【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に弱まり、経済社会活動の正常化が進む中で、景気に持ち直しの動きがみられました。一方、先行きは、ウクライナ情勢の長期化、原材料・エネルギー価格や為替相場の急激な変動により、不透明な状況にあります。
このような環境下におきまして、当連結会計年度における当社グループの業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
前期
当期
増減
増減率
売上高
821,565
906,025
84,460
10.3%
営業利益
34,114
7,396
△26,717
△78.3%
売上高営業利益率
4.2%
0.8%
△3.3%
-
経常利益
45,712
13,770
△31,941
△69.9%
特別利益
18,426
-
△18,426
-
特別損失
4,046
-
△4,046
-
親会社株主に帰属する当期純利益
44,422
10,363
△34,058
△76.7%
売上高は、夏場の猛暑の影響などにより、飲料缶や飲料用ペットボトルなどの包装容器の販売が増加したほか、車載用二次電池向け鋼板の販売が好調に推移したことに加え、海洋プラスチックごみ問題を背景としたプラスチック容器から他素材の容器へシフトする流れを受け、世界的に旺盛な飲料缶需要が継続したことにともない製缶・製蓋機械の販売が増加したことや、原材料価格等の高騰分の転嫁を行ったことなどにより、9,060億25百万円(前期比10.3%増)となりました。利益面では、原材料・エネルギー価格等の高騰に対して売価転嫁やコストダウンに努めたものの、営業利益は73億96百万円(前期比78.3%減)に留まりました。経常利益は、持分法投資利益の減少などにより、137億70百万円(前期比69.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は103億63百万円(前期比76.7%減)となりました。
各セグメントの営業の概況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
報告セグメント等
売上高(外部顧客)
営業利益
前期
当期
増減
増減率
前期
当期
増減
増減率
包装容器事業
500,395
544,401
44,006
8.8%
11,282
△10,765
△22,047
-
エンジニアリング・充填・物流事業
167,113
198,373
31,260
18.7%
9,927
8,768
△1,159
△11.7%
鋼板関連事業
75,077
86,512
11,434
15.2%
2,680
4,653
1,972
73.6%
機能材料関連事業
48,594
45,729
△2,865
△5.9%
5,378
2,025
△3,353
△62.3%
不動産関連事業
7,976
7,734
△242
△3.0%
4,742
4,276
△465
△9.8%
その他
22,408
23,274
865
3.9%
1,890
482
△1,408
△74.5%
調整額
-
-
-
-
△1,787
△2,044
△256
-
合計
821,565
906,025
84,460
10.3%
34,114
7,396
△26,717
△78.3%
〔包装容器事業〕
売上高は5,444億1百万円(前期比8.8%増)となり、営業損失は107億65百万円(前期は112億82百万円の営業利益)となりました。
a)金属製品の製造販売
国内において、ビール向けの空缶でお得意先の製品リニューアルがあったことや炭酸飲料向けの空缶で新規受注があったことに加え、タイにおいて、ビールや健康飲料向けの空缶が増加したほか、国内・海外において原材料価格等の高騰分の転嫁を行ったことなどにより、売上高は前期を上回りました。
b)プラスチック製品の製造販売
食品や洗剤向けなどの一般プラスチックボトルは前期並となりましたが、お茶類向けなどのペットボトル・キャップが、お得意先における販売促進キャンペーンや夏場の猛暑の影響により増加したことに加え、米飯向けのトレー・カレー向けのパウチやコーヒーショップ向けのコップが伸長したほか、原材料価格等の高騰分の転嫁を行ったことにより、売上高は前期を上回りました。
c)紙製品の製造販売
新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした行動制限が緩和されたことにより、イベント・レジャー向けやコーヒーショップ向けのコップなどが増加したほか、原材料価格等の高騰分の転嫁を行ったことにより、売上高は前期を上回りました。
d)ガラス製品の製造販売
新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした行動制限が緩和されたことにより、飲食店向けで清酒用のびん製品やジョッキなどのハウスウエア製品が増加したほか、原材料価格等の高騰分の転嫁を行ったことにより、売上高は前期を上回りました。
〔エンジニアリング・充填・物流事業〕
売上高は1,983億73百万円(前期比18.7%増)となり、営業利益は87億68百万円(前期比11.7%減)となりました。
a)エンジニアリング事業
海洋プラスチックごみ問題を背景とした、プラスチック容器から他素材の容器へシフトする流れを受け、世界的に旺盛な飲料缶需要が継続したことにともない、海外向けの製缶・製蓋機械の販売が好調に推移したことに加え、為替の影響により、売上高は前期を大幅に上回りました。
b)充填事業
国内において、飲料製品の受託充填事業を営むTOYO PACK KIYAMA株式会社を当連結会計年度より連結子会社に追加したほか、タイにおいて、果汁飲料の充填品が増加したことにより、売上高は前期を上回りました。
c)物流事業
貨物自動車運送業および倉庫業などの売上高は、前期を下回りました。
〔鋼板関連事業〕
売上高は865億12百万円(前期比15.2%増)となり、営業利益は46億53百万円(前期比73.6%増)となりました。
鋼板関連事業の売上高は、販売数量が減少しましたが、原材料価格等の高騰分の転嫁を行ったほか、為替の影響により前期を上回りました。
電気・電子部品向けでは、車載用二次電池材が増加しました。
自動車・産業機械部品向けでは、駆動系部品材が減少しました。
建築・家電向けでは、バスルーム向け内装材が増加しました。
〔機能材料関連事業〕
売上高は457億29百万円(前期比5.9%減)となり、営業利益は20億25百万円(前期比62.3%減)となりました。
磁気ディスク用アルミ基板では、データセンター向けのハードディスク用途で販売数量が減少したことにより、売上高は前期を下回りました。
光学用機能フィルムでは、フラットパネルディスプレイの市況悪化の影響を受け、売上高は前期を下回りました。
その他、顔料が増加しました。
〔不動産関連事業〕
オフィスビルおよび商業施設等の賃貸につきましては、売上高は77億34百万円(前期比3.0%減)となり、営業利益は42億76百万円(前期比9.8%減)となりました。
〔その他〕
自動車用プレス金型・機械器具・硬質合金および農業用資材製品などの製造販売、石油製品などの販売および損害保険代理業などにつきましては、売上高は232億74百万円(前期比3.9%増)となり、営業利益は4億82百万円(前期比74.5%減)となりました。
所在地別セグメントの業績は、次のとおりであります。
日本では、売上高は6,994億16百万円(前期比6.3%増)、営業損失は64億82百万円(前期は182億40百万円の営業利益)となりました。
アジア(タイ、中国、マレーシアなど)では、売上高は738億80百万円(前期比20.9%増)、営業利益は57億16百万円(前期比29.8%減)となりました。
その他(米国など)では、売上高は1,327億29百万円(前期比29.2%増)、営業利益は78億76百万円(前期比3.5%増)となりました。
資産、負債および純資産の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、1兆1,652億16百万円となりました。売上債権や棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ829億34百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債は、4,938億78百万円となりました。借入金や仕入債務の増加などにより前連結会計年度末に比べ758億87百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産は、6,713億38百万円となりました。配当金の支払いなどにより減少しましたが、円安影響による為替換算調整勘定の増加などにより前連結会計年度末に比べ70億46百万円の増加となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の58.9%から55.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて258億73百万円減少し、946億3百万円(前期比21.5%減)となりました。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
税金等調整前当期純利益が137億70百万円、減価償却費529億35百万円、売上債権の増加による資金の減少259億96百万円、棚卸資産の増加による資金の減少340億59百万円、法人税等の支払額204億68百万円などにより、当連結会計年度における営業活動による資金の減少は188億61百万円(前期は754億15百万円の増加)となりました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
包装容器事業での設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出が632億17百万円あったことなどにより、当連結会計年度における投資活動による資金の減少は570億38百万円(前期比110.0%増)となりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
短期借入金の借入による収入(純額)が156億8百万円、長期借入れによる収入が801億0百万円、長期借入金の返済による支出が327億11百万円、配当金の支払いが198億31百万円あったことなどにより、当連結会計年度における財務活動による資金の増加は415億28百万円(前期は421億86百万円の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
包装容器事業
531,013
109.8
エンジニアリング・充填・物流事業
191,901
176.4
鋼板関連事業
85,382
118.1
機能材料関連事業
44,147
95.7
報告セグメント計
852,445
120.0
その他
18,497
94.4
合計
870,943
119.3
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.不動産関連事業は、生産形態をとらない事業活動のため記載しておりません。
b)受注実績
エンジニアリング・充填・物流事業、鋼板関連事業、機能材料関連事業およびその他のうち、受注生産によるものについての当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高
(百万円)
前期比(%)
エンジニアリング・充填・物流事業
88,129
54.3
130,858
87.3
鋼板関連事業
81,689
107.1
16,147
99.0
機能材料関連事業
29,259
82.8
1,782
55.8
その他
15,661
81.5
9,215
83.4
合計
214,739
73.2
158,004
87.5
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.エンジニアリング・充填・物流事業の金額は、包装容器関連設備の製造販売の一部に係るものであります。
3.包装容器事業は、事業の形態から受注実績と販売実績がほぼ同様のため記載しておりません。
4.不動産関連事業は、受注形態をとらない事業活動のため記載しておりません。
c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
包装容器事業
544,401
108.8
エンジニアリング・充填・物流事業
198,373
118.7
鋼板関連事業
86,512
115.2
機能材料関連事業
45,729
94.1
不動産関連事業
7,734
97.0
報告セグメント計
882,751
110.5
その他
23,274
103.9
合計
906,025
110.3
(注)販売高には、他からの購入品の販売が含まれており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績及びセグメントごとの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標、達成状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ)主要な資金需要および財源
翌連結会計年度の当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用ならびに当社グループの設備新設、改修等にかかる投資であります。
また、成長市場に向けた国内・海外事業への投資および事業構造改革投資をM&Aなどの形態と組み合わせて行うことを検討しております。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行等による資金調達を主な財源として対応いたします。
安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題として認識しており、主要な取引先金融機関に対して適時適切な情報開示を行うことにより、良好な取引関係を維持しております。
加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。
ⅱ)資金の流動性
手許の運転資金につきましては、当社および一部を除く国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。現在、手許キャッシュは、突発的な資金需要に対応するため売上高の1ヵ月から2ヵ月分の水準を保持しており、今後もこの水準で運営していく予定です。さらに、これを上回る突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。
当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
③重要な会計方針の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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