【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績及び財政状態の状況
当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は、組織再編による責任体制の明確化と顧客重視の品質管理体制の充実、適正在庫による販売の効率化のための社内管理体制の見直し、採算管理の細分化による営業費用の適正化という期初に掲げた施策を推進してまいりました。しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、インバウンド消費の消失とともに、昨年4月からの度重なる緊急事態宣言により、外食産業の需要が大きく減少し、これら外食向け・業務筋への販売が大きく減少しました。特に高級魚を中心とした高単価生鮮品は、取扱数量・単価ともに大きく下落しました。その反面、いわゆる巣ごもり需要等により冷凍水産物及び加工水産物は健闘したものの、生鮮水産物の落ち込みをカバーするまでには至りませんでした。
上記要因により、主要セグメントである水産物卸売業の売上高は減少となりましたが、在庫の適正化と商流の変化への対応により売上総利益率がアップし、保管経費も削減、組織再編による効率化も相まって、損益面では大幅な改善となりました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は66,621百万円(前年同期売上高71,658百万円)、営業利益は132百万円(前年同期営業損失690百万円)、経常利益は189百万円(前年同期経常損失674百万円)、特別利益として固定資産売却益964百万円及び投資有価証券売却益26百万円を計上、並びに特別損失として減損損失407百万円、賃貸借契約解約損73百万円及び事業構造改善費用53百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は518百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失690百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(水産物卸売業)
売上高は65,330百万円(前年同期は70,367百万円)、セグメント損失164百万円(前年同期は1,010百万円のセグメント損失)となりました。
生鮮水産物は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、鮮マグロや活魚等の高単価生鮮品については飲食店の営業自粛等により、取扱金額は減少となりました。
冷凍水産物は、業務筋への販売が減少したこともあり、冷マグロを中心に取扱金額が減少となりました。
加工水産物は、うなぎ蒲焼、イクラ、煮タコなど、巣ごもり需要の影響により取扱金額が増加となりました。
(冷蔵倉庫業)
豊洲市場内の冷蔵庫では、取引先の一部が緊急事態宣言での余波で営業休止するなどにより、生鮮品の保管料売上が減少しましたが、保管品の勧誘など営業努力により、冷凍品の保管料売上が増加しました。しかし維持費や管理費が増加したこともあり、売上高は1,135百万円(前年同期は1,134百万円)、セグメント利益は208百万円(前年同期は228百万円のセグメント利益)となりました。
(不動産賃貸業)
売上高、セグメント利益ともに前年並みに推移しました。
当連結会計年度末の当社グループの財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は15,556百万円となり、前連結会計年度末に比べ374百万円増加いたしました。流動資産は6,319百万円となり、588百万円増加いたしました。これは主に売上債権の増加によるものです。固定資産は9,167百万円となり、186百万円減少いたしました。これは主に固定資産の一部を減損したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は9,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ182百万円減少いたしました。流動負債は4,071百万円となり、251百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等の増加によるものです。固定負債は5,785百万円となり、433百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の返済によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、当期純利益により5,699百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の33.9%から36.6%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、600百万円増加し1,330百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、たな卸資産の減少等により379百万円の収入(前連結会計年度は622百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の売却による収入等により685百万円の収入(前連結会計年度は253百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済等により464百万円の支出(前連結会計年度は361百万円の支出)となりました。
(キャッシュ・フローの指標)
2017年3月期
2018年3月期
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
自己資本比率(%)
31.8
32.2
33.8
33.9
36.6
時価ベースの株主資本比率(%)
14.3
13.9
12.8
12.9
28.8
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
430.4
52.0
6.2
9.1
13.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
1.92
31.2
51.1
20.5
14.3
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
新型コロナウイルス感染症拡大の影響としましては、ワクチンの接種が始まったものの、変異種の発生等により、その影響の規模や収束の時期は不透明と判断しております。
当社グループでは、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染拡大の影響が2022年3月末まで一定程度継続していくものと仮定しております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④仕入及び販売の実績
(a)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
水産物卸売業
61,290
92.6
冷蔵倉庫業
–
–
不動産賃貸業
–
–
合計
61,290
92.6
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.冷蔵倉庫業、不動産賃貸業に関しては、仕入高に該当するものはありません。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
水産物卸売業
65,330
92.8
冷蔵倉庫業
1,135
100.1
不動産賃貸業
155
99.0
合計
66,621
93.0
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記は、セグメント間取引消去後の金額で記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、連結会計年度末日における資産・負債の計上、ならびに報告期間における収益・費用の計上および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
『当社グループの当連結会計年度の経営成績等』は、次のとおりです。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ7.0%減の66,621百万円、営業損益は132百万円の営業利益(前年同期690百万円の営業損失)、経常損益は189百万円の経常利益(前年同期674百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損益は518百万円の利益(前年同期690百万円の損失)となりました。
『当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因』は次のとおりです。
(漁業資源の減少)
我が国の漁業・養殖業生産量は、1984年をピーク(1,282万トン)に1995年にかけて急速に減少し、その後も漸減傾向をたどり、前年から22万トン(5%)減少し、2019年の生産量は419万トンとなりました。一時期低迷していたマイワシの2019年の漁獲量は前年比2.5%増と増加傾向にあるものの、ここのところ堅調に推移していたサバの減少、減少傾向が続いていたサンマ・スルメイカ・サケの漁獲量の更なる減少が顕著であります。不漁の要因については、海水温や海流等の海洋環境の変化、外国漁船による漁獲の影響など様々な要因が考えられます。平均産地価格は、近年豊漁傾向のマイワシは下降気味ですが、最近注目を浴びているサバの価格上昇、不漁が続き漁獲量の減少したサンマやスルメイカも高値となっており、2019年には、前年から2円/キロ増加し、350円/キロとなりました。
(世界の水産物消費の増大)
我が国の1人当たりの食用魚介類の消費量は、いわゆる「魚離れ」から、ここ近年減少傾向にあり、長らく水産業にとっての課題となっています。食用魚介類の国内消費仕向量は2001年までは850万トン前後で推移した後に減少を続け、2016年に肉類の国内消費仕向量を下回り、2019年には568万トンとなりました。一方世界では輸送技術等の発達による流通機能の近代化、生活水準の向上、健康志向の高まり等により、新興国を中心に魚の消費量が増加し続けています。その結果、世界の水産物貿易量の増大には顕著なものがあり、国際的な需要の高まりを受けて、取引価格は上昇基調にあります。また、経済開発協力機構(OECD)は、今後10年間の水産物の国際取引価格について、総じて高値で推移すると予測しています。
なお、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、外食や人の移動が制限されるなど、国内の消費はもとより、海外の外食需要により増加していた水産物輸出にとっても厳しい1年となっております。
(海洋資源保護の動き)
2015年、国連において「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以降、IUU漁業(違法・無報告・無規制で行われる漁業)を抑制する観点からの議論が活発化し、各地域漁業管理機関では漁獲量規制、技術的規制等の実効性のある資源管理の議論が行なわれています。特に、カツオ・マグロ類は、世界のすべての海域で、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)等による資源管理が行なわれており、カツオ・マグロ類以外のサンマ・サバ等の水産資源についても、保存と持続的利用を目的とした関係国間の調整が活発化しています。
(水産物の消費量及び市場経由率の減退)
国内の生産魚介類の1世帯当たりの年間購入量は、40代以下世代の若年層の肉類の消費増大、高齢化の進行、消費形態の変化に伴い加工品へ需要がシフトしていることにより、2019年まで一貫して減少してきましたが、2020年には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、年間購入量は前年より4%増の23.9㎏となりました。また、ここ近年概ね横ばいとなっていた年間支出金額は、2020年には前年より5%増の4.36万円となりました。
ただし、魚介類の食用国内消費仕向量は、ここ近年の減少傾向には変わりなく、加えて、漁業者・産地出荷業者と小売業者等との産地直送取引や、インターネットを通じた消費者への直販等、市場外流通が増えています。この結果、近年、消費地市場の経由率は年々低下してきています。
(魅力ある水産物の消費拡大)
水産物が優れた栄養特性と機能性を持つ食品であるということは、様々な研究から明らかになっています。近年の健康志向の高まりから、魚食に関する知識の習得や、体験等の食育の機会を充分に確保しようという動きが広まっています。また、学校給食等で魚食習慣を身につけるための活動、魚食の魅力を伝え水産物消費を拡大していくための「魚の国の幸せ」プロジェクトの官民協働の取組、水産庁長官認定の「お魚かたりべ」による魚食普及活動、調理が面倒だと敬遠されがちな水産物を手軽においしく食べられるような商品及びその食べ方を選定する「ファストフィッシュ」の取組等、水産物消費拡大に向けて様々な活動が展開されています。
(消費スタイルの変化)
2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、水産物に限らず、食の消費スタイルが大きく変化した1年でした。同年3月以降に外食の利用が大きく減少し、家での食事(内食)が増加しました。また、食品の購入方法にも変化が見られ、「インターネット」、「量販店・スーパー」、「テイクアウト」を利用する機会や量が増加しております。2020年のスーパーマーケットの水産物の全店売上高の前年同月比は、5月に最大112%となり、平均107%で推移しました。
(水産物流通に関する法改正)
2020年6月21日に施行された改正卸売市場法は、差別的取扱いの禁止等の基本取引ルールに変更はありませんが、原則禁止から原則自由への転換が図られ、卸売市場ごとに、仲卸業者による直荷引き、卸売業者による第三者販売等の取引ルールを設定することが可能となります。
また、同年12月に施行された改正漁業法、同月に公布され、2年以内に施行される水産流通適正化法が成立しました。水産資源の持続可能性に配慮した漁獲枠の上限を決めるなどの「管理漁業」を目指す改正漁業法は、縮小する水産業の復活につながるものと期待されています。もう一方の水産流通適正化法は、世界の水産物の13~31%(重量ベース)を占めると言われている違法漁獲物を市場から排除し、「国内漁獲物のトレーサビリティの確保」と「国外からの違法漁獲物の流入防止」を目的としています。これらはSDGs14の海洋資源のサスティナビリティに合致するもので、国外からは歓迎の意を受けています。
(当社の役割)
卸売市場には、集荷・分荷機能、価格形成機能、決済機能、情報受発信機能を果たす重要な役割がありますが、豊洲市場はそれらに加え、適切な温度管理と品質、衛生管理を強化した閉鎖型施設で、効率的な物流動線と多様なニーズに対応する加工設備を装備した卸売市場として機能しております。当社グループは、新市場の装備を遺憾なく活用し、生産者・出荷者に対し消費者・実需者のニーズを、これまで以上に迅速・的確にフィードバックしタイムリーな集荷と販売に努め、新設した多機能型冷蔵庫の活用や消費地加工能力の増強などを通じて、卸売会社としての機能拡充を目指して参ります。
一方水産物需給に目を転じますと、人口減少や消費者の生活様式の変化等に伴い、食に対する志向が変化し、水産物消費量の減少傾向が続いているほか、漁業生産量が減少傾向となっています。また、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響も受け、水産物を消費する形態も変化しています。当社グループは、これら変化に対応すべく、新中期経営計画『SG-2023』の基本コンセプトである「水産食品卸としてのプラットフォームを充実させ、持続的成長を目指す」を掲げ、水産食品卸として、出荷者との協業を継続しつつ、買受人の要求に応える商品やサービスを提供する「マーケットイン」の視点を今まで以上に取り入れていきます。
さらに、昨今の食を取り巻く環境変化やグローバルなデリバリーへの対応、そして最終消費者の皆さまに「安心・安全」な商品を継続的に供給するため、HACCPに基づく衛生管理の徹底が求められています。当社は、生産者から消費者まで続くサプライチェーンのプレーヤーとして、HACCPの考え方に基づいた衛生管理を実施しております。
また、当社は、海洋資源の保護と持続可能な漁業普及の一環として、2016年に国際的な天然水産物向けエコラベル「MSC」、その養殖水産物版「ASC」の各流通認証を取得、さらに2017年には国内漁業主体の水産認証「MEL」、続いて2018年「AEL」の各流通認証も取得して、日本における4大水産認証をすべて揃えました。さらに、当社子会社の北海道にある㈱キタショク及び豊洲市場内の共同水産㈱においても、MSC,ASCのCOC(流通加工管理)認証を取得し、当社グループは原料入手から、加工、販売まで一貫した体制を構築致しております。
今後も豊かな海を守り、持続性ある水産業を応援し、さらに出荷者や買受人に信頼されるサプライチェーンを構築していくことで、当社グループは社会に貢献してまいります。
『当社グループの資本の財源および資金の流動性』については、次のとおりです。
当社グループは、豊洲新市場が開設予定であった2016年11月までに、豊洲新市場において冷蔵庫や活魚漕、加工設備などを建設し、約6,000百万円の設備投資を実施いたしました。このうち、新設冷蔵庫の資金約5,300百万円については、2017年3月期までに、移転に伴い東京都が実施した大規模事業者融資制度(3年返済据置、12年の元金均等返済条件)を利用して調達、残り約700百万円は自己資金で賄っています。
したがって、当連結会計年度末のネット借入金(長・短借入金から現預金を控除したもの)は3,945百万円となっていますが、2014年度から開始した『中期経営計画=CHALLENGE-2020』期間中の過去7年間の営業キャッシュ・フローは合計約4,294百万円となり、当連結会計年度末のネットDEレシオ(ネット借入金と純資産との倍率)は1倍以下(0.69倍)で、財務内容は引続き健全と判断しています。
また、豊洲新設冷蔵庫に係る借入金の返済につきましては、新市場移転の延期に伴って、2020年2月からとなり、新設冷蔵庫が生み出すキャッシュ・フローによって充分返済が可能と判断しています。
『経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等』については、次のとおりです。
2021年3月期の連結ベースの実績は、売上高66,621百万円、経常利益189百万円、親会社株主に帰属する当期純利益518百万円、純資産5,699百万円、自己資本比率36.6%となっております。2021年度から新たな中期経営計画として、『SG-2023』がスタートします。新計画の目標数値は下記のとおりとなっております。
項目
(連結ベース)
SG-2023最終目標数値
2024年3月期
売上高
62,000百万円程度
営業利益
400百万円程度
経常利益
400百万円程度
親会社株主に帰属する
当期純利益
350百万円程度
自己資本比率
40.0%程度
上記売上高は、2022年3月期より「収益認識基準に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用した金額となっております。同会計基準を適用する前の売上高目標は76,000百万円程度としています。
上記の目標値は、現時点における入手可能な情報に基づいて算出しておりますが、実際の業績は今後の事業環境の変化等の様々な要因により大きく異なる可能性があります。
なお、詳細は「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題」に記載しております。
『セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容』は、次のとおりです。
(水産物卸売業)
水産物卸売業のセグメントは、売上高は前年同期比7.2%減の65,330百万円、セグメント損失164百万円(前年同期1,010百万円の損失)となっており、本セグメントの収益力の回復を図ることが重要課題と考えています。
しかしながら、供給サイドでは国内生産量が天候不順・資源保護問題や漁業従事者の高齢化等を要因として、魚種別にバラツキはあるものの、関係者の懸命な努力にもかかわらず減少傾向をたどり、また、冷凍水産物の輸入も、国際的な価格競争の激化により減少しています。一方、需要サイドでは消費者の「魚離れ」や「高齢化」等により需要が減退し、市場規模の縮小から同業間の競争が激化しており、消費者ニーズの多様化もあって厳しい業界環境が継続しています。
したがって、当社グループは、中央卸売市場の荷受会社として生鮮流通に強みを持っており、その優位性を活かしたビジネスチャンスの拡大を志向すると同時に、子会社共同水産㈱(加工販売業)や築地市川水産㈱(仲卸業)の機能拡充を図り、豊洲市場内の多機能型冷蔵庫をてこにした商流拡大に取り組んでまいります。
また、天然魚の漁獲が不安定かつ減少傾向にあることから、安定した出荷が見込める養殖魚の取扱拡充が不可欠と考えており、養殖魚出荷業者との連携を強化してまいります。
水産物取引は市況変動リスクを避けては通れませんが、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題」でも記載したとおり、保有在庫の適正化と回転を早めるための社内管理体制の見直しと、採算管理の細分化により営業費用の適正化を図ることで、タイムリーな集荷と在庫リスクの軽減に努め、引続き与信管理を強化するなど、リスクマネジメントにも意を用いて、収益力のあるセグメントへの転換に向け傾注していきます。
(冷蔵倉庫業)
冷蔵倉庫業のセグメント売上高は、前年並みの1,135百万円、セグメント利益は208百万円(前年同期は228百万円のセグメント利益)となっています。
豊洲市場内の冷蔵庫(豊洲東市冷蔵庫)は、鮮魚荷捌き場、C(+5℃)~F(-25℃)~SF(-60℃)の各温度帯の保管設備、水産加工場、製氷機、事務所等を装備した、市場特有の多機能型冷蔵庫となっており、仲卸業者等からの容積貸しの引き合いも強く安定収益が見込めることから、当社の新市場での強力な武器になるものと判断しています。
また東京都中央区豊海町に保有している冷蔵庫(豊海東市冷蔵庫)は、建設から46年を経過しております。同冷蔵庫は豊洲市場にも近接立地していることから、豊洲市場の冷蔵庫を補完することが期待できるため、改修や再整備、転用等を含め、その活用方法を検討してまいります。
(不動産賃貸業)
不動産賃貸業のセグメント売上高は、前年並みの155百万円、セグメント利益は87百万円(前年同期が91百万円のセグメント利益)となっています。なお、当面、新規に資産を取得する計画はありません。