【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間 (2023年4月1日~2023年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行など社会環境の変化に合わせて、個人消費と企業活動に緩やかな回復がありました。世界経済においては、ウクライナ情勢の長期化や、米中対立、欧米を中心とする金利上昇に伴う経済の減速懸念等、不透明さが継続しております。当社グループの主要な市場におきましては、前期までの世界的な半導体不足の緩和は見られたものの、特にPC・サーバー需要の減速に伴う部品調達の調整や製品の在庫調整の動きが継続しております。一方で、eスポーツ・タブレット関連製品等などのデジタル関連機器、企業の設備投資やシステム投資に関連する製品・サービスへの需要は引き続き底堅く推移しております。このような状況のなか、当社は、デジタル分野において他企業との連携やM&Aを進めることでコンソーシアム(共同体)を形成し、これを拡大することでシナジーを創出し企業価値を高めていくことを柱とする「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置付け、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。なお、当社の連結子会社である日本ジョイントソリューションズ株式会社は2023年4月3日、株式会社リバース(以下、「リバース」といいます。)の全株式を取得し、当社の連結子会社化をいたしました。リバースが当社グループに加わることにより、今後成長が期待されるWebサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業において、これまで以上に付加価値の高いサービスや最適なソリューションの提案が可能となり、当社グループの企業価値向上に資するものと見込んでおります。また、当社は2023年6月1日、成長分野へ経営資源を重点的に配分することが当社グループ経営において重要であるとする認識のもと、連結子会社である株式会社クレイトソリューションズ(以下、「クレイトソリューションズ」といいます。)について、当社が保有する全株式を株式会社SHIFTグロース・キャピタルに譲渡いたしました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は4,918百万円(前年同期比18.7%減)となりました。利益につきましては、営業利益は314百万円(前年同期比84.7%増)、経常利益は341百万円(前年同期比31.7%増)、また、クレイトソリューションズの全株式を譲渡したことから関係会社株式売却益1,279百万円を計上したこと、及び、当社の取引先であるFCNT株式会社による民事再生手続き開始申し立てを受け、同社に対する債権について取立不能または取立遅延のおそれが生じたこと、同社から受注した取引に関連する棚卸資産について収益性の低下のおそれが生じたことから特別損失(貸倒引当金繰入額および棚卸資産評価損)259百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は911百万円(前年同期比514.3%増)となりました。なお、当第1四半期連結累計期間より、メーカー等の製品に組み込まれる法人向け製品・部品等の開発・製造・販売を担う「デジタルデバイス」、デジタル分野における技術を基盤とする製品・サービスの開発・製造・販売を担う「デジタルエンジニアリング」、法人・個人に対して最終製品として供給されるデジタルおよびコミュニケーション関連機器および関連サービスの提供を担う「ICTプロダクツ」、および「その他」の4セグメントにおける報告セグメントに変更を行いました。それに伴い前年同期の実績値を変更後のセグメント区分に組み替えて表記しております。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)Ⅱ当第1四半期連結累計期間 3. 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりであります。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
①デジタルデバイス主要製品のDIMM(Dual Inline Memory Module)及びSSD(Solid State Drive)の主要調達部材である半導体メモリー製品のDRAM、NANDにおいては、スマートフォンやPC、サーバーなどを取扱う大手メーカーで引き続き在庫・生産の調整を行っている為、取引価格下落が継続しております。この状況のなか、顧客企業各社での在庫調整含む需要減少から、前年同期を下回る売上となりました。一方で、新規案件の獲得や、利益率の高い自社ブランドであるメモリーモジュール製品での販売が利益確保に寄与しました。これらの結果、デジタルデバイスのセグメント売上高は2,102百万円(前年同期比33.9%減)、セグメント利益は224百万円(前年同期比22.1%減)となりました。なお、デジタルデバイスの一部を形成する、サンマックス・テクノロジーズ株式会社とジー・ワーカー株式会社は、2023年4月1日付けで合併をし、新生「サンマックス・テクノロジーズ株式会社」として営業を開始しました。
②デジタルエンジニアリングROM書込みサービスでは日本サムスン株式会社、株式会社トーメンデバイスと共同で実施する国内大手メーカーに向けたプロジェクトは、前期増設をしたオートハンドラの稼働率も上がり、売上・書込み数量ともに堅調に推移しました。今後の需要拡大に備えた、横浜市にある社屋建て替え工事、ROM書込みに必要なオートハンドラやデバイスプログラマ等の大規模な設備投資につきまして計画通り進捗しております。デバイスプログラマ事業では、デバイスプログラマ及び変換アダプタ関連の販売が堅調に推移し、EMS会社へのオートハンドラの納入などもあり、前年同期を上回る結果となりました。ディスプレイソリューション関連では、超薄型サイネージ「WiCanvas」は大手GMS、店舗、ショールームなどへの多店舗導入があり堅調に推移しましたが、ATM向けタッチパネルの顧客在庫調整があり、前年同期を下回る結果となりました。ソフトウェアやハードウェアの設計・開発を行うエレクトロニクス設計事業では、コロナ禍で控えられていた開発案件が徐々に増加してきております。インテリジェント・ステレオカメラ事業では、引き続き半導体不足による部品調達遅延により、量産に向けたスキーム構築は遅れておりますが、既存企業との事業推進に注力してまいります。これらの結果、デジタルエンジニアリングのセグメント売上高は804百万円(前年同期比65.0%増)、セグメント利益は337百万円(前年同期比342.0%増)となりました。
③ICTプロダクツテレワークソリューション事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行など社会環境の変化に合わせてオフィスへの人の回帰が本格的に進み始めたことにより、オフィスにおける据置型会議システム端末の需要が本格的に回復し、販売実績は堅調に推移しました。また、Web会議用ライセンスおよびWebカメラ、高性能ヘッドセット等については、前期から引き続き堅調な販売実績となりました。デジタル関連機器事業におきましては、例年需要が軟調な時期であるため、際立った引き合い等は見られませんでしたが、eスポーツ関連のヘッドセットやキーボード、PC周辺機器関連ではタブレット端末用ケースなどについては前期から継続して堅調な販売実績となりました。利益面におきましては、前年同期に円安や原材料コスト高を主因とする調達コスト高騰による苦戦を強いられましたが、当期間では価格改定などの対応により大きく改善しました。前期後半より取り組んだ販管費削減の効果も本格的に発現し、セグメント利益の大幅な改善に大きく寄与しました。これらの結果、ICTプロダクツのセグメント売上高は1,706百万円(前年同期比13.5%減)、セグメント利益は1百万円(前年同期は79百万円の損失)となりました。
④その他その他では、Webサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業、国内外のベンチャー企業や太陽光発電事業等への投資及び財務・金融等に関するコンサルティング事業などの様々な事業を手掛けております。なお全株式を譲渡したクレイトソリューションズにつきましては2023年6月より連結範囲から除外しております。これらの結果、その他のセグメント売上高は442百万円(前年同期比21.6%減)、セグメント利益は37百万円(前年同期比36.2%減)となりました。
(資産) 流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.4%増加し、12,051百万円となりました。これは、売掛金が671百万円、商品及び製品が385百万円減少したものの、現金及び預金が1,155百万円増加、営業投資有価証券が105百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて14.7%増加し、2,857百万円となりました。これは主に、有形固定資産その他(純額)が323百万円増加したことによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて3.7%増加し、14,909百万円となりました。
(負債) 流動負債は、前連結会計年度末に比べて9.4%減少し、7,965百万円となりました。これは、未払法人税等が407百万円増加したものの、短期借入金が1,000百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて40.4%増加し、1,695百万円となりました。これは、長期借入金が469百万円増加したこと等によるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて3.4%減少し、9,660百万円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて19.7%増加し、5,248百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益が911百万円計上されたこと等によるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。