【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、中国でのロックダウンや半導体不足によるサプライチェーンの混乱、原材料価格・物流費の高騰や急激な為替変動、さらにはウクライナ情勢を契機とする地政学リスクの高まりなど、厳しく不透明な環境が続きました。
このような環境の中、当社グループは、韓国を中心に電動ウォーターポンプなど電動化に対応した製品の開発を進めるなどしたほか、海外補修用部品の販売が順調に推移しました。また、原材料価格や物流費用の高騰や円安による輸入コストの上昇に対し、販売価格への転嫁を進め、生産性の改善やコスト削減などの競争力強化に努めました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が87,169百万円(前期比22.1%増)となり、韓国国内の金利情勢を受けて退職給付費用が減少した影響もあり、営業利益は2,142百万円(同86.5%増)となりました。さらに、為替相場が円安に推移したことに伴う為替差益を1,442百万円計上するなどして、経常利益は3,319百万円(同69.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,213百万円(同83.7%増)となりました。
主要な品目分類別の販売状況を説明しますと、次のとおりであります。
駆動・伝達及び操縦装置部品は、海外補修用部品市場におけるユニバーサルジョイントに加えて、韓国・中国の新車用部品市場におけるバルブスプール、等速ジョイントの販売が増加したことなどにより、売上高は40,059百万円(前期比11.3%増)となりました。
冷却装置部品は、韓国で電動ウォーターポンプの販路拡大を進めるなどしたほか、海外補修用部品市場におけるウォーターポンプの販売も増加したことなどにより、売上高は32,683百万円(同39.3%増)となりました。なお、前連結会計年度まで品目分類の名称を「エンジン部品」としておりましたが、エンジン以外を冷却する電動ウォーターポンプの比率が高まったこともあり、「冷却装置部品」に名称を変更しております。
ベアリングは、海外補修用部品市場においてハブ・ベアリングなどの取扱品目を拡大したことなどにより、売上高は13,563百万円(同24.3%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
当社は、製造、販売体制を基礎とした拠点の所在地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米国」、「韓国」、「中国」、「タイ」、「欧州」及び「豪州」の7つを報告セグメントとしております。各報告セグメントでは、自動車部品を製造、販売しております。
(a) 日本
海外における補修用部品市場での販売が増加したものの、円安による輸入コストの上昇や世界的な物流コストの高止まりの影響を受けたことなどの結果ことなどの結果、売上高19,722百万円(前期比32.1%増)、セグメント利益463百万円(同1.0%増)となりました。
(b) 米国
連結子会社のGMB NORTH AMERICA INC.において競争の厳しい米国市場で大手小売業者との取引における採算の悪化や世界的な物流コストの高止まりの影響を受けた一方で輸入関税の還付により一時的に仕入コストが改善したことなどの結果、売上高7,228百万円(同2.9%増)、セグメント損失719百万円(前期は1,186百万円の損失)となりました。
(c) 韓国
連結子会社のGMB KOREA CORP.において電動ウォーターポンプの販売が増加したことや海外補修用部品市場における取扱製品の拡大に加えて、韓国国内の金利情勢を受けて退職給付費用が減少した影響もあり、売上高50,861百万円(前期比22.3%増)、セグメント利益2,505百万円(同58.7%増)となりました。
(d) 中国
製造拠点である連結子会社3社及び調達・物流拠点の連結子会社1社において、新車用部品市場におけるウォーターポンプの販売が増加したものの、原材料価格の高騰の影響を受けたことなどの結果、売上高5,502百万円(同9.9%増)、セグメント利益192百万円(同64.2%減)となりました。
(e) タイ
タイ国内向けの販売が増加したものの、原材料価格の高騰の影響を受けたことなどの結果、売上高1,004百万円(同49.2%増)、セグメント損失244百万円(前期は94百万円の利益)となりました。
(f) 欧州
欧州の新車用部品市場においてウォーターポンプの販売が増加する一方で、ロシア拠点での事業活動の中断が続くなどした結果、売上高2,806百万円(同18.1%増)、セグメント損失79百万円(前期は76百万円の損失)となりました。
(g) 豪州
2019年に設立した新拠点において、販売活動が拡大した結果、売上高480百万円(前期比180.1%増)、セグメント利益26百万円(前期は45百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が3,075百万円(前期比48.6%増)、減価償却費が3,610百万円(同8.2%増)、仕入債務の増加額が2,203百万円(同307.2%増)、短期・長期借入金、社債、リースを合わせた有利子負債残高の増加額が523百万円(同71.9%減)となるなどの一方で、売上債権の増加額が1,292百万円(同198.6%増)、棚卸資産の増加額が1,247百万円(同73.7%減)、設備投資による有形固定資産の取得による支出が3,383百万円(同4.0%減)となったことなどの結果、期末残高は1,381百万円増加して6,348百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は3,420百万円(前期は958百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が3,075百万円(前期比48.6%増)、減価償却費が3,610百万円(前期比8.2%増)、仕入債務の増加額が2,203百万円(同307.2%増)となるなどの一方で、売上債権の増加額が1,292百万円(同198.6%増)、棚卸資産の増加額が1,247百万円(同73.7%減)となったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,150百万円(同27.7%増)となりました。これは主に、設備投資による有形固定資産の取得による支出が3,383百万円(同4.0%減)となったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は635百万円(同64.9%減)となりました。これは、短期・長期借入金、社債、リースを合わせた有利子負債残高の増加額が523百万円(同71.9%減)、リース取引に関連した前受金の増加による収入が289百万円となったことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは自動車部品のメーカーとして、自動車部品事業以外に事業の種類がないため、投資情報の有用性の観点から拠点の所在地域別セグメントに代えて、事業の種類別に記載しております。
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類の名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
自動車部品事業(千円)
55,530,154
117.0
合計(千円)
55,530,154
117.0
(注)金額は製造原価によっております。
(b)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類の名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
自動車部品事業(千円)
16,432,734
109.3
合計(千円)
16,432,734
109.3
(注)金額は仕入価格によっております。
(c)受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類の名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
自動車部品事業
83,796,403
115.8
6,328,432
81.0
合計
83,796,403
115.8
6,328,432
81.0
(注)金額は販売価格によっております。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントに代えて、製品の品目分類ごとに示すと、次のとおりであります。
品目分類の名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
駆動・伝達及び操縦装置部品(千円)
40,059,059
111.3
冷却装置部品(千円)
32,683,445
139.3
ベアリング(千円)
13,563,372
124.3
その他(千円)
863,871
83.4
合計(千円)
87,169,749
122.1
(注)1.「冷却装置部品」は前連結会計年度まで「エンジン部品」としておりましたが、エンジン以外を冷却する電動ウォーターポンプの比率が高まったこともあり、品目分類の名称を変更しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
現代トランシス株式会社
5,048,507
7.1
5,653,400
6.5
現代自動車株式会社
4,671,142
6.5
5,464,580
6.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本と なる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績
当連結会計年度における世界経済は、中国でのロックダウンや半導体不足によるサプライチェーンの混乱、原材料価格・物流費の高騰や急激な為替変動、さらにはウクライナ情勢を契機とする地政学リスクの高まりなど、厳しく不透明な環境が続きました。
このような環境の中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
売上高
当連結会計年度の売上高は、87,169百万円と前連結会計年度に比べ15,762百万円の増加となりました。これは主に、海外補修用部品市場における販売が順調に推移したことや、電動ウォーターポンプなどの拡販などによるものであります。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は2,142百万円と前連結会計年度に比べ993百万円の増加となりました。これは主に売上の増加に加え、生産性向上などのコスト削減に努めたこと、韓国における退職給付債務の数理計算上の差異によって退職給付費用が減少したことなどによるものであります。
経常利益
当連結会計年度の経常利益は3,319百万円と前連結会計年度に比べ1,365百万円の増加となりました。これは主に、営業利益の増加に加え、為替差益を1,442百万円(前期比817百万円増加)、支払利息を651百万円(前期比302百万円増加)、それぞれ計上したことなどによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,213百万円と前連結会計年度に比べ552百万円の増加となりました。これは主に、経常利益の増加に対して、米国とロシア拠点の業績悪化に伴う減損損失を164百万円計上したことなどによるものであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
また、今後の経営戦略等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(b)財政状態
資産の部
当連結会計年度末の資産合計は79,243百万円と前連結会計年度に比べ8,819百万円の増加となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が2,365百万円、棚卸資産が2,996百万円、有形固定資産が1,599百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
負債の部
当連結会計年度末の負債合計は47,236百万円と前連結会計年度に比べ6,593百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が2,979百万円、短期借入金が3,362百万円増加したことなどによるものであります。
純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は32,006百万円と前連結会計年度に比べ2,226百万円の増加となりました。これは主に、為替換算調整勘定が922百万円、非支配株主持分が1,302百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
(c)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入および社債による調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は29,321百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,348百万円となっております。
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