【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績等の状況の概要
(ⅰ)経営成績
当連結会計年度の業績は、売上収益は1兆4,504億円(前年同期比14.3%増、為替中立8.1%増)、営業利益は1,397億円(前年同期比17.8%増、為替中立9.5%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、4,202億円計上しましたが、この主な内容は、広告宣伝及び販売促進費が1,439億円、従業員給付費用が1,473億円等であり、その結果、営業利益は1,397億円(前年同期比17.8%増、為替中立9.5%増)となりました。
金融収益は16億円となりました。また、金融費用は20億円となりました。この主な要因は、支払利息を19億円計上したこと等によるものです。
これらの結果、税引前利益は1,393億円(前年同期比19.0%増、為替中立10.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は823億円(前年同期比19.9%増、為替中立13.2%増)となりました。また、1株当たり当期利益は266円40銭となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当社は、海外事業の迅速な変革の加速と一体経営を行うべく、2022年1月1日付で海外組織の改組を実施し、「SBFインターナショナル」を新設しました。これに伴う報告セグメントの変更はございません。
[日本事業]
売上収益は6,532億円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益は334億円(前年同期比18.4%減)となりました。
[アジアパシフィック事業]
売上収益は3,594億円(前年同期比21.4%増、為替中立8.3%増)、セグメント利益は564億円(前年同期比42.0%増、為替中立28.6%増)となりました。
[欧州事業]
売上収益は2,923億円(前年同期比24.5%増、為替中立17.0%増)、セグメント利益は434億円(前年同期比21.5%増、為替中立14.1%増)となりました。
[米州事業]
売上収益は1,455億円(前年同期比34.1%増、為替中立12.0%増)、セグメント利益は182億円(前年同期比36.6%増、為替中立14.0%増)となりました。
(ⅱ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、売上債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,064億円増加して1兆7,833億円となりました。
負債は、社債及び借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ97億円減少して7,232億円となりました。
資本合計は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,162億円増加して1兆601億円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は54.1%となり、1株当たり親会社所有者帰属持分は3,123円69銭となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ240億円増加し、2,006億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益1,393億円、減価償却費及び償却費708億円等に対し、売上債権及びその他の債権の増加236億円、棚卸資産の増加192億円、子会社株式売却益160億円等により、資金の収入は前連結会計年度に比べ77億円減少し、1,505億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出602億円等に対し、子会社の売却による収入184億円等により、資金の支出は前連結会計年度と比べ145億円減少し、424億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出438億円、配当金の支払411億円等により、資金の支出は前連結会計年度に比べ39億円減少し、922億円の支出となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
日本
600,304
106.8
アジアパシフィック
345,175
122.7
欧州
217,241
119.0
米州
120,113
134.6
合計
1,282,834
115.0
(注)1.金額は、最終販売価格によっています。
2.生産実績には外注分を含んでいます。
(ⅱ)受注実績
当社グループは、原則として見込み生産を主体としているため、記載を省略しています。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
日本
653,199
103.7
アジアパシフィック
359,423
121.4
欧州
292,297
124.5
米州
145,477
134.1
合計
1,450,397
114.3
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。
連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しています。また、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積りを行っている部分があり、これらの見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果と異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、中期経営戦略及び中期経営計画を「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期経営戦略及び(3)中期経営計画」に記載のとおり策定しています。その実現に向けて、当社グループが実施した活動は以下のとおりです。
当社グループは、お客さまの嗜好・ニーズを捉えた上質でユニークな商品を提案し、お客さまとともに新たなおいしさ、健やかさ、楽しさを創造し続けそれぞれの市場で最も愛される会社となることを目指すという考えのもと、ブランド強化や新規需要の創造に注力したほか、品質の向上に取り組みました。また、各エリアにおいて事業構造改革を進め、収益力の強化にも取り組みました。
2022年は、主要国における需要回復を着実に捉え、年初より全セグメントでコアブランドへの集中活動を継続した結果、主要国において引き続きシェアを拡大しました。全セグメントでの販売数量の増加に加え、日本及び海外における価格改定を含めたRGMが寄与し、売上収益は、1兆4,504億円(前年同期比14.3%増、為替中立8.1%増)となり、過去最高を達成しました。日本、米州に加えて、ベトナムとフランスで売上収益1,000億円超えを達成し、海外での収益基盤がより強化されました。
営業利益は、アジアパシフィック事業においてオセアニアを中心にフレッシュコーヒー事業を展開したSuntory Coffee Australia Limitedの全株式の株式売却に伴う譲渡益160億円を認識したこと等により、1,397億円(前年同期比17.8%増、為替中立9.5%増)となり、グループ全体で前連結会計年度に比べ211億円の増益となりました。
税引前利益は、営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ222億円増加して1,393億円(前年同期比19.0%増、為替中立10.6%増)となりました。
法人所得税費用は、前連結会計年度においてイギリスで2023年以降の法人税率を19.0%から25.0%に引き上げる法案が上院で可決されたことにより、ルコゼードライビーナサントリー・グループで計上する商標権に係る繰延税金負債の積み増しが38億円発生した一方、税引前利益の増加に伴う法人所得税費用の増加があったこと等が影響し、当連結会計年度においては前連結会計年度に比べ42億円増加して382億円となりました。この結果、当期利益は1,011億円(前年同期比21.8%増、為替中立13.1%増)となりました。
非支配持分に帰属する当期利益は、Suntory PepsiCo Vietnam Beverage Pte. LTDやPepsi Bottling Ventures LLCにおいて業績が伸長した影響により44億円増加し、親会社の所有者に帰属する当期利益は、823億円(前年同期比19.9%増、為替中立13.2%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当社は、海外事業の迅速な変革の加速と一体経営を行うべく、2022年1月1日付で海外組織の改組を実 施し、「SBFインターナショナル」を新設しました。これに伴う報告セグメントの変更はございません。
[日本事業]
第2四半期連結会計期間以降の需要の回復が継続する中、当第4四半期連結会計期間において、10月から実施した価格改定による影響を受けたことにより、2022年の清涼飲料市場は前年同期微増(当社推定)にとどまりました。引き続き水・コーヒー・無糖茶カテゴリーを中心にコアブランド強化に取り組み、新商品発売やマーケティング活動が貢献した結果、当社販売数量は前年同期を大きく上回り、2022年において過去最高の販売数量を達成するとともに、市場シェアを更に拡大しました。ブランド別には、「サントリー天然水」、「伊右衛門」及び「GREEN DA・KA・RA」が、2022年において、過去最高の販売数量となりました。「BOSS」は、ブランド全体の販売数量が前年同期並みとなりました。発売30周年を迎え、“働く人の相棒”として「BOSS」ならではのマーケティング活動を展開しました。特定保健用食品・機能性表示食品の販売数量は、4月にリニューアルを実施した「特茶」が引き続き好調に推移したことに加え、「伊右衛門 濃い味(機能性表示食品)」、「サントリー烏龍茶OTTP(機能性表示食品)」がともに増分に寄与しました。
売上収益は、販売数量の増加によりチャネル構成悪化の影響を吸収したことや、10月からの価格改定効果が寄与し、増収となりました。
セグメント利益については、売上収益の伸長やサプライチェーンのコスト削減活動を含めたコストマネジメントを徹底したことにより増分利益を獲得しましたが、原材料市況の高騰及び為替の円安影響が想定を大きく上回ったことを受け、減益となりました。
日本事業の売上収益は6,532億円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益は334億円(前年同期比18.4%減)となりました。
[アジアパシフィック事業]
アジアパシフィックでは、清涼飲料事業及び健康食品事業のコアブランド集中活動を継続しました。特に、ベトナムの力強い伸長が、事業を大きく牽引しました。
売上収益は、販売数量の伸長に加え、年初より主要市場において機動的な価格改定を実施したことも寄与し、大幅な増収となりました。
セグメント利益については、売上収益の伸長により原材料価格高騰の影響を吸収したことに加え、第2四半期連結会計期間におけるオセアニアのフレッシュコーヒー事業の譲渡を含めた事業ポートフォリオの見直しによる譲渡損益の計上により、大幅な増益となりました。
主要国別には、ベトナムでは、主力のエナジードリンク「Sting」、茶飲料「TEA+」を含め、主要ブランドの販売数量が大きく伸長し、シェアを拡大しました。タイでは低糖製品を含め「Pepsi」が好調に推移し、炭酸カテゴリーの販売数量が伸長しました。健康食品事業では、高インフレに伴う需要減の影響を受ける中、主力の「BRAND’S Essence of Chicken」に引き続き注力し、10月のリニューアル実施やマーケティング活動を強化しました。オセアニアでは、主力ブランドであるエナジードリンク「V」へのマーケティング活動強化により、ニュージーランド及びオーストラリアで引き続き販売数量が前年同期を上回りました。
アジアパシフィック事業の売上収益は3,594億円(前年同期比21.4%増、為替中立8.3%増)、セグメント利益は564億円(前年同期比42.0%増、為替中立28.6%増)となりました。
[欧州事業]
欧州では、年初より需要拡大が継続したことや、好天の影響もあり、フランス、英国、スペインともに販売数量が伸長しました。価格改定も寄与し、売上収益は大幅な増収となりました。
セグメント利益については、原材料価格及びエネルギー価格高騰の影響が更に拡大しましたが、売上収益の伸長及びコスト削減活動により吸収し、大幅な増益となりました。
主要国別には、フランスでは、好天の影響に加えて、家庭用及び業務用において堅調な需要が継続しました。主力ブランド「Oasis」、「Schweppes」及び「Orangina」の販売数量が二桁増と大きく伸長し、シェアを拡大しました。英国では、主力ブランド「Lucozade」が堅調に推移しました。スペインでは、業務用の需要回復が本格化したことを受け、主力ブランド「Schweppes」の販売数量が大きく伸長しました。
欧州事業の売上収益は2,923億円(前年同期比24.5%増、為替中立17.0%増)、セグメント利益は434億円(前年同期比21.5%増、為替中立14.1%増)となりました。
[米州事業]
米州では、主力炭酸ブランドや伸長する非炭酸カテゴリーの活動を強化したことにより、販売数量が引き続き堅 調に推移しました。
売上収益は、価格改定を含めたRGMも寄与し、大幅な増収となりました。
セグメント利益については、売上収益の伸長により、原材料価格並びに物流費及び人件費高騰の影響を吸収し、大幅な増益となりました。
米州事業の売上収益は1,455億円(前年同期比34.1%増、為替中立12.0%増)、セグメント利益は182億円(前年同期比36.6%増、為替中立14.0%増)となりました。
セグメント利益合計は1,397億円(前年同期比17.8%増、為替中立9.5%増)であり、連結損益計算書の営業利益と一致しています。
2023年は、変動の激しい外部環境が続く想定のもと、たゆみなく事業構造を進化させ、ダイバーシティに富む新経営体制のもと、グローバルで更なる攻勢を仕掛けていきます。コアブランドイノベーションを加速させ、更なる売上成長を目指します。厳しいコスト環境が継続する想定のもと、売上収益の伸長及びサプライチェーンのコスト削減活動の徹底により、利益体質を改善させ、増益を目指します。
また、各セグメントにおいては以下の取組みに注力します。
日本では、「コアブランドの成長加速」、「自販機事業の構造改革」、「サプライチェーン構造革新」を事業戦略の重点領域とし、売上収益と利益を成長させていきます。
アジアパシフィックでは、コアブランドイノベーション及び価格改定を含むRGMによる売上収益の更なる成長を目指します。売上収益の伸長及び生産設備の増強等、コスト削減活動の徹底により、原材料価格・エネルギー価格の高騰によるコスト増を吸収していきます。
欧州では、コアブランドイノベーションの継続及び価格改定を含むRGMの徹底により、売上収益の成長を目指します。売上収益の伸長やコスト削減活動及び事業構造改革を継続させることにより、更なるコスト増の影響を吸収していきます。
米州では、主力である炭酸カテゴリーの強化を進めるとともに、伸長する非炭酸カテゴリーの更なる拡大に取り組みます。また、価格政策やサプライチェーンの更なる強化を進め、売上収益と利益の成長を加速していきます。
経営陣一体となって、以上の取組みを、強力に迅速に進めていきます。
(ⅱ)財政状態の分析
当社グループは日本のみならずアジアパシフィック、欧州、米州の各地に活動拠点を有しています。各拠点の機能通貨で算定された資産・負債は連結財務諸表の表示通貨である日本円に換算するため、当社グループの資産・負債残高は各種通貨の日本円に対する為替変動に大きく影響されます。各通貨の期首及び期末の為替レートについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (3)外貨換算」をご参照ください。当連結会計年度は主要な通貨が期末にかけて円安に推移したことが要因となり、資産・負債がそれぞれ増加しています。
のれん及び無形資産は当社グループの資産総額の約40.2%を占める重要な構成要素であり、過去に実施した企業買収等の結果、取得したブランドや統合により得られるシナジーを評価して計上したものです。このうち、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については定期的な償却は行わず、年に一度実施する減損テストを実施しています。減損テストの回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい金額として算定しています。これらの回収可能価額は、経営者が承認した事業計画及び事業計画期間後の長期成長率に基づいたキャッシュ・フローの見積額を、当該資金生成単位及び資金生成単位グループの税引前加重平均資本コスト(WACC)により現在価値に割り引いて算定しています。ブランドごとに販売する地域の景気や天候、ブランドコンディションには違いがあり、翌連結会計年度以降、個別には減損損失が発生する場合がありますが、現時点において、当社グループがこれまでに実施したM&Aとその後の統合プロセスはいずれも全体としては順調に推移していると評価しています。当社グループは、今後ものれん及び無形資産の適正な評価に取り組む方針です。
また、負債は、社債及び借入金の減少等により減少しています。借入金が毎期着実に減少しており、ネットD/Eレシオは△0.03となりました。
(ⅲ)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ240億円増加し、2,006億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の増加222億円等に対し、子会社株式売却益160億円等により、資金の収入が前連結会計年度に比べ77億円減少し、1,505億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が41億円増加したこと等に対し、子会社の売却による収入184億円等により、資金の支出は前連結会計年度と比べ145億円減少し、424億円の支出となりました。フリーキャッシュフローは1,081億円の収入となり、前連結会計年度から68億円増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は短期借入金及びコマーシャル・ペーパー、長期借入金、社債の減少による支出413億円等に対し、当連結会計年度は長期借入金の減少372億円等により、資金の支出は前連結会計年度と比べ39億円減少し、922億円の資金の支出となりました。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資、有利子負債の返済及び運転資金等です。当社グループは資金の流動性確保のため、市場環境や長短のバランスを勘案して、銀行借入やリース等による間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等の直接調達を行い、資金調達手段の多様化を図っています。
また、事業活動等により創出したキャッシュ・フローに加えて、金融機関より随時利用可能な信用枠を確保しており、資金需要に対応しています。
なお、今後予定されている設備投資に係る資金需要の主なものは、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」をご覧ください。
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