【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況 当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における我が国経済は、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大、急激な円安や原材料価格高騰による物価高の影響を受け、引き続き先行き不透明な状況が続いております。また世界経済におきましても、ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレの進行、エネルギー価格の高騰などで一層厳しさを増しております。当社グループの主要な市場におきましては、世界的な半導体不足のために企業における部材確保が進んだ結果、部品調達の調整や製品の在庫消化の動きが広がっています。一方で、PC・タブレット関連製品や液晶ディスプレイ等など個人向けデジタルデバイス関連製品、企業の設備投資やシステム投資に関連する製品・サービスへの需要は引き続き底堅く推移しております。このような状況のもと、当社は、デジタル分野において他企業との連携やM&Aを進めることでコンソーシアム(共同体)を形成し、これを拡大することでシナジーを創出し企業価値を高めていくことを柱とする「デジタルコンソーシアム構想」を成長戦略として位置付け、「デジタルコンソーシアムで未来の社会を創造する」というビジョンを推進しております。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は17,200百万円(前年同期比0.8%減)となりました。利益につきましては営業利益は668百万円(前年同期比39.0%増)、経常利益は775百万円(前年同期比59.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は486百万円(前年同期比22.1%増)となりました。
セグメント別の業績につきましては、次のとおりであります。
①メモリーモジュール事業当第3四半期連結累計期間におきましては、主要製品のDIMM(Dual Inline Memory Module)及びSSD(Solid State Drive)の主要調達部材である半導体メモリー製品のDRAM、NANDの取引価格が、スマートフォンやPC、サーバーなどを取り扱う大手メーカーで、引き続き在庫・生産の調整が進んだことを背景に、取引価格は下落しております。世界的な半導体不足の影響で進んでいた顧客企業各社における部材確保は一服し、主力製品である産業用途向けメモリーモジュール、個人用PC用途向けメモリーモジュールともに、需要は減少傾向にあります。利益率の高い自社ブランドであるメモリーモジュール製品の販売は引き続き安定的に推移しております。これらの結果、メモリーモジュール事業のセグメント売上高は7,516百万円(前年同期比7.8%減)、セグメント利益は673百万円(前年同期比37.3%増)となりました。
②テレワークソリューション事業当第3四半期連結累計期間におきましては、「Webex」「BlueJeans」「Zoom」等のライセンス、ウェブカメラや高機能ヘッドセット等デジタル会議用途向け周辺機器は引き続き堅調に推移しました。またオフィスへの人の回帰が進み始めたことにより、会議室等への据置型デジタル会議専用端末に関するお問い合わせが増加しております。調達する製品の納期遅延も改善されてきており、引き続き販売戦略や営業体制の見直し、販管費の削減等を進めております。これらの結果、テレワークソリューション事業のセグメント売上高は1,479百万円(前年同期比24.2%減)、セグメント損失は73百万円(前年同期はセグメント利益69百万円)となりました。
③デジタルデバイス周辺機器事業eスポーツ関連では、特定顧客におけるセールにおいて堅調に推移しており、引き続き順調な販売実績となりました。スマートフォン・タブレット周辺機器においては、新型iPhoneの販売が想定を下回ったことにより周辺機器の販売が伸び悩んだ一方で、iPadやノートパソコン用ケースについては、民需・官需の取り込みに成功し、堅調に推移しました。また、クラウドファンディングの仕組みを利用した新型イヤフォンの販売など、新たな販売方法の模索も行い、エンドユーザの多様な需要にきめ細かく応える仕組みを強化しました。急激な円安に歯止めがかかったことにより製品調達コストが低下し始め、販売価格の見直しと合わせて、粗利率の改善等を進めました。これらの結果、デジタルデバイス周辺機器事業のセグメント売上高は4,773百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント損失は37百万円(前年同期はセグメント損失93百万円)とりました。
④デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業当第3四半期連結累計期間におきましては、ROM書込みサービスでは日本サムスン株式会社、株式会社トーメンデバイスと共同で実施する国内大手メーカーに向けたプロジェクトは引き続き計画を上回る進捗となりました。今後の需要拡大に備えるため、横浜市にある社屋建て替え工事が開始されたほか、ROM書込みに必要なオートハンドラやデバイスプログラマ等の大規模な設備投資を決定し、更なる事業拡大に向けた準備を進めております。デバイスプログラミング関連では、車載メーカーへのオートハンドラの納入、海外向け変換アダプタ関連の販売が堅調に推移し、計画を上回る結果となりました。ディスプレイソリューション関連では、超薄型サイネージ「WiCanvas」の大手ショッピングモール複数店舗への導入や、非接触赤外線センサー「ディスプレア」の継続的な量産出荷があり、当初の計画を上回って堅調に推移しました。これらの結果、デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業のセグメント売上高は1,446百万円(前年同期比15.9%増)、セグメント利益は418百万円
(前年同期比30.6%増)となりました。
⑤システム開発事業当第3四半期連結累計期間におきましては、引き続き主力ビジネスである技術支援型(人材派遣型)案件において、システム開発市場における旺盛な技術人材ニーズの継続を背景に、主要取引先における技術者の最適・重点配置の進展、技術者のテレワーク比率の高止まり、効率化による諸費用の削減等の要因により、売上高及び営業利益は好調に推移しており、営業利益率も向上しております。また、受託開発案件においても、主要業務であるERP(基幹業務システム)の導入支援・保守案件が現場での生産性向上により順調に推移しており、受託開発の比率を引き上げるべく、新たなERP製品の取扱いに備えた準備も進めております。これらの結果、システム開発事業のセグメント売上高は1,494百万円(前年同期比38.8%増)、セグメント利益は155百万円(前年同期比125.5%増)となりました。
⑥その他事業その他事業では、Webサイトの構築や広告の制作プロデュース及びマーケティングのコンサルティング事業、システム構築や技術者派遣事業、高性能2眼カメラセンサーの開発・推進を行うインテリジェント・ステレオカメラ(ISC)事業、企業の買収等の斡旋や仲介及びこれらに関する財務コンサルティング事業、太陽光発電等の環境エレクトロニクス関連事業、モバイルアクセサリの販売事業、ソフトウェアやハードウェアの設計・開発を行うエレクトロニクス設計事業などの様々な事業を手掛けております。当第3四半期連結累計期間は、エレクトロニクス設計事業において映像伝送装置のスポット案件が業績に大きく寄与しました。ISC事業では、引き続き半導体不足による部品調達遅延の影響で量産型商品の出荷が遅れておりますが、アプリケーションソフト開発を進めるほか、複数の大手企業との実証実験を含めた研究開発に注力してまいります。これらの結果、その他事業のセグメント売上高は938百万円(前年同期比160.3%増)、セグメント利益は91百万円(前年同期はセグメント損失14百万円)となりました。
(資産) 流動資産は、前連結会計年度末に比べて7.5%減少し、11,919百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が816百万円、現金及び預金が297百万円、商品及び製品が106百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて3.4%増加し、2,557百万円となりました。これは主に、敷金及び保証金が114百万円増加したことなどによるものであります。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて5.8%減少し、14,477百万円となりました。
(負債) 流動負債は、前連結会計年度末に比べて9.3%減少し、8,804百万円となりました。これは、短期借入金が200百万円増加しましたが、支払手形及び買掛金が927百万円減少したことなどによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて22.0%減少し、1,324百万円となりました。これは、長期借入金が308百万円減少したことなどによるものです。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて11.2%減少し、10,128百万円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて9.7%増加し、4,348百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金で16百万円、権利未行使による新株予約権の失効などで34百万円、それぞれ減少したものの、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益を486百万円計上したことなどによるものです。
(2)経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。なお、2023年1月26日付にて2023年3月期から2027年3月期末までの5か年計画である「中期経営計画2027」を策定し、①既存事業領域のさらなる拡大、②新規事業領域への投資、③グローバル展開の3つの重点テーマの基で、2022年3月期対比での大幅な増収増益を目指してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は8百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。