【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
増減額(増減率)
売上高(千円)
17,000,529
23,081,110
6,080,580
(35.8%)
営業利益(千円)
2,803,983
4,885,113
2,081,129
(74.2%)
経常利益(千円)
2,720,187
4,709,050
1,988,863
(73.1%)
親会社株主に帰属する当期純利益(千円)
1,919,981
3,261,643
1,341,661
(69.9%)
保有基数(12月末時点)
9,701基
10,036基
335基
(3.5%)
稼働率(12ヶ月平均)
77.0%
73.6%
△3.4%
―
当連結会計年度におけるわが国経済は、水際対策緩和によるインバウンド需要の急回復により宿泊・飲食サービスなどの消費関連の景況感が大幅に改善する一方で、原料コストの増加により石油・石炭製品や紙・パルプなどの素材業種を中心に製造業の景況感は悪化しました。輸出においては、半導体需要の循環的な落ち込みにより電子部品やデバイスは下降傾向にある一方で、供給制約が緩和した自動車は復調しつつあるほか、世界的に堅調な設備投資を背景に資本財も増加しました。世界経済に目を向けますと、米国では、製造業や建設業などの財生産部門の低迷が続いた一方、鉱業やサービス部門が全体を押し上げました。また、非国防資本財受注は増勢を維持するなど、設備投資は底堅く推移しました。ユーロ圏では高インフレが継続しているものの、資源価格の高騰が一服したことから12月の消費者物価上昇率は2ケ月連続で騰勢が鈍化する一方、食品・エネルギーを除くコア指数は前月から伸びが続いています。また、英国では化学や素材型産業などのエネルギー集約型産業では、2021年春先をピークに生産の減少に歯止めがかからず、コロナ前を下回る水準を続けております。中国では、ASEAN向けの輸出が堅調さを維持する一方で、米国とEU向けの輸出が幅広い品目で減少しただけでなく、輸入の回復も緩やかなものに留まりました。このような環境のもと一昨年の秋より始まった海上輸送の混乱も落ち着きを取り戻し、アメリカ西海岸を筆頭とした港湾の混雑解消も進んでおります。また、コンテナ船の運航も安定してきており、積載スペースのタイト感も緩和されつつあります。更に、2022年度は法律で定められた工場設備の定期点検・修理を実施するメーカーのうち日数を要する大型定期修理の年に該当する取引先が多くありましたが、全社一丸となって営業活動を推進することにより原料や仕掛品の一時保管など支店の附帯サービスを通じた国内輸送等売上も大きく業績を伸ばしました。他方、米ドル建てで値決めがされる国際輸送においては、春先からの急激な円安進行が円ベースの売上高の増加(為替相場が1ドル=115円と想定した場合と比べて1,050百万円程度の増収。試算ベース)に寄与し、当社グループ全体として前連結会計年度を大幅に上回る実績を残すことができました。この他、事業開始から6年目となるガスタンクコンテナ事業は、売上原価に占める変動費の割合が少ないなか着実に業績を伸ばしており、売上高が前連結会計年度の665百万円から921百万円に増加するなど収益率の向上に貢献しております。この結果、当連結会計年度における売上高は、過去最高を記録した前連結会計年度を6,080百万円上回る23,081百万円(前期比35.8%増)を達成いたしました。他方、タンクコンテナへの積極的な投資は継続しており、当連結会計年度末時点の保有基数は10,000基を超え、次の中間目標である20,000基が視野に入る状態となりました。これにより減価償却費が増加したほか、物価上昇を鑑みて他社に先駆けて一時金を含む賃金の引き上げや職場環境の改善や将来を睨んだ積極的な設備増強等により販売費及び一般管理費も1,951百万円(前期比26.4%増)に増えましたが、強力な営業力により前連結会計年度を2,081百万円上回る4,885百万円(前期比74.2%増)の営業利益を上げることができました。また、経常利益は、前連結会計年度を1,988百万円上回る4,709百万円(前期比73.1%増)を確保するなど、昨年に続いていずれも過去最高を更新しております。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて3,738百万円増加し、7,173百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とこれに係る要因は次のとおりであります。a. 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果得られた資金は、5,703百万円(前期は2,546百万円の収入)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益4,708百万円、減価償却費1,469百万円、仕入債務の増加額253百万円、その他の営業活動による増加額695百万円であり、主な資金の減少要因は、売上債権の増加額482百万円、法人税等の支払額1,054百万円です。
b. 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果支出した資金は、555百万円(前期は628百万円の収入)となりました。主な資金の減少要因は、定期預金の純増額80百万円、有形固定資産の取得による支出473百万円です。
c. 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果支出した資金は、1,530百万円(前期は1,253百万円の支出)となりました。主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入100百万円であり、主な資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出400百万円、リース債務の返済による支出735百万円、配当金の支払額455百万円です。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績該当事項はありません。
b. 受注実績該当事項はありません。
c. 仕入実績仕入内容は、主に海上及び陸上運送費用、作業料、倉庫料などの外注費であります。仕入金額は、連結損益計算書の売上原価に相当する金額であります。当連結会計年度における仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
国際複合一貫輸送事業
16,244,378
128.4
合 計
16,244,378
128.4
(注) 当社及び連結子会社の事業は、タンクコンテナを使用した国際複合一貫輸送及び附帯業務の単一事業であります。
d. 販売実績当連結会計年度における輸送形態別の販売実績は次のとおりであります。
輸
送
形
態
別
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
輸出売上
10,520,395
141.8
輸入売上
6,675,985
143.7
三国間売上
1,142,424
154.9
国内輸送等売上
4,293,098
114.7
その他
449,205
99.1
合 計
23,081,110
135.8
(注) 1
「輸出売上」「輸入売上」「三国間売上」「国内輸送等売上」「その他」は、輸送経路による区分であります。
2
国内輸送等売上には、国内輸送に加え保管及び加温に関するサービスも含まれております。
3
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
国際複合一貫輸送事業
23,081,110
135.8
合 計
23,081,110
135.8
(注) 1 当社及び連結子会社の事業は、タンクコンテナを使用した国際複合一貫輸送及び附帯業務の単一事業であります。2 主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1) 経営成績等
a. 売上高の分析一昨年の秋より始まったコンテナ船の運航スケジュールの乱れはコンテナ船の積載スペース確保を困難にするとともに海上運賃高騰の要因となりましたが、第3四半期入ると落ち着きを取り戻し始めました。他方、年初は落ち着いていた為替相場は第2四半期に入ると急速にドル高が進み、10月に入ると1ドル=151円94銭を付ける場面もありました。こうした環境のもと、当社はタンクコンテナの供給力とコンテナ船の積載スペース確保力を活かした営業活動により国際輸送売上を伸ばすことができました。また、国際輸送は米ドル建てで値決めをされることから円安の進展は円ベースでの売上高の伸びにも寄与しております。国内輸送等売上におきましても、取扱本数が増加したことに加えて、工場設備の定期点検・修理を実施するメーカーの原料や仕掛品の一時保管などの附帯サービスが増えたほか、高圧ガスビジネスにおける事業拡大や新規顧客の獲得が進んだ結果、当連結会計年度における売上高は23,081百万円(前期は17,000百万円、前期比35.8%増)となり、前連結会計年度に続いて過去最高を更新しました。
b. 費用・利益の分析海上運賃高騰により売上原価が大幅に増加したほか、タンクコンテナへの積極的な投資を継続していることから減価償却費が毎年増加する一方、物価上昇を鑑みて他社に先駆けて一時金を含む賃金引き上げや職場環境の改善、ならびに将来を睨んで積極的な設備増強等に取り組んだことから、当連結会計年度の営業利益は4,885百万円(前期は2,803百万円、前期比74.2%増)となり、経常利益は4,709百万円(前期は2,720百万円、前期比73.1%増)となるなど、いずれも前連結会計年度に続いて過去最高益を計上しました。なお、特別損益におきましては、経営成績に大きな影響を与えるものは発生しておりません。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,261百万円(前期は1,919百万円、前期比69.9%増)となりました。
2) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
a. 財政状況の分析流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,915百万円増加(40.3%増)し、13,622百万円となりました。現金及び預金が3,833百万円、売掛金が664百万円増加したものの、その他流動資産が489百万円減少したことが主な要因です。固定資産は、前連結会計年度末に比べ102百万円減少(0.8%減)し、12,554百万円となりました。建設仮勘定が185百万円増加したものの、建物及び構築物(純額)が195百万円、タンクコンテナ(純額)が123百万円減少したことが主な要因です。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ3,812百万円増加(17.0%増)し、26,177百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ996百万円増加(27.1%増)し、4,673百万円となりました。買掛金が332百万円、未払法人税等が521百万円増加したことが主な要因です。固定負債は、前連結会計年度末に比べ320百万円減少(5.7%減)し、5,266百万円となりました。リース債務が95百万円増加したものの、長期借入金が425百万円減少したことが主な要因です。純資産は、前連結会計年度末に比べ3,137百万円増加(23.9%増)し、16,237百万円となりました。利益剰余金が2,812百万円、為替換算調整勘定が324百万円増加したことが主な要因です。
b. キャッシュ・フローの分析「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性について)当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、売上の伸びに伴う海上運賃等の売上原価の増加や人件費の増加等であります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、タンクコンテナ保有基数の増加や支店設備の増強があります。当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及びファイナンス・リース等により資金調達を行っており、自己資本比率等の財務健全性指標を注視しながら選択をしていきます。また、米ドル建ての債務については、海外子会社の米ドル建ての余剰資金を活用することにより資金効率の向上と為替相場の変動による影響を減少させる努力をしております。なお、当連結会計年度末の有利子負債は、6,355百万円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入については、政府系金融機関の制度融資も利用して長期資金の調達を行うことにより年間返済額を低く抑えるほか、金利変動リスクを避けるため固定金利で調達しております。
#C9386JP #日本コンセプト #倉庫運輸関連セクター