【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間 (2023年4月1日~2023年9月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行など社会環境の変化に合わせて経済活動の正常化が進み、個人消費と企業活動に緩やかな回復がありました。世界経済においては、ウクライナ情勢の長期化や、米中対立、欧米を中心とする金利上昇に伴う経済の減速懸念、中国経済の先行きの懸念等、不透明さが継続しております。 当社グループの主要な市場である半導体関連市場におきましては、前期までの世界的な半導体不足の緩和は見られたものの、特にパソコン・サーバー需要の減速に伴う部品調達の調整や製品の在庫調整の動きが継続しております。一方で、企業の設備投資やシステム投資に関連する製品・サービスへの需要には一部回復が見え始めております。このような状況のなか、当社は、デジタル分野において他企業との連携やM&Aを進めることでコンソーシアム(共同体)を形成し、これを拡大することでシナジーを創出し企業価値を高めていくことを柱とする「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置付け、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。なお、当社の連結子会社である日本ジョイントソリューションズ株式会社は2023年4月3日、株式会社リバース(以下、「リバース」といいます。)の全株式を取得し、当社の連結子会社化をいたしました。リバースが当社グループに加わることにより、今後成長が期待されるWebサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業において、これまで以上に付加価値の高いサービスや最適なソリューションの提案が可能となり、当社グループの企業価値向上に資するものと見込んでおります。また、当社は2023年6月1日、成長分野へ経営資源を重点的に配分することが当社グループ経営において重要であるとの認識のもと、連結子会社である株式会社クレイトソリューションズ(以下、「クレイトソリューションズ」といいます。)について、当社が保有する全株式を株式会社SHIFTグロース・キャピタルに譲渡いたしました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は9,383百万円(前年同期比19.3%減)となりました。利益につきましては、営業利益は900百万円(前年同期比120.5%増)、経常利益は916百万円(前年同期比55.9%増)、また、クレイトソリューションズの全株式を譲渡したことから関係会社株式売却益1,278百万円を計上したこと、及び当社グループの取引先であるFCNT株式会社による民事再生手続き開始申し立てを受け、同社に対する債権について取立不能または取立遅延のおそれが生じたこと、同社から受注した取引に関連する棚卸資産について収益性の低下のおそれが生じたことから特別損失(貸倒引当金繰入額及び棚卸資産評価損)259百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,295百万円(前年同期比271.1%増)となりました。なお、第1四半期連結累計期間より、メーカー等の製品に組み込まれる法人向け製品・部品等の開発・製造・販売を担う「デジタルデバイス」、デジタル分野における技術を基盤とする製品・サービスの開発・製造・販売を担う「デジタルエンジニアリング」、法人・個人に対して最終製品として供給されるデジタル及びコミュニケーション関連機器及び関連サービスの提供を担う「ICTプロダクツ」、及び「その他」の4セグメントにおける報告セグメントに変更を行いました。それに伴い前年同期の実績値を変更後のセグメント区分に組み替えて表記しております。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)Ⅱ当第2四半期連結累計期間 3. 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりであります。
セグメント別の業績につきましては、次のとおりであります。
①デジタルデバイス主要製品のDIMM(Dual Inline Memory Module)及びSSD(Solid State Drive)の主要調達部材である半導体メモリー製品のDRAM、NANDにおいては、前期からのDRAM、NANDメーカー減産が続く中にあっても大手サーバー、パソコン、スマートフォン等の需要は本格回復せず半導体メモリー市況価格も下落した状態が続きました。当社顧客におきましてもパソコンメーカーはコロナ禍での巣ごもり特需の反動から販売台数は低調のまま推移し、それ以外の産業系顧客においても在庫調整が継続している状況であります。これらの結果、デジタルデバイスのセグメント売上高は3,860百万円(前年同期比28.1%減)セグメント利益(営業利益)は322百万円(前年同期比32.1%減)となりました。なお、デジタルデバイスの一部を形成する、サンマックス・テクノロジーズ株式会社とジー・ワーカー株式会社は、2023年4月1日付けで合併をし、新生「サンマックス・テクノロジーズ株式会社」として営業を開始しました。
②デジタルエンジニアリングROM書込みサービス事業では、日本サムスン株式会社、株式会社トーメンデバイスと共同で実施する国内大手メーカーに向けたプロジェクトにて前期増設をしたオートハンドラの稼働率が順調に上がりました。これに伴い売上・書込み数量ともに大幅に増加しました。今後の需要拡大に備えた、横浜市にある社屋建て替え工事、ROM書込みに必要なオートハンドラやデバイスプログラマ等の大規模な設備投資につきましては計画通り進捗しております。デバイスプログラマ事業では、車載メーカーへのオートハンドラの納入や、電子機器・車載メーカーへのデバイスプログラマ及び変換アダプタ関連の販売が堅調に推移した一方で、アミューズメント関連メーカーへの販売が減少し、ほぼ前年同期と同様の結果となりました。ディスプレイソリューション事業では、超薄型サイネージ「WiCanvas」は大手GMS、店舗、ショールームなどへの多店舗導入があり堅調に推移しましたが、ATM向けタッチパネルの顧客在庫調整が続いており、前年同期を下回る結果となりました。ソフトウエアやハードウェアの設計・開発を行うエレクトロニクス設計事業では、コロナ禍で控えられていた開発案件が徐々に増加してきております。インテリジェント・ステレオカメラ事業では、引き続き半導体不足による部品調達遅延により、量産に向けたスキーム構築は遅れておりますが、既存企業との事業推進に注力してまいります。これらの結果、デジタルエンジニアリングのセグメント売上高は1,961百万円(前年同期比67.6%増)、セグメント利益(営業利益)は995百万円(前年同期比253.2%増)となりました。
③ICTプロダクツテレワークソリューション事業におきましては、ウィズコロナという新たな社会環境への適応が一層進む中、オフィスワークとリモートワークを選択しながら業務を行うハイブリッドワークが新たなビジネススタイルとして定着し始めたことにより、オフィスにおける据置型会議システム端末をはじめ、Web会議用ライセンス及びウェブカメラ、高性能ヘッドセット等についての販売実績は、引き続き底堅く推移しました。デジタル関連機器事業におきましては、物価上昇などに伴う生活防衛思考の強まりなどが原因のひとつと考えられる需要減退が見られ、販売実績は総じて軟調に推移しました。利益面におきましては、前年同期に円安や原材料コスト高を主因とする調達コスト高騰による苦戦を強いられましたが、当期間では価格改定などの対応により大きく改善しました。前期後半より取り組んだ販管費削減の効果も本格的に発現し、セグメント利益の大幅な改善に大きく寄与しました。これらの結果、ICTプロダクツのセグメント売上高は3,277百万円(前年同期比22.1%減)、セグメント利益(営業利益)は33百万円(前年同期はセグメント損失113百万円)となりました。
④その他その他では、Webサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業、国内外のベンチャー企業や太陽光発電事業等への投資及び財務・金融等に関するコンサルティング事業などの様々な事業を手掛けております。
なお全株式を譲渡したクレイトソリューションズにつきましては2023年6月より連結範囲から除外しております。このことから、セグメント売上高及びセグメント利益は大幅に縮小しております。これらの結果、その他のセグメント売上高は538百万円(前年同期比51.8%減)、セグメント利益(営業利益)は36百万円(前年同期比67.8%減)となりました。
(資産) 流動資産は、前連結会計年度末に比べて8.3%減少し、10,900百万円となりました。これは、現金及び預金が122百万円、電子記録債権が145百万円増加したものの、売掛金が795百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて30.3%増加し、3,245百万円となりました。これは主に、のれんの減少等により無形固定資産が32百万円減少したもの、建設仮勘定の計上等により有形固定資産が561百万円、投資その他の資産の敷金及び保証金が39百万円増加したことなどによるものであります。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて1.6%減少し、14,145百万円となりました。
(負債) 流動負債は、前連結会計年度末に比べて21.2%減少し、6,926百万円となりました。これは、未払法人税等が637百万円増加したものの、短期借入金が1,860百万円減少したことなどによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて29.3%増加し、1,561百万円となりました。これは、長期借入金が350百万円増加したことなどによるものです。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて15.1%減少し、8,488百万円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて29.0%増加し、5,656百万円となりました。これは、当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益を1,295百万円計上したことなどによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前年同期に比べて10.9%増加して3,546百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,242百万円の収入(前年同期は437百万円の収入)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益で1,278百万円、仕入債務の減少額で357百万円それぞれ減少したものの、税金等調整前四半期純利益で1,938百万円、売上債権の減少額で476百万円、棚卸資産の減少額で441百万円それぞれ増加したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、376百万円の収入(前年同期は168百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出で683百万円、投資有価証券の取得による支出で95百万円それぞれ減少したものの、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入で1,228百万円増加したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,620百万円の支出(前年同期は217百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入で600百万円増加したものの、短期借入金の純増減額で1,860百万円減少したことによります。
(3)経営方針・経営戦略等 当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は28百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。