【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)概観
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行などにより社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化など地政学的リスクの顕在化に加え、世界的なインフレ進行など、引き続き予断を許さない状況が続いています。
国内エネルギー業界においては、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響を及ぼす原油価格・プロパンCPは、主要先進国の金融引き締めによる経済成長鈍化や中国経済の景気後退懸念から需要が減少し、下落基調で推移しました。また、電力市場においては、LNGなど発電用燃料価格の下落に需要の低下が加わり、卸市場価格は低位で推移しました。さらに、長期的な観点では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から「急速かつ大幅で~即時の温室効果ガスの排出削減が必要」とする第6次評価報告書が2023年3月に採択されるなど、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。
このような環境の中、当社グループは、2027年度の創業100周年に向けて当第1四半期連結会計期間から第三次中期経営計画をスタートさせ、「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」というビジョン達成に向けて、経営基盤の強化を加速させ、成長戦略を進めています。事業面では、既存事業の収益拡大と脱炭素社会の実現に寄与する新規事業創出の両輪で収益性の向上を図っており、EV(電気自動車)のワイヤレス充電技術を有するWiTricity Corporationと日本市場での販売展開に関する基本合意を6月に締結するなど新たな取り組みを進めてきました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績については、石油類と電力の販売数量増加により、売上高は713億93百万円(前年同四半期比0.3%増)となりました。一方、利益面は、主に電力事業において、前連結会計年度に調達した相対電源に対して需要減少を背景に余剰電力が発生し、安値圏で価格推移する卸電力市場での売却を余儀なくされ、一部の取引において調達価格と販売価格が逆転するいわゆる「逆ザヤ」が発生したことで売上総利益が悪化し、営業損失7億18百万円(前年同四半期は営業損失50百万円)、経常損失4億79百万円(前年同四半期は経常利益3億25百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損益については、前連結会計年度に計上した固定資産売却益の剥落により、親会社株主に帰属する四半期純損失3億61百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益16億40百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
[エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)]
売上面は、主力のLPガス・灯油販売における販売数量は前年並みだった一方、電力事業において、取引条件の見直しによる一部顧客の離脱があったことなどに伴い、減収となりました。利益面は、主力のLPガス販売において前連結会計年度行った価格改定の寄与を中心に、増益となりました。なお、第三次中期経営計画で示した顧客数拡大に向けた新たな取り組みとして、BtoC事業のグループ会社間共同プロジェクトを、当第1四半期連結会計期間より開始しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるエネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は152億17百万円(前年同四半期比4.7%減)、営業利益は3億16百万円(前年同四半期は営業損失1億37百万円)となりました。
[エネルギーソリューション事業(BtoB事業)]
売上面は、主力の石油事業において、原油価格の下落に伴う販売単価の低下があった一方、電力事業における大口顧客の獲得などにより、増収となりました。
利益面は、前連結会計年度好調だった石油事業の売上総利益が平年並みの水準に落ち着いたことに加え、前述した電力事業における売上総利益の悪化が影響し、赤字となりました。
なお、前述したWiTricity Corporationとの基本合意締結に加えて、オフサイトコーポレートPPAによる再生可能エネルギー電力の供給合意など、第三次中期経営計画で示した「電力・再生可能エネルギーなど総合エネルギーサービスへのポートフォリオ転換」に向けた取り組みを進めています。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるエネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は509億47百万円(前年同四半期比0.9%増)、営業損失は11億76百万円(前年同四半期は営業利益93百万円)となりました。
[非エネルギー事業]
非エネルギー事業全体としては、自転車事業と建物維持管理事業が好調に推移したことなどにより、増収増益となりました。
事業別の状況は、次のとおりです。
自転車事業(シナネンサイクル株式会社)は、前連結会計年度後半より実施した価格改定の寄与に加えて、新規法人開拓の推進や大手法人向けコンテナ販売が貢献し、増収増益となりました。
シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS株式会社)は、シェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発を推進するとともに、埼玉県蕨市など新たな地方自治体との実証実験を開始しました。2023年6月末現在、ステーション数3,200カ所超、設置自転車数10,000台を超える規模まで拡大した一方、前連結会計年度に計上した一過性収益の剥落があり、増収減益となりました。
環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク株式会社)は、主力の「木くずリサイクル」が前年同四半期比プラスに推移した一方、新たな環境関連事業の開発に向けた取り組みを進めており、全体では前年同四半期並みとなりました。
抗菌事業(株式会社シナネンゼオミック)は、中国の景気低迷に起因する需要減少の影響などにより減収減益となりました。その一方、欧州における新たな販路開拓に向けた取り組みを進めています。
システム事業(株式会社ミノス)は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献などにより、増収増益となりました。また、2028年3月期中のリリースに向けて、次世代システムの開発を引き続き、進めています。
建物維持管理事業の中核となるタカラビルメン株式会社は、集合住宅の建物メンテナンス業務のエリア拡大に加え、斎場・病院など施設運営業務が好調に推移し、増収増益となりました。また、第三次中期経営計画で示した「業務エリアのさらなる拡大」に向けて、新たな拠点開設を準備しています。なお、建物維持管理事業を手掛けるグループ4社は、総合建物メンテナンス会社としてサービス展開を拡大すべく、2023年10月の統合に向けた取り組みを進めています。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における非エネルギー事業の売上高は51億72百万円(前年同四半期比10.9%増)、営業利益は2億70百万円(前年同四半期比121.4%増)となりました。
(2)経営者による財政状態の分析
①流動資産
当第1四半期連結会計期間末における流動資産の残高は455億62百万円となり、前連結会計年度末と比較して131億97百万円減少しました。減少した主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の売上債権が季節要因から118億15百万円減少したこと等によります。
②固定資産
当第1四半期連結会計期間末における固定資産の残高は428億62百万円となり、前連結会計年度末の425億89百万円と比較して大きな変動はありません。
③流動負債
当第1四半期連結会計期間末における流動負債の残高は272億38百万円となり、前連結会計年度末と比較して118億33百万円減少しました。減少した主な要因は、支払手形及び買掛金の買入債務が季節要因から105億47百万円減少したこと等によります。
④固定負債
当第1四半期連結会計期間末における固定負債の残高は85億90百万円となり、前連結会計年度末の86億46百万円と比較して大きな変動はありません。
⑤純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上が3億61百万円、利益剰余金の配当により8億20百万円減少等により、前連結会計年度末と比較して10億35百万円減少したため、525億96百万円となりました。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度末と比較し6.6ポイント増加し、59.5%となりました。
(3)経営者による経営成績の分析
①売上高
当第1四半期連結累計期間及び前第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の売上高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当第1四半期
前年同四半期
増減
エネルギー卸・小売周辺事業
15,217
15,969
△752
エネルギーソリューション事業
50,947
50,501
445
非エネルギー事業
5,172
4,664
508
その他・調整額
56
59
△2
連結合計
71,393
71,194
198
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は152億17百万円(前年同四半期比4.7%の減少)となりました。これは主に、電力事業において取引条件の見直しに伴い一部顧客が減少した影響によります。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は509億47百万円(前年同四半期比0.9%の増加)となりました。これは主に、主力の石油事業において販売単価の下落があった一方、電力事業における大口顧客を獲得したことによります。
非エネルギー事業の売上高は51億72百万円(前年同四半期比10.9%の増加)となりました。これは主に、自転車事業と建物維持管理事業が好調に推移したことによります。
その他・調整額の売上高は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上であり、56百万円(前年同四半期比4.4%の減少)となりました。
②営業利益又は営業損失
当第1四半期連結累計期間及び前第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の営業損益は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当第1四半期
前年同四半期
増減
エネルギー卸・小売周辺事業
316
△137
454
エネルギーソリューション事業
△1,176
93
△1,269
非エネルギー事業
270
122
148
その他・調整額
△129
△127
△1
連結合計
△718
△50
△668
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の営業利益は3億16百万円(前年同四半期は1億37百万円の営業損失)となりました。これは主に、主力のLPガス販売において前連結会計年度に行った価格改定の影響によります。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の営業損失は11億76百万円(前年同四半期は93百万円の営業利益)となりました。これは主に、電力事業において、前連結会計年度に調達した相対電源に対して需要減少を背景に余剰電力が発生し、安値圏で価格推移する卸電力市場での売却を余儀なくされ、一部の取引において調達価格と販売価格が逆転するいわゆる「逆ザヤ」が発生したことで売上総利益が悪化したことによります。
非エネルギー事業の営業利益は2億70百万円(前年同四半期比121.4%の増加)となりました。これは主に、自転車事業において実施した価格改定に加えて、新規法人開拓や大手法人向けコンテナ販売が収益に貢献したことによります。
その他・調整額の営業損益には、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上に加えて、セグメント間取引消去、各報告セグメントに配分されていない全社費用が含まれており、当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1億29百万円の営業損失(前年同四半期は1億27百万円の営業損失)となりました。
③経常損失
当第1四半期連結累計期間の経常損失は、営業外収益にて受取配当金60百万円、為替差益74百万円の計上等があり2億75百万円となったものの、営業損失が7億18百万円であったため、4億79百万円となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純損失
当第1四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、経常損失に特別損益、法人税等を加減し、3億61百万円となりました。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は45百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。