【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響はなくなりつつあるもののロシア・ウクライナ情勢の長期化、加えて原材料の価格高騰により消費マインドが鈍化したため、依然として不安定な状況が続く結果となりました。当社グループの不動産・建設事業においては、「こどもみらい住宅支援事業」の実施や「こどもエコすまい支援事業」の開始などの政府による支援に支えられる中、顧客ニーズを徹底的に追求し、営業活動に取り組むとともに、工程管理、原価管理及び品質管理を徹底し、新規契約の獲得、利益確保に努めてまいりました。不動産賃貸事業においては、当社グループが保有する自社物件及び管理物件の安定的な収益を維持しつつ、新規顧客の獲得及び管理サービスの充実を図ることで利益確保に努めてまいりました。土地有効活用事業においては、不動産賃貸事業との事業間シナジー効果を十分活用し、安定的な賃貸経営の事業提案を行ってまいりました。ホテル事業においては、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化に向けた動きが進み、全国旅行支援の実施、入国制限の緩和から訪日外国人が増加するなど回復の動きが見られました。このような事業環境の中、当社グループは、経営理念の中に「お客様への対応・サービスの向上は無限」との考えのもと品質管理、工程管理、原価管理を徹底し、お客様満足度を追求してまいりました。2023年2月に和歌山県の住宅着工及び住宅販売において、2021年度総合部門第一位に認定(株式会社住宅産業研究所調べ)していただきました。さらに、昨年度に続き経済産業省による「健康経営優良法人2023(中小規模法人)」の認定を受け、従業員の健康と安全を経営的な視点で捉え、職場環境の保全を維持し、従業員モチベーションの維持と向上により、よりよい環境づくりを目指してまいりました。その結果、当連結会計年度における業績は、売上高は14,163百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益は1,203百万円(前年同期比0.9%増)、経常利益は1,151百万円(前年同期比2.1%減)、売上高経常利益率は8.1%(前年同期8.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は723百万円(前年同期比4.2%減)となりました。
セグメントごとの販売状況は次のとおりであります。
セグメントの名称
売上高(千円)
前年同期比(%)
内容
不動産・建設事業
9,748,564
102.9
分譲土地販売、分譲住宅販売、売建分譲販売、注文建築、リフォーム及び公共工事、不動産仲介、保険代理業(土地分譲326区画、分譲住宅販売153棟、売建分譲 住宅43棟、注文住宅34棟、中古住宅販売34棟)
不動産賃貸事業
2,871,748
103.1
不動産賃貸経営、賃貸管理及び賃貸仲介(自社物件1,985戸、管理物件14,548戸)
土地有効活用事業
943,371
77.4
資産運用提案型賃貸住宅販売及び建売賃貸住宅販売(賃貸住宅販売22棟、賃貸中古住宅販売9棟)
ホテル事業
710,317
127.7
ビジネスホテル及び飲食店の運営
その他(注3)
64,128
102.2
連結子会社(興國不動産株式会社)等の事業活動
合計(注1)
14,338,129
101.7
―
セグメント間取引
△175,022
95.5
―
連結財務諸表の売上高
14,163,106
101.8
―
(注)1.セグメント間取引については含めて記載しております。2.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。3.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、連結子会社(興國不動産株式会社)等の事業活動を含んでおります。
セグメント別の業績は次のとおりであります。セグメント間取引については含めて記載しております。(不動産・建設事業)不動産・建設事業は、土地分譲326件、建物230件、中古住宅34件の販売を行いました。その結果、売上高は9,748百万円(前年同期比102.9%)、セグメント利益は432百万円(前年同期比104.5%)となりました。 (不動産賃貸事業)不動産賃貸事業は、自社物件1,985戸、管理物件14,548戸を保有し、賃貸経営、賃貸管理及び賃貸仲介を行いました。その結果、売上高は2,871百万円(前年同期比103.1%)、セグメント利益は898百万円(前年同期比93.8%)となりました。 (土地有効活用事業)土地有効活用事業は、賃貸住宅22件、賃貸中古住宅9件の販売を行いました。その結果、売上高は943百万円(前年同期比77.4%)、セグメント利益は99百万円(前年同期比72.7%)となりました。 (ホテル事業)ホテル事業は、3箇所のビジネスホテル、3箇所の飲食店舗を運営しました。その結果、売上高は710百万円(前年同期比127.7%)、セグメント利益は65百万円(前年同期は8百万円の損失)となりました。
(その他)その他事業は、連結子会社(興國不動産株式会社)において不動産仲介及び賃貸管理を行いました。その結果、売上高は64百万円(前年同期比102.2%)、セグメント利益は9百万円(前年同期比106.9%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ776百万円減少し、当連結会計年度末には3,140百万円となりました。また、当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、1,293百万円の収入(前連結会計年度は1,602百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,136百万円、非資金取引である減価償却費423百万円、支払利息156百万円、前払金の減少額84百万円、前受金の増加額43百万円、のれん償却額37百万円及び棚卸資産の減少額36百万円であります。主な減少要因は、法人税等の支払額399百万円、利息の支払額154百万円及び受取利息及び受取配当金の13百万円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、903百万円の支出(前連結会計年度は446百万円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産(主として賃貸用不動産)の取得による支出648百万円、定期預金の預入による支出171百万円及び投資有価証券の取得による支出100百万円であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,166百万円の支出(前連結会計年度は869百万円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入3,092百万円、社債の発行による収入200百万円及び自己株式の処分による収入51百万円であります。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出2,638百万円、短期借入金の純減少額1,365百万円、配当金の支払額420百万円、自己株式の取得による支出49百万円及び社債の償還による支出20百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
b. 受注実績当連結会計年度における不動産・建設事業、土地有効活用事業セグメントの受注高及び受注残高は次のとおりであります。不動産賃貸事業及びホテル事業においては受注が存在していないため、記載しておりません。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
不動産・建設事業
8,148,956
90.3
2,743,892
79.8
土地有効活用事業
1,081,504
104.6
302,928
109.3
合計
9,230,460
91.7
3,046,821
82.0
(注)1.セグメント間取引については、含めて記載しております。2.金額は販売価格によっております。3.アズマハウス株式会社に関連する受注高及び受注残高を記載しております。
c. 販売実績当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、「第2
事業の状況
4
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の主要な相手先がいないため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析(売上高)当連結会計年度における売上高は、14,163百万円(前年同期比1.8%増)となりました。不動産・建設事業においての売上高は、9,748百万円(前年同期比2.9%増)となりました。これは主に、「こどもみらい住宅支援事業」の実施などの政府による支援に支えられ、営業活動に取り組んだことによるものであります。不動産賃貸事業においての売上高は、2,871百万円(前年同期比3.1%増)となりました。これは主に、当社グループが保有する自社物件及び管理物件の安定的な収益を維持しつつ、新規顧客の獲得及び管理サービスを行ったことによるものであります。土地有効活用事業においての売上高は、943百万円(前年同期比22.6%減)となりました。前連結事業年度と比較し、下回る結果となりましたが、これは主に、引渡し遅延物件が生じた影響によるものであります。ホテル事業においての売上高は、710百万円(前年同期比27.7%増)となりました。新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化に向けた動きが進み、全国旅行支援の実施、入国制限の緩和から訪日外国人が増加するなど回復したことによるものであります。その他においての売上高は、64百万円(前年同期比2.2%増)となりました。これは主に、不動産仲介手数料収入の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)当連結会計年度の売上原価は9,519百万円(前年同期比1.3%増)、売上総利益は4,643百万円(前年同期比2.9%増)となりました。売上高に対する売上総利益率は32.8%(前年同期は32.4%)となりました。 (営業利益)当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費3,440百万円(前年同期比3.7%増)を受け、1,203百万円(前年同期比0.9%増)となり、前連結会計年度に比べ11百万円増加しました。売上高に対する営業利益率は8.5%(前年同期は8.6%)となりました。 (経常利益)当連結会計年度の経常利益は、営業外収益118百万円(前年同期比27.6%減)と営業外費用170百万円(前年同期比5.3%減)を受け、1,151百万円(前年同期比2.1%減)となり、前連結会計年度に比べ24百万円減少しました。売上高に対する経常利益率は8.1%(前年同期は8.4%)であります。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、税金等調整前当期純利益の減少に伴い412百万円(前年同期比3.2%増)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は723百万円(前年同期比4.2%減)となり、前連結会計年度に比べ31百万円減少しました。
財政状態の分析(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ448百万円減少し、30,878百万円となりました。流動資産については、前連結会計年度末に比べ394百万円減少し、10,125百万円となりました。これは主として、現金及び預金の減少605百万円、その他流動資産の減少112百万円、未成工事支出金の増加305百万円、販売用不動産不動産の増加9百万円及び売掛金の増加5百万円を反映したものであります。固定資産については、前連結会計年度末に比べ53百万円減少し、20,753百万円となりました。これは主として、建設仮勘定の増加163百万円、投資有価証券の増加153百万円、建物及び構築物(純額)の減少216百万円、土地の減少54百万円、繰延税金資産の減少49百万円、のれんの減少37百万円及び長期貸付金の減少13百万円を反映したものであります。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ790百万円減少し、14,735百万円となりました。流動負債については、前連結会計年度末に比べ1,381百万円減少し、3,630百万円となりました。これは主として、1年内償還予定の社債の増加40百万円、その他流動負債の増加34百万円、短期借入金の減少1,365百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少75百万円及び未払法人税等の減少17百万円を反映したものであります。固定負債については、前連結会計年度末に比べ590百万円増加し、11,105百万円となりました。これは主として、長期借入金の増加495百万円、社債の増加140百万円及びその他固定負債の減少45百万円を反映したものであります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ342百万円増加し、16,142百万円となりました。これは主として利益剰余金の増加303百万円及びその他有価証券評価差額金の増加37百万円を反映したものであります。自己資本比率は52.3%(前連結会計年度末は50.4%)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報当連結会計年度中におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売用不動産の仕入のほか、工事費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、賃貸用不動産等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの当連結会計年度の経営成績は、業績予想に比べて経常利益は上回りましたが、売上高、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は若干下回る結果となりました。なお、経営指標としております、売上高経常利益率については、目標としております8%以上に対して8.1%、自己資本比率については、目標40%以上に対して52.3%とともに上回る結果となりました。当連結会計年度の業績予想及び実績は以下のとおりであります。
指標
2023年3月期(予想)
2023年3月期(実績)
2023年3月期(増減比)
売上高
14,650,000
千円
14,163,106
千円
486,893
千円減
(3.3%減)
営業利益
1,220,000
千円
1,203,501
千円
16,498
千円減
(1.4%減)
経常利益
1,190,000
千円
1,151,184
千円
38,815
千円減
(3.3%減)
親会社株主に帰属する当期純利益
778,000
千円
723,941
千円
54,058
千円減
(6.9%減)
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容や変動により経営成績に生じる影響など、「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。