【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)における世界経済は、地域差はあるものの、総じて景気の減速が進みました。新型コロナウイルスのパンデミックで生じたサプライチェーンの混乱と需要の急激な増加、それに伴う労働需給の逼迫、ロシアによるウクライナ侵攻長期化に伴う欧州と英国を中心とした食料・エネルギー供給混乱なども重なりました。また、各国の金融引き締めに加え、中国でのゼロコロナ政策解除後の景気回復の遅れや不動産市場の低迷、米中貿易摩擦などにより、時間の経過とともに世界各地域の経済成長率が引下げられていることで先行きに対する不透明感がますます高まり、各地域の金融政策の違い等により円相場も大きく変動しました。
半導体市場においても、景気の減速が進んでいることから、スマートフォン、PC、コンシューマ製品等の最終製品に対する需要が低下し、これらの製品に使用されるメモリー製品などを中心に半導体に対する需要も減退しました。一方、自動運転支援システム/自動運転に使用される半導体やデータセンターなどで使用されるChat GPTなど生成AI用に使用される半導体など、最先端の技術を使用した半導体への要求が高まってきています。また、半導体製造企業の生産能力は、高稼働が継続しているものの供給逼迫状況は大幅に緩和されてきました。
このような状況下において、当社グループは、2020年3月期以降、オートモーティブやデータセンター/ネットワークなどの注力分野において、7nmや5nmなど最先端の製造プロセステクノロジーを使用した多くのカスタムSoC商談を獲得してきていること、その一部において開発が完了し量産段階に移行していることから、特に先端テクノロジーでの製品売上が増加し、売上水準の拡大に寄与しています。
また、米国市場における獲得商談の増加による設計開発リソース不足の解決策の一つとして、2023年8月にインドのべンガルールに設計開発拠点を開設しグローバルな事業拡大を支えるエンジニアリングリソースを強化するとともに、グローバルな設計開発リソースの再編を行いました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は116,988百万円(前年同期比41.3%増)となりました。製品売上については、データセンター/ネットワーク、スマートデバイス、オートモーティブなどの新規商談の製品開発が完了し、徐々に量産段階に移行していることで先端プロセスを中心に製品の売上数量が増加したことや、中国の一部顧客において短期的に特需が製品売上の増加に寄与したことに加え、円安が続いている影響も重なり101,439百万円(前年同期比52.9%増)となりました。NRE売上については、先端プロセスを使用した開発案件が継続していることで15,215百万円(前年同期比5.4%減)となりました。
[売上高] (単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
(自2022年4月1日
至2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自2023年4月1日
至2023年9月30日)
製品売上
66,325
101,439
NRE売上
16,087
15,215
その他
355
334
売上高合計
82,767
116,988
製品売上の拡大及び円安影響により売上原価は62,737百万円(前年同期比49.5%増)、先端プロセスを使用した開発案件の増加及び円安影響により販売費及び一般管理費は35,575百万円(前年同期比17.2%増(うち開発費24,622百万円(前年同期比11.5%増)))となり、営業利益は18,676百万円(前年同期比78.6%増)となりました。これに加え、営業外の為替差益の発生により経常利益は20,448百万円(前年同期比66.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は15,293百万円(前年同期比52.7%増)となりました。
当第2四半期連結累計期間の米国ドルの平均為替レートは141.0円、前年同期比7.0円の円安となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは、ソリューションSoCビジネスモデルで開発するSoCを主とする単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は137,113百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,954百万円減少しました。これは主に、製品売上の拡大や顧客要望に基づく先行手配が減少したことで棚卸資産や未収入金が減少したことによるものであります。一方で、現金及び預金は、法人税等の支払や配当金の支払はありましたが、ストック・オプションの権利行使による払込や、売掛金の回収が進んだこともあり増加しました。固定資産は40,871百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,993百万円増加しました。主な設備投資は、獲得した商談の製品開発に係るレチクルやIPマクロ等の取得に加え、開発規模拡大に伴うデータセンターの増強であります。
この結果、総資産は177,984百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,961百万円減少しました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は52,494百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,844百万円減少しました。これは主に、顧客要望に基づく先行手配が減少したことで買掛金や未払金が減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は54,284百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,797百万円減少しました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は123,700百万円となり、前連結会計年度末から13,836百万円増加しました。これは主に、剰余金の配当はあったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益15,293百万円の計上により利益剰余金が増加したことや、ストック・オプションの権利行使による払込によるものであります。
この結果、自己資本比率は69.5%となり、前連結会計年度末から12.9ポイント増加しております。顧客要望に基づく棚卸資産の先行手配が減少したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末より2,321百万円増加し、47,457百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは14,648百万円の収入(前年同期は14,953百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益20,448百万円や、減価償却費6,006百万円に加え、売掛金回収が進んだことで売上債権が6,362百万円減少した一方で、顧客要望に基づく先行手配が減少したことで仕入債務が9,959百万円減少したことに加え、法人税等の支払6,122百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは10,934百万円の支出(前年同期は9,728百万円の支出)となりました。これは主に、獲得した商談の製品開発に係るレチクル、テストボード及び開発環境増設のための有形固定資産の取得による支出6,029百万円と、IPマクロ等の無形固定資産の取得による支出4,900百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは2,665百万円の支出(前年同期は151百万円の支出)となりました。これは主に、ストックオプションの行使による収入4,364百万円や、新株式申込証拠金の払込による収入88百万円に対して、配当金の支払額7,070百万円によるものであります。
当社は、コミットメントラインの借入枠を従来20,000百万円としておりましたが、世界景気の減速や地政学リスクの更なる高まりなどによる売上変動リスクに対応して、コミットメントラインの借入枠を2023年7月末から半年間10,000百万円増額するための契約を2023年7月31日に締結いたしました(全額未使用)。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、24,622百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。