自ら効率的にアプリを運用することを可能にし、成果を生み出しやすいサービスとなっております。
また、2021年10月にはノーコードの顧客管理システムである「Yappli CRM」をローンチし、ユーザーとのタッチポイントであるアプリに加え、バックエンドのデータ領域へと当社のドメインを拡大いたしました。「Yappli
CRM」は順調に立ち上がり、様々な企業への導入が進んでおります。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高4,142,434千円(前年同期比26.9%増)、営業損失818,800千円(前年同期は営業損失928,548千円)、経常損失824,984千円(前年同期は経常損失931,115千円)、当期純損失941,138千円(前年同期は当期純損失939,895千円)となりました。営業損失以下、各段階損失が発生した主たる要因としては、売上高は順調に推移しているものの、先行投資としての人件費や広告宣伝費等の回収に至っていないためであります。特別損失は、リモートワークは継続しつつも、出社するメンバーにとっての一体感の醸成とコミュニケーション活性化を推進できるオフィスへと変更するために本社オフィスの一部解約に伴なって発生した費用107,401千円になります。
なお、当社はアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,650,737千円となり、前事業年度に比べ217,179千円減少いたしました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は926,634千円となりました。これは主に、オフィス再編費用を107,401千円計上した一方で、税引前当期純損失を932,385千円計上、売上債権が83,578千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は19,577千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が20,971千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は729,032千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が104,186千円あった一方で、長期借入れによる収入が800,000千円あったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は、アプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
4,142,434
126.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高は、コロナ禍において成長が鈍化したものの、主に新規顧客獲得及び既存顧客に対するアップセル等の営業努力により4,142,434千円(前事業年度比878,464千円増)となりました。2022年12月末時点でのYappliの契約アプリ数は783となり、月次解約率(直近12カ月平均)も0.88%、月額利用料割合は80%と堅調に推移しています。
売上原価は、主に人員増加に伴う人件費の増加や契約アプリ数の増加に伴うサーバ費用、外注費などの増加の影響から1,390,554千円(前事業年度比328,936千円増)となりました。この結果、売上総利益は2,751,879千円となりました(前事業年度比549,528千円増)。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は、主に人員増加に伴う人件費の増加や積極的な広告宣伝、研究開発の実施の影響から3,570,680千円(前事業年度比439,780千円増)となりました。
この結果、当事業年度の営業損失は818,800千円(前事業年度営業損失928,548千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は主に受取手数料の減少に伴い1,418千円(前事業年度比3,795千円減)となりました。営業外費用は、主に支払利息の増加と支払補償費の計上があった一方で、株式交付費が減少したことに伴い7,602千円(前事業年度比179千円減)となりました。
この結果、当事業年度の経常損失は824,984千円(前事業年度経常損失931,115千円)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純損失)
特別損失は、本社オフィスの一部解約に伴って発生したオフィス再編費用に伴い107,401千円(前事業年度比107,401千円増)となりました。
この結果、当事業年度の税引前当期純損失は932,385千円(前事業年度税引前当期純損失931,115千円)となりました。
(法人税等、当期純損失)
法人税等については、法人税、住民税及び事業税は8,752千円となりました(前事業年度比26千円減)。
以上より、当事業年度の当期純損失は941,138千円(前事業年度当期純損失939,895千円)となりました。
(当社の経営成績に重要な影響を与える要因)
当社が事業展開するYappliは、小売業態において多くの導入実績があり、その中でも特にアパレル関係企業への導入が進んでおります。小売業界においては、これら企業の広告費は引き続き好調な推移を示すと予測する見方ではあるものの、国内外の経済情勢を受け当社の予想を超えて下振れするような場合には、当社の経営成績に重要な影響を及ぼすリスクがあります。
その他、当社が抱える事業等のリスクについての詳細は、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
以上を踏まえ、当社は常に市場動向には留意しつつ、顧客に求められる機能やサービスを開発していくとともに、優秀な人材の採用、新規サービスの開拓、内部管理体制の強化をしていくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に備え、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金、設備投資や長期運転資金の調達について、自己資金又は金融機関からの借入を基本としており、都度最適な方法を選択しております。
なお、当事業年度末における借入金の残高は918,750千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,650,737千円となります。
なお、当社は、アプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、事業年度末日における資産及び負債、会計期間における収益及び費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績及び適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。
なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は後述「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載の通りであります。
④経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、契約アプリ数、月次解約率、月額利用料割合を重要な経営指標と位置付けております。
当該指標については、2022年12月末時点でのYappliの契約アプリ数は783(前事業年度末比90件増)となり、月次解約率は0.88%(前事業年度末は0.68%)、月額利用料割合は80%(前事業年度末は77%)であります。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、今後の業績に寄与するものと期待できることから、堅調に推移しているものと認識しております。なお、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の推移については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおりであります。
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