【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年9月30日まで)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染者数が高止まりしつつも、従来の経済活動の再開を優先し行動制限等を撤廃する国や地域がある一方で、感染者数の増加に対して様々な行動制限や対策を打ち、結果として経済活動が停滞している地域に分かれております。また、ロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料及びエネルギー価格の上昇や、世界的なインフレ率の上昇、円安の急速な進行、労働人口の減少等による人件費の上昇等、様々な不安定要素が混在している状況が継続しております。
当社グループの属する外食産業について、国内においては、2022年3月以降、新型コロナウイルス感染症にかかる、まん延防止等重点措置による営業時間短縮等の規制がなかったこと、入国規制の段階的な緩和等がある一方で、原材料及びエネルギー価格の上昇や人件費の上昇、円安の急速な進行等、引き続き厳しい経済状況にあります。海外においては、新型コロナウイルス感染症について、経済活動の正常化を考慮した規制緩和が進み、一定程度の回復に向かっている国や地域がある一方で、感染者増加に伴いロックダウンを実施し、経済活動が停滞する国や地域に分かれております。さらには、上述の地政学的な不安定要素並びに厳しい経済環境において、原材料及びエネルギー価格の高騰が懸念され、引き続き注視が必要な状況にある点は国内と同様であります。
このような状況のもと、当社グループでは、「変わらないために、変わり続ける」という企業理念に基づき、国内においては、新規に10店舗を出店し、さらに植物由来の原材料のみを使用するプラントベース商品をレギュラーメニューとした一風堂新宿ルミネエスト店をリニューアルオープンしたことに加え、入国規制の緩和に伴って、2022年4月より一風堂成田空港店の営業を再開しております。一方で不採算店舗を11店舗閉店いたしました。国内及び海外店舗において、モバイルオーダーやタブレットオーダーの導入等、DX施策の推進に取り組んでコストを削減し、季節商品や地域限定商品の提供に注力し、売上を増加させました。さらに、原材料及びエネルギー価格の上昇への対応として、価格改定を実施し、利益を確保いたしました。
海外においては、新型コロナウイルス感染症にかかる規制緩和後の客数の回復が国内に比べて非常に早かったと同時に、前述の施策効果が大きかったこと、さらに当期初より続く為替の影響により、大幅な増益となりました。
商品販売につきましては、国内では、一風堂関連商品の、B2B営業の強化を実施したほか、新たな取り組みとして、Yo-Kai Express Inc.による米国発のラーメン自動調理機「Yo-Kai Express」事業の国内展開に参画しております。また海外では、食の多様性に対応した「プラントベース白丸・赤丸」乾麺タイプの販売が好調に推移しております。
当第2四半期連結会計期間末の店舗数はライセンス形態での展開を含め、当社グループ合計で279店舗(国内142店舗、海外137店舗、前期末比2店舗増)となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高は11,691百万円(前年同四半期比33.5%増)となりました。営業利益は799百万円の利益(前年同四半期比204.3増)となりました。経常利益は929百万円の利益(前年同四半期比272.6%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は694百万円(前年同四半期比580.3%増)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
セグメント別の業績の概要
前連結会計年度より、事業戦略の変更に伴い、報告セグメントの見直しを行い、その他事業を国内店舗運営事業及び商品販売事業に報告セグメントの区分を変更しております。あわせて国内商品販売事業の名称を商品販売事業へ変更いたしました。以下の前期比較については、前第2四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
<国内店舗運営事業>
国内店舗運営事業につきましては、「一風堂」ブランドにおいて9店舗、「因幡うどん」ブランドにおいて1店舗出店した一方で、「一風堂」ブランドにおいて6店舗、「RAMEN EXPRESS」ブランドにおいて2店舗、「名島亭」ブランドにおいて2店舗、「因幡うどん」ブランドにおいて1店舗閉店したことから、当第2四半期連結会計期間末における店舗数は142店舗(前期末比1店舗減)となりました。また、「RAMEN EXPRESS」2店舗について「一風堂」への業態変更を行っております。
2022年3月以降、新型コロナウイルス感染症にかかる、まん延防止等重点措置による営業時間短縮等の規制がなかったものの、7月下旬から8月末にかけての感染者数の増加や、夜間並びに深夜時間帯の客足は充分に回復していないことから、売上は緩やかな回復に留まりました。このような状況のもと、新規に10店舗を出店した他、不採算店舗の戦略的閉店を11店舗行いました。また、モバイルオーダー及び卓上タブレットオーダー、食券機の導入による生産性の向上を引き続き図っております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、5,346百万円(前年同四半期比11.6%増)となりました。セグメント利益は、前期に実施した店舗運営・管理業務のシステム化の継続と改善や不採算店舗の閉店等の各種コスト削減施策を講じたものの、人件費やエネルギー価格の上昇、株式会社I&P RUNWAY JAPANの連結範囲からの除外等に伴う利益減少により、186百万円(前年同四半期比21.6%減)となりました。
<海外店舗運営事業>
海外店舗運営事業につきましては、シンガポールに1店舗、オーストラリアに2店舗、台湾に1店舗、タイに1店舗、インドネシアに1店舗出店した一方で、中国で2店舗、フィリピンで1店舗閉店したことから、当第2四半期連結会計期間末の店舗数は137店舗(前期末比3店舗増)となりました。
当第2四半期連結累計期間の当セグメントにおける対象期間(2022年1月1日から2022年6月30日まで)の状況は、感染拡大により客数減少が、1月と2月にアメリカとオーストラリアで、4月と5月に台湾で発生したものの、その後は客数が急速に回復し、当セグメントの売上は好調に推移しました。しかしながら全世界的なインフレ傾向を受け、原材料価格の高騰や、賃金・物流費の上昇等、コスト面において様々な対応が求められました。このような状況のもと、当社は、提供商品の見直し、人財ディプロイメントの再構築、DX施策の導入等で、各地域の店舗運営体制の抜本的な見直しを行いました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、5,012百万円(前年同四半期比65.9%増)となりました。セグメント利益は、571百万円の利益(前年同四半期比469.6%増)となりました。
<商品販売事業>
商品販売事業につきましては、国内では、主力である一風堂関連商品の売上を強化すべく、一風堂チルド麺の導入や、新商品投入による商品ラインナップの充実、自社ECサイトにおける販促施策・小売事業者への営業に注力してまいりました。海外では「プラントベース白丸・赤丸」乾麺タイプの拡販に努めた結果、プラントベース商品の関心の高まりから、販売が好調に推移いたしました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、1,331百万円(前年同四半期比40.7%増)、セグメント利益は、197百万円(前年同四半期比156.7%増)となりました。
なお、当第2四半期連結会計期間末における当社グループのセグメント別、国別、及びブランド別の店舗数の分布は下図のとおりであります。
セグメント
国名
ブランド
前期末店舗数
増減
第2四半期末店舗数
内.ライセンス
契約先
内.ライセンス
契約先
国内店舗運営事業
日本
一風堂
100
23
+5
105
23
RAMEN EXPRESS
28
–
-4
24
–
因幡うどん
9
–
–
9
–
その他
6
–
-2
4
–
国内小計
143
23
-1
142
23
海外店舗運営事業
アメリカ
IPPUDO
7
–
–
7
–
その他
5
–
–
5
–
シンガポール
IPPUDO
9
–
+1
10
–
IPPUDO EXPRESS
2
–
–
2
–
中国(含む香港)
IPPUDO
28
28
-2
26
26
台湾
IPPUDO
12
–
+1
13
–
IPPUDO EXPRESS
3
–
–
3
–
オーストラリア
IPPUDO
7
2
+2
9
3
その他
2
–
–
2
–
マレーシア
IPPUDO
10
10
–
10
10
タイ
IPPUDO
19
19
+1
20
20
フィリピン
IPPUDO
11
11
-1
10
10
インドネシア
IPPUDO
6
–
+1
7
–
イギリス
IPPUDO
4
–
–
4
–
フランス
IPPUDO
3
–
–
3
–
ミャンマー
IPPUDO
2
2
–
2
2
ベトナム
IPPUDO
2
2
–
2
2
ニュージーランド
IPPUDO
2
2
–
2
2
海外小計
134
76
+3
137
75
全社合計
277
99
+2
279
98
(3)財政状態の分析
①資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ817百万円増加し16,089百万円となりました。これは主に、現金及び預金が380百万円増加したこと、出店等により有形固定資産が270百万円増加したこと、資本提携により投資有価証券が136百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,138百万円減少し10,332百万円となりました。これは主に有利子負債が923百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,956百万円増加し5,756百万円となり、自己資本比率は35.8%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金が694百万円増加したこと、新株予約権の行使により資本金が512百万円増加したこと、資本剰余金が510百万円増加したこと等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,549百万円となり、前連結会計年度末に比べ423百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果、獲得した資金は784百万円(前第2四半期連結累計期間は412百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益944百万円の計上、減価償却費424百万円等の非資金的費用の計上があった一方で、未払金の減少443百万円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果、支出した資金は632百万円(前第2四半期連結累計期間は485百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が84百万円、敷金及び保証金の回収による収入65百万円があったものの、新規出店等に伴う有形固定資産の取得による支出536百万円、協業関係を強化するための資本提携に伴う投資有価証券の取得による支出137百万円、敷金及び保証金の差入による支出92百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果、支出した資金は15百万円(前第2四半期連結累計期間は931百万円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入で1,013百万円増加した一方で、長期借入金の返済による支出1,017百万円、社債の償還による支出7百万円があったこと等によるものであります。