【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は37,283百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,247百万円増加いたしました。これは主に、販売用航空機等が6,674百万円減少しましたが、現金及び預金が5,197百万円、商品出資金が10,142百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は11,071百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,311百万円増加いたしました。これは主に、賃貸資産が7,775百万円、繰延税金資産が1,375百万円それぞれ増加したことによるものであります。プリンシパルインベストメント事業において船舶を保有したことにより賃貸資産が増加しております。
この結果、総資産は48,354百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,558百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は16,643百万円となり、前連結会計年度末に比べ164百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金が6,319百万円減少しましたが、1年内返済予定の長期借入金が502百万円、未払法人税等が2,909百万円、契約負債が2,560百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定負債は13,932百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,774百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が13,904百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は30,575百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,938百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は17,778百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,620百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益2,443百万円及び新株の発行1,864百万円によるものであります。
②経営成績の状況
当社グループは、投資家、パートナー、借り手(レッシー)のみなさまへ、航空機・船舶等の価値ある優良資産を対象とした、魅力ある商品の組成、販売を行い、「100年企業への挑戦」の経営理念のもと、みなさまの持続的な成長に貢献できるよう事業に取り組んでおります。
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴う行動制限の緩和などから社会経済活動の回復への動きが見られたものの、エネルギー・原材料価格等の高騰による世界的な物価の上昇や、急激な為替の変動など、引き続き先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域である航空業界におきましては、燃料価格の上昇やサプライチェーンの混乱等の影響が続いていましたが、渡航制限の緩和から航空旅客需要はコロナ禍前の水準へと戻りつつあり、各国主要航空会社の売上高はコロナ禍前の水準を上回るなど回復に向かっております。
また、海運業界におきましては、ロシア・ウクライナ情勢を受けた欧州におけるエネルギー輸入動向の変化から、LNG船やタンカー市況は堅調な推移が見込まれている一方、コロナ禍において高騰したコンテナ船市況は調整局面を迎えているなど、船種ごとの市況の変化には引き続き注視が必要な状況です。
このような環境の中、当社グループのオペレーティング・リース事業においては、船舶ファイナンス世界大手のBNPパリバ銀行やSBI新生銀行グループとの協業により、優良海運会社向けの船舶JOLCO商品の組成を大幅に強化した他、北米エアライン大手アメリカン航空や欧州エアライン大手エールフランス航空向けのJOL商品の組成を行うなど、投資家にとって魅力ある商品の拡充に注力してまいりました。一方の商品販売においては、急激な為替変動に伴うJOLCO商品(ドル建て)の購入に対する投資家心理の冷え込みに対し、パートナーへの投資家紹介手数料の引上げや値引き販売等の施策を実施するなど、販売活動の推進に努めました。
また、さらなる収益機会の獲得や将来的な商品ラインナップの拡充に向けて、当社グループで船舶を保有し用船事業を行うプリンシパルインベストメント事業を開始いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高39,572百万円(前連結会計年度比33.9%増)、営業利益4,025百万円(同22.7%増)、経常利益3,532百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,443百万円(同76.4%減)となりました。
また、商品組成金額は202,547百万円(前連結会計年度比28.9%増)、商品出資金等販売金額は78,389百万円(同40.0%増)となりました。
なお、当社グループはオペレーティング・リース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,197百万円増加し、13,812百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは3,711百万円の収入超過(前連結会計年度は772百万円の支出超過)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額3,466百万円により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益3,516百万円及び契約負債の増加額2,560百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、8,434百万円の支出超過(前連結会計年度は26,082百万円の収入超過)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,228百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、9,939百万円の収入超過(前連結会計年度は22,198百万円の支出超過)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額6,319百万円により資金が減少した一方で、長期借入れによる収入14,658百万円及び株式の発行による収入1,851百万円により資金が増加したことによるものであります。
④組成及び販売の実績
当社グループはオペレーティング・リース事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。
a.組成実績
当社グループの売上高の大半を占めるファンド事業における組成金額は以下のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
JOL商品組成金額
(百万円)
24,129
130.5
JOL商品組成件数
(件)
4
100.0
JOLCO商品組成金額(百万円)
178,417
128.7
JOLCO商品組成件数(件)
17
106.3
(注)1.JOL商品とはJapanese Operating Leaseを略したもので、購入選択権がない日本型オペレーティング・リースを指します。リース契約期間が満了し、リース物件の売却によって得た損益を投資家に分配した時点で投資が完了する商品です。
2.JOLCO商品とはJapanese Operating Lease with Call Optionを略したもので、購入選択権付日本型オペレーティング・リースを指します。具体的には、借り手(レッシー)がリース契約期間の途中でリース物件を購入できるという選択権(オプション)が付与された日本型オペレーティング・リースの一種であります。借り手(レッシー)が購入選択権を行使した場合、その時点で投資が完了する可能性があり、購入選択権が行使されない場合はJOLと同様にリース物件の売却によって投資が完了する商品です。
3.「ファンド事業における組成金額」とは、当連結会計年度中に組成したオペレーティング・リースファンドにおけるSPCの借入金額と匿名組合出資金額の合計額もしくはリース物件取得相当額であります。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業別に示すと、以下のとおりであります。
事業の名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
ファンド事業(百万円)
38,721
134.0
JOL商品
33,156
130.0
JOLCO商品
5,565
163.8
ゼネラルアビエーション事業(百万円)
292
44.5
プリンシパルインベストメント事業
(百万円)
557
-
合計
39,572
133.9
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額
(百万円)
割合(%)
金額
(百万円)
割合(%)
LS-ALK1 事業組合
-
-
7,736
19.5
LS-AAL1 事業組合
-
-
7,719
19.5
LS-AAL2 事業組合
-
-
7,087
17.9
LS-AFR2 事業組合
-
-
5,179
13.1
LS-AFR1 事業組合
-
-
4,997
12.6
LS-Aviation DAL6 事業組合
4,472
15.1
9
0.0
LS-Aviation DAL8 事業組合
4,402
14.9
9
0.0
LS-Aviation DAL7 事業組合
4,306
14.6
9
0.0
LS-Aviation DAL3 事業組合
3,954
13.4
8
0.0
LS-Aviation DAL4 事業組合
3,917
13.3
8
0.0
LS-Aviation DAL5 事業組合
3,912
13.2
8
0.0
なお、ファンド事業において当社が販売した商品出資金等の販売金額は以下のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
商品出資金等販売金額(百万円)
78,389
140.0
(注)商品出資金等販売金額は、オペレーティング・リースファンドにおける匿名組合投資家出資金額もしくは任意組合投資家出資金額であります。
(参考情報)
投資情報としての有用性の観点から、参考情報として第1期から第6期(当連結会計年度)までのファンド事業における組成金額および商品出資金等販売金額をリース対象資産別に下記に記載しております。また、ビジネスマッチング契約パートナー数についても記載しております。
組成金額(百万円)
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
(当連結会計年度)
決算年月
2018年3月
2019年3月
2020年3月
2021年3月
2022年3月
2023年3月
航空機
(JOL商品)
-
-
-
17,389
18,490
24,129
航空機
(JOLCO商品)
6,050
65,159
126,761
7,050
76,162
40,978
船舶・コンテナ
(JOLCO商品)
-
24,357
11,126
6,988
62,482
137,439
合計
6,050
89,516
137,887
31,428
157,135
202,547
商品出資金等販売
金額(百万円)
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
(当連結会計年度)
決算年月
2018年3月
2019年3月
2020年3月
2021年3月
2022年3月
2023年3月
航空機
(JOL商品)
-
-
-
7,795
25,056
32,913
航空機
(JOLCO商品)
700
5,513
18,607
9,540
20,235
5,854
船舶・コンテナ
(JOLCO商品)
4,599
2,132
5,166
4,708
10,711
39,620
合計
5,299
7,645
23,774
22,044
56,002
78,389
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
(当連結会計年度)
ビジネスマッチング契約パートナー数
累計(期末時点)
1
8
91
123
179
260
(注)ビジネスマッチング契約パートナーは、地域金融機関や税理士・会計士事務所など投資家紹介の契約締結先であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりです。
b.経営成績の状況
(売上高)
当連結会計年度の売上高は39,572百万円(前連結会計年度比10,016百万円の増加)となりました。これは主としてJOL商品の大型案件の販売が寄与したことによるものであり、詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は32,405百万円(前連結会計年度比8,388百万円の増加)となりました。これは主としてJOL商品である航空機の販売額の増加にともない販売に係る原価が8,062百万円増加したことによるものです。この結果、当連結会計年度の売上総利益は7,167百万円(前連結会計年度比1,628百万円の増加)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,141百万円(前連結会計年度比883百万円の増加)となりました。これは主として人件費が349百万円、支払手数料が334百万円増加するなどしたことによるものです。人件費は採用による従業員数が増加したため、また、支払手数料は商品出資金等の販売額増加にともない顧客紹介手数料が増加したことにより増加しております。
この結果、当連結会計年度の営業利益は4,025百万円(前連結会計年度比744百万円の増加)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は113百万円(前連結会計年度比111百万円の減少)となりました。これは主として為替差益が99百万円減少したことによるものです。
営業外費用は606百万円(前連結会計年度比85百万円の減少)となりました。これは主として借入に係る支払手数料が148百万円増加した一方で支払利息が241百万円減少したことによるものです。
この結果、当連結会計年度の経常利益は3,532百万円(前連結会計年度比718百万円の増加)となりました。
(特別利益・特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度においては特別利益の計上はありません。なお、前連結会計年度は賃貸資産等売却益7,820百万円を計上しております。
特別損失は16百万円(前連結会計年度比9百万円の増加)となりました。これは関係会社株式評価損12百万円及び関係会社清算損3百万円を計上したことによるものです。
当連結会計年度の法人税等合計は1,073百万円(前連結会計年度は264百万円)となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,443百万円(前連結会計年度比7,920百万円の減少)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、案件組成や当社グループが収受する各種手数料等といった営業活動のほか、ファンド事業やゼネラルアビエーション事業の運転資金(投資家への販売までの間、資金負担が必要な航空機等購入代金や商品出資金の立替出資等)の効率的な調達を行うため、コミットメントライン等の融資枠による金融機関からの借入による財務活動を行っており、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。
なお、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末の借入未実行残高は以下のとおりであります。
当座貸越極度額及び貸出コミットメントの総額
55,150百万円
借入実行残高
8,800
差引額
46,350
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を及ぼす見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営成績に重要な影響を及ぼす要因について
「3 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を及ぼすリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、経常利益であります。また、この経営指標に影響する商品出資金等販売金額並びに商品組成金額を重視しており、その金額推移を継続的に管理することで経常利益額の想定や営業活動における新たな施策の立案を行っております。
なお、商品出資金等販売金額並びに商品組成金額の推移実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ④組成及び販売の実績」に記載しております。
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