【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが第5類へと引き下げられ、コロナ禍による経済社会活動への制約がほぼ解消され、内需を中心に景気は緩やかな回復基調を維持しました。一方で、グローバルでの地政学リスクやインフレなどによる景気減速リスクは依然として高く、さらに日本国内においては、急速な円安による経済への悪影響や物価高が懸念材料となるなど、先行きの見通しにくい経営環境が続いています。
当第2四半期連結累計期間の当社グループ主力のECサービスの属する市場環境においては、アフターコロナでの行動制限の緩和と共に外出を伴う消費行動が正常化に向かう一方で、相対的に巣ごもり需要が完全に終息したこと及び物価や電気代の上昇等が消費者の家計を圧迫している状況等から、出版流通業界全体において市場規模が前年比を大きく下回る状況が当第2四半期連結累計期間も継続している状況です。
公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所が発刊している出版指標2023年秋号によると、当第2四半期連結累計期間にあたる2023年4月~2023年9月の書籍雑誌推定販売金額は前年同期比6.2%減となっており、当社グループが属する紙コミックス市場も当第2四半期連結累計期間の前年同月比の実売金額が6か月連続でマイナス(4月は前年同期比で16%減、5月は同11%減、6月は同12%減、7月は同1%減、8月は同15%減、9月は同5%減)の状況となっております。足元での市場全体の減少幅は落ち着きつつある傾向も見受けられますが、特に当社グループは、漫画を原作とするアニメ・映画等のメディア化によるヒット作品の有無による影響を受けやすい漫画の全巻売りサービスを主力サービスとして展開しているため、当第2四半期連結累計期間においては、大型ヒット作品に乏しい状況と重なった事で、市場全体の減速以上に当社グループの売上減収幅が拡大する要因となったと捉えております。
このような状況下において、当社グループではECサービスにおける国内での漫画全巻売りサービスの売上減少に少しでも歯止めをかけるべく各種の販売促進策を行う一方で、新たな成長サービスの柱とするべくイベントサービスの国内外での拡大に努めてまいりましたが、売上減速の影響を補なうまでには至らない状況となっております。
主力ECサービスの主要なKPIについては、当第2四半期連結累計期間(4月~9月)を通しての、同サービスのECサイトに訪れるユーザー数は12.3百万人(前年同期間10.3百万人、前年同期比19.0%増)となり、サービスの認知の向上については改善が図れております。一方で、ECサービスの購買率については0.71%(前年同期間1.51%、前年同期比0.8pt減)と前年同期と比較して低下が続いており、コロナ渦での巣ごもり需要と「鬼滅の刃」をはじめとしてコミック原作アニメの爆発的な需要上昇が開始された2020年以前と同等の水準へ戻っており、当第2四半期連結累計期間における売上減収となったと考えております。また、顧客単価は8,232円(前年同期間9,885円、前年同期比16.7%減)と漫画原作作品の早期メディア化(コミックの発行巻数が少ない段階でのメディア化)の傾向が購買単価の減少にも表れており、この単価の下落も売上減収の一因となっております。このような背景の結果、当第2四半期連結累計期間における同サービスの売上高は、前年同期比で22.4%減となりました。
一方で、当社グループが今後の成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当第2四半期連結累計期間におきましては、国内では営業開拓人材の補強を行うと共に有力IPの開拓を進め、グッズ製造体制の強化を並行して行いながら、IP商品化と関連グッズの製造販売の推進を行いました。また海外市場に向けては前期に進出した台湾店舗の売上が拡大しつつある中で、シンガポール市場への参入を行い、その他欧米、中国への越境ECの開店準備を行っております。また商品戦略におきましても、商材の幅を広げ海外市場向けにフィギュアやトレーディングカードの取り扱いを開始致しました。このような取り組みの結果、同サービスの売上高は、前年同期比で26.5%増と成長を持続しました。
上記の施策の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は1,833,241千円(前年同期比19.0%減)営業損失は96,174千円(前年同期は51,625千円の営業利益)、経常損失は98,715千円(前年同期は51,244千円の経常利益)となりました。また、当第2四半期連結累計期間において、繰延税金資産を取崩したことに伴い法人税等調整額(損)38百万円を計上したこと等により、四半期純損失及び親会社株主に帰属する四半期純損失は145,192千円(前年同期は36,489千円の四半期純利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
注.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。
(2)財政状態の分析
(資産の部) 当第2四半期連結会計期間末の総資産は2,051,652千円(前連結会計年度末比195,736千円減)となりました。総資産の内訳は、流動資産が1,813,505千円(前連結会計年度末比261,023千円減)、固定資産が238,147千円(前連結会計年度末比65,286千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動資産は、取引の減少及び本社・倉庫の移転費用の支出等に伴い現金及び預金が381,841千円減少したこと、一方で第3四半期以降の需要増加に向けた在庫準備で商品が43,921千円増加したこと、売掛金が44,687千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、本社・倉庫の移転及びイベントサービス拡大の為の設備投資の実施で有形固定資産が30,252千円増加したこと、自社サービス関連の開発活動の実施でソフトウェア仮勘定等が増加したことにより、無形固定資産が7,681千円増加したこと、本社・倉庫の移転に伴い差入保証金等が増加したことにより投資その他の資産が27,352千円増加したこと、繰延税金資産が38,973千円減少したこと等によるものであります。
(負債の部)当第2四半期連結会計期間末における負債合計は1,028,196千円(前連結会計年度末比54,256千円減)となりました。負債の内訳は、流動負債が660,395千円(前連結会計年度比5,172千円減)、固定負債は367,801千円(前連結会計年度末比49,084千円減)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動負債は、取引の減少により買掛金が25,534千円減少したこと等によるものであります。固定負債は、借入金の返済により長期借入金が54,123千円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は1,023,455千円(前連結会計年度末比141,480千円減)となりました。主な変動要因は、新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ5,684千円増加したことや、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上に伴い利益剰余金が145,192千円減少したこと、自己株式の取得により純資産が13,722千円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況 当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に 比べ、381,841千円減少し、680,406千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果使用した資金は、226,777千円(前年同四半期は18,788千円の使用)となりました。これは、減価償却費13,137千円等による資金の増加と、税金等調整前四半期純損失105,085千円、売上債権の増加44,687千円、棚卸資産の増加43,731千円、仕入債務の減少25,556千円等による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、77,810千円(前年同四半期は22,463千円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出17,513千円、無形固定資産の取得による支出11,128千円、差入保証金の差入による支出52,079千円等による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は、80,154千円(前年同四半期は330,426千円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出52,957千円、自己株式の取得による支出37,737千円等による資金の減少によるものであります。
(4) 経営方針・経営戦略等 当第2四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第2四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動 該当事項はありません。