【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きと共に行動制限も段階的に緩和され、旅行及び外食に対する個人消費が緩やかに持ち直す等、社会経済活動の正常化が徐々に進みました。一方で、引き続きロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの継続や、世界的な資源価格の高騰や急激な円安進行による物価の高騰により、依然として国内外における経済の先行きは不透明な状況となっております。
当第3四半期連結累計期間の環境としましては、コロナ禍も3年目となる中で、行動制限の緩和と共に外出を伴う消費行動が正常化に向かう一方で、相対的に巣ごもり需要が沈静化し、出版流通業界全体において売上高が前年比を下回る状況となっております。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所が発刊している出版月報1月号によると、当第3四半期の連結累計期間にあたる2022年4月~12月の書籍雑誌推定販売金額は、前年同期比6.2%減となっており、当社が属する紙コミックスの同期間の市場動向も出版流通業界全体の傾向と同様に前年同期比でマイナスの状況となっております。
そのような環境の中で、当第3四半期連結累計期間における当社の売上高は同期間の市場傾向と同様に前年同期比でマイナスの状況下にありますが、当第3四半期連結会計期間(2022年10月1日~2022年12月31日)の主力ECサービスについては、2022年10月、11月は上半期に続いて苦戦を強いられましたが、12月はクリスマス・年末商戦需要の中で単月で7億円を超える過去最高の売上高となった事で、当第3四半期連結会計期間の当社の売上高は、市場の落ち込みの中でも健闘し、前年同期間比で0.6%増と売上成長となりました。
当社の主力サービスである漫画全巻売りサービスの需要に関しては、マンガを原作とする作品のアニメ・映画化等のメディア化によるヒットとの相関関係が一般書店以上に高いと考えられ、その点で当第3四半期連結累計期間は、上半期はマンガを原作とする作品のヒットの波は前年同期と比較して、数・規模共に小さい波に留まりましたが、下半期に入り年末にかけては、アニメ化による「チェンソーマン」、アニメ化にW杯開催の影響も加わった「ブルーロック」、映画が記録的な大ヒットとなっている「スラムダンク」といった大ヒット作品の発生が、当社の売上成長の原動力となったと考えております。また当第3四半期連結会計期間のECサービスの売上成長への反転は、ヒット作発生という外的要因だけでなく、上記ヒット作の発生を見越して事前の積極的な在庫確保で需要を確実に吸収できた事や、「スラムダンク」の映画公開に併せて大手映画館複数社との協業で、主要都市の映画館で原作漫画を全巻セットで販売するプロモ―ションを実施できた事等により、当社サービスの認知度拡大と販売チャネルの多様化を進める等の施策の成果でもあったと考えております。
主要なKPIについては、当第3四半期連結会計期間を通しての当社サービスのECサイトに訪れるユーザー数は9.9百万人(前年同期間9.0百万人、前年同四半期比10.0%増)と当上半期の状況を同様に前年からの拡大は図れております。またECサービスの購買率についても1.2%(前年同期間1.3%、前年同四半期比10.4%減)と今期の前年同期と比較した購買率の低下傾向は続いておりますが、今上半期の平均購買率が1%を下回っていた状況からは改善の兆しが見えております。
また当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当第3四半期連結累計期間におきましては、2022年3月に新規オープンした名古屋店舗を含む国内4店舗のイベント開催及び、ECの活用によるイベントグッズ販売の両方が大きく拡大した事に加えて、2022年12月より海外進出の第一歩となる台湾での営業を開始致しました。その結果、同サービスの売上高は、ECサービスと同様に予算比では△2.4%と予算を若干下回る結果となりましたが前年同期比では43.0%増となりました。
上記の施策の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,713,965千円(前年同期比9.2%減)、営業利益は92,157千円(前年同期比47.3%減)、経常利益は90,439千円(前年同期比50.4%減)、四半期純利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益は63,114千円(前年同期比47.8%減)となりました。
注.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。
(2)財政状態の分析
(資産の部) 当第3四半期連結会計期間末の総資産は2,355,771千円(前連結会計年度末比425,494千円増)となりました。総資産の内訳は、流動資産が2,160,572千円(前連結会計年度末比392,884千円増)、固定資産が195,198千円(前連結会計年度末比32,610千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動資産は、12月の年商戦期の売上増加に売掛金が259,854千円増加したこと、借入の実施等に伴い、現金及び預金が155,307千円増加したこと、等によるものであります。また、固定資産は、自社サービス関連の開発活動の実施でソフトウェア仮勘定等が増加したことにより、無形固定資産が20,025千円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)当第3四半期連結会計期間末における負債合計は1,175,961千円(前連結会計年度末比317,051千円増)となりました。負債の内訳は、流動負債が818,082千円(前連結会計年度末比111,777千円増)、固定負債は357,879千円(前連結会計年度末比205,274千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動負債は、12月の売上増加に伴い買掛金が58,856千円増加したことと、納税等の実施により未払法人税等が81,022千円減少したこと、銀行借入の実施により1年以内返済予定の長期借入金が60,004千円増加したことによるものであります。また固定負債は、銀行借入の実施により長期借入金が205,274千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,179,810千円(前連結会計年度末比108,422千円増)となりました。主な変動要因は、2022年9月及び2022年12月に実施したストックオプションの権利行使による増資により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ22,661千円増加したことや、親会社株主に帰属する四半期純利益等の計上に伴い利益剰余金が63,114千円増加したことによるものであります。以上の結果、財務指標としては、流動比率が264.1%、自己資本比率が50.0%になっております。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第3四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動 該当事項はありません。
(6) 従業員の状況当第3四半期連結累計期間において、従業員数の著しい増減はありません。