【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大と縮小を繰り返しつつも、行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進む中で、緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、欧州を中心とする地政学リスクの顕在化や、半導体等の部品供給の不足により生産活動に制限が加わるほか、原油等の資源・素材価格の高騰、急激な円安による物価上昇が留まる兆しが見えず、引き続き先行きが不透明な状況になっております。
このような経済情勢の下、当社グループは、解体事業を核とした工事現場から発生するスクラップの買取り、産業廃棄物収集運搬及び中間処理までを一貫して完結する「ワンストップ・サービス」を強みとした営業展開を強化させるとともに、業務の効率化を中心とした費用削減の取組みを進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は7,961,663千円(前期比5.6%減)、営業利益は486,527千円(同38.2%減)、経常利益は525,729千円(同35.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は346,498千円(同32.0%減)となりました。
各セグメント別の状況は以下のとおりです。
<解体事業>
解体工事については、完工件数は226件とやや増加しましたが、そのうち大型案件は10件となり前連結会計年度を下回りました。前連結会計年度は高利益率の大型案件の収益が相次いで認識されましたが、当連結会計年度は新しい地域・業種の解体案件に参入するために利幅を抑えた受注を行ったこと及び一時的に進行中の案件数が低水準となったため見積り時に想定したよりも配分される間接費割合が増加したことにより利益率が低下しました。
これらの結果、売上高は1,293,231千円(前期比31.6%減)、営業利益は72,357千円(同77.8%減)となりました。受注残高につきましては、従来開示しておりました完成基準にて集計した場合、536,845千円となり、またこのうち工事の進捗度に応じてすでに売上計上された部分を除いた受注残高は487,607千円となりました。
<環境事業>
産業廃棄物処理受託の取扱量は22,067トンと軟調に推移し、再生資源販売の取扱量は14,625トンと堅調に推移しました。世界的な半導体不足、物価上昇及び国際紛争等を背景とする経済の停滞を受け、企業の生産活動由来の廃棄物の発生が減少したことにより廃棄物の取扱量が減少しました。相場が伸長したことで再生資源販売は堅調でしたが廃棄物処理受託は取扱量の減少のほか、新収益認識基準の適用による影響もあり減収となりました。
これらの結果、売上高は1,725,941千円(前期比3.8%減)、営業利益は146,050千円(同33.0%減)となりました。
<金属事業>
スクラップの取扱量は59,415トンと軟調に推移しました。鉄スクラップ等の相場については、当連結会計年度の上期に一時高水準となった後、下期には概ね横這いとなりましたが、平均単価で前連結会計年度を上回ったことで、新収益認識基準の適用に伴う売上高の減少をカバーし増収となりました。また、スクラップの処理工程の改善により、雑品類から高品位のスクラップを取り出すことができるようになったことが増益に寄与しました。
これらの結果、売上高は4,942,491千円(前期比4.1%増)、営業利益は268,119千円(同10.3%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は5,322,215千円となり、前連結会計年度末に比べて439,525千円減少しました。流動資産は、未成工事支出金の減少等により、前連結会計年度末に比べて259,389千円減少の2,910,078千円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べて180,135千円減少の2,412,136千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債は1,515,298千円となり、前連結会計年度末に比べて627,949千円減少しました。流動負債は、未払法人税等が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べて525,693千円減少の1,079,364千円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べて102,255千円減少の435,934千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べて188,424千円増加し、3,806,916千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ161,634千円減少し1,769,016千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は338,662千円(前期は795,971千円の収入)となりました。これは主に、資金の増加として、税金等調整前当期純利益535,068円、減価償却費203,132千円、売上債権の減少額227,564千円等があった一方、資金の減少として、法人税等の支払額373,354千円、契約負債の減少額75,763千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は200,278千円(前期は100,477千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出159,529千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は300,018千円(前期は241,915千円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入100,000千円、長期借入金の返済による支出229,842千円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
環境事業(千円)
1,393,253
104.1
金属事業(千円)
3,558,013
119.4
合計
4,951,267
114.7
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.解体事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
解体事業
受注高(千円)
1,201,525
67.5
受注残高(千円)
487,607
63.2
(注)環境事業及び金属事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
解体事業(千円)
1,293,231
68.4
環境事業(千円)
1,725,941
96.2
金属事業(千円)
4,942,491
104.1
合計
7,961,663
94.4
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社ナベショー
2,047,016
24.3
2,168,681
27.2
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであ
ります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき継続的に見積りを行っております。
工事請負契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しています。当該収益の認識にあたり適切に見積りを行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関しては、繰延税金資産について、将来の回収可能性を慎重に検討して計上しており、また、固定資産について、資産グループの営業活動から生ずる損益等を勘案して減損の兆候を慎重に検討しています。
③経営成績の分析
イ.当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」をご参照ください。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金需要)
運転資金、設備投資、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当金の支払い等に資金を充当しており、必要とする資金は、営業活動によるキャッシュ・フローにより調達しております。
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により、成長を維持するために将来必要な資金を調達することが可能と考えております。
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