【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営成績
当期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大、資源価格の高騰や物流費の高止まり、並びに従来からの半導体の供給不足等にウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱が拍車をかけたことに加えて、物価上昇による消費低迷の影響により、経済活動が停滞しました。米国経済は、資源価格の高騰等の影響によるインフレの進行に加えて、利上げペースの加速により個人消費が減速し停滞しました。欧州経済は、エネルギー価格の高騰等によるインフレやウクライナ情勢及びサプライチェーンの混乱、各国の利上げによる個人消費の低迷等の影響により減速しました。我が国経済は、感染予防対策の緩和による経済活動の正常化により緩やかに回復しましたが、各国の利上げの影響により大幅な円安が進行しました。新興国経済は、中国経済が新型コロナウイルスの感染再拡大による都市封鎖に伴う経済活動の停滞等の影響により成長ペースが鈍化し、全体として緩やかな回復に留まりました。
当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、半導体の供給不足等による自動車の生産調整、中国における都市封鎖によるサプライチェーン混乱、及び各国のインフレに伴う個人消費の低迷等の影響により減速が見られました。ライフ・インダストリー機器市場は、一部の用途において巣ごもり需要の一服により需要が減少しましたが、全体として堅調に推移しました。
このような景況下、当社グループは、「パワーウインドウ用モーター事業のシェア拡大」、「中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大」、「ライフ・インダストリー機器用分野における新用途拡販」などを課題に掲げ、取り組んでまいりました。具体的には、「パワーウインドウ用において日系大手自動車メーカー4社目向けの販売、及びEV向けで軽量・静音性に優れる当社製品の販売が拡大」、「パワーシート用において日系大手及び欧州大手のお客様より受注獲得」、「EV向けバルブ用モーターにおいて日系大手のお客様より受注獲得」、「移動体及び協調ロボット用ブラシレスモーターのラインナップ拡充による受注獲得、並びにマブチモーターエレクトロマグ製モーターによる医療用途向けの販売拡大及び工具用途での受注獲得」等、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、将来の事業成長につながる成果を上げることができました。
(売上高)
当期の連結売上高は1,567億6百万円(前期比16.4%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,566億9千6百万円(前期比16.5%増)であります。
① 自動車電装機器市場
売上高は1,170億5千6百万円(前期比19.1%増)と増加しました。中型電装用途では、パワーウインドウ及びパワーシート用は、半導体の供給不足等に伴う自動車の生産調整の影響を受けたものの円安の影響等も加わり増加しました。パーキングブレーキ用は搭載車種の拡大により増加し、中型電装全体として堅調に推移しました。小型電装用途では、ドアロック、ミラー及びエアコンダンパー用は自動車の生産調整の影響はあったものの円安の影響等により増加し、小型電装全体として増加しました。
② ライフ・インダストリー機器市場
売上高は396億3千9百万円(前期比9.2%増)と増加しました。理美容及び家電・工具・住設用は巣ごもり需要の一服により減少した一方で、健康・医療用は歯ブラシ用中高級セグメントの堅調な推移に加えて、人工呼吸器用をはじめとするマブチモーターエレクトロマグ製品の貢献により大幅に増加し、円安の影響等も加わり全体として増加しました。
(営業利益)
為替レートが前期と比べ円安で推移したことや売価・プロダクトミックスの改善等の増益要因はあったものの、販売数量の減少、市況品の上昇等の減益要因がこれを上回り、108億2千4百万円(前期比21.6%減)となりました。
(営業外収支)
営業外収支は、前連結会計年度の57億7千万円の収益(純額)から、当連結会計年度は106億4千8百万円の収益(純額)となりました。為替差益が43億7千5百万円増加したことなどによるものであります。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の5億3千1百万円の収益(純額)から、当連結会計年度は7億8百万円の損失(純額)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益が9億7千4百万円減少、また在外子会社清算に伴う為替換算調整勘定取崩益が2億8千2百万円減少しました。また、特別損失は、感染症関連損失が4億3千3百万円減少した一方、固定資産処分損が3億2千1百万円増加しました。
(法人税等及び法人税等調整額)
法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度の29.1%に対し、法人税等調整額の増加により当連結会計年度は31.2%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は142億9千5百万円(前期比0.3%増)と前期比で4千3百万円の増加となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の216.75円に対し220.79円となりました。
(セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)
セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは139億6千2百万円(前期比8.6%増)、「アジア」セグメントは768億1千7百万円(前期比11.7%増)、「アメリカ」セグメントは291億9千4百万円(前期比20.0%増)、「ヨーロッパ」セグメントは367億3千1百万円(前期比28.2%増)であります。
セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは1億2千8百万円の利益(前期比97.7%減)、「アジア」セグメントは99億8千6百万円の利益(前期比4.1%増)、「アメリカ」セグメントは2億1千万円の損失(前期は6億1千7百万円の利益)、「ヨーロッパ」セグメントは1億7千7百万円の損失(前期は8億7千2百万円の損失)、セグメント間取引消去による調整額は10億9千7百万円(前期は△10億8千1百万円)であります。
なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し131.43円であり、前連結会計年度に比べ21.63円の円安となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
a.生産実績
小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 (千個未満の端数切捨て)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
比較増減
(△は減)
数 量
構成比率
数 量
構成比率
数 量
アジア
千個
1,422,455
%
98.7
千個
1,270,103
%
97.3
千個
△152,351
アメリカ
15,233
1.0
24,309
1.9
9,075
ヨーロッパ
3,825
0.3
11,042
0.8
7,216
合 計
1,441,514
100.0
1,305,455
100.0
△136,059
(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。
b.受注状況
当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。
c.販売実績
小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。 (百万円未満の端数切捨て)
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
比較増減
(△は減)
金 額
構成比率
金 額
構成比率
金 額
自動車電装機器
百万円
98,246
%
73.0
百万円
117,056
%
74.7
百万円
18,810
ライフ・インダストリー機器
36,297
27.0
39,639
25.3
3,342
合 計
134,544
100.0
156,696
100.0
22,152
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して220億8千1百万円増加し、3,077億8千6百万円となりました。変動の大きかった主なものは、棚卸資産の増加104億7千4百万円、有形固定資産の増加66億2千5百万円、受取手形及び売掛金の増加49億3千5百万円、現金及び預金の減少23億8千8百万円等であります。
負債合計は、前連結会計年度末に対して18億1千6百万円増加し、276億1千1百万円となりました。変動の大きかった主なものは、その他の流動負債の増加14億8千9百万円、繰延税金負債の増加11億4千7百万円、未払法人税等の減少16億7千4百万円等であります。
純資産合計は、前連結会計年度末に対して202億6千5百万円増加し、2,801億7千5百万円となりました。為替換算調整勘定が160億3千1百万円増加、利益剰余金が28億4千7百万円増加しました。
自己資本比率は、前連結会計年度末の90.9%から、当連結会計年度末は91.0%となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末から22億8千3百万円減少し、1,012億5千5百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは102億6百万円の収入となり、前期に対し14億6千3百万円の増加となりました。売上債権の増加により55億5千9百万円減少したものの、棚卸資産の増加幅の減少による88億5千9百万円増加等の要因によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは104億6千8百万円の支出となり、前期に対し25億1百万円の支出減少となりました。前期に子会社株式取得として40億8千万円の支出がありましたが、当期はこのような発生がなかったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは100億8千8百万円の支出となり、前期に対し11億9千6百万円の支出減少となりました。従業員持株会信託設定に伴う借入金による収入が11億2千4百万円発生したことなどによるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。
なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金から賄っており、外部調達はありません。
(5)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としており、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
しかしながら、これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積りにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。
(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。