【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における株式市場は、新型コロナウイルスやウクライナ情勢等の影響もあり、日経平均株価は年初は一時29千円台まで上昇しましたが、4月には27千円台にまで下落し、その後も徐々に弱含みで推移し、8月末には一時的に29千円台となったものの9月末には25千円台にまで下落しました。引き続き新型コロナウイルスの影響や諸外国の政策動向の影響や地政学リスク等の影響が懸念され、先行きは不透明な状況となっております。
一方で、新規上場市場においては、当第2四半期連結累計期間における新規上場社数が46社と、前年同期の65社と比べて減少しており、上場を中止したのは1社のみという状況でありましたが、引き続き新規上場を目指す企業群にとっては厳しい環境となっております。
このような環境の中、当社は、9月12日付で、新・中期ビジョンと成長戦略を発表致しました。かかる戦略のもと、当社は、地方創生・CVCファンド運営におけるこれまでの実績及びブランド力を武器に同業務を拡大しつつ、並行して、永久保有型の自己資本投資・買収(以下、「永久保有型M&A」といいます。)の実行を推進することといたしました。外部資金を用いたファンド投資は、ファンドの存続期間等に応じて投資により取得した持分を一定期間で売却し外部資金を償還することが必要となりますが、上場会社である当社が内部留保資金等の自己資金を用いて投資活動を行うことにより、投資により取得した持分の売却を前提としない投資活動が可能となります。世界的潮流でもあるこの永久保有型M&Aにより、優良企業の売却を時間に迫られることなく、投資先セクターへの知見を深め、同セクター内での他社買収・合併を後押ししつつ、同時にDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進することで企業価値評価マルチプルを高めることを標榜しております。地域金融機関とは、地方創生ファンドを通じて地域活性化に寄与しつつ、事業承継案件のM&Aを通じた譲受けやそれに伴う融資取引を通じて、関係性を戦略的に深化させて参ります。これら施策の実行を通じて、当社は「日本で真の金融を実現する」という理念のもと、地方創生テーマにおいてリーダー的投資会社を目指します。
当第2四半期連結累計期間における新規ファンドの設立については、地方創生ファンドとして、長野県と連携し、県内金融機関と共同で信州スタートアップ・承継支援投資事業有限責任組合を設立いたしました。当ファンドは、長野県内に本社又は主要な拠点を置き、創業期の企業、第二創業に取り組む企業、事業承継に取り組む企業、地域経済の活性化に資する企業を投資対象としており、コロナ禍においても前向きに創業・企業成長に取り組み、地域活性化に資する事業者を積極的に支援するファンドとなっております。また、株式会社チェンジ及び株式会社チェンジ鹿児島と共同でかごしまスタートアップ支援投資事業有限責任組合を設立いたしました。当ファンドは、地域が抱える社会課題解決に資する事業を重点テーマとし、地域を持続可能にするスタートアップ企業に投資をしてまいります。
当第2四半期連結累計期間における経営成績を見てまいりますと、新規ファンドの設立や既存ファンドからの追加出資などファンドから受領する管理報酬を中心とした安定的収入が増加したことや投資先企業の売却による成功報酬を獲得したこと等により売上高は287百万円(前年同四半期275百万円)と増収となりましたが、定時株主総会対応費用による販売費及び一般管理費が増加したこと等により、営業利益は16百万円(同38百万円)と若干の減益になりました。一方、持分法による投資利益の増加や関係会社株式売却益を計上したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は301百万円(同108百万円)と増益となりました。
なお、持分法による投資利益として89百万円を営業外収益に計上しております。これは当社持分法適用関連会社である株式会社デジアラホールディングスに係るものであります。
また、関係会社株式売却益として275百万円を特別利益に計上しております。これは株式会社デジアラホールディングスの持分を一部売却(2022年6月6日実施)したものであります。
a.売上高の状況
営業投資有価証券の売却が前年同期に比べて減少したこと等により、当第2四半期連結累計期間における営業投資有価証券売上高は前年同四半期の6百万円から減少して3百万円となりました。新規ファンドの設立等による管理報酬が増加したこと等により、投資事業組合管理収入は、前年同四半期の231百万円から増加して248百万円となりました。また、コンサルティング収入による売上高は、前年同四半期の13百万円とほぼ横ばいの13百万円となり、コワーキング収入による売上高は、前年同四半期の20百万円とほぼ横ばいの20百万円となり、その他の売上高は、前年同四半期の2百万円から減少して1百万円となりました。
b.営業投資関連損益の状況
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
増減
営業投資有価証券売上高
6
3
△3
営業投資有価証券売却額(上場)
3
-
△3
営業投資有価証券売却額(未上場)
1
1
0
営業投資有価証券利息・配当金
1
1
0
営業投資有価証券売上原価
0
4
3
営業投資有価証券売却原価(上場)
0
-
△0
営業投資有価証券売却原価(未上場)
0
2
1
営業投資有価証券減損額
-
1
1
投資損失引当金繰入額
3
3
0
投資損失引当金繰入額
3
4
1
売却に係る投資損失引当金戻入額(△)
△0
△0
△0
減損に係る投資損失引当金戻入額(△)
-
△0
△0
営業投資関連損益
2
△4
△6
(注) 当第2四半期連結会計期間末における営業投資有価証券に対する投資損失引当金の割合は、11.1%(前連結会計年度末9.0%)となりました。
c.投資損失引当金の状況
当社グループは、投資先企業の経営成績及び財務状況を個別に精査し、さらに投資実行の主体である各投資事業組合の解散時期を勘案した上で、それぞれの営業投資有価証券を四半期ごとに評価し、償却処理又は投資損失引当金を計上しております。なお、新型コロナウイルス感染拡大による投資先企業への影響など、昨今の急激な外部環境の変化が、投資先企業に及ぼす影響も極力タイムリーに反映した評価を行っております。
当第2四半期連結累計期間においては、投資損失引当金繰入額は3百万円(前年同四半期3百万円)、当第2四半期連結会計期間末における投資損失引当金残高は15百万円(前連結会計年度末12百万円)となりました。なお、投資損失引当金の戻入額と繰入額は相殺し、純額表示しております。
また、当第2四半期連結会計期間末における営業投資有価証券に対する投資損失引当金の割合は、11.1%(前連結会計年度末9.0%)となりました。
d.投資の状況
当第2四半期連結累計期間における当社グループの投資実行の状況は、40社、1,098百万円(前年同四半期49社、1,039百万円)となり、前年同四半期に比べ9社減少、59百万円増加しております。また、当第2四半期連結会計期間末における投資残高は340社、9,185百万円(前連結会計年度末367社、8,789百万円)となりました。
① 証券種類別投資実行額
証券種類
投資実行額
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
金額(百万円)
投資企業数(社)
金額(百万円)
投資企業数(社)
株式
928
40
957
31
社債等
110
9
141
10
合計
1,039
49
1,098
40
(注)1.投資企業数の合計値は、株式、社債等双方に投資している重複社数を調整しております。
2.金額及び投資企業数は、連結グループ間の取引及び持分法適用の投資事業組合によるものを含めております。
② 証券種類別投資残高
証券種類
投資残高
前連結会計年度末
(2022年3月31日)
当第2四半期連結会計期間末
(2022年9月30日)
金額(百万円)
投資企業数(社)
金額(百万円)
投資企業数(社)
株式
7,668
328
8,009
308
社債等
1,121
50
1,176
45
合計
8,789
367
9,185
340
(注)1.投資企業数の合計値は、株式、社債等双方に投資している重複社数を調整しております。
2.金額及び投資企業数は、連結グループ間の取引及び持分法適用の投資事業組合によるものを含めております。
e.投資先企業の上場状況
当第2四半期連結累計期間において上場した投資先企業はありません。
f.投資事業組合の状況
前連結会計年度末
(2022年3月31日)
当第2四半期連結会計期間末
(2022年9月30日)
投資事業組合出資金総額(百万円)
23,432
23,929
投資事業組合数(組合)
50
50
(注) 「投資事業組合出資金総額」は、コミットメント総額であります。
① 出資金総額が増加した投資事業組合
当第2四半期連結累計期間において出資金総額が増加した投資事業組合は、以下の4組合であります。
(単位:百万円)
投資事業組合名
増加した出資金額
増加の理由
信州スタートアップ・承継支援投資事業有限責任組合
707
新規設立
日本スタートアップ支援2号投資事業有限責任組合
30
追加出資
かごしまスタートアップ支援投資事業有限責任組合
300
新規設立
創発の莟1号投資事業有限責任組合
200
追加出資
合計(4組合)
1,237
② 出資金総額が減少した投資事業組合
当第2四半期連結累計期間において出資金総額が減少した投資事業組合は、以下の2組合であります。
(単位:百万円)
投資事業組合名
減少した出資金額
減少の理由
日本スタートアップ支援1号投資事業有限責任組合
650
出資持分譲渡
日本スタートアップ支援2号投資事業有限責任組合
90
出資持分譲渡
合計(2組合)
740
(財政状態の状況)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、3,322百万円(前連結会計年度末3,142百万円)となりました。その内訳は流動資産2,636百万円(同2,221百万円)、固定資産686百万円(同921百万円)です。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、268百万円(同393百万円)となりました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計については、親会社株主に帰属する四半期純利益301百万円を計上したことや新株予約権の発行等により、3,054百万円(同2,749百万円)になりました。なお、純資産には投資事業組合の組合員の持分である非支配株主持分等が含まれるため、これらを控除して算出した自己資本は3,048百万円(同2,746百万円)、自己資本比率は91.8%(同87.4%)になりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「キャッシュ」という)は、前連結会計年度より423百万円増加し、2,482百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは21百万円のキャッシュインフロー(前年同四半期38百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益366百万円、関係会社株式売却益275百万円、持分法による投資利益の89百万円、前受金の減少156百万円、利息及び配当金の受取額188百万円によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは399百万円のキャッシュインフロー(同53百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入400百万円によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは3百万円のキャッシュインフロー(同154百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に、新株予約権の発行による収入3百万円によるものであります。
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