【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)概観
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から持ち直しの動きが見られた一方、ウクライナ情勢の長期化など地政学的リスクに加え、世界的な原材料および資源価格の高騰、急激な円安の進行などにより、景気の先行きは予断を許さない状況が依然として続いています。
国内エネルギー業界においては、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響を及ぼす原油価格・プロパンCPにつき、主要先進国の金融引き締めによる景気後退懸念から下落基調に転換したものの、ロシア産原油の供給を巡る不透明感は根強く、急激な円安進行もあいまって、円換算では高値圏で推移しています。また、電力においても、6月に電力ひっ迫注意報が発令、7月には政府から節電要請が出されるなど、電力需給のひっ迫に伴う卸電力市場価格の高騰が続き、電力事業の拡大を目指す当社にとってリスクとなっています。さらに、長期的な観点でも、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた第6次エネルギー基本計画が昨年10月に閣議決定されるなど、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。
このような環境の中、当社グループは、「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking ~大胆な発想で新しい世界への挑戦~」をスローガンとした第二次中期経営計画の最終年度を迎えました。本中期経営計画においては、既存事業の選択と集中、低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進するとともに、シェアサイクル事業や再生可能エネルギー事業など新規事業への戦略投資を実行し、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備を進めています。また、前期に引き続き、DX推進に向けたIT関連投資や人財関連投資を加速させています。
当第2四半期連結累計期間の業績については、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価の上昇により、売上高は1,397億40百万円(前年同四半期比39.0%増)となりました。
利益面は、LPガスや電力の売上総利益の悪化があった一方、石油類で差益を確保し、売上総利益は150億11百万円(前年同四半期比0.5%増)となりました。その一方、IT関連投資を含む支払手数料や人件費等の増加に伴い販売費及び一般管理費が8億55百万円増加した影響により、営業損失8億20百万円(前年同四半期は営業損失42百万円)、経常損失4億25百万円(前年同四半期は経常利益3億23百万円)となりました。
また、親会社株主に帰属する四半期純利益については、第1四半期連結会計期間に東京都品川区の固定資産売却益21億円を特別利益として計上いたしました。また、当第2四半期連結会計期間に、保有する韓国の大型陸上風力発電事業に関連する株式を再評価した結果、当該事業に係るのれん残高4億26百万円を一括償却し、特別損失に計上したことなどにより、親会社株主に帰属する四半期純利益8億52百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益72百万円)となりました。
セグメント毎の取り組み状況は次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、従来「非エネルギー及び海外事業」としていた報告セグメントの名称を「非エネルギー事業」に変更しています。詳細は、「第4 経理の状況 2 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「3.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください
[エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)]
売上面は、主力の「LPガス・灯油販売」で平均気温が平年と比較して高くなったことで販売数量が低調に推移した一方で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が上昇したことにより、増収となりました。
利益面は、住設機器等の増販があった一方、LPガスや電力の総利益悪化が影響し、赤字幅が拡大しました。
なお、グループシナジーを活かした新たな収益源確保に向けた取り組みとして、第1四半期連結会計期間より、東北エリアにおいて集合住宅向け建物維持管理に関する事業を開始しました。
[エネルギーソリューション事業(BtoB事業)]
売上面は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇しました。また、軽油の販売機能を強化したオイルスクエアを中心に石油類の販売などが好調に推移したことにより、販売数量も前年同期を上回り、増収となりました。
利益面は、電力販売において調達コストの大幅な上昇の影響を受けていますが、将来の市況回復を見据えた価格改定を進めています。また、石油事業において原油市況の変動に対応した仕入施策により差益を確保したことに加え、船舶燃料部門における東アジアの需要が日本に集まる中、長期契約案件の獲得に成功し、全体としては、前期比でプラスに推移しました。
[非エネルギー事業]
全体としては、抗菌事業の需要一服と建物維持管理事業で発生した大型案件のずれ込みなどがあった一方、シェアサイクル事業が好調に推移したことなどにより、増収増益となりました。
事業別の状況は、次のとおりです。
自転車事業(シナネンサイクル株式会社)は、海外輸送費や原材料価格の高騰などに対応した価格改定を実施したものの、想定以上の環境変化により、減益となりました。
シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS株式会社)は、神奈川県川崎市での本格運用を開始するなど収益性の高いターゲットエリアを中心にシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発を推進しました。2022年9月末現在、ステーション数は2,900カ所超、設置自転車数は10,000台を超える規模まで拡大いたしました。また、第1四半期連結会計期間より、岩手県で「利用者限定シェアサイクル」サービスを開始するなど地域の課題に応じたサービス導入も推進しています。利用データを活用した運営効率化も進めており、本年4月に行った価格改定の効果も相まって、事業全体として好調に推移しました。
環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク株式会社)は、主力の「木くずリサイクル」において、いわゆる「ウッドショック」に起因する建築系廃材減少の影響を受ける中、木質チップの需給変動がプラスに作用し取引高は概ね好調に推移しました。また、金属スクラップ取引などその他事業も好調に推移し、収益に貢献しました。
抗菌事業(株式会社シナネンゼオミック)は、新型コロナウイルス感染症拡大による抗菌需要が一服した影響により減益となりました。なお、新たな成長戦略として、「吸着剤」の事業拡大や中国市場での拡販に向けた取り組みを進めています。
システム事業(株式会社ミノス)は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が伸長し、好調に推移しました。また、当期より、2028年3月期中のリリースに向けて、次世代システムの開発をスタートさせています。
建物維持管理事業の中核となるタカラビルメン株式会社は、マンション・斎場など定期管理業務の安定的な貢献に加えて集合住宅の運営管理業務のエリア拡大が順調に進みました。また、マンション共用部の清掃業務も好調に推移し、増収となりました。一方、利益面は、当期より受託開始した大型物件の立上げに伴う経費が先行して発生し、減益となりました。建物維持管理事業を手掛けるグループ4社については、グループシナジーやスケールメリットを求め来期に向けた統合への取り組みを進めており、本年10月より統合推進室を本格稼働させています。
(2)経営者による財政状態の分析
①流動資産
当第2四半期連結会計期間末における流動資産の残高は475億21百万円となり、前連結会計年度末と比較して142億76百万円減少いたしました。減少した主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の売上債権が季節要因から126億9百万円減少したこと等によります。
②固定資産
当第2四半期連結会計期間末における固定資産の残高は450億8百万円となり、前連結会計年度末と比較して18億97百万円増加しました。増加した主な要因は、東品川の新社屋ビルに係る建設仮勘定が10億98百万円増加したこと等によります。
③流動負債
当第2四半期連結会計期間末における流動負債の残高は295億45百万円となり、前連結会計年度末と比較して128億32百万円減少いたしました。減少した主な要因は、支払手形及び買掛金の買入債務が季節要因から130億94百万円減少したこと等によります。
④固定負債
当第2四半期連結会計期間末における固定負債の残高は82億20百万円となり、前連結会計年度末の81億49百万円と比較して大きな変動はありません。
⑤純資産
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、利益剰余金の配当により8億17百万円減少し、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上が8億52百万円、その他有価証券評価差額金が1億83百万円増加したこと等により、前期末と比較して3億82百万円増加したため、547億64百万円となりました。
以上により、自己資本比率は前期末と比較し7.4ポイント増加し、58.6%となりました。
(3)経営者による経営成績の分析
①売上高
当第2四半期連結累計期間及び前第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の売上高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当第2四半期
前年同四半期
増減
エネルギー卸・小売周辺事業
30,407
25,785
4,622
エネルギーソリューション事業
99,912
65,570
34,342
非エネルギー事業
9,303
8,969
333
その他・調整額
117
193
△76
連結合計
139,740
100,518
39,222
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は304億7百万円(前年同四半期比17.9%増加)となりました。これは主に、主力の「LPガス・灯油販売」において、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が上昇したことによります。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は999億12百万円(前年同四半期比52.4%増加)となりました。これは主に、主力の石油事業において、BtoC事業と同様に原油価格などの高騰に伴い販売単価が上昇したことによります。
非エネルギー事業の売上高は93億3百万円(前年同四半期比3.7%増加)となりました。これは主に、抗菌事業における需要一服の影響があった一方、シェアサイクル事業におけるステーション数の順調な増加に加え、集合住宅の運営管理業務のエリア拡大を進めたタカラビルメン株式会社など建物維持管理事業が好調であったことによります。
その他・調整額の売上高は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上であり、1億17百万円(前年同四半期比39.4%減少)となりました。これは主に、前連結会計年度に譲渡した埼玉県川口市の固定資産に関する賃貸収入の減少によります。
②営業利益
当第2四半期連結累計期間及び前第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の営業損益は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当第2四半期
前年同四半期
増減
エネルギー卸・小売周辺事業
△836
△238
△597
エネルギーソリューション事業
△169
△202
32
非エネルギー事業
342
274
67
その他・調整額
△156
123
△280
連結合計
△820
△42
△778
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の営業損失は8億36百万円(前年同四半期は2億38百万円の営業損失)となりました。これは主に、LPガスや電力の総利益悪化の影響に加えて、人件費を中心とした販管費の増加によります。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の営業損失は1億69百万円(前年同期は2億2百万円の営業損失)となりました。赤字幅が縮小した主な要因は、電力販売において調達コスト上昇の影響があった一方、石油事業において、原油市況の変動に対応した仕入施策が奏功したことに加え、船舶燃料部門にて長期契約案件の獲得により売上総利益が増加したことによります。
非エネルギー事業の営業利益は3億42百万円(前年同四半期比24.6%増加)となりました。これは主に、抗菌事業における需要一服の影響に加え、建物維持管理事業において当期より受託開始した大型物件の立上げに伴う一時的な経費の発生があった一方、シェアサイクル事業で拠点拡大と運営効率化が進み収益に貢献したことなどによります。
その他・調整額の営業損益には、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上に加えて、セグメント間取引消去、各報告セグメントに配分されていない全社費用が含まれています。当第2四半期連結累計期間の営業損失は、上述の売上高の減少に加えて、当連結会計年度の重点施策として掲げているIT関連投資に係る支払手数料や人件費の増加などにより、営業損失1億56百万円(前年同期は1億23百万円の営業利益)となりました。
③経常利益
当第2四半期連結累計期間の経常損失は、営業外収益にて受取配当金1億10百万円、為替差益1億27百万円の計上等があり4億83百万円となったものの、営業損失が8億20百万円であったため、4億25百万円となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は、東品川の土地の譲渡等、固定資産売却益を23億50百万円計上した一方、のれん償却額4億26百万円計上したこと等により、8億52百万円となりました。
(4)経営者によるキャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物は、60億2百万円(前年同四半期比30.3%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間において、営業活動の結果使用した資金は、29億87百万円(前年同四半期は5億55百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前四半期純利益が14億79百万円、固定資産売却益が23億50百万円、売上債権の減少が126億4百万円、棚卸資産の増加が14億28百万円及び仕入債務の減少が130億94百万円等によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間において、投資活動の結果使用した資金は、2億16百万円(前年同四半期は5億63百万円の支出)となりました。この主な要因は、投資有価証券の取得による支出7億99百万円、固定資産の売却による収入24億23百万円及び固定資産の取得による支出20億7百万円等によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間において、財務活動の結果使用した資金は、6億82百万円(前年同四半期は11億73百万円の支出)となりました。この主な要因は、短期借入金の収入5億円、長期借入金の返済による支出2億33百万円及び配当金の支払額8億17百万円等によるものです。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」について重要な変更はありません。
(6)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、83百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。