【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限の緩和や政府による観光支援策の効果により経済活動に回復の兆しが見え始めた一方で、エネルギー・原材料価格の高騰や急激な円安により、消費者の生活防衛意識が高まる先行き不透明な状況が続いております。
当社が属するパソコン市場においては、コロナ禍に需要拡大した一般用途パソコンの反動減の影響を受けております。一方でeスポーツ向けゲーミングパソコン、ゲーミングデバイス及びゲーミングチェア等の販売は好調に推移しました。特にハイスペックで高単価な商品の人気が高く、平均単価が上昇したパソコン本体の売上高は前事業年度を超える実績となりました。
また、顧客ニーズに合わせたサポート事業については、これまでの初期設定を中心とした作業は引き続き好調に推移しております。加えてお客様のご自宅にお伺いし、設定作業を行う出張サポートの需要も高く、これらは収益向上に貢献しております。
その他にも、静岡県内においては県立高等学校生徒向けのパソコン販売に取り組みました。導入元年ともいえる当事業年度において、地域に根差した当社への信頼から多数の県立高等学校の導入支援を実践することができました。
一方、前事業年度に好調であったグラフィックボードはマイニング等のニーズ減退、またコロナ禍に販売好調であった液晶ディスプレイや無線ルーター等周辺機器の反動減、及びサプライ品等の値上げに伴う販売数量減が大きく売上高を減少させました。
バイク事業においては、前事業年度に好調であったヘルメットの販売が低迷したこと及び高単価なツーリング中に仲間と会話できるバイク用インカムの供給が不安定であったこと等の影響により売上高は減少しました。また、インターネット通信販売に売上が移行したことで、店頭販売の売上高は減少しました。
インターネット通信販売事業においては、バイク用品の販売が好調を維持して売上高を大幅に伸ばしました。その他、ゲーミング用のマウスやキーボード等の周辺機器が店頭と同様に人気が高い状況が続いております。その結果、当社e-zoa楽天市場店が「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2022」のジャンル賞(エンタメ・家電部門)を受賞しました。
不動産事業においては、従来からのテナント収入に加え、新たに取得した不動産の”バリューアップ販売”の取り組みがスタートしました。
経費につきましては、インターネット通信販売事業の売上増加に伴い荷造運賃費及び支払手数料が増加しておりますが、それに見合う売上高の増加が図られております。また、エネルギー価格の高騰により光熱費が増加しました。
以上の結果、当事業年度の業績については、売上高9,726,733千円(前期比1.2%増)、経常利益545,206千円(前期比6.7%増)、当期純利益372,881千円(前期比7.7%増)となりました。
セグメント別の売上高は次のとおりであります。
1.小売事業
・小売事業全体の売上高は9,488,464千円(前期比1.0%減)、粗利は2,510,254千円(前期比5.0%増)となりました。各事業ごとの実績は次のとおりであります。
・パソコン事業の売上高は5,546,772千円(前期比6.1%減)、粗利は1,723,497千円(前期比3.0%増)となりました。前述要因による反動減のために減収となりましたが、ゲーミングパソコンやサポート事業を強化したことにより増益となりました。
・バイク事業の売上高は286,594千円(前期比13.3%減)、粗利は110,386千円(前期比3.9%減)となりました。バイク用品の販売の軸足を店頭販売から通信販売に切り替えたことで、減収減益となりました。
・インターネット通信販売事業の売上高は3,655,097千円(前期比9.1%増)、粗利は676,370千円(前期比12.2%増)となりました。前述のバイク用品伸長、AmazonFBA、楽天での販促施策による取り組みにより増収増益となりました。
2.不動産事業
・不動産事業の売上高は238,268千円(前期比797.8%増)、粗利は44,952千円(前期比69.4%増)となりました。当事業年度から新たに始めた不動産販売事業の実績が計上され、前事業年度から大きく増収増益となりました。
当社の小売事業セグメントの品目別業績を示すと次のとおりであります。
(パソコン本体系商品)
パソコン本体におきましては、前期のコロナ特需の反動減により市場全体が落ち込む中、eスポーツ市場の拡大によりゲーミングパソコンの販売が増加しました。
以上の結果、パソコン本体系商品分野の売上高は2,044,497千円(前年同期比5.5%増)となりました。
(周辺機器)
周辺機器におきましては、前期にコロナ禍でニーズが高かったネットワーク機器や液晶ディスプレイ等が反動減で販売減少に転じました。加えて半導体不足によるメーカーからの商品調達が不安定であった影響もあり、売上高を伸ばすことができませんでした。様々な新規カテゴリの商品展開を実施することで売上高向上に取り組みましたが、これらの落ち込みをカバーするには至りませんでした。
以上の結果、周辺機器分野の売上高は893,593千円(前年同期比16.4%減)となりました。
(DOS/Vパーツ)
DOS/Vパーツにおきましては、ゲーミングパソコンの人気が高まったことで自作ユーザーが増加して販売は堅調であったものの、マイニングブームの再熱等によりグラフィックボードの販売が好調だった前期の反動減をカバーするには至りませんでした。
以上の結果、DOS/Vパーツ分野の売上高は1,248,135千円(前年同期比17.8%減)となりました。
(ソフト・サプライ)
サプライの分野におきましては、ゲーミングパソコンの人気に合わせてゲーミングパソコン向けのキーボードやマウス、チェア等のデバイスが好調に推移しました。半面、リモートワークやSNSの普及により、資料作成やプリント配布の機会が減った影響でインクや用紙等の消耗品の販売が減少しました。
以上の結果、ソフト・サプライ分野の売上高は810,377千円(前年同期比6.1%減)となりました。
(バイク関連商品)
バイク関連商品の分野につきましては、前事業年度に好調であったヘルメットの販売が低迷したこと及び高単価なツーリング中に仲間と会話できるバイク用インカムの供給が不安定であったこと等の影響により売上高は減少しました。また、インターネット通信販売に売上が移行したことで、店頭販売の売上高は減少しました。
以上の結果、バイク関連商品分野の売上高は286,594千円(前年同期比13.3%減)となりました。
(通信販売)
通信販売の分野におきましては、バイク用品の販売が好調を維持して売上高を大幅に伸ばしました。その他、ゲーミング用のマウスやキーボード等の周辺機器が店頭販売と同様に人気が高い状況が続いております。その結果、当社e-zoa楽天市場店が「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2022」のジャンル賞(エンタメ・家電部門)を受賞しました。その他、AmazonFBA、楽天での販促施策による取り組みにより売上高が増加しました。
以上の結果、通信販売の売上高は3,655,097千円(前年同期比9.1%増)となりました。
(サービス&サポート)
サービス&サポートの分野におきましては、パソコンの販売に対するサポートの添付率が増加したこと、また出張サポートの件数が増加したこと等、サポートの需要が高まったことにより、売上高は増加しました。
以上の結果、サービス&サポート分野の売上高は509,577千円(前年同期比11.9%増)となりました。
(その他)
その他には、法人向けにコピー機の販売等を実施しております。売上高は40,590千円(前年同期比35.7%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ514,927千円減少し、658,693千円(前年同期比43.9%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、43,603千円の支出超過(前年同期は65,345千円の支出超過)となりました。その主たる要因は、税引前当期純利益549,001千円を計上し、棚卸資産が411,608千円増加し、売上債権が186,202千円、仕入債務が320,232千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、90,293千円の支出超過(前年同期は111,943千円の支出超過)となりました。その主たる要因は、差入保証金の回収による収入30,360千円、有形固定資産の取得による支出118,298千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、381,030千円の支出超過(前年同期は277,705千円の支出超過)となりました。これは、長期借入れによる収入560,000千円、長期借入金の返済による支出601,670千円、自己株式の取得による支出266,657千円、配当金の支払額72,703千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.仕入実績
当事業年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前期比(%)
小売事業
7,265,566
96.4
不動産事業
316,829
-
報告セグメント計
7,582,396
100.6
その他
-
-
合計
7,582,396
100.6
(注)1.金額は、仕入価額によるものです。
2.記載金額は、千円未満を切り捨てて表示しております。
b.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
品目別
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前期比(%)
小売事業
9,488,464
99.0
不動産事業
238,268
897.8
報告セグメント計
9,726,733
101.2
その他
-
-
合計
9,726,733
101.2
(注)記載金額は、千円未満を切り捨てて表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日現在における資産・負債並びに会計期間における収益・費用に影響を与える事象に対し、当社の確かな見込み及び合理的な一定の前提による判断によって見積り及び仮定を行っている部分があります。これらの見積り及び仮定については、継続して評価を行っており、また必要に応じて見直しを行っておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお,新型コロナウイルス感染症は、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、今後の感染推移や収束時期等を予想することは極めて困難なことではありますが、政府の発表やそれに伴う報道等の様々な情報源に基づき、2024年3月期の一定期間にかけて経済活動が正常化していくとの仮定に基づき、棚卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性及び固定資産の減損等の会計上の見積りを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症拡大による当社への業績影響は軽微であり、今後の影響も限定的と考えております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ221,659千円減少し、5,152,138千円となりました。その主たる要因は、商品が287,356千円、販売用不動産が123,513千円それぞれ増加し、現金及び預金が514,927千円、売掛金が189,093千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(負債)
負債については、前事業年度末に比べ266,416千円減少し、2,677,864千円となりました。その主たる要因は、未払法人税等が29,699千円、契約負債が32,977千円それぞれ増加し、買掛金320,232千円、長期借入金が41,670千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産については、前事業年度末に比べ44,756千円増加し、2,474,274千円となり、当事業年度末における自己資本比率は48.0%、1株当たり純資産は1,978円46銭となりました。
2)経営成績
(売上高)
売上高は9,726,733千円となり、前年同期比1.2%増となりました。
その主たる要因は、通信販売及び不動産事業の売上増加によるものです。
(売上総利益)
売上総利益は2,555,207千円となり、前年同期比5.7%増となりました。
その主たる要因は、売上高の増加と売上総利益率の向上によるものです。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は2,017,235千円となり、前年同期比5.5%増となりました。なお、対売上高比率は20.7%(前事業年度19.9%)となりました。
(営業利益)
営業利益は537,972千円となり、前年同期比6.5%増となりました。また、営業利益率は5.5%(前事業年度5.3%)となりました。
(営業外収益及び営業外費用)
営業外収益は11,050千円となり、前年同期比18.4%増となりました。
営業外費用は3,815千円となり、前年同期比1.9%減となりました。
(経常利益)
経常利益は545,206千円となり、前年同期比6.7%増となりました。また、経常利益率は5.6%(前事業年度5.3%)となりました。
(当期純利益)
当期純利益は372,881千円となり、前年同期比7.7%増となりました。なお、特別利益として固定資産売却益を3,794千円計上しております。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ514,927千円減少し、658,693千円(前年同期比43.9%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、43,603千円の支出超過(前年同期は65,345千円の支出超過)となりました。その主たる要因は、税引前当期純利益549,001千円を計上し、棚卸資産が411,608千円増加し、売上債権が186,202千円、仕入債務が320,232千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、90,293千円の支出超過(前年同期は111,943千円の支出超過)となりました。その主たる要因は、差入保証金の回収による収入30,360千円、有形固定資産の取得による支出118,298千円があったこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、381,030千円の支出超過(前年同期は277,705千円の支出超過)となりました。これは、長期借入れによる収入560,000千円、長期借入金の返済による支出601,670千円、自己株式の取得による支出266,657千円、配当金の支払額72,703千円があったことによるものであります。
4)資本の財源及び資本の流動性
当社の運転資金は内部資金の活用を基本としておりますが、設備資金を中心とする事業の維持拡大のための資金として金融機関からの借入による調達も行っております。また、事業環境等の不測の変化に備え、流動性の確保のために金融機関には十分な借入枠を有しております。