【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度における経営環境については、欧米諸国では景気回復が見られた一方、インフレが継続していることから、その抑制のため政策金利引き上げが続いています。日本でも新型コロナウイルス感染拡大と減少を経て景気回復基調となり、外国人入国再開によるインバウンド消費回復も徐々に進みました。一方、12月下旬にアナウンスされた日銀の金融緩和修正策は、為替や株価の大きな変動要因となりました。中国は4月の上海ロックダウンに象徴される厳格なゼロコロナ政策を継続しておりましたが、11月後半から一転してその政策を解除したため、新型コロナウイルスの感染者が急増し経済活動への悪影響が出たのち、徐々に正常化していきました。ロシアのウクライナ侵攻は依然継続しており、燃料や資材価格に引き続き影響を与えております。
為替相場は、年初から継続して円安方向に進みましたが、12月下旬に円高の方向に是正されました。
当社グループの属するエレクトロニクス産業では、リモートワークやWEB会議の普及もあり、データセンターや通信向けの需要は高水準で推移しました。一方、半導体デバイスはメモリなどの製品を中心に在庫調整局面へと突入したことに伴い、半導体製造装置の需要も年中盤までは高水準に推移したものの、後半には需要の鈍化がみられるようになりました。また、10月半ばに発表された、米国による中国への半導体技術輸出規制強化策が半導体製造装置の販売に影を落としております。
このような事業環境のなか、当社グループの半導体等装置関連事業においては、製造装置向けの真空部品、半導体製造プロセスに使用される各種マテリアル製品(石英製品・セラミックス製品・シリコンパーツ等)、半導体製造装置部品の洗浄サービス等の需要は強く、事業も好調に推移しました。
電子デバイス事業においては、サーモモジュールは、5G通信システム機器向けの高水準な需要が継続、PCR検査装置などの医療検査機器向けや半導体分野向け需要も良好な状態が年中盤まで継続しました。また、パワー半導体用基板は、電気自動車(EV)向け需要が中国を中心に引き続き旺盛な状況であり、IGBTをはじめとする一般産業用途向け需要も引き続き堅調に推移しました。
なお、経常利益は営業外の為替差益が純額で5,495百万円発生し、前年同期比で大きく増加しました。一方、前年同期は持分法適用会社の第三者割当増資に伴う9,327百万円の持分変動利益(特別利益)を計上したため、相対的に当期は特別利益が減少しております。
この結果、当連結会計年度につきましては、売上高は210,810百万円(前期比57.5%増)、営業利益は35,042百万円(前期比55.1%増)、経常利益は42,448百万円(前期比63.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は29,702百万円(前期比11.4%増)となりました。
当連結会計年度のセグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前年同期比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。
(半導体等装置関連事業)
当該事業の主な製品は、真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコンパーツ、装置部品洗浄、石英坩堝などです。
真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品は、半導体製造装置向けを中心に売上を伸ばしました。半導体製造プロセスに使用されるマテリアル製品(石英製品・セラミックス製品・シリコンパーツ等)は、年後半の調整は若干見られたものの、本年度全体としては堅調な半導体製造装置需要を背景に、各製品とも大きく売上を伸ばしました。また、石英坩堝や半導体製造装置向け部品洗浄サービスも順調に売上を伸ばしました。生産能力面でも中国常山地区で実施した第2期増産投資が完了し、7月より生産開始したことで、金属加工、石英製品の売上増に貢献しました。
この結果、当該事業の売上高は132,194百万円(前期比46.4%増)、営業利益は24,090百万円(前期比52.4%増)となりました。
(電子デバイス事業)
当該事業の主な製品は、サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体、センサなどです。
主力のサーモモジュールは、5G用の移動通信システム機器向けを中心に高水準な販売を維持し、医療向けはPCR検査装置向けが後半伸び悩んだものの全体として大きく売上を伸ばしました。パワー半導体用基板は、広範な用途に使用されるDCB基板が底堅く推移したことに加え、AMB基板の中国のEV車載向けの量産が軌道に乗り、大きく販売増となりました。また、第2四半期連結会計期間より連結化した株式会社大泉製作所のセンサの売上、利益も当セグメントに含まれております。
この結果、当該事業の売上高は53,024百万円(前期比96.2%増)、営業利益は11,178百万円(前期比67.1%増)となりました。
(その他)
「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業であり、ソーブレード、工作機械、表面処理、太陽電池用シリコン製品等の事業を含んでおります。
第2四半期連結会計期間より連結化した東洋刄物株式会社の売上、利益が、第3四半期連結会計期間よりソーブレードに含まれております。
この結果、当該事業の売上高は25,590百万円(前期比54.9%増)、営業利益は597百万円(前期比49.8%増)となりました。
b.財政状態
1) 資産
当連結会計年度末の資産は前連結会計年度末と比べ145,875百万円増加し、410,648百万円となりました。これは主に現金及び預金50,536百万円、受取手形、売掛金及び契約資産11,479百万円、有形固定資産55,526百万円の増加によるものであります。
2) 負債
負債は、前連結会計年度末と比べ57,176百万円増加し、160,991百万円となりました。これは主に社債(1年内償還予定を含む)2,658百万円、転換社債型新株予約権付社債2,134百万円が減少したものの、支払手形及び買掛金13,821百万円、短期借入金14,053百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)19,894百万円増加によるものであります。
3) 純資産
純資産は、前連結会計年度末と比べ88,699百万円増加し、249,656百万円となりました。これは主に資本剰余金21,890百万円、利益剰余金26,339百万円、非支配株主持分35,998百万円の増加によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ43,325百万円増加し、95,905百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は43,024百万円(前連結会計年度比25,190百万円増)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益42,041百万円、減価償却費12,618百万円によるものであります。支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額14,354百万円、法人税等の支払額7,003百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は68,760百万円(前連結会計年度比39,361百万円増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出56,001百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は68,718百万円(前連結会計年度比38,117百万円増)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出8,311百万円、配当金の支払額3,532百万円の一方、非支配株主からの払込みによる収入47,607百万円、長期借入れによる収入24,256百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
半導体等装置関連事業(百万円)
132,436
158.8
電子デバイス事業(百万円)
54,860
200.3
報告セグメント計(百万円)
187,296
169.1
その他(百万円)
25,587
101.7
合計(百万円)
212,884
156.6
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
半導体等装置関連事業
134,698
160.0
9,405
139.5
電子デバイス事業のうち受注生産品目
34,357
334.3
10,740
634.0
その他
26,214
104.0
1,664
160.0
合計(百万円)
195,271
163.2
21,810
230.2
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.電子デバイス事業のサーモモジュールは見込み生産を行っております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
半導体等装置関連事業(百万円)
132,194
146.4
電子デバイス事業(百万円)
53,024
196.2
報告セグメント計(百万円)
185,219
157.9
その他(百万円)
25,590
154.9
合計(百万円)
210,810
157.5
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
LAM RESEARCH CORPORATION
16,803
12.6
31,965
15.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析は「(1) 経営成績等の状況概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの売上高は210,810百万円(前連結会計年度比57.5%増)、営業利益は35,042百万円(前連結会計年度比55.1%増)、経常利益は42,448百万円(前連結会計年度比63.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は29,702百万円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。
経営成績の状況に関する認識及び分析等は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
1) 売上高
連結売上高の概要は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
2) 売上原価
売上原価は138,728百万円(前連結会計年度比62.9%増)となり、売上高に対する売上原価率は2.2ポイント増加の65.8%となりました。これは主に東洋刃物株式会社及び株式会社大泉製作所の連結子会社化に伴うプロダクトミックスの変化によるものであります。
3) 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は37,038百万円(前連結会計年度比42.0%増)となりました。これは主に事業拡大に伴う人件費、研究開発費の増加によるものであります。
4) 営業外損益
営業外収益9,872百万円(前連結会計年度比112.9%増)の主な内容は、為替差益5,495百万円、補助金収入2,626百万円によるものであります。また、営業外費用2,466百万円(前連結会計年度比98.4%増)の主な内容は、支払利息1,136百万円、持分法による投資損失610百万円によるものであります。
5) 特別損益
特別利益856百万円(前連結会計年度比90.9%減)の内容は、持分変動利益651百万円、段階取得に係る差益204百万円によるものであります。また、特別損失1,263百万円(前連結会計年度比28.5%減)の主な内容は、段階取得に係る差損702百万円、災害による損失334百万円によるものであります。
6) 法人税等合計
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた法人税等合計は7,753百万円(前連結会計年度比35.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績等の認識及び分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)
11,466
8,902
13,217
17,833
43,024
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)
△37,063
△34,472
△20,879
△29,399
△68,760
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)
34,507
17,996
21,694
30,601
68,718
現金及び現金同等物の期末残高(百万円)
31,555
23,709
30,202
52,579
95,905
自己資本比率(%)
30.3
25.5
37.8
49.5
44.7
時価ベースの自己資本比率
(%)
25.1
10.8
46.3
46.3
37.9
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
5.3
8.8
3.6
2.1
1.6
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
15.3
9.6
9.2
21.9
44.3
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、短期借入金、社債(1年内償還予定を含む)、転換社債型新株予約権付社債、長期借入金(1年内返済予定を含む)を対象としております。
2) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金、設備資金等に必要な資金は、営業キャッシュ・フローから得られる資金のほか、主に銀行等の金融機関からの借入金、社債、リースからの資金調達などで賄っており、加えて、子会社への第三者割当増資により資金調達する場合もあります。
当連結会計年度末の有利子負債(リース債務を除く)は、前連結会計年度末と比べ29,156百万円増加の66,719百万円となりました。有利子負債から現金及び預金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末と比べ21,380百万円減少し、△36,395百万円となりました。当社グループは、構築した事業基盤に基づき安定的なキャッシュ・フロー創出力を有することから、金融機関等から、必要な運転資金、設備資金を安定的に確保しております。また、当連結会計年度末では、現預金103,115百万円のほか、取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、資金の流動性を確保できているものと認識しております。
2024年3月期の投資金額は現時点では96,900百万円を予定していますが、営業キャッシュ・フローから得られる資金のほか、中国子会社への第三者割当増資、社債の発行、金融機関からの資金調達及び手許現預金等により賄う予定です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表作成に当たり、必要となる見積りに関しては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、見積りと異なる結果となる可能性があります。当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識している特に重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載したとおりであります。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年5月28日に「新中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を公表しましたが、2022年3月期は、2023年3月期の主要業績目標値を1年前倒しで達成し、過去最高の業績となったため、2022年5月30日に半導体市場が当面伸長する見通しから、2023年3月期以降の目標数値等を修正した計画を改めて公表しました。
2023年5月31日に中期経営計画の最終年度(2024年3月期)のアップデートを公表しました。2024年3月期は、売上高は、市況悪化等により主に半導体マテリアル製品(セラミックス、石英製品等)の減収を見込んでおりますが、パワー半導体用基板、石英坩堝製品の伸長により当期実績を維持する予想としております。一方、営業利益は、売上構成の変動及び減価償却費増加等により、当期実績から減益予想としております。
なお、2026年3月期に連結売上高3,600億円、連結営業利益600億円、連結当期純利益360億円を目標としております。
また、当社グループは、重要な指標として、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、株主資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)及び自己資本比率を採用しております。ROEは15%超、ROICは8%超、自己資本比率は40%超を目標としております。
当連結会計年度の計画達成状況等は以下のとおりであります。
2023年3月期
2024年3月期
中期計画
(注1)
当期実績
中期計画
(注1)
予想(注2)
売上高
1,800億円
2,108億円
2,300億円
2,200億円
営業利益
300億円
350億円
400億円
325億円
営業利益率
16.7%
16.6%
17.4%
14.8%
親会社株主に帰属する当期純利益
170億円
297億円
210億円
180億円
ROE
-
18.9%
15%超
-
ROIC
-
11.9%
8%超
-
自己資本比率
-
44.7%
40%超
-
(注1)2022年5月公表値
(注2)2023年5月公表値
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