【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、判断したものであります。
(1)経営成績に関する分析
(単位:百万円)
2022年12月期
第1四半期
2023年12月期
第1四半期
増減率(%)
売上高
86,437
92,555
7.1
営業利益
10,043
10,815
7.7
経常利益
10,688
11,220
5.0
親会社株主に帰属する
四半期純利益
7,681
7,666
△0.2
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、行動制限緩和等による新型コロナウイルス影響からの経済正常化の動きは続いているものの、海外景気の下振れ懸念やウクライナ情勢の長期化、資源価格及び原材料価格高騰の影響により、先行き不透明な状況で推移しております。
このような状況のもと、当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けて、既存事業のブラッシュアップと領域拡大による成長を目指す第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業からのリソース再配分や戦略経費支出の積極化、海外展開強化といった事業領域の拡大に向けた取り組みを推進しております。
当社グループを取り巻く経営環境は激変しておりますが、事業環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応することで、引き続き強い競争力を発揮できているものと考えております。
売上高は、ファニチャー事業における旺盛なオフィス需要の獲得や昨年買収したHNI Hong Kong Limited(現社名Kokuyo Hong Kong Limited)の連結子会社化等の影響により、前年同期比7.1%増の925億円となりました。売上総利益は、前年同期比6.2%増の371億円、売上総利益率は、前年同期比0.3ポイント低下の40.1%となりました。事業領域拡大のために積極的な戦略経費支出等を行った結果、販売費及び一般管理費は、前年同期比5.6%増の263億円、売上高販管費率は、前年同期比0.4ポイント低下の28.4%となりました。
以上により、営業利益は、前年同期比7.7%増の108億円となりました。経常利益は、前年同期比5.0%増の112億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年に固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上していた反動等により、前年同期比0.2%減の76億円となりましたが、引き続き高い水準を維持しております。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。
(ワークスタイル領域)
・ファニチャー事業
ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。
日本では、首都圏での大規模オフィス供給量の増加により回復傾向にある新築移転需要と旺盛なオフィスリニューアル需要の獲得に向け、顧客の戦略課題に根差した働き方に向けたオフィスづくりの提案に注力しております。
中国・アセアンでは、Kokuyo Hong Kong Limitedを中心としたクロスセルや生産統合に取り組み、事業拡大を目指しておりますが、中国におけるゼロコロナ政策解除に伴う新型コロナウイルスの感染急拡大の影響を受けました。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比11.1%増の479億円となりました。営業利益は、前年同期比14.3%増の95億円となりました。
・ビジネスサプライ流通事業
ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化を推進するほか、UI/UXの改善等の顧客体験価値向上に向けたシステム投資を行い、事業拡大を目指してまいります。
当第1四半期は、顧客のオフィス出社率の回復に伴う顧客の購買単価の上昇や価格改定の浸透等により、大企業向け購買が好調に推移しました。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比1.2%増の266億円となりました。営業利益は、前年同期比4.1%増の11億円となりました。
(ライフスタイル領域)
・ステーショナリー事業
ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長による増収増益を目指してまいります。
日本では、事業リソースの最適化等を通じて収益性の改善に取り組んでいるものの、需要の低迷や原材料価格高騰の影響を大きく受けております。
中国では、ゼロコロナ政策解除後の新型コロナウイルス感染急拡大による景気低迷の影響を受けたものの、女子中高生をターゲットとした女子文具需要は引き続き旺盛な状況です。
インドでは、原材料価格高騰の影響は続いているものの、営業活動の変革や商品力強化に取り組むことで、営業生産性が向上し、好調に推移しております。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比6.6%増の219億円となりました。営業利益は、前年同期比6.1%減の22億円となりました。
・インテリアリテール事業
インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略に取り組んでまいります。
当第1四半期は、イエナカ需要が収まりつつあることに加え、販管費増を吸収できず大幅減益となりました。
これにより、売上高は、前年同期比2.5%減の45億円となりました。営業利益は、前年同期比91.5%減の0億円となりました。
(2)財政状態に関する分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は3,493億円となり、前連結会計年度末に比べ121億円増加しました。
流動資産は2,240億円となり、前連結会計年度末に比べ90億円増加しました。主な要因として、受取手形、売掛金及び契約資産が133億円、商品及び製品が14億円、それぞれ増加した一方、現金及び預金が43億円減少したためであります。
固定資産は1,252億円となり、前連結会計年度末に比べ30億円増加しました。主な要因として、投資有価証券が35億円増加したためであります。
当第1四半期連結会計期間末の負債は1,024億円となり、前連結会計年度末に比べ49億円増加しました。主な要因として、未払法人税等が29億円、賞与引当金が21億円、それぞれ増加したためであります。
当第1四半期連結会計期間末の純資産は2,468億円となり、前連結会計年度末に比べ71億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が56億円、その他有価証券評価差額金が13億円、それぞれ増加したためであります。
(3)キャッシュ・フローの状況に関する分析
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は939億円であり、前連結会計年度末に比べ43億円の資金減となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動により獲得した資金は0億円(前年同期は55億円の支出)となりました。これは、主として税金等調整前四半期純利益を112億円計上したこと、賞与引当金の増加21億円、減価償却費17億円等の非資金損益の調整等による資金の増加があった一方、売上債権の増加134億円、棚卸資産の増加15億円の資金の減少等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動により支出した資金は11億円(前年同期は0億円の獲得)となりました。これは、主として投資有価証券の売却による収入10億円の資金収入等があった一方、設備投資による支出14億円、非連結子会社株式の取得による支出6億円の資金支出等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動により支出した資金は33億円(前年同期比5億円の支出増)となりました。これは、主として短期借入金の増加による収入5億円の資金収入等があった一方、配当金の支払額33億円、リース債務の返済による支出3億円の資金支出等があったことによるものであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、サステナブルな長期視点での経営をおこなっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業となるべく取り組んでおります。
これまで当社グループでは、社会の変化を捉え、「共感共創」という強みを生かして、顧客やパートナーと共に新しい体験をデザインし、家具から多様な「働き方」を支える「オフィス空間」、文具から「学び方と暮らし方」を支える「道具・サービス」など、「モノだけでないコトのニーズ」に対応する事業に発展させてまいりました。
これからは、未来の自律協働社会に向けた社会課題や顧客ニーズの解決のために、「モノからコトへ」提供価値の拡大を進め、「働く」「学ぶ・暮らす」領域における新しい顧客体験価値を創出していきます。既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡張や新規ニーズの事業化を通じて事業領域の拡大を進め、様々な顧客ニーズに応えながら持続的に成長する売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指してまいります。
2022年12月期からは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を推進しており、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を目指しております。
(価値創造ストーリー全体像)
第3次中期経営計画の概要につきましては、以下としております。
1.第3次中期経営計画骨子
当社グループでは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」にお いて、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を推進します。
2.目標とする経営指標
2024年度を最終年度とする第3次中期経営計画の目標数値として、売上高3,600億円、売上総利益1,437億円、営業利益275億円、営業利益率7.6%、自己資本当期純利益率(ROE)8%の達成を目指します。
財務目標
(単位:億円)
2022年12月期
2024年12月期
実績
目標
2022年12月期比
売上高
3,009
3,600
+19.6%
売上総利益
(率)
1,166
(38.8%)
1,437
(39.9%)
+23.2%
(+1.2pt)
営業利益
(率)
193
(6.4%)
275
(7.6%)
+42.3%
(+1.2pt)
ROE(率)
(7.9%)
(8.0%)
(+0.1pt)
非財務目標 2024年コミット目標
3.4つの全社テーマ
この3カ年で取り組む重要な4つの全社テーマは下記のとおりです。
①「ダイナミックな成長投資」:投資・研究開発の枠を決定し、検討、意思決定、責任者の設定などPDCAのルールと体制など投資ガバナンスを設計し実行する。
②「人材の活躍と成長」:社内の人材の流動性を高め、多様な人材の活躍の機会を増やす。
③「イノベーションの活性化」:インキュベーションの場としくみを構築する。
④「社会価値と経済価値の両立」:社員が社会課題を体験する機会を増やす。
4.事業戦略
当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の実現に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指します。
・ワークスタイル領域
新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目しております。
ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、コクヨ全社の業績を牽引することを目指してまいります。
ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化を推進するほか、UI/UXの改善等の顧客体験価値向上に向けたシステム投資を行い、事業拡大を目指してまいります。
これによりワークスタイル領域全体として働き方の変化を捉え大幅な増収増益を目指してまいります。
・ライフスタイル領域
学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目しております。
ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長による増収増益を目指してまいります。
インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略に取り組んでまいります。
これによりライフスタイル領域全体として、自分らしい生き方の探求と社会の共生のニーズへの対応で増収増益を目指してまいります。
5.資本政策
これらの計画を進める上で、投資及び株主還元等との間で適切な資源配分を実施致します。そのために、事業資産の効率向上に向けた取り組みを推進するとともに、資本コストを明確に意識した投資決定と事業評価を推進してまいります。
また、持続的な企業価値向上に向けた戦略投資として、定常投資200億円に加え、事業領域拡大に向けた成長投資300億円を実施致します。社会価値向上に向けて社会貢献目的の寄付枠(経常利益の1%=約2億円)とESG活動費枠を設定し、投資推進部門とサステナブル推進部門が全社横串でクライテリアを明確にしながら推進してまいります。
更に、配当性向40%及び安定的な増配を達成すべく株主還元を実施することで、株主との積極的な対話を通じて、中長期の成長ストーリーに関して説明責任を果たしてまいります。
以上のような取り組みを通じて2024年度ROE8%を実現してまいります。
以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。
会社の支配に関する基本方針については、当第1四半期連結累計期間において重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は341百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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