【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
① 経営成績
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和等を背景に、雇用環境の改善や個人消費の持ち直しなどにより緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ロシアのウクライナ侵攻により顕在化した地政学的リスクの長期化や、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや、物価上昇、金融資本政策の変動等による影響に注視が必要な状況が続きました。当社グループを取り巻く環境としましては、鉱工業生産が伸び悩み、製造業における新規求人数は減少(※1)しました。そのような中でも、自動車関連メーカーは半導体等の部材不足の影響が緩和し、生産活動が緩やかな回復基調にありますが、半導体製造装置メーカーや半導体メーカーでは2022年秋口から継続する在庫調整等の影響を受け、生産活動が停滞する状況が継続しています。生産工程の有効求人倍率は昨年12月の2.07倍をピークに低下を続けており、2023年9月では1.73倍と生産工程における人材需給は緩和傾向となっています。このような状況の下、当社グループは第4次中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)で掲げる「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」の中期経営目標のもと、「大手製造業向けワンストップ戦略」、「地域プラットフォーム戦略」及び「ソリューション戦略」を成長戦略として推し進めております。中核事業領域である大手製造業向け人材派遣において、半導体製造装置エンジニアの育成・強化による顧客工場内の全工程でのシェアの拡大を進めるとともに、地域の有力派遣事業者との業務提携やM&Aによる地域の職場での安定的な雇用環境の整備、併せて大手企業グループ向けの人材流動化支援を進め、事業基盤のさらなる強化・拡大に取り組んでおります。当第2四半期連結累計期間は、製造業における人材需要が停滞する中、とりわけ半導体製造装置メーカーや半導体メーカーを中心に人材需要が低調だったことから売上高が減少しました。利益面につきましては、さらなる事業成長ための月間2,000名採用体制構築等の戦略的な投資を継続した一方で、採用関連費及び要員計画の見直し等による人件費等のコスト抑制を行ったものの、売上高減少による売上総利益の下振れを補うには至りませんでした。以上の結果、当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高82,203百万円(前年同期84,284百万円、2.5%の減収)、EBITDA(※2)6,052百万円(前年同期7,426百万円、18.5%の減少)、営業利益5,241百万円(前年同期6,844百万円、23.4%の減益)、経常利益5,218百万円(前年同期6,777百万円、23.0%の減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,536百万円(前年同期4,440百万円、20.4%の減益)、技術職社員数は45,538名(前年同期45,488名、50名の増加)となりました。※1.出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」※2.EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+のれん償却額
セグメント毎の経営成績は、以下のとおりであります。
(マニュファクチャリング事業)「輸送機器関連分野」においては部材不足の影響が緩和したことで自動車関連メーカーの生産活動が徐々に回復したものの、「産業・業務用機械関連分野」「エレクトロニクス関連分野」では、半導体の在庫調整等の影響が継続したことを受け全体的な人材需要は想定を下回って推移しました。このような状況の下、採用活動は抑制し、顧客企業と密接に連携し未経験者を育成し継続的な職場改善を実現する「協働人材育成派遣モデル」の展開等、顧客企業とのリレーションの一層の強化に取り組みました。なお、第1四半期連結会計期間において、より顧客企業に最適なサービスを提供するため、顧客企業の一部の派遣元をマニュファクチャリング事業に属する事業会社からエリア事業に属する事業会社へ移管し、これに伴い約1,900名の技術職社員が転出いたしました。本件に伴う、過去のセグメント情報との比較情報については、四半期決算補足説明資料(当社ホームページに掲載の「2024年3月期 第2四半期 決算説明資料」)をご参照ください。以上の結果、売上高33,074百万円(前年同期41,345百万円、20.0%の減収)、セグメント利益4,014百万円(前年同期5,328百万円、24.7%の減益)、技術職社員数11,220名(前年同期14,786名、3,566名の減少)となりました。
(エリア事業)製造業全般において生産活動が停滞する中、求職者の多様なニーズに応えるためにインサイドセールスを強化し、各地域における顧客開拓と営業基盤の強化に注力いたしました。また、既存顧客における求人案件の多様化にも注力し、これをもとにした採用活動を進めました。加えて上述のとおり、顧客企業ごとに最適なサービスを提供することを目的に、顧客企業の一部の派遣元をマニュファクチャリング事業よりエリア事業へ移管したことに伴い、約1,900名の技術職社員が転入したことで技術職社員数が増加し増収に寄与いたしました。費用については、営業体制強化による人員増加や案件の開拓に伴い採用活動を強化したこと等により増加しました。以上の結果、売上高30,961百万円(前年同期24,903百万円、24.3%の増収)、セグメント利益965百万円(前年同期895百万円、7.9%の増益)、技術職社員数15,586名(前年同期12,947名、2,639名の増加)となりました。
(ソリューション事業)新たなソリューション案件の獲得に向けた提案活動を進めるとともに、新規顧客企業の開拓や幅広い年代の技術職社員の活躍が期待できる請負案件開拓に取り組みました。一方で、一部の請負案件が終了したこと等により、売上高が減少しております。以上の結果、売上高8,990百万円(前年同期9,255百万円、2.9%の減収)、セグメント損失11百万円(前年同期はセグメント利益65百万円)、技術職社員数3,309名(前年同期3,103名、206名の増加)となりました。
(エンジニアリング事業)今年4月に迎え入れた新卒入社社員184名が早期に稼働を開始しております。建設技術者分野、IT技術者分野における旺盛な需要動向を踏まえ、例年以上に積極的に2024年4月入社の新卒採用に取り組んだことで採用関連費用が増加しました。加えて、営業や採用等の事業体制増強に伴い人件費が増加いたしました。また、建設技術者分野では、顧客企業とのリレーション強化と技術職社員のキャリア形成支援を目的として、当第2四半期連結累計期間で88名の顧客企業への転籍が実現しました。以上の結果、売上高4,556百万円(前年同期4,503百万円、1.2%の増収)、セグメント利益404百万円(前年同期487百万円、17.0%の減益)、技術職社員数1,545名(前年同期1,561名、16名の減少)となりました。
(海外事業)世界景気減速の影響からベトナムの主要輸出産業の生産活動が停滞したことで、製造業の顧客企業を中心に人材需要が低減しましたが、サービス職種の案件獲得に取り組んだことで技術職社員数が増加しました。加えて、営業活動地域の拡大として従前より拠点を有するホーチミン市を中心とする南部地域から、ハノイ市を中心とする北部地域まで活動範囲を広げ、日系企業からの案件獲得に注力いたしました。また、2020年10月に行われたGreen Speed Joint Stock Companyの株式取得における条件付取得対価の総額が確定したことにより、当期の第1四半期連結会計期間に新たにのれん687百万円を計上するとともに、当該のれんに関して当初株式取得時から取得対価の確定日までの期間に対応するのれん償却額129百万円を、取得対価が確定した当期の第1四半期連結累計期間において同時に計上しております。以上の結果、売上高4,643百万円(前年同期4,290百万円、8.2%の増収)、セグメント損失114百万円(前年同期はセグメント利益80百万円)、技術職社員数13,878名(前年同期13,091名、787名の増加)となりました。なお、海外事業につきましては、決算日が12月末日であることから2023年1~6月期の実績を3ヶ月遅れで当第2四半期連結累計期間に計上しております。
② 財政状態(資産)当第2四半期連結会計期間末における流動資産は52,162百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,621百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が2,582百万円及び受取手形及び売掛金が924百万円減少したことによるものであります。固定資産は15,347百万円となり、前連結会計年度末に比べ499百万円減少いたしました。これは主にGreen Speed Joint Stock Companyの株式取得における条件付取得対価の総額が確定し、のれんが687百万円増加したものの、J-CEP株式会社の売却により、投資有価証券が1,026百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は67,509百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,120百万円減少いたしました。
(負債)当第2四半期連結会計期間末における流動負債は25,891百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,012百万円減少いたしました。これは主に当第2四半期連結会計期間末が休日であった影響で預り金及び未払費用が1,607百万円増加したものの、未払法人税等が1,898百万円及び未払消費税等が1,759百万円減少したことによるものであります。固定負債は10,668百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,129百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が2,975百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は36,560百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,141百万円減少いたしました。
(純資産)当第2四半期連結会計期間末における純資産は30,949百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,020百万円増加いたしました。これは主に株主還元としての自己株式取得2,817百万円を行ったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益3,536百万円を計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は35.1%(前連結会計年度末は31.8%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より2,582百万円減少し、29,387百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は、2,597百万円(前年同四半期は4,973百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額3,895百万円及び未払消費税等の減少額1,783百万円が計上されたものの、税金等調整前四半期純利益5,659百万円及び当第2四半期連結会計期間末が休日であった影響で預り金及び未払費用の増加額1,558百万円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果獲得した資金は、120百万円(前年同四半期は1,592百万円の使用)となりました。これは主に、ソフトウエア等無形固定資産の取得による支出830百万円及び子会社株式の条件付取得対価の支払額687百万円が計上されたものの、関係会社株式の売却による収入1,555百万円が計上されたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、5,389百万円(前年同四半期は2,787百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,039百万円及び自己株式の取得による支出2,817百万円が計上されたことによるものであります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
該当事項はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
当連結会計年度は、昨年から続く世界景気減速の影響を受け、製造業全般で生産活動が停滞するスタートとなりました。事業計画では、上期において人材需要が徐々に回復し、下期以降は強い需要が継続することを織り込んでおりました。しかしながら、上期業績につきましては、半導体関連の顧客企業を中心として、想定よりも低調な需要推移となったことによって、2023年9月末の技術職社員数はその計画を下回る結果となりました。さらに、足元において第3四半期以降の需要動向を確認しましても、本格的な回復にはなお時間を要する可能性が高いことから、当連結会計年度おける事業計画に対して大きな乖離が発生する見通しとなりました。このような状況を踏まえ、さらなる事業成長ための月間2,000名採用体制の構築等の戦略的な投資については着実に進める一方で、採用関連費及び要員計画の見直しによる人件費等のコスト抑制を行ってまいりますが、これらのコスト抑制が上述の売上高減少による売上総利益の下振れを補うには至らないことから、EBITDAは前回発表予想から53億円の下方修正といたしました。なお、現在進行中の第4次中期経営計画につきましても、足元の需要回復の遅れ受け、2025年3月期としていた最終年度の後ろ倒しを含めた見直しを進めております。その詳細が確定しましたら、速やかにお知らせいたします。
2024年3月期 通期連結業績予想値の修正(2023年4月1日~2024年3月31日)
売上高
EBITDA
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する当期純利益
1株当たり当期純利益
前回発表予想 (A)
百万円200,000
百万円16,400
百万円14,400
百万円14,100
百万円9,000
円 銭222.98
今回発表予想 (B)
169,000
11,100
9,500
9,300
6,100
153.93
増減額 (B-A)
△31,000
△5,300
△4,900
△4,800
△2,900
△69.05
増減率 (%)
△15.5%
△32.3%
△34.0%
△34.0%
△32.2%
△31.0%
(ご参考) 前期実績(2023年3月期)
170,631
15,714
8,914
8,834
3,831
94.92
(注) EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+のれん償却額
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当第2四半期連結累計期間において、経営者の問題認識と今後の方針について重要な変更はありません。
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