【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における経済環境は、欧米ではエネルギー価格を起因としたインフレには一服感があるものの、労働コスト上昇による消費財・サービス価格の上昇圧力が強く、対応した金融引締め政策が継続して行われています。このような環境下で、米国経済は堅調に推移しましたが、欧州経済の低迷は継続しました。中国経済は、コロナ禍からの回復が期待されましたが、不動産市場の低迷等も継続し、緩やかな回復に留まっています。直近では中東情勢の緊迫の課題も加わり、世界経済の先行きは、予断を許さない状況が継続しています。日本経済は、コロナ禍から経済活動の正常化が進み、回復傾向で推移しましたが、円安等による物価の上昇が続き、先行き不透明な状況は継続しています。
当社グループの事業環境は、ライフサイエンス事業の主力製品である果実酸では、国内の食品関連市場において、円安や物価上昇などの影響を受けたものの底堅く推移しましたが、国内外の工業用途の需要は低迷して推移しました。電子材料事業の主力製品である超高純度コロイダルシリカでは、主要市場である半導体市場において、在庫調整は進みつつあるものの、パソコンやスマートフォン等の最終製品の需要の回復には至らず、低迷して推移しました。
このような情勢下、当社グループは成長を維持するため、営業活動を強化し、顧客やユーザーとのコミュニケーションを深め拡販に努めました。また、完成した新規設備の早期立上げを進めるとともに、既存設備の維持・強化を継続し、供給力の拡大を図っています。さらに、研究開発体制を強化し、新製品開発の取り組みも継続しています。加えて、本社移転等による就業環境の改善や社内体制の整備等を推進し、経営基盤の一層の強化にも取り組みました。
①
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ14,130百万円増加し、127,659百万円となりました。これは主に、現金及び預金、商品及び製品が増加したためです。
負債は、前連結会計年度末に比べ9,814百万円増加し、35,840百万円となりました。これは主に、設備関係未払金、未払法人税等が減少しましたが、長期借入金が増加したためです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ4,316百万円増加し、91,818百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加に加えて、円安により為替換算調整勘定が増加したためです。
②
経営成績
当第2四半期連結累計期間の売上高は27,135百万円(前年同期比23.3%減、8,224百万円減)となりました。営業利益は5,581百万円(同41.7%減、3,997百万円減)、経常利益は6,245百万円(同41.9%減、4,511百万円減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、4,287百万円(同43.0%減、3,228百万円減)となりました。
売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により減収減益となりました。経常利益は、営業利益の減少に加え、為替差益が減少したことにより、減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、経常利益の減少に加え、投資有価証券売却益の減少、固定資産除却損の増加により、減益となりました。
当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。
(ライフサイエンス事業)
ライフサイエンス事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が16,978百万円(前年同期比12.4%減、2,399百万円減)、営業利益は3,276百万円(同2.1%減、71百万円減)となりました。
国内食品用途は底堅く推移しているものの、工業用途の需要落ち込みが想定より長期化しています。海外市場は、特に欧州経済の低迷の影響が顕在化し需要が大きく落ち込んで推移し、リンゴ酸の海外売上高が影響を受け減少しました。円安による売上高増加の効果はあるものの、コロナ禍の物流の混乱による世界的な在庫増加の反動の影響もあり、売上高は前四半期連結累計期間を下回りました。営業利益も継続して取り組んでいる販売価格の改定の効果はあるものの、新設備の稼働による減価償却費の増加、売上高減少の影響により、前四半期連結累計期間を下回り、減収減益となりました。
(電子材料および機能性化学品事業)
電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が10,156百万円(前年同期比36.4%減、5,825百万円減)、営業利益は3,330百万円(同53.4%減、3,818百万円減)となりました。
半導体市場の低迷が想定より大きく長期化しています。主力製品である超高純度コロイダルシリカの売上高は、コストアップ要因に対する販売価格改定や円安効果などの増加要因はありますが、低迷する半導体市場の影響を受け、前四半期連結累計期間を下回りました。在宅勤務の普及によるトナー需要減退の影響を受けていたナノパウダーの売上高は増加しましたが、セグメント全体の売上高は、前四半期連結累計期間を下回りました。営業利益も、円安の効果はあるものの、売上高の減少に加え、鹿島事業所の新設備の本稼働に伴う減価償却費や立ち上げに係る費用の増加、エネルギー価格の上昇、稼働率低下によるコストアップの影響もあり、前四半期連結累計期間を下回り減収減益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入れによる収入、税金等調整前四半期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を、有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払に充てた結果、前連結会計年度末に比べ4,678百万円増加し、27,029百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は119百万円(前年同期は5,289百万円の取得)となりました。これは主に、法人税等の支払に対して、税金等調整前四半期純利益による収入および減価償却費の発生による収入があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は15,054百万円(前年同期は8,637百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が発生したためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は18,831百万円(前年同期は1,062百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入があったためです。
(3)経営方針・経営環境等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営環境等に重要な変更はありません。
(4)事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は413百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)重要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設等のうち、当第2四半期連結累計期間に完了したものは次のとおりです。
会社名
事業所
(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資額
資金調達方法
着手
(年月)
完了
(年月)
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
扶桑化学工業㈱
鹿島事業所
(茨城県神栖市)
電子材料および機能性化学品事業
超高純度コロイダルシリカ製造設備および付帯設備
19,776
(注)2
17,803
(注)1
自己資金
2021年8月
2023年4月
(注)3
また、当第2四半期連結累計期間に変更があったものは次のとおりです。
会社名
事業所
(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手及び完了予定
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手
(年月)
完了
(年月)
扶桑化学工業㈱
京都事業所
(京都府福知山市)
電子材料および機能性化学品事業
超高純度コロイダルシリカ製造設備および付帯設備
10,000
3,398
自己資金
2022年8月
2024年4月
扶桑化学工業㈱
鹿島事業所
(茨城県神栖市)
電子材料および機能性化学品事業
超高純度コロイダルシリカ製造設備および付帯設備
20,000
6,149
(注)1
借入金
2023年9月
2025年7月
(注)1.既支払額を変更しています。
2.当初予定総額18,000百万円から変更しています。
3.製造設備は2023年4月に完成し、2023年8月より本稼働を開始しました。