【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染者数が夏期に増加をみせたものの、それ以降は下降トレンドとなり、行動制限等が撤廃または緩和され、人流が回復したことにより、経済活動は徐々に正常化に向かいました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料及びエネルギー価格の上昇や、世界的なインフレ率の上昇、当期初から続く円安、労働人口の減少等による人件費の上昇等、様々な不安定要素が混在している状況が継続しております。
当社グループの属する外食産業について、国内においては、2022年3月以降、新型コロナウイルス感染症にかかる、まん延防止等重点措置による営業時間短縮等の規制がなかったこと、入国規制の緩和等がある一方で、原材料及びエネルギー価格の上昇や人件費の上昇、当期初から続く円安等、引き続き厳しい経済状況にあります。海外においては、新型コロナウイルス感染症について、経済活動の正常化を考慮した規制緩和が進み、一定程度の回復に向かっている国や地域がある一方で、感染者増加に伴いロックダウンを実施し、経済活動が停滞する国や地域に分かれております。さらには、上述の地政学的な不安定要素並びに厳しい経済環境において、原材料及びエネルギー価格の高騰が懸念され、引き続き注視が必要な状況にある点は国内と同様であります。
このような状況のもと、当社グループでは、「変わらないために、変わり続ける」という企業理念に基づき、国内においては、新規に14店舗を出店し、さらに植物由来の原材料のみを使用するプラントベース商品をレギュラーメニューとした一風堂新宿ルミネエスト店をリニューアルオープンしたことに加え、入国規制の緩和に伴って、2022年4月より一風堂成田空港店の営業を再開しております。一方で不採算店舗を12店舗閉店いたしました。国内及び海外店舗において、モバイルオーダーやタブレットオーダーの導入等、DX施策の推進に取り組んでコストを削減し、季節商品や地域限定商品の提供に注力し、売上を増加させました。さらに、原材料及びエネルギー価格の上昇への対応として、価格改定を実施し、利益を確保いたしました。
海外においては、新型コロナウイルス感染症にかかる規制緩和後の客数の回復が国内に比べて非常に早かったと同時に、前述の施策効果が大きかったこと、さらに当期初より続く為替の影響により、大幅な増収増益となりました。
商品販売につきましては、国内では、一風堂関連商品の、B2B営業の強化を実施したほか、新たな取り組みとして、Yo-Kai Express Inc.による米国発のラーメン自動調理機「Yo-Kai Express」事業の国内展開に参画しております。また海外では、食の多様性に対応した「プラントベース白丸・赤丸」乾麺タイプの販売が好調に推移しております。
当第3四半期連結会計期間末の店舗数はライセンス形態での展開を含め、当社グループ合計で282店舗(国内145店舗、海外137店舗、前期末比5店舗増)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高は18,834百万円(前年同四半期比33.3%増)となりました。営業利益は1,561百万円の利益(前年同四半期比159.8%増)となりました。経常利益は1,609百万円の利益(前年同四半期比168.7%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,201百万円(前年同四半期比795.5%増)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
セグメント別の業績の概要
前連結会計年度より、事業戦略の変更に伴い、報告セグメントの見直しを行い、その他事業を国内店舗運営事業及び商品販売事業に報告セグメントの区分を変更しております。あわせて国内商品販売事業の名称を商品販売事業へ変更いたしました。以下の前期比較については、前第3四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
<国内店舗運営事業>
国内店舗運営事業につきましては、「一風堂」ブランドにおいて13店舗、「因幡うどん」ブランドにおいて1店舗出店した一方で、「一風堂」ブランドにおいて7店舗、「RAMEN EXPRESS」ブランドにおいて2店舗、「名島亭」ブランドにおいて2店舗、「因幡うどん」ブランドにおいて1店舗閉店したことから、当第3四半期連結会計期間末における店舗数は145店舗(前期末比2店舗増)となりました。また、「RAMEN EXPRESS」2店舗について「一風堂」への業態変更を行っております。
2022年3月以降、新型コロナウイルス感染症にかかる、まん延防止等重点措置による営業時間短縮等の規制がなかったものの、7月下旬から8月末にかけての感染者数の増加や、夜間並びに深夜時間帯の客足は充分に回復していないことから、売上は緩やかな回復に留まりました。このような状況のもと、新規に14店舗を出店した他、不採算店舗の戦略的閉店を12店舗行いました。また、モバイルオーダー及び卓上タブレットオーダー、食券機の導入による生産性の向上を引き続き図っております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、8,441百万円(前年同四半期比7.1%増)となりました。セグメント利益は、前期に実施した店舗運営・管理業務のシステム化の継続と改善や不採算店舗の閉店等の各種コスト削減施策を講じたことが奏功し、490百万円(前年同四半期比18.7%増)となりました。
<海外店舗運営事業>
海外店舗運営事業につきましては、シンガポールに1店舗、オーストラリアに3店舗、台湾に2店舗、タイに2店舗、インドネシアに2店舗、マレーシアに1店舗出店した一方で、アメリカで1店舗、中国で6店舗、フィリピンで1店舗閉店したことから、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は137店舗(前期末比3店舗増)となりました。
当第3四半期連結累計期間の当セグメントにおける対象期間(2022年1月1日から2022年9月30日まで)の状況は、感染拡大により客数減少が、1月と2月にアメリカとオーストラリアで、4月と5月に台湾で発生したものの、その後は客数が急速に回復し、当セグメントの売上は好調に推移しました。しかしながら全世界的なインフレ傾向を受け、原材料価格の高騰や、賃金・物流費の上昇等、コスト面において様々な対応が求められました。このような状況のもと、当社は、提供商品の見直し、人財ディプロイメントの再構築、DX施策の導入等で、各地域の店舗運営体制の抜本的な見直しを行いました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、8,138百万円(前年同四半期比80.0%増)となりました。セグメント利益は、950百万円の利益(前年同四半期比392.1%増)となりました。
<商品販売事業>
商品販売事業につきましては、国内では、主力である一風堂関連商品の売上を強化すべく、一風堂チルド麺の導入や、新商品投入による商品ラインナップの充実、自社ECサイトにおける販促施策・小売事業者への営業に注力してまいりました。海外では「プラントベース白丸・赤丸」乾麺タイプの拡販に努めた結果、プラントベース商品の関心の高まりから、販売が好調に推移いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、2,255百万円(前年同四半期比30.8%増)、セグメント利益は、355百万円(前年同四半期比56.3%増)となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末における当社グループのセグメント別、国別、及びブランド別の店舗数の分布は下図のとおりであります。
セグメント
国名
ブランド
前期末店舗数
増減
第3四半期末店舗数
内.ライセンス
契約先
内.ライセンス
契約先
国内店舗運営事業
日本
一風堂
100
23
+8
108
23
RAMEN EXPRESS
28
–
-4
24
–
因幡うどん
9
–
–
9
–
その他
6
–
-2
4
–
国内小計
143
23
+2
145
23
海外店舗運営事業
アメリカ
IPPUDO
7
–
–
7
–
その他
5
–
-1
4
–
シンガポール
IPPUDO
9
–
+1
10
–
IPPUDO EXPRESS
2
–
–
2
–
中国(含む香港)
IPPUDO
28
28
-6
22
22
台湾
IPPUDO
12
–
+2
14
–
IPPUDO EXPRESS
3
–
–
3
–
オーストラリア
IPPUDO
7
2
+3
10
3
その他
2
–
–
2
–
マレーシア
IPPUDO
10
10
+1
11
11
タイ
IPPUDO
19
19
+2
21
21
フィリピン
IPPUDO
11
11
-1
10
10
インドネシア
IPPUDO
6
–
+2
8
–
イギリス
IPPUDO
4
–
–
4
–
フランス
IPPUDO
3
–
–
3
–
ミャンマー
IPPUDO
2
2
–
2
2
ベトナム
IPPUDO
2
2
–
2
2
ニュージーランド
IPPUDO
2
2
–
2
2
海外小計
134
76
+3
137
73
全社合計
277
99
+5
282
96
(3)財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,374百万円増加し17,645百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,491百万円増加したこと、受取手形及び売掛金が386百万円増加したこと、出店等により有形固定資産が267百万円増加したこと、資本提携により投資有価証券が126百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,176百万円減少し10,294百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が278百万円増加したこと、有利子負債が1,375百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ3,550百万円増加し7,350百万円となり、自己資本比率は41.7%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金が1,201百万円増加したこと、新株予約権の行使により資本金が976百万円増加したこと、資本剰余金が972百万円増加したこと等によるものであります。