【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績及び財政状態の状況
①経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類へと移行され、経済活動の再開が進み景気は持ち直しの動きがみられました。しかしながら、国内における新型コロナウイルス感染者数の急増、ウクライナ情勢の長期化に伴う世界的な原材料・資源価格の高騰による物価の上昇、欧米諸国の金融引き締め政策による円安の進行等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような環境の中、円安の影響は原料等の仕入価格が変動するリスクがありますが、原薬販売事業では、必要に応じ為替予約を行うことや、 海外サプライヤーへの価格交渉、為替連動型の価格設定への切替等を進めており、医薬品製造販売事業では、コスト削減や販売価格の見直しに加えて、量産体制を推進し生産量を増大させること等による生産効率の向上や不採算品目である基礎的医薬品への対応等によりリスク回避に努めております。また、輸入販売を行う原薬販売事業では国際情勢の緊迫化による物流面での遅延等のリスクに備えて、得意先や海外サプライヤーとの連絡を密に行い、早期に在庫や物流手段を確保すること等により原薬を必要な時期に納入できるように努めております。
医薬品業界におきましては、ジェネリック医薬品全体で供給不安が続いておりますが、当社グループでは継続して製造管理や品質管理の強化を行っており、医薬品製造販売事業の主力工場では、当期においても製造販売承認書と製造実態の齟齬にかかる一斉点検や、グループ各社間における無通告監査(抜き打ちの立入り監査)、製造業者への実地またはリモートでの監査を実施しております。
厚生労働省はジェネリック医薬品の使用を促すため、既に達成しつつある普及目標を数量基準80%から、新たに金額基準の目標へ2023年度中に見直すとしています。「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」では、品質が確保された後発品を安定供給できる企業を薬価制度上で評価することや、少量多品目構造の解消として新規収載品目を絞り込むことなどを提言されております。
当社グループの原薬販売事業では高品質かつコスト競争力の高い医薬品原薬を取り揃え安定供給を行っておりますが、さらなる取引拡大に対応するために大阪医薬分析センターの改修工事を進めております。医薬品製造販売事業では特徴である注射剤において高薬理活性注射剤製造に注力するとともに、一層の生産性向上に努めております。その一環として、今後さらなる需要拡大が見込まれる製品を増産し、安定供給体制を整備するために蔵王工場の敷地内に医薬品倉庫の新設を進めており、2024年3月頃の稼働を予定しております。医薬品倉庫の新設により、原材料の安定在庫の確保及び製造製品の増加など生産能力の強化を図り、安定供給体制を向上させることで医薬品製造販売事業のさらなる拡大を目指してまいります。
このような状況の下、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高5,823百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益1,197百万円(前年同期比17.9%増)、経常利益1,191百万円(前年同期比21.6%増)、法人税等の合計額433百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益757百万円(前年同期比25.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
原薬販売事業
原薬販売事業におきましては、その他の代謝性医薬品用原薬や感覚器官用薬原薬の販売が新規採用品目等の伸長や得意先の需要増等により増加した一方で、循環器官用薬原薬や抗生物質製剤原薬が第2四半期以降への納期変更や得意先での在庫調整等により減少し、当第1四半期連結累計期間の売上高は、4,042百万円(前年同期比1.9%増)、セグメント利益は686百万円(前年同期比2.1%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高449百万円を含んでおります。
医薬品製造販売事業
医薬品製造販売事業におきましては、受託製造の主力製品のうち増産体制の構築を進めていた注射剤において、 当該製品のジェネリック医薬品シェア伸長による数量増加等により堅調に推移したことや、既存の製造受託品が好調に推移したこと、同業他社の一部製品が販売中止になったことによる代替需要の発生により、売上高は2,230百万円(前年同期比17.8%増)となりました。セグメント利益は円安や燃料価格高騰による原材料や水道光熱費等のコスト増加があったものの、売上高の増加に伴う利益の増加や、増産や収率向上による生産性の改善等で利益確保に努めたことにより、セグメント利益は525百万円(前年同期比55.9%増)となりました。
②財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べてほぼ横ばいの28,654百万円となりました。これは主に、電子記録債権の増加807百万円、受取手形及び売掛金の増加309百万円、有形固定資産の増加170百万円、商品及び製品の増加99百万円等があった一方で、現金及び預金の減少1,192百万円等があったことによるものであります。
負債は7,442百万円となり、前連結会計年度末に比べ98百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加304百万円、電子記録債務の増加260百万円等があった一方で、未払法人税等の減少383百万円、未払費用を始めとしたその他流動負債の減少300百万円等があったことによるものであります。
純資産は21,211百万円となり、前連結会計年度末と比べ288百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益757百万円の計上による増加があった一方で、配当金支払による減少475百万円があったことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末より0.5ポイント増加し、74.0%となっております。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、26,439千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。