【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。第1四半期連結会計期間より、四半期連結財務諸表を作成しているため、前年同四半期連結累計期間及び前連結会計年度末との比較分析は行っておりません。また、当社グループは2022年10月に株式を取得した魚津運輸株式会社を連結子会社といたしました。魚津運輸株式会社は、みなし取得日を当第3四半期連結会計期間末日(2022年12月31日)としているため、当第3四半期連結累計期間においては貸借対照表のみ連結しており、損益計算書については連結しておりません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和されつつあり、景気は緩やかに持ち直しているものの、急激な円安の進行や、資源・エネルギー価格の高騰をはじめ、各原材料の高騰により生活必需品の物価が上昇し、さらに欧米諸国を中心とした世界情勢悪化の長期化など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社グループの主力事業の貨物自動車運送業界におきましては、ネット通販を利用した生活様式の定着化が進んだことにより消費需要は底堅く、宅配貨物は増加傾向となる一方、一般貨物等におきましては、原油価格の高止まりや、人手不足等の影響は一段と大きく、また今後の世界情勢により資材や各原材料のさらなる高騰が想定される中、経営環境は厳しい状況が続くものと思われます。このような状況下において当社グループでは、必要な人員を確保しつつ労働環境の改善に努め、生産性向上に取り組むとともに、引き続き輸送中心の収益構造から付加価値の高い総合的かつ複合的な物流収益へと収益基盤改革を推し進めてまいりました。今期におきましては、新たに4月から東部大井川倉庫が稼働いたしました。また、当社グループは現在、継続的な事業成長に向けた資本業務提携やM&Aを必要に応じ実行する方針を掲げており、4月に株式会社東北三光(宮城県塩竃市)の全株式を取得、子会社化し、当社グループ企業として本格的に稼働いたしました。さらに10月には、新たな輸送品の拡大と成長分野への参入を視野に入れ、現在注目されている水素をはじめとした各種産業用ガス輸送を行なっている魚津運輸株式会社(富山県魚津市)の53.23%の株式を取得し(議決権所有割合75.80%)、新たに子会社化した事で相模新栄運送株式会社を含め、連結対象会社は3社となりました。今後も継続的な事業成長を視野に、引き続き3PL型営業展開を加速させ、物流施設等への積極的かつ戦略的投資を継続していくことで、更なる収益基盤の改革を推し進めるとともに、またIT・DXの加速を視野に、専門的人材の確保に力を注ぎ、人材育成に向けた投資を積極的に行うことで、成長を持続させる企業基盤を創出してまいります。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は7,513,364千円、営業利益371,131千円、経常利益413,464千円、親会社株主に帰属する四半期純利益375,668千円となりました。
セグメント別の業績につきましては、次のとおりであります。(貨物自動車運送事業)飲料系輸送は、行動制限の緩和で人流の回復が進み、個人消費が総じて堅調に推移したことで、輸送量は順調に推移いたしました。また、飲料系輸送以外の荷動きも概ね想定通りに推移したほか、セメント輸送におきましては、引き続き公共工事向けの輸送が好調に推移いたしました。一方、一部の物流センターではコロナ禍での経済活動の回復が遅れ、空床が発生しております。以上から、当事業の売上高は、関連業務の荷役・保管作業収入を含め、6,838,428千円となり、セグメント利益は、306,805千円となりました。(不動産賃貸事業)自社施設は、横浜地区におけるオフィスビル市況が回復し、契約更新が予定通り進捗したことで満床状態で稼働しており、引き続き安定した収益を確保しております。この結果、当事業の売上高は498,436千円となり、セグメント利益は321,987千円となりました。(その他事業)石油販売は、石油価格の大幅な上昇により販売数量は減少したものの、例年を上回る水準で推移しております。自動車整備事業は、引き続き積極的な外販整備受注に取り組み、例年を上回る水準で推移しております。この結果、当事業の売上高は、199,849千円となり、セグメント利益は56,391千円となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。(資産)当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、23,495,448千円となりました。主な内訳は、現金及び預金3,853,255千円、建物(純額)4,852,517千円、土地8,548,550千円であります。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債総額は、4,214,421千円となりました。主な内訳は、営業未払金797,178千円、リース債務(流動負債及び固定負債合計)531,888千円、繰延税金負債1,075,675千円であります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は19,281,026千円となりました。これは主に、資本金553,031千円、資本剰余金536,556千円、利益剰余金18,407,029千円、自己株式377,231千円であります。この結果、自己資本比率は81.7%となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第3四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容の概要 当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。しかし、保有不動産の有効利用による事業の安定化に加えて、3PL(物流の一括受注)による提案物流等の新事業を構築する不動産賃貸事業、自動車整備事業・保険代理業等も組み込んだ総合物流業である当社及び当社の関係会社(以下「当社グループ」といいます。)の経営においては、当社グループの有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、そして、主力事業である公共性の高い貨物自動車運送事業という当社グループに与えられた社会的な使命、それら当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を構成する要素等への理解が不可欠です。これらを継続的に維持、向上させていくためには、当社グループの強みである、(a)安全が絶対条件である危険物輸送の高度な知識を、一般貨物輸送に取り込み商品化した事業展開、(b)取引先の多面的なニーズに応え高品質の物流を提供するノウハウと専門性、3PL事業による物流の一括受注、(c)労使一体となった事業の推進等独自性を機軸とした中長期的な視野を持った経営的な取組みが必要不可欠であると考えております。当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者によりこうした中長期的視野を持った経営的な取組みが実行されない場合、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益や当社グループに関わる全てのステークホルダーの利益は毀損される可能性があります。当社は、当社株式の適正な価値を株主及び投資家の皆様にご理解いただくようIR活動に努めておりますものの、突然大規模な買付行為がなされたときに、買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当かどうかなど買付者による大規模な買付行為の是非を株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。さらに、当社株式の継続保有をお考えの株主の皆様にとっても、かかる買付行為が当社グループに与える影響や、買付者が考える当社グループの経営に参画したときの経営方針、事業計画の内容、当該買付行為に対する当社取締役会の意見等の情報は、当社株式の継続保有を検討するうえで重要な判断材料となると考えます。② 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要当社は、創業以来、貨物自動車運送事業を基盤事業として、長い歳月をかけて築いた輸送ノウハウと顧客との深い信頼関係が、大手優良企業との強固な取引関係を実現していると考えています。その他、商品販売事業や保有資産の有効利用・提案物流による施設を提供する不動産賃貸事業等についても強化しており、現在では、当社が展開するセグメントは3セクションとなっております。当社は、広い視野で積極的にビジネスを開拓しながら、確実な収益性や効率性を追求し、着実な事業の多角化を推進しております。当社は、次の3点につき中長期的な観点から取り組んでいます。(a) アウトソーシングのニーズを取り込むため、物流の『最適化提案営業』をスローガンとして、製造から保管業務、輸送までの工程を一元化した『システム物流』を3PL(物流の一括受託)事業として拡大を目指してまいります。(b) 長期的成長と存在感のある企業を目指し、ローコスト・オペレーションを実践するために、大型化(トレーラー化)を推進し複合輸送を強化することで、稼働率アップ及び輸送力アップを実現してまいります。また、生産性の向上と合理化を図ると共に、サステナビリティを追求した環境配慮型経営を実行してまいります。(c) 輸送協力会をはじめとした協力会社との提携等により、荷主に安定的な商品輸送を提供すると共に、必要に応じM&Aの実行から新業務への開拓を推進してまいります。また、輸送品質向上を図るため、見た目で解る物流の商品化を実行してまいります。これら中長期的な取組みにより、一層の企業価値ひいては株主共同の利益の向上に取り組んでおります。また、当社は、貨物自動車運送事業が主体事業であるため、公共性も高く、常に安定した物流サービス(安全・輸送品質・環境対策)を提供することを意識し、これらを具現化していくことにより、社会的使命を果たし、さまざまなステークホルダーから信頼されることを念頭に置く経営を目指しております。今後とも諸制度を整備し、コーポレート・ガバナンスの機能強化に努め、透明性のある公正な経営が実施される体制を整えていきたいと考えております。当社は、2022年6月28日開催の当社第109回定時株主総会での承認により、監査等委員会設置会社へ移行しました。これにより、取締役の職務執行の監査等を担う複数の社外取締役を含む監査等委員を取締役会の構成員とすることにより、取締役会の監督機能を強化し、更なる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいりたいと考えております。当社取締役会につきましては、監査等委員ではない取締役4名、監査等委員である取締役4名(内3名は独立社外役員)で構成されており、経営陣幹部の選解任その他の重要な意思決定を通じて経営の監督を行っております。また、激しい企業環境の変化に迅速に対応し、責任の明確化を図り、職務遂行度をより厳しく問うことを目的として、監査等委員ではない取締役任期を1年、監査等委員である取締役の任期を2年としております。当社は、執行役員制度を導入しており、業務執行体制を明確化し、取締役の活性化と業務執行機能の強化を図っております。なお、当社は、取締役の就任時及び就任後に必要とされる知識、情報を提供するため、適宜役員研修を実施しております。このような体制整備のほか、当社では情報開示の充実がコーポレート・ガバナンスにとって有効な機能を果たすと考えており、各種の会社情報を適時、適切にかつ積極的に開示することによって、株主の皆様やその他外部からのチェック機能を高め、経営の透明度を高めることを今後とも充実させていきたいと考えております。これらの取組みの充実を含め、今後とも一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図っていく考えであります。中長期戦略に基づく取組みは、当社グループの企業価値を向上させ、当社の株主共同の利益を著しく損なう大規模な買付者が現れる危険性を低減するものと考えます。また、コーポレート・ガバナンスの強化充実に向けた取組みは、中長期戦略を推進し、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を図る基盤となるものと考えます。したがって、かかる取組みは、会社支配に関する基本方針に沿うものであると考えます。③ 不適切な支配の防止のための取組みの概要当社は、2022年6月28日開催の第109回定時株主総会において、①で述べた会社支配に関する基本方針に照らし、「当社株券等の大規模買付行為への対応方針」(以下「本対応方針」といいます。)の継続につき株主の皆様のご承認をいただきました。本対応方針は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いませんが、あらかじめ当社取締役会が同意した者による買付行為を除きます。かかる買付行為を以下「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を以下「大規模買付者」といいます。)が行われる場合に、(a)大規模買付者が当社取締役会に対して大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を事前に提供し、(b)当社取締役会のための一定の評価期間が経過し、かつ(c)取締役会又は株主総会が新株予約権無償割当て又はその他の法令及び定款の下でとりうる合理的な施策(以下「新株予約権無償割当て等」といいます。)の実施の可否について決議を行った後に大規模買付行為を開始する、という大規模買付ルールの遵守を大規模買付者に求める一方で、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう大規模買付行為を新株予約権無償割当て等を利用することにより抑止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的とするものです。当社の株券等について大規模買付行為が行われる場合、まず、大規模買付者には、当社代表取締役宛に大規模買付者及び大規模買付行為の概要並びに大規模買付ルールに従う旨が記載された意向表明書を提出することを求めます。さらに、大規模買付者には、当社取締役会が当該意向表明書受領後10営業日以内に交付する必要情報リストに基づき株主の皆様の判断及び当社取締役会の意見形成のために必要な情報の提供を求めます。次に、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、大規模買付者が当社取締役会に対し前述の必要情報の提供を完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)又は90日間(その他の大規模買付行為の場合)を取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間とし、当社取締役会は、当該期間内に、外部専門家等の助言を受けながら、大規模買付者から提供された情報を十分に評価・検討し、後述の独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、当社取締役会としての意見を取りまとめて公表します。また、当社取締役会は、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会としての代替案を提示することもあります。当社取締役会は、本対応方針を適正に運用し、当社取締役会による恣意的な判断を防止するための諮問機関として、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役及び社外有識者の中から選任された委員からなる独立委員会を設置し、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないため新株予約権無償割当てを実施すべきか否か、大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと認められるため新株予約権無償割当てを実施すべきか否か、新株予約権無償割当て等の実施の可否につき株主総会に諮るべきか否か等の本対応方針に係る重要な判断に際しては、独立委員会に諮問することとします。独立委員会は、(a)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないため新株予約権無償割当ての実施を勧告した場合、(b)大規模買付者による大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと認められるため新株予約権無償割当ての実施を勧告した場合、及び(c)大規模買付者による大規模買付行為ないしその提案内容の評価、検討の結果、新株予約権無償割当ての不実施を勧告した場合を除き、新株予約権無償割当て等の実施の可否につき株主総会に諮るべきである旨当社取締役会に勧告を行います。当社取締役会は、株主総会決議に従って、又は取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情がない限り独立委員会の前述の勧告を最大限尊重し、新株予約権無償割当て等の実施又は不実施に関する会社法上の機関としての決議を遅滞なく行います。新株予約権無償割当てを実施する場合には、新株予約権者は、当社取締役会が定めた1円以上の額を払い込むことにより新株予約権を行使し、当社普通株式を取得することができるものとし、当該新株予約権には、大規模買付者等による権利行使が認められないという行使条件や当社が大規模買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項等を付すことがあるものとします。また、当社取締役会は、当社取締役会又は株主総会が新株予約権無償割当ての実施を決定した後も、新株予約権無償割当ての実施が適切でないと判断した場合には、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、新株予約権無償割当ての実施の変更又は停止を行うことがあります。当社取締役会は、前述の決議を行った場合は、適時適切に情報開示を行います。本対応方針の有効期限は、2022年6月28日開催の定時株主総会においてその導入が承認されたことから、当該定時株主総会の日から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとし、その後の継続についても同様とします。なお、本対応方針の有効期間中であっても、企業価値ひいては株主共同の利益の向上の観点から、関係法令の整備や、金融商品取引所が定める上場制度の整備等を踏まえ随時見直しを行い、本対応方針の変更を行うことがあります。なお、本対応方針の詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(www.tohbu.co.jp/)に掲載する2022年5月10日付プレスリリースをご覧下さい。④ 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断前記②基本方針の実現に資する特別な取組みは、②に記載したとおり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための具体的方策であり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではなく、当社の基本方針に沿うものです。また、前記③の本対応方針も、③に記載したとおり、企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるために導入されたものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではなく、当社の基本方針に沿うものです。特に、本対応方針は、当社取締役会から独立した組織として独立委員会を設置し、新株予約権無償割当て等の実施・不実施の判断の際には取締役会はこれに必ず諮問することとなっていること、独立委員会が株主総会に諮る必要がないと判断する限定的な場合を除き、原則として株主総会決議によって新株予約権無償割当て等の実施の可否が決せられること、本対応方針の有効期間は3年であり、その継続については株主の皆様のご承認をいただくこととなっていること等その内容において公正性・客観性が担保される工夫がなされている点において、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。