【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社は、2022年4月1日付で当社の完全子会社である株式会社ソフテックを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、第1四半期累計期間まで連結決算でありましたが、第2四半期累計期間より非連結決算へ移行いたしました。前事業年度において連結財務諸表を作成しておりましたが、上記により当事業年度においては連結財務諸表を作成していないため、比較分析は行っておりません。また、当社はサイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,621,137千円となり、前事業年度末に比べ636,521千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が533,413千円増加したことによるものであります。固定資産は536,227千円となり、前事業年度末に比べ60,763千円減少いたしました。これは主に無形固定資産が281,684千円増加した一方で、投資その他の資産が397,030千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は2,157,364千円となり、前事業年度末に比べ575,757千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は663,888千円となり、前事業年度末に比べ224,274千円増加いたしました。これは主に契約負債(前受金)が99,207千円増加したことによるものであります。固定負債は184,198千円となり、前事業年度末に比べ20,201千円減少いたしました。これは長期借入金が20,201千円減少したことによるものであります。なお、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載の通り、収益認識会計基準等を適用したため、前事業年度の貸借対照表において、「流動負債」に表示していた「前受金」は、当事業年度より「契約負債」として表示しております。
この結果、負債合計は848,086千円となり、前事業年度末に比べ204,073千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,309,278千円となり、前事業年度末に比べ371,684千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が306,406千円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
当社が属するサイバーセキュリティ業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ウク ライナ情勢の悪化に伴い、先行きが不透明な状況が続いております。依然として、システムの脆弱性を突いたサイバー攻撃は後を絶たず、不正アクセスによる個人情報の漏えいだけでなく、業務停止による被害拡大など、サイバーセキュリティ対策の重要性が益々高まっております。このような状況の中、当社は「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げ、サイバーセキュリティに関する社会課題を解決し、社会へ付加価値を提供すべく事業に取り組んでおります。
当事業年度においては、クラウド型WAF(注1)「攻撃遮断くん」のサーバセキュリティタイプリニューアルを行ったほか、パブリッククラウドのWAF自動運用サービス「WafCharm」を新たにAWS Marketplace(注2・3)で販売開始しグローバル展開を本格スタートするなど、各プロダクトのアップデートに注力してまいりました。
AWS WAF ManagedRulesに関しては、サイバーセキュリティサービスとしては日本初の「AWS ISV Accelerate プログラム(注4)」認定を取得したことに加え、過去1年間のAWS Marketplace上での実績を評価され「2022年 リージョナル・グローバル AWS パートナー アワード」の“Marketplace Partner of the Year – APJ”を受賞いたしました。
この結果、各プロダクトの新規受注が好調に推移し、全社のARR(注5)は2,509,682千円(前年同期比33.2%増)となりました。
また、新規採用強化による従業員数の増加や、株式会社ソフテックの吸収合併などの組織拡大に合わせ、多様な働き方を選択できる「ハイブリッドワーク」を実現すべく、2022年5月に本社を移転いたしました。
以上の結果、当事業年度の当社の経営成績は、売上高2,275,950千円、営業利益385,900千円、経常利益395,610千円、当期純利益306,406千円となりました。
参考情報として、上記の業績に株式会社ソフテックの第1四半期会計期間の業績を加え、連結決算を継続していたと仮定した場合の売上高は2,342,019千円、営業利益413,729千円、経常利益420,138千円、親会社に帰属する当期純利益304,638千円となりました。
(注)1.サーバ購入などインフラの調達や整備は不要で、月額・年額のサービス利用料を支払うことでWAFを利
用することが可能。WebサーバのDNS設定を変更するだけで導入ができる。ベンダーが提供するWAF専用サーバをWebサーバの直前に設置、または企業が購入したハードウェアへWAFをインストールすることで導入可能なアプライアンス型に比べて、ネットワークの構成の変更や運用の手間が不要
2.「Amazon Web Services」の略称。Amazon.comの関連会社であるAmazon Web Services, Inc.
が提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称
3.AWS上で利用できるソフトウェアやサービスを購入できるオンラインソフトウェアストア
4.プログラムに参加する独立系ソフトウェアベンダー(ISV)と AWS社による共同販売プログラム
5.Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(注6)(Monthly Recurring Revenue)を12倍して
算出
6.Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額
料金の合計額(一時収益は含まない)
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,330,154千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は353,632千円となりました。その主な内訳は、税引前当期純利益430,021千円の計上、のれん償却額18,993千円、株式報酬費用36,327千円、抱合せ株式消滅差益21,336千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用した資金は114,240千円となりました。その主な内訳は、敷金の差入による支出51,982千円、有形固定資産の取得による支出58,325千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は40,603千円となりました。その主な内訳は、長期借入れによる収入100,000千円、長期借入金の返済による支出86,877千円であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をサービス別に示すと次のとおりであります。
サービスの名称
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
販売高
前年同期比(%)
攻撃遮断くん(千円)
1,259,219
-
WafCharm(千円)
613,751
-
その他(千円)
402,979
-
合計(千円)
2,275,950
-
(注)1.当社はサイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.当事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
3.当社は、当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比については記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
②経営成績の分析
a.売上高
当事業年度の売上高は、2,275,950千円となり、前事業年度に比べ682,990千円増加いたしました。これは主に、マーケティング活動による当社サービスの認知度向上や、新規顧客開拓に努めた結果、「攻撃遮断くん」及び「WafCharm」の受注が増加したためであります。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は、664,125千円となり、前事業年度に比べ223,779千円増加いたしました。
この結果、売上総利益は1,611,824千円となり、前事業年度に比べ459,211千円増加いたしました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、組織拡大のため、中途採用を積極的に行ったことによる採用費、人件費の増加及び積極的な広告宣伝活動による広告宣伝費の増加などにより、1,225,924千円となり、前事業年度に比べ314,765千円増加いたしました。
この結果、営業利益は385,900千円となり、前事業年度に比べ144,445千円増加いたしました。
d.営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、為替差益などにより、11,615千円となりました。
当事業年度における営業外費用は、支払利息などの計上により、1,905千円となりました。
この結果、営業外損益は9,710千円の利益となり、経常利益は395,610千円となりました。
e.特別損益、当期純利益
当事業年度における特別利益は、34,836千円となりました。
当事業年度における特別損失は、425千円となりました。
この結果、税引前当期純利益は430,021千円となり、前事業年度に比べ206,094千円増加いたしました。また、法人税、住民税及び事業税136,044千円、法人税等調整額を△12,429千円計上した結果、当期純利益は306,406千円となり、前事業年度に比べ158,791千円増加いたしました。
③財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照下さい。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、通信費、人件費、広告宣伝費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。
当社は、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。
なお、当事業年度末における借入金残高は279,406千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は1,330,154千円であり、流動性を確保しております。
⑦経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長を遂げるためには、様々な課題に対処する事が必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施しさらなる事業拡大を図ってまいります。
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