【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次の通りであります。
なお、当連結会計年度より、期末日満期手形の会計処理について満期日に決済が行われたものとして処理する方法から、手形交換日をもって決済処理する方法に変更しており、遡及処理後の数値で前年同期との比較分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行は徐々に緩和に向かいましたが、新型コロナウイルス感染症流行による工場ロックダウンや世界的な天候不順に端を発した半導体不足が続いており、また、2月に勃発したウクライナにおける戦争や物価の上昇など、経済の先行きに関する不安が解消できない状況で推移しました。
当社グループは、文具事業の立て直しを中心とした抜本的な経営改革を進めており、広島工場の新工場棟建設を進める傍ら、販売好調な万年筆の製造能力拡大に努めるとともに、積極的な販売施策に取り組みました。更に、原価削減や製品価格の改定などの収益改善への施策を進めました。この結果、文具事業は万年筆及びインクの販売が国内外で好調に推移し、計画を上回る売上高を確保できました。しかし、ロボット事業においては、半導体不足の影響による客先企業の設備投資見送りなどもあって、特注生産装置を中心に厳しい状況が続きました。以上の結果、当連結会計年度は、売上高50億2千9百万円(前期比6.7%減)、営業損失1億4千8百万円(前期営業利益1億8百万円)、経常損失1億4千8百万円(前期経常利益1億2百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失1億9千3百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益5千3百万円)となりました。
セグメントの業績は次の通りであります。
(文具事業)
文具事業につきましては、中核製品の万年筆及び万年筆カラーインクが、国内および海外でも好調に推移しており、売上高38億8千5百万円(前期比9.1%増)となりました。しかしながら、利益につきましては、広島工場の新棟建設に係る設備の償却費や解体費用、取得税などの臨時費用が過大となり、また、売上拡大により販売手数料が増加したことなどから、セグメント損失3千8百万円(前期セグメント利益2千5百万円)となっております。
(ロボット機器事業)
ロボット機器事業につきましては、客先部品メーカー各社が、半導体やプラスチック材料不足による生産調整の影響を受けた設備投資の先送りや海外の医療関係特注装置の受注が減少した影響が厳しく、売上高11億4千4百万円(前期比37.4%減)セグメント損失1億9百万円(前期セグメント利益8千3百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて12億9千2百万円減少し、11億7千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2億7千9百万円の減少(前期は1億6千6百万円の増加)となりました。主な増加要因としては、売上債権の減少額2億1百万円、減価償却費1億1千4百万円などで、主な減少要因としては、税金等調整前当期純損失1億7千1百万円、未収入金の増加額1億2千5百万円、棚卸資産の増加額1億8百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、有形固定資産の取得による支出11億7千万円などにより、11億8千3百万円の減少(前期は5億8千6百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入5億円、短期借入金の純減少額2億9千9百万円などにより、1億5千7百万円の増加(前期は1千1百万円の減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
文具事業(千円)
3,348,363
111.5
ロボット機器事業(千円)
1,109,547
62.4
合計(千円)
4,457,910
93.2
(注)金額は販売価格によっております。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
文具事業(千円)
232,035
40.5
ロボット機器事業(千円)
-
-
合計(千円)
232,035
40.5
(3)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
ロボット機器事業
1,359,484
85.5
592,935
157.1
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.文具事業においては、見込生産を行っております。
(4)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
文具事業(千円)
3,885,045
109.1
ロボット機器事業(千円)
1,144,047
62.6
合計(千円)
5,029,093
93.3
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
以下に記載の内容は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結会計年度末における資産・負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれております。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りであります。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末に比べて4千8百万円増加し、72億2千4百万円となりました。このうち、流動資産は、広島工場新工場棟の建設費用等により、現金及び預金の減少12億9千2百万円、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産)の減少1億9千6百万円などにより、12億3千9百万円減少して41億4千万円となりました。固定資産につきましては、広島工場新工場棟建設等による有形固定資産の増加12億8千8百万円などにより、前連結会計年度から12億8千7百万円増加して、30億8千4百万円となりました。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度に比べて17億7千万円減少し、32億9千5百万円となりました。このうち流動負債は、短期借入金の減少2億9千9百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加1億円などにより、前連結会計年度末より7千7百万円減少し、19億4千6百万円となりました。固定負債は、新株予約権の行使による転換社債型新株予約権付社債の減少20億円、長期借入金の増加3億7千4百万円などにより、前連結会計年度末より16億9千3百万円減少し、13億4千9百万円となっております。
(純資産)
純資産は、新株予約権の行使により資本金10億円及び資本剰余金10億円がそれぞれ増加する一方、利益剰余金の減少1億9千8百万円などにより、前連結会計年度末から18億1千8百万円増加して、39億2千9百万円となりました。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
(グループの経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの経営に影響を与える要因としては、文具業界の市場動向及びロボット機器事業に影響を及ぼす国内外の設備投資状況、樹脂材・金属材等の原材料費動向、海外市場強化に伴う為替動向、万年筆をはじめとする供給体制等が挙げられます。
これらの要因を踏まえ当連結会計年度における経営成績の分析は以下の通りであります。
①売上高
当社グループの売上高は50億2千9百万円(前期比6.7%減)となりました。このうち、文具事業の売上高は38億8千5百万円(前期比9.1%増)、ロボット機器事業の売上高は11億4千4百万円(前期比37.4%減)となりました。
文具事業につきましては、中核製品の万年筆及び万年筆カラーインクが、国内および海外でも好調に推移しました。ロボット機器事業につきましては、客先部品メーカー各社が、半導体やプラスチック材料不足による生産調整の影響を受けた設備投資の先送りや海外の医療関係特注装置の受注が減少した影響が厳しい状況でした。
②営業利益
当社グループの営業利益は、1億4千8百万円の営業損失(前期営業利益1億8百万円)となりました。そのうち、文具事業におきましては、セグメント損失3千8百万円(前期セグメント利益2千5百万円)となりました。ロボット機器事業におきましては、セグメント損失1億9百万円(前期セグメント利益8千3百万円)となりました。
ロボット機器事業の売上不振の影響が大きく、また、文具事業におきましては、広島工場の新棟建設に係る設備の償却費や解体費用、取得税などの臨時費用が過大となりました。
③経常利益
支払利息の計上などにより、経常損失1億4千8百万円(前期経常利益1億2百万円)となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純損失1億9千3百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益5千3百万円)となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、運転資金としては原材料及び商品仕入、製造費及び販売費・一般管理費等の営業費用、設備投資資金としては中長期的な成長に必要な設備投資であります。
運転資金及び設備投資資金については、内部資金及び銀行等金融機関からの借入によっております。
なお、当連結会計年度末における借入金残高は11億7千4百万円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は11億7千7百万円となっております。
(6) 経営上の達成状況について
当社グループは、2022年実績と最近の経済状況を踏まえ、よりリスク耐性が高く、収益性を高める経営が求められているとして、2022年3月2日に発表した中期経営計画(2022年から2024年まで)を見直す必要があると判断し、新たな中期経営計画(2023年から2025年まで)を策定することといたしております。
内容につきましては、現在精査中であり、後日発表させていただきます。
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