【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、当社の事業はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、国内における入国制限の緩和など各種政策の効果により持ち直しの動きが続いている一方で、世界各国の中央銀行による相次ぐ政策金利の引き上げに加え、長期化の様相を呈するウクライナ紛争などの国際情勢不安も重なり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。このような経営環境のもと、当社が事業を展開するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)市場及びデジタル関連IT&ビジネスコンサルティング市場においては、コロナ禍における新たなライフスタイルの確立や消費活動のオンライン化が加速したことによって、消費者のメディア接点の多様化がよりいっそう進み、これらに対応するためのデジタルシフトをはじめとしたDXへの取り組みが多くの企業において活発なものとなっており、高成長が期待される市場として注目されております。このような状況の中、当社では前事業年度に引き続き、CX向上SaaSとして主に、クライアント企業のウェブサイトにおける顧客体験を向上し、顧客のロイヤルカスタマー化及び継続的な購買活動を促進するソリューションを提供し、これらのSaaSに加えて、長年にわたり蓄積されたCXデータとDXコンサルティングの知見を基礎に、クライアント企業が属する市場や競合の調査・DX戦略設計・マーケティングプラン策定・施策実行におけるコンサルティング及び伴走型支援等を広く提供してまいりました。また、当社の提供プロダクト及びサービスの拡大とCXデータの質及び量の増強を図り、競争力をより高めることを目的として、2022年2月に株式会社コミクスよりSaaS事業の譲受、9月にブルースクレイ・ジャパン株式会社よりSaaS事業の譲受、11月にメディアリンク株式会社が運営するSaaS型ウェブチャットシステム「sinclo」に関する事業のうちマーケティング用途を主とした事業の譲受、12月にhachidori株式会社が運営するSaaS事業の譲受をそれぞれ実行いたしました。この結果、当事業年度の経営成績は、譲受事業の顧客において当社既存サービスの提供を行うことによるシナジー効果等も寄与し、CX SaaS及び付随するプロフェッショナルサービス、DXコンサルティング案件の受注は順調に推移し、売上高1,071,926千円(前年同期比62.3%増)、営業利益230,745千円(前年同期比43.9%増)、経常利益225,934千円(前年同期比51.2%増)、当期純利益194,170千円(前年同期比27.5%増)となりました。
② 財政状態の状況(資産)当事業年度末における資産合計は、2,863,921千円(前事業年度末843,306千円)となり、前事業年度末に比べ2,020,614千円の増加となりました。このうち、流動資産は1,359,306千円(前事業年度末752,633千円)となり、606,673千円の増加となりました。この主な要因は、現金及び預金が376,385千円、売掛金が88,655千円、未収入金が114,665千円それぞれ増加したことなどによるものです。また、固定資産は1,504,614千円(前事業年度末90,673千円)となり、1,413,940千円の増加となりました。この主な要因は、事業譲受に伴いのれんが941,344千円、繰延税金資産が424,196千円増加したことなどによるものです。
(負債)当事業年度末における負債合計は、2,133,960千円(前事業年度末351,455千円)となり、前事業年度末に比べ1,782,505千円の増加となりました。このうち、流動負債は1,048,884千円(前事業年度末205,609千円)となり、843,275千円の増加となりました。この主な要因は、買掛金が63,836千円、短期借入金が450,000千円、1年内返済予定の長期借入金が324,157千円それぞれ増加したことなどによるものです。また、固定負債は新規の借入に伴い939,230千円増加し、1,085,076千円(前事業年度末145,846千円)となりました。
(純資産)当事業年度末における純資産合計は、729,960千円(前事業年度末491,851千円)となり、前事業年度末に比べ238,108千円の増加となりました。この主な要因は、当期純利益の計上等によって利益剰余金が193,782千円増加したことや、第三者割当増資による新株式の発行によって資本金及び資本剰余金がそれぞれ22,207千円増加したことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末比で376,385千円増加し、977,962千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、58,380千円となりました(前事業年度は102,924千円の収入)。主なキャッシュ・フローの増加要因としては、税引前当期純利益218,531千円、仕入債務の増加額63,836千円、のれん償却費23,824千円、などによるものです。また、主なキャッシュ・フローの減少要因としては、未収入金の増加額114,665千円、売上債権の増加額104,030千円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における投資活動の結果支出した資金は、1,441,194千円となりました(前事業年度は16,467千円の支出)。これは主に、事業譲受による支出1,403,075千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における財務活動の結果得られた資金は、1,756,817千円となりました(前事業年度は189,174千円の収入)。これは、長期借入金の返済による支出84,613千円があったものの、長期借入れによる収入1,348,000千円、短期借入金の純増減額450,000千円、株式の発行による収入44,225千円などがあったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当社は、DXの領域における各種サービスを主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。
b 受注実績当社は、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c 販売実績当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
販売高(千円)
前年同期比(%)
DX事業
1,071,926
162.3
合計
1,071,926
162.3
(注) 1.当社の事業区分は「DX事業」の単一セグメントであります。2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
55,288
8.4
200,577
18.7
株式会社リヴァンプ
96,528
14.6
109,944
10.3
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、以下の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産) 当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損) 当社は固定資産について、減損の兆候があり、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針です。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当事業年度における売上高は1,071,926千円(前事業年度比62.3%増)となりました。これは主に、高単価の案件受注の増加や、事業譲受による提供サービスの増加に伴い顧客数が増加したことなどによるものであります。b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は452,760千円(前事業年度比77.7%増)となりました。これは主に、顧客及び受注案件数の増加に伴い人件費及びアウトソース活用が増加したことによるものであります。結果として、売上総利益は619,165千円(前事業年度比52.6%増)となりました。c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は388,420千円(前事業年度比58.3%増)となりました。この結果、営業利益は230,745千円(前事業年度43.9%増)となりました。これは主に、事業拡大に伴い新たな人員を採用したこと、人員増加に伴うオフィス移転により事業所費用が増加したことなどによるものであります。
d.経常利益
当事業年度において営業外収益が6,369千円(前事業年度は営業外収益1,271千円)、営業外費用が11,180千円(前事業年度は営業外費用12,205千円)発生しております。これは主に、新規借入の増加に伴う支払利息の増加などによるものであります。この結果、経常利益は225,934千円(前事業年度比51.2%増)となりました。
e.当期純利益
当事業年度において特別損失が7,403千円(前事業年度は未発生)発生しております。これは、本社移転に伴う移転費用として、有形固定資産の減価償却費及び旧本社の原状回復費用などを計上したことによるものです。また、法人税等合計24,361千円を計上した結果、当期純利益は194,170千円(前事業年度比27.5%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社では、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、客観的な経営指標として売上高及び営業利益を重視しております。当該指標につきましては、第16期事業年度(2021年12月期)は売上高660,569千円、営業利益160,400千円、第17期事業年度(2022年12月期)は売上高1,071,926千円、営業利益230,745千円となっております。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性について
当社の資金需要が生じるものとしては、人件費、広告宣伝費、地代家賃等の運転資金のほか、事業拡大に伴う採用活動のための採用費やプロダクトの開発費であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
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