【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から持ち直しの動きが見られたものの、依然として世界的な資源価格の高騰が続いていることに加え、長期化するウクライナ情勢に端を発する地政学的リスクの顕在化や為替相場の急激な変動など引き続き予断を許さない状況が続いています。
国内エネルギー業界においては、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響を及ぼす原油価格・プロパンCPは、夏場以降の世界的なインフレを背景とした景気後退懸念による需要減から、やや下落基調に転じたものの、ロシア産原油の供給を巡る不透明感は根強く、引き続き、高値圏で推移しました。また、電力業界においても、節電要請が夏季と冬季に発出される厳しい需給動向を背景に、12月までは卸電力市場価格が高値圏で推移していたものの、年明け以降は冬季の需要期であるにも関わらず需要が伸び悩んだことからスポット価格が前年比で4割程度低下するなど、見通し難い状況が続きました。さらに、長期的な観点でも、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から「急速かつ大幅で~即時の温室効果ガスの排出削減が必要」とする第6次評価報告書が2023年3月に採択されるなど、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。
このような環境の中、当社グループは、2027年度の創業100周年での飛躍に向けた基盤整備の期間と位置付けた第二次中期経営計画の最終年度を迎えました。第二次中期経営計画期間においては、既存事業の選択と集中、低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進するとともに、シェアサイクル事業など新規事業への戦略投資を実行しました。また、前連結会計年度に引き続き、DX推進に向けたIT関連投資や人財関連投資を計画に沿って加速させてきました。
その結果、当連結会計年度の業績については、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価の上昇により、売上高は3,422億54百万円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。利益面は、主に電力事業において、調達コストが高止まりする中、冬場の需要増加を見越して調達した相対電源価格に対する価格転嫁が遅れたことなどにより、売上総利益が333億36百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。営業利益・経常利益については、売上総利益の減少に加えて、IT関連投資を含む支払手数料や人件費等の増加に伴い販売費及び一般管理費が5億13百万円増加した影響などにより、営業利益8億95百万円(前連結会計年度比63.9%減)、経常利益12億27百万円(前連結会計年度比62.5%減)となりました。また、2020年より取り組んでいる韓国の大型陸上風力発電事業につきましては、建設予定地の都市計画条例改訂により、当初見込んでいた計画及び開発が著しく困難になったと判断し、保有する固定資産の減損処理を行うなど、27億62百万円の特別損失を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益については、4億78百万円(前連結会計年度比80.8%減)と大幅減益となりました。
セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。
[エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)]
売上面は、主力の「LPガス・灯油販売」で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇し、増収となりました。
利益面は、住設機器等の増販があった一方、電力販売において調達コスト上昇の影響を受け売上総利益が大幅に悪化し、減益となりました。
なお、新たな収益源確保に向けた取り組みとして、当連結会計年度より、東北エリアにおいて集合住宅向け建物維持管理に関する事業を開始するとともに、関東エリアにおいても不動産の売買・管理等を行う不動産事業を開始しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は814億19百万円(前連結会計年度比11.3%増)、営業利益は1億50百万円(前連結会計年度比85.5%減)となりました。
[エネルギーソリューション事業(BtoB事業)]
売上面は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇し、増収となりました。
利益面は、船舶燃料部門における長期契約案件の獲得に加えて、軽油の販売機能を強化したオイルスクエアでの拡販を中心に石油類で売上総利益が増加した一方、BtoC事業と同様に調達コスト上昇の影響を受けた電力事業における売上総利益の悪化が大きく影響し、赤字となりました。
なお、韓国における大型陸上風力発電事業は、当初見込んでいた計画及び開発が著しく困難になったと判断し、株式の売却可能性を含め関係各所との折衝を進めています。
以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は2,412億51百万円(前連結会計年度比22.0%増)、営業損失は3億46百万円(前連結会計年度は営業利益5億73百万円)となりました。
[非エネルギー事業]
非エネルギー事業全体としては、抗菌事業の需要一服があった一方、シェアサイクル事業・システム事業が好調に推移したことなどにより、増収増益となりました。
事業別の状況は、次のとおりです。
自転車事業(シナネンサイクル株式会社)は、世界的な部品不足の解消を背景に、海外輸送費や原材料価格の高騰に対応した価格改定の実施に加えて、新規法人開拓を推進したことで、増収増益となりました。
シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS株式会社)は、収益性の高いターゲットエリアを中心にシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発を推進するとともに、新たな地方自治体との実証実験を開始し、2023年3月末現在、ステーション数は3,100カ所超、設置自転車数は10,000台を超える規模まで拡大しました。利用データを活用した運営効率化も進め、昨年4月に行った価格改定の効果も相まって、設立以来初の通期黒字を達成しました。
環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク株式会社)は、主力の「木くずリサイクル」において、新設住宅着工戸数の伸び悩みによる建築系廃棄物の発生量減少が影響し、減収減益となりました。
抗菌事業(株式会社シナネンゼオミック)は、新型コロナウイルス感染症拡大による抗菌需要が一服した影響により減収減益となりました。なお、新たな成長戦略として、中国・台湾市場での拡販や「吸着剤」の事業拡大に向けた取り組みを進めています。
システム事業(株式会社ミノス)は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS※)が伸長しており、顧客管理軒数も870万軒を超える規模まで拡大し、好調に推移しました。また当連結会計年度より、2028年3月期中のリリースに向けて、次世代システムの開発をスタートさせています。
建物維持管理事業の中核となるタカラビルメン株式会社は、マンション・斎場など定期管理業務の安定的な貢献に加えて集合住宅の運営管理業務のエリア拡大が順調に進み、増収増益となりました。また、新たに公営斎場の運営を受託するなど、翌連結会計年度の安定収益確保に向けた成果も表れています。なお、建物維持管理事業を手掛けるグループ4社については、昨年10月よりグループシナジーやスケールメリットを求めた統合への取り組みを本格稼働させていますが、2023年10月をもって統合し、総合建物メンテナンス会社としてサービス展開を進めていく予定です。
以上の結果、当連結会計年度における非エネルギーの売上高は193億54百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益は8億56百万円(前連結会計年度比324.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの名称を「非エネルギー及び海外事業」から「非エネルギー事業」に変更しています。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
※ CISとは、Customer Information Systemの略で、顧客情報の管理から契約形態に合わせた料金計算、請求までの業務を一括で管理できるシステムのこと。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、99億27百万円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は、3億89百万円(前連結会計年度は11億33百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が17億89百万円、減価償却費27億14百万円、減損損失25億43百万円、投資有価証券売却益9億68百万円、固定資産売却益23億54百万円、売上債権の減少23億36百万円及び仕入債務の減少51億69百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は、6億98百万円(前連結会計年度は21億54百万円の収入)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入23億40百万円、投資有価証券の取得による支出13億2百万円、固定資産の売却による収入24億36百万円及び固定資産の取得による支出40億96百万円等によるものです
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果得られた資金は、4億35百万円(前連結会計年度は31億20百万円の支出)となりました。この主な要因は、短期借入金の増加額21億85百万円、長期借入金の返済による支出6億64百万円及び配当金の支払額8億18百万円等によるものです。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
自己資本比率(%)
53.1
52.9
51.2
52.9
時価ベースの自己資本比率(%)
31.4
34.2
34.3
34.6
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
18.2
0.7
3.4
13.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
5.1
65.4
12.3
4.6
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しています。
c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、利払いは同計算書の利息の支払額を使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの合計額を対象としています。
③ 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称
販売高
前年同期比増減率(%)
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)
81,419
11.3
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)
241,251
22.0
非エネルギー事業
19,354
6.9
その他・調整額
228
△38.9
連結合計
342,254
18.3
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 概観
当社では、2014年8月に経済産業省より公表されたいわゆる「伊藤レポート」を契機に、資本効率を意識した企業価値経営への転換を図っており、長期的な株主価値の向上に資するべきと考えています。そこで、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上では、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置付け、2023年4月からスタートした第三次中期経営計画においてもROE8.0%以上を財務目標として掲げています。
ROE向上に向けては、ROEの構成要素のうち、収益性と効率性の改善を優先的に取り組むこととしています。第三次中期経営計画においても、「資本効率の改善」を成長戦略の1つとして掲げており、建物維持管理事業の統合を皮切りに既存事業の選択と集中を踏まえたグループ内再編を推進し効率性の改善を図るとともに、主力事業におけるエリア効率性の向上を促進し、収益性の向上を図っていきます。
ROEの構成要素に関する目標値は下記のとおりです。なお、比較基準年は、第一次中期経営計画前年度の2016年度としています。
ROEを持続的に向上させるためには、現在の事業構造から脱却し、新規事業をはじめ収益率の高い事業を伸ばすことで、新たな事業構造を作り上げていく必要があると考えています。当社グループは、引き続き、財務レバレッジに過度に依存することなく、収益性・効率性の改善に取り組み、ROE8.0%以上を持続的に生み出す事業構造を確立していきます。
② 経営者による財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は587億60百万円となり、前連結会計年度末と比較して30億37百万円減少しました。
減少した主な要因は、受取手形及び売掛金の売上債権が23億52百万円減少したこと等によるものです。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は425億89百万円となり、前連結会計年度末と比較して5億20百万円減少しました。
減少した主な要因は、韓国の大型陸上風力発電事業に係る固定資産の減損処理をしたことによるものです。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は390億71百万円となり、前連結会計年度末と比較して33億5百万円減少しました。
減少した主な要因は、短期借入金の増加が19億85百万円あった一方で、支払手形及び買掛金が51億57百万円減少したこと等によるものです。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は86億46百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億97百万円増加いたしました。
増加した主な要因は、長期借入金が4億49百万円減少した一方で、繰延税金負債が7億35百万円、長期預り保証金が3億2百万円増加したこと等によるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上が4億78百万円あったものの、利益剰余金の配当による減少8億17百万円等により536億31百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億49百万円の減少となりました。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して1.7ポイント増加し、52.9%となりました。
③ 経営者による経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高3,422億54百万円(前連結会計年度比18.3%増)、営業利益8億95百万円(前連結会計年度比63.9%減)、経常利益12億27百万円(前連結会計年度比62.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億78百万円(前連結会計年度比80.8%減)となりました。
売上高
当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の売上高及びその増減は以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)
73,152
81,419
8,267
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)
197,715
241,251
43,535
非エネルギー事業
18,097
19,354
1,257
その他・調整額
374
228
△145
連結合計
289,340
342,254
52,914
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は、主力の「LPガス・灯油販売」で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したことにより、814億19百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したことにより、2,412億51百万円(前連結会計年度比22.0%増)となりました。
非エネルギー事業の売上高は、シェアサイクル事業におけるユーザー数や利用回数の順調な増加と価格改定による単価の向上に加えて、集合住宅の運営管理業務のエリア拡大が順調に進んだタカラビルメン株式会社をはじめとする建物維持管理事業が好調であったことなどにより、193億54百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
その他・調整額の売上高は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上であり、前連結会計年度に譲渡した埼玉県川口市の固定資産に関する賃貸収入の減少などにより、2億28百万円(前連結会計年度比38.9%減)となりました。
売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は333億36百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。これは主に、主力の石油類・ガス又は電気の仕入値の高騰が影響したことによります。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は324億40百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。これは主に、従業員数増加等により人件費が増加したことに加え、IT関連投資等に係る支払手数料が増加したことによります。
営業利益
当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の営業利益又は営業損失(△)及びその増減は以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)
1,039
150
△888
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)
573
△346
△919
非エネルギー事業
201
856
654
その他・調整額
665
235
△430
連結合計
2,480
895
△1,584
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の営業利益は、電力販売において調達コスト上昇の影響を受け売上総利益が大幅に悪化したことにより、1億50百万円(前連結会計年度比85.5%減)となりました。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の営業損益は、BtoC事業と同様に調達コスト上昇の影響を受けた電力事業における売上総利益の悪化が大きく影響し、3億46百万円の営業損失(前連結会計年度は5億73百万円の営業利益)となりました。
非エネルギー事業の営業利益は、拠点拡大と運営効率化を進めたシェアサイクル事業が黒字転換したことに加えて、価格改定や新規法人開拓を進めた自転車事業と顧客管理件数が増進したシステム事業が利益貢献し、8億56百万円(前連結会計年度比324.9%増)となりました。
その他・調整額の営業利益は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上に加えて、セグメント間消去取引、各報告セグメントに配分されていない全社費用が含まれていますが、上述の売上高の減少に加えて、当連結会計年度の重点施策として掲げているIT関連投資に係る支払手数料や人件費の増加などにより、2億35百万円(前連結会計年度比64.7%減)となりました。
営業外収益及び営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は7億68百万円(前連結会計年度比21.1%減)となりました。これは主に、保険返戻金の減少によります。
また、当連結会計年度の営業外費用は4億36百万円(前連結会計年度比139.1%増)となりました。これは主に、持分法による投資損失の増加によります。
経常利益
上記の結果、当連結会計年度の経常利益は12億27百万円(前連結会計年度比62.5%減)となりました。
特別利益及び特別損失
当連結会計年度の特別利益は、33億24百万円(前連結会計年度比48.1%増)となりました。これは主に、当社が保有する東品川の土地売却等により固定資産売却益を23億56百万円、政策保有株式の売却により投資有価証券売却益を9億68百万円計上したことによります。
また、当連結会計年度の特別損失は27億62百万円(前連結会計年度比161.9%増)となりました。これは主に、韓国の大型陸上風力発電等に係る固定資産の減損損失を25億43百万円計上したことによります。
税金等調整前当期純利益
上記の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は17億89百万(前連結会計年度比59.9%減)となりました。
法人税等
当連結会計年度の法人税等は20億46百万円で、前連結会計年度の19億91百万円とほぼ同額となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4億78百万円(前連結会計年度比80.8%減)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
ⅱ 資金需要
当社グループでは、今後、第三次中期経営計画に掲げる「脱炭素社会に対応した事業構造への転換」のため、再生可能エネルギーや廃棄物再資源化等の新規事業開発、M&Aや営業権の買収のための投資など、継続的な資金需要が見込まれています。それらを実行するための資金調達にあたりましては、社債の発行、新たな借入金、自己株式の活用等の状況に応じて多様な資金調達ができるよう体制を整えています。
ⅲ 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、当社及び一部を除く連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。借入による資金調達に関しては、一時的な不足資金は、金融機関からの短期借入を行っています。また長期的な資金の需要に対しては必要に応じて金融機関からの長期借入等を行っています。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、軽微にとどまりました。会計上の見積りを行うに際し、同感染症拡大が今後の見通しに与える影響について検討した結果、当社グループの主力事業は、生活に必要なエネルギーの供給事業のため消費量が大きく変動することが少なく、グループ全体としての影響は引き続き限定的であり、見積りに重要な影響を与える変動は見込んでいません。
繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を勘案し回収不能見込額を計上しています。
取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。