【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが第5類へと引き下げられ、コロナ禍による経済社会活動への制約がほぼ解消され、内需を中心に景気は緩やかな回復基調を維持しました。一方で、グローバルでの地政学リスクやインフレなどによる景気減速リスクは依然として高く、さらに日本国内においては、急速な円安による経済への悪影響や物価高が懸念材料となるなど、先行きの見通しにくい経営環境が続いています。
当第1四半期連結累計期間の当社主力のECサービスの属する市場環境においては、アフターコロナでの行動制限の緩和と共に外出を伴う消費行動が正常化に向かう一方で、巣ごもり需要が完全に終息したこと及び物価や電気代の上昇等が消費者の家計を圧迫している状況等から、出版流通業界全体において市場規模が前年比を下回る状況が当第1四半期連結累計期間も継続している状況です。
公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所が発刊している出版指標2023年夏号によると、当第1四半期連結累計期間にあたる2023年4月~2023年6月の書籍雑誌推定販売金額は、前年同期比9.8%減となっており、当社が属する紙コミックス市場の販売規模も当第1四半期連結累計期間の平均が前年同期比で約13%減(4月は前年同期比で16%減、5月は前年同期比で11%減、6月は前年同期比で12%減)の状況となっております。
そのような環境の中で、当第1四半期連結累計期間における当社の売上高も、上記の市場環境に加え2023年春のアニメ化からブームとなった「推しの子」等のヒット作が新規で売上貢献したものの相対的に前年同期よりも売上を牽引するヒット作に乏しい時期となった事もあり、通期の売上高は、コミックス市場全体の減少傾向と同水準で前年同期比を下回る結果となりました。主力ECサービスの主要なKPIについては、当第1四半期連結累計期間を通しての当社サービスのECサイトに訪れるユーザー数は9.7百万人(前年同期間10.2百万人、前年同期比5.4%減)となり、大型ヒット作の不在等の要因により、アフターコロナにおいても拡大を維持してきたユーザー数も前年同期比で減少となりました。またECサービスの購買率についても0.89%(前年同期間0.95%、前年同期比0.059pt減)と前年同期と比較して低下が続いており、巣ごもり需要の反動で減速した前期と比較しても、さらに購買目的を持ったユーザーが減少している傾向が継続しており、当第1四半期連結累計期間においても売上減少となったと考えております。
一方で、当社グループが今後の成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当第1四半期連結累計期間におきましては、国内では営業開拓人材の補強を行うと共に有力IPの開拓を進め、グッズ製造体制の強化を並行して行いながら、IP商品化と関連グッズの製造販売の推進を行いました。また海外市場に向けては前期に進出した台湾店舗の売上が拡大しつつある中で、シンガポール市場への参入の準備を進めており、その他欧米、中国への越境ECの開店準備を行っております。また商品戦略におきましても、商材の幅を広げ海外市場向けにフィギュアやトレーディングカードの取り扱いを開始致しました。このような取り組みの結果、同サービスの売上高は、前年同期比で11.8%増と成長を持続しました。
上記の施策の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は955,910千円(前年同期比13.6%減)営業損失は29,777千円(前年同期は30,463千円の営業利益)、経常損失は30,940千円(前年同期は30,351千円の経常利益)、四半期純損失及び親会社株主に帰属する四半期純損失は35,116千円(前年同期は20,137千円の四半期純利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益)。
注.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。
(2)財政状態の分析
(資産の部) 当第1四半期連結会計期間末の総資産は2,064,168千円(前連結会計年度末比183,220千円減)となりました。総資産の内訳は、流動資産が1,831,379千円(前連結会計年度末比243,149千円減)、固定資産が232,788千円(前連結会計年度末比59,928千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動資産は、取引の減少等に伴い、現金及び預金が217,423千円減少、売掛金が96,774千円減少したこと、一方で第2四半期以降の需要増加に向けた在庫準備で商品が68,978千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、イベントサービス拡大の為の設備投資の実施で有形固定資産が11,295千円増加したこと、自社サービス関連の開発活動の実施でソフトウェア仮勘定等が増加したことにより、無形固定資産が3,896千円増加したこと、本社及び物流倉庫の移転に伴い敷金が増加したことにより、投資その他の資産が44,735千円増加しました。
(負債の部)当第1四半期連結会計期間末における負債合計は958,344千円(前連結会計年度末比124,108千円減)となりました。負債の内訳は、流動負債が563,312千円(前連結会計年度比102,255千円減)、固定負債は395,032千円(前連結会計年度末比21,852千円減)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動負債は、取引の減少により買掛金が42,965千円減少及び未払金が30,673千円減少したことと、納税の実施により未払法人税等が5,003千円減少したこと等によるものであります。固定負債は、借入金の返済により長期借入金が26,770千円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は1,105,823千円(前連結会計年度末比59,112千円減)となりました。主な変動要因は、新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ5,684千円増加したことや、親会社株主に帰属する四半期純損失等の計上に伴い利益剰余金が35,116千円減少したこと、自己株式の取得に伴い純資産が37,737千円減少したことによるものであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が325.1%、自己資本比率が53.5%になっております。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第1四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第1四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動 該当事項はありません。