【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当社は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。以下の経営成績の概況は、2021年12月期の遡及修正後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っておりますが、遡及修正後の数値は未監査となっております。
当社は表現活動を支援するための様々なウェブサービス及びスマートフォンアプリを提供しています。
当連結会計年度は、レンタルサーバーサービス「ロリポップ!」が価格改定の効果により堅調に推移しました。一方で、リオープニングに伴うオフライン消費の回復など消費動向の変化による影響を受け、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」、国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」の流通額が前年を下回りました。また、金融支援事業では「FREENANCE」の請求書買取額が大幅に増加いたしました。利益面では、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」において、テレビCMなどへの投資を実施したことから、プロモーション費用が増加しました。その結果、当連結会計年度における業績は、売上高10,531,259千円(前期比6.7%増)、営業利益732,303千円(前期比16.5%減)、経常利益767,173千円(前期比19.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益510,092千円(前期比27.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ホスティング事業) ホスティング事業には、個人からビジネスまで幅広い用途にご利用頂けるレンタルサーバーサービス「ロリポップ!」及びドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」等が属しております。 「ロリポップ!」におきましては、ブログ収益化・副業スタートパックの提供やドメインとの連携強化による上位プランの契約獲得に注力していることから、他プランからの契約乗り換えや、低単価プランの解約が増加し、契約件数は422,596件(前期末比0.8%減)となりました。一方で、価格改定の効果や上位プランの契約比率が高まったことから、顧客単価は449円(前期比12.8%増)となりました。 「ムームードメイン」におきましては、ドメイン更新率の向上により顧客単価が上昇したほか、主要ドメインの新規取得割引や各種キャンペーンを実施したことから、登録ドメイン数は1,186,748件(前期末比1.3%増)となりました。 以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は5,153,431千円(前期比8.3%増)、 セグメント利益は1,729,952千円(前期比18.5%増)となりました。
(EC支援事業) EC支援事業には、月額制ネットショップ作成サービス国内店舗数No.1の「カラーミーショップ」及びオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」等が属しております。 「カラーミーショップ」におきましては、全国の優れたネットショップを表彰するコンテスト「カラーミーショップ大賞 2022」を3年ぶりに実会場で開催したほか、無料で海外販売を始められる「Buyee Connect for カラーミーショップ」などのアプリストア強化を実施いたしました。 契約件数は、初期費用無料・月額利用料無料でネットショップを開設できるフリープランの利用が増加したことから50,663件(前期末比9.3%増)となりました。 「SUZURI」におきましては、サービス初となるアクリルキーホルダーや拡大するペット産業市場に参入するためドッグTシャツなどの新規アイテムの取り扱いを開始し、登録会員数は135万人(前期末比27.5%増)となりました。一方で、消費動向の変化による影響を受け、当連結会計年度における流通金額は26億円(前期比16.3%減)となりました。 以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は3,130,675千円(前期比2.2%減)、セグメント利益は823,597千円(前期比26.5%減)となりました。
(ハンドメイド事業) ハンドメイド事業には、国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」が属しております。 「minne」では、新カテゴリーとなる「アンティーク・ヴィンテージ」アイテムの取り扱いを開始したほか、「HandmadeMAKERS’ with minne byGMOペパボ」へのブース出展やハンドメイド作品コンテストを藤久株式会社と共同開催するなどリアルイベントを強化し、作家・ブランド数は85万人(前期末比6.4%増)となりました。 利用者の購入を促進するためのキャンペーン等の販促強化を実施したものの、消費動向の変化による影響を受け、当連結会計年度における流通金額は150億円(前期比0.5%減)となりました。 以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は1,650,561千円(前期比1.2%減)、セグメント利益は82,208千円(前期比63.5%減)となりました。
(金融支援事業)金融支援事業には、連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するフリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」が属しております。「FREENANCE」におきましては、運送会社を中心に提携企業数が増加し、3者間取引による利用が拡大したことから、請求書買取額は86億円(前期比207.3%増)と大幅に増加いたしました。以上の結果、セグメント売上高は593,839千円(前期比180.6%増)、セグメント損失は26,245千円(前期におけるセグメント損失は139,813千円)となりました。
(その他) その他には、習い事やチーム・教室運営における連絡や集金をクラウド上で一元管理できるサービス「GMOレンシュ」が属しており、正式版のサービス提供を開始しました。連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するWebコンテンツ制作事業及び当社が運営するブログサービス「JUGEM」が属しておりましたが、2021年12月期にそれぞれ事業譲渡いたしました。以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,751千円(前期比91.7%減)、セグメント損失は42,592千円(前期におけるセグメント損失は12,717千円)となりました。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は9,311,478千円(前連結会計年度末比2,367,680千円増)となりました。これは、主に関係会社預け金が200,000千円減少した一方で、未収入金が1,470,655千円及び収益認識会計基準等の適用により前払費用が1,193,992千円増加したことによるものです。(固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は2,124,468千円(同198,044千円増)となりました。これは、主にリース資産が180,216千円増加及び工具、器具及び備品が35,867千円増加したことによるものであります。(流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は8,438,890千円(同2,744,734千円増)となりました。これは、主に、短期借入金が1,200,000千円及び収益認識会計基準等の適用により契約負債(前連結会計年度末は前受金)が1,626,680千円増加したことによるものであります。(固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は308,004千円(同85,175千円増)となりました。これは、主に繰延税金負債が61,777千円減少した一方で、リース債務が146,890千円増加したことによるものであります。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は2,689,052千円(同264,185千円減)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴い利益剰余金が510,092千円増加した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が360,874千円、その他有価証券評価差額金が167,265千円、自己株式の取得により自己株式が60,107千円及び収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の期首残高150,479千円が減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11,265千円減少し、3,609,397千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動の結果支出した資金は213,395千円となりました。これは、主に未収入金の増加額1,471,263千円及び法人税等の支払額292,370千円による減少の一方で、税金等調整前当期純利益771,423千円及び契約負債の増加額404,907千円による増加の結果であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は510,150千円となりました。これは、主に投資事業組合からの分配による収入50,505千円による増加の一方で、無形固定資産の取得による支出326,164千円及び有形固定資産の取得による支出169,322千円による減少の結果であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は712,280千円となりました。これは、主に配当金の支払額360,715千円による減少の一方で、短期借入れによる収入1,200,000千円による増加の結果であります。③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当社グループは、インターネットを利用したホスティング事業、EC支援事業、ハンドメイド事業、金融支援事業に加えて、その他の事業の提供を行っており、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績当社グループでは、概ね受注から役務提供開始までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
販売高(千円)
前期比(%)
ホスティング事業
5,153,431
+7.2
EC支援事業
3,130,675
△35.8
ハンドメイド事業
1,650,561
△15.5
金融支援事業
593,839
+179.1
その他
2,751
△91.7
合計
10,531,259
△11.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財務状態の分析当連結会計年度末の財政状態は、流動資産9,311,478千円、固定資産2,124,468千円、流動負債8,438,890千円、固定負債308,004千円、純資産2,689,052千円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。b. 経営成績の分析当連結会計年度における売上高は、リオープニングに伴うオフライン消費の回復など消費動向の変化による影響を受け、「SUZURI」、「minne」のようなフロー型ビジネスにおいて、流通額が目標を下回ったものの、「ロリポップ!」、「カラーミーショップ」などのストック型ビジネスが堅調に推移したことや、金融支援事業の「FREENANCE」の請求書買取額が大幅に増加したことから、10,531,259千円となりました。売上原価は、ムームードメインのドメイン登録手数料等の支払手数料が2,995,619千円になったこと、従業員の増加や待遇改善に伴う人件費(賃金・法定福利費・退職給付費用)が658,163千円となったこと等により、4,454,892千円となりました。販売費及び一般管理費については、従業員の増加や待遇改善に伴う人件費(給料手当・賞与・賞与引当金繰入額・法定福利費・退職給付費用)が1,956,671千円、好調のEC関連サービスを中心としたプロモーションコスト(広告宣伝費及び販売促進費)が1,321,376千円、サービス利用料金回収代行業者への支払手数料等が734,578千円になったこと等により、5,344,063千円となりました。また、営業外収益は、また、営業外収益は、投資事業組合運用益が18,969千円であったこと等により、54,619千円となりました。営業外費用は、投資事業組合運用損が12,307千円であったこと等により、19,750千円となりました。そして、特別利益は、新株予約権戻入益が10,250千円となりました。これに法人税、住民税及び事業税223,704千円及び法人税等調整額60,767千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は510,092千円となりました。c. キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,609,397千円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」において記載しております。当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。当社グループは、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るために、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、既存サービスのブランド力、顧客基盤や運営ノウハウとのシナジーが見込める業務提携、M&A等を積極的に取り組んでいく方針であります。 そのため、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及びM&Aになります。また、当社グループの資金の源泉は、主として、営業活動によるキャッシュ・フローによるものです。なお、新規サービスの急拡大やM&Aなどにより、資金が必要となった場合には銀行借入に加え、親会社GMOインターネットグループ株式会社のCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)からの調達など、資金調達の多様化を図っております。d. 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループ経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループの経営環境をとりまく諸要素に鑑みますと、ホスティング、EC支援及びハンドメイドの事業領域における市場環境は消費動向の変化による影響を受けているものの、いまだ活況であり、今後も新規参入及び価格競争激化の可能性がございます。また、金融支援事業におきましても、引き続きフリーランスを中心とした経済規模の拡大が期待されます。当社グループといたしましては、高付加価値のサービスを提供し続ける企業として、市場での確固たるポジションを確立するために、経営効率の向上と適切な経営判断に努めてまいります。e. 事業等のリスクに記載した重要事項等の分析及び検討内容並びに対応策当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性がありますが、当社グループは、当該状況を解消及び改善すべく、以下のとおり対応してまいります。創業時より当社はホスティング事業への依存度が高くなっておりますが、近年は、EC支援事業及びハンドメイド事業領域において、集客力の強化と流通額の拡大に注力しております。また、連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するフリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」が属しております金融支援事業が新たな事業として成長しております。技術革新の分野においては、WEBアプリケーションのみならず、モバイルアプリケーション分野の技術力を向上させるための活動への支援や、開発体制の強化による継続的な運用が可能な体制づくりを行っております。また、システムトラブルへの対策については、サーバー再構築や恒常的な構成改善によってシステムトラブル発生の軽減に努めており、引き続きサービスの安定的な提供のための対策を進めてまいります。
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