【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、ウクライナ情勢の悪化の影響により、物価上昇と円安が同時に進行したほか、半導体をはじめとする電子部品の供給が不足するなど、世界経済は依然として先行き不透明感の強い状況にあります。このような状況において多くの企業は、変化の激しい社会情勢に適応すべくクラウド環境への移行を始めとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて積極的に投資しております。当社グループは顧客のDXに資する最適なソリューションを提供できるよう、オープンソースソフトウェアの高い技術力や幅広い知見を基に、クラウド関連製品・サービスの提供、SaaS(*8)事業の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a) 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から627百万円減少し、6,022百万円(前連結会計年度末比9.4%減)となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から26百万円増加し、4,778百万円(同0.6%増)となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末から654百万円減少し、1,243百万円(同34.5%減)となりました。イ 資産流動資産は、現金及び預金の減少643百万円等の要因により、5,195百万円(前連結会計年度末比10.0%減)となりました。固定資産は、繰延税金資産の減少57百万円、差入保証金の減少45百万円等の要因により、827百万円(同5.5%減)となりました。 この結果、総資産は、6,022百万円(同9.4%減)となりました。ロ 負債流動負債は、契約負債の増加361百万円等の要因により、4,337百万円(前連結会計年度末比1.6%増)となりました。 固定負債は、長期借入金の減少66百万円等の要因により、441百万円(同8.6%減)となりました。 この結果、負債合計は、4,778百万円(同0.6%増)となりました。 ハ 純資産純資産合計は、利益剰余金の減少761百万円等の要因により、1,243百万円(前連結会計年度末比34.5%減)となりました。
(b) 経営成績当連結会計年度における売上高は14,420百万円(前年同期比8.3%減)、営業損失は572百万円(前年同期は358百万円の利益)、経常損失は499百万円(前年同期は400百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は639百万円(前年同期は367百万円の利益)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」。)等の適用により、当連結会計年度の売上高は489百万円減少、営業利益、経常利益はそれぞれ22百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は26百万円増加しております。当社グループの重視する経営指標であるEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)は△469百万円(前年同期は448百万円)、ROIC(営業利益×(1-実効税率)÷(株主資本+有利子負債))は△25.1%(前年同期は10.0%)となりました。
イ 売上高オープンシステム基盤事業の売上高は8,716百万円(前年同期比9.1%減)、アプリケーション事業の売上高は5,691百万円(前年同期比7.2%減)となりました。全体としては、14,420百万円(前年同期比8.3%減)となりました。 ロ 売上総利益売上総利益は、減収により4,666百万円(前年同期比4.5%減)となりました。 ハ 営業利益販売費及び一般管理費は、人件費及び研究開発費の増加等により、前年同期と比べ713百万円増加し、5,239百万円となりました。この結果、営業損失は572百万円(前年同期は358百万円の利益)となりました。 二 経常利益デリバティブ評価益、持分法による投資利益等の計上により営業外収益は146百万円、為替差損等の計上により営業外費用は72百万円となりました。この結果、経常損失は499百万円(前年同期は400百万円の利益)となりました。 ホ 税金等調整前当期純利益固定資産除却損、減損損失の計上により特別損失は43百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純損失は542百万円(前年同期は396百万円の利益)となりました。 ヘ 親会社株主に帰属する当期純利益法人税等で97百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は639百万円(前年同期は367百万円の利益)となりました。
当社グループは経営指標としてEBITDA、ROICを重視しており、中期経営計画において、それぞれの目標値を掲げています。2022年度は、EBITDAが目標の220百万円に対して△469百万円、ROICが目標の3.0%に対して△25.1%と、いずれも目標に対して未達成となりました。主な要因としては、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受けたこと、利益率の高い自社製品の売上高が想定を下回ったこと等が挙げられます。
また、各セグメントの経営成績は、次のとおりとなりました。 (オープンシステム基盤事業)主力自社製品である「LifeKeeper」は国内におけるライセンス販売が減少したものの、米州及びアジア・オセアニア地域は増収となりました。一方、Red Hat Enterprise Linux)をはじめとするRed Hat, Inc.関連商品)は、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受けて大型案件の受注が減少したため、大幅な減収となりました。これらにより、売上高は8,716百万円(前年同期比9.1%減)となりました。利益面では、減収に加えて人件費が増加したため、セグメント損失は13百万円(前年同期は352百万円の利益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による影響はありません。 (アプリケーション事業)「Gluegentシリーズ」、MFP向けソフトウェア製品は堅調な増収となりました。一方、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受けて、金融機関向け経営支援システム販売が減収となりました。また、収益認識会計基準等の適用による影響もあり、売上高は5,691百万円(前年同期比7.2%減)となりました。利益面では、減収に加えて人件費が増加したこと、Med Tech(*9)事業を中心に新製品・サービスへの投資を強化したことにより、セグメント損失は570百万円(前年同期は4百万円の利益)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は489百万円減少、セグメント利益は22百万円増加しております。
(*8)SaaSSoftware as a Serviceの略。ソフトウェアをクラウドサービスとして提供すること。(*9)Med TechMedical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ643百万円減少し2,505百万円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純損失542百万円、未払消費税等の減少144百万円等の要因により、営業活動により使用した資金は370百万円(前年同期は587百万円の獲得)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資有価証券の取得による支出45百万円等の要因により、投資活動により使用した資金は107百万円(前年同期は58百万円の獲得)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)配当金の支払129百万円、長期借入金の返済109百万円等の要因により、財務活動により使用した資金は245百万円(前年同期は267百万円の使用)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
オープンシステム基盤事業(千円)
643,343
+8.4
アプリケーション事業(千円)
2,524,137
+2.1
合計(千円)
3,167,481
+3.3
(b) 仕入実績当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
オープンシステム基盤事業(千円)
5,675,706
△12.6
アプリケーション事業(千円)
916,585
△28.5
合計(千円)
6,592,291
△15.2
(c) 受注実績当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
オープンシステム基盤事業
8,843,132
△8.8
1,850,417
+7.3
アプリケーション事業
5,772,577
△16.1
2,488,613
+3.4
合計
14,615,709
△11.8
4,339,030
+5.0
(d) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
オープンシステム基盤事業(千円)
8,716,945
△9.1
アプリケーション事業(千円)
5,691,612
△7.2
合計(千円)
14,408,558
△8.4
(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高を除いた外部顧客に対する売上高を記載しております。2.最近2連結会計年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
販売先
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社大塚商会
3,680,611
23.4
3,895,330
27.0
株式会社ネットワールド
1,650,433
10.5
1,612,241
11.2
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループは、我が国における一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行っているものがあります。このため、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。 (a) 貸倒引当金当社グループでは、得意先の業績悪化等による債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、また貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討しております。(b) 受注損失引当金受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失金額が合理的に見積ることが可能なものについて、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金として計上しております。しかしながら、予定費用を著しく超過した場合、受注損失又は追加の引当金計上が必要となる可能性があります。(c) 退職給付に係る会計処理の方法当社及び一部の国内連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。また、一部の国内連結子会社は、企業年金制度については、直近の年金財政計算上の数理債務をもって退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。(d) 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。(e)固定資産の減損処理当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、事業に必要な資金を安定的に確保することを基本方針として、継続的なキャッシュ・フローの創出及びバランスシートの健全化を重視し、営業活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物を内部資金の源泉と考えております。当社グループの資金需要は、運転資金のほか、研究開発及びM&A等の投資資金があります。これらの資金需要に関しては、主に内部資金で賄いますが、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達も実施いたします。資金の流動性については、当連結会計年度末現在において当社グループの現金及び預金残高は、2,505百万円であり、今後の営業活動によって確保されるキャッシュ・フローに加え、複数の金融機関の当座貸越契約による融資枠を設けており、十分な流動性を確保しているものと考えております。
⑤ 目標とする経営指標当社グループは、継続的なキャッシュ・フローの創出のため、EBITDA及びROICを経営指標としています。キャッシュ・フローは、当社グループ成長のための源泉(Driving Force)である「人材」「研究開発」「イノベーションを生み出す企業カルチャー」への投資、及び株主・ステークホルダーへの還元の原資とします。
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