【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動規制の緩和により国内需要を中心に緩やかに回復しており、高水準の企業収益を背景として設備投資も好調を維持しております。一方で、海外経済の減速に加え商品市況の上昇や円安に伴う資材価格の高騰が継続しており、消費に一部弱い動きが見られるなどリスク要因も複数あることから、先行きは依然として予断を許さない状況が続いております。
当社グループの関係しております電気通信関連業界におきましては、移動通信関連分野では、顧客の設備投資計画の見直しにより5G設備需要が前期から継続して停滞・先送りになっております。固定無線関連分野では、防災行政無線の需要に回復傾向が見られておりますが、放送関連分野においては放送事業者による設備更新需要が依然として停滞しております。高周波応用機器業界におきましては、自動車関連分野における設備投資需要に回復の兆しが見られますが、その基調は未だ緩やかなものとなっております。なお、いずれの事業分野においても、エネルギー及び部品等の価格高騰や、人件費の高騰といった原価上昇要因が、依然として影響を及ぼしております。
その結果、当第2四半期連結累計期間における当社グループの受注高は前年同期比28.3%減の139億5千6百万円となり、売上高は前年同期比5.0%減の125億2千9百万円となりました。
利益の面では、営業損失は11億6千3百万円(前第2四半期連結累計期間は11億9千2百万円の営業損失)、経常損失は10億3千7百万円(前第2四半期連結累計期間は9億6百万円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては、8億1千1百万円(前第2四半期連結累計期間は6億3千7百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。(報告セグメント等の業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。)
(電気通信関連事業)
当事業では、移動通信関連分野においては、移動通信事業者による設備投資が依然として全般的に抑制されており、5G設備投資需要についても停滞・先送りとなっております。固定無線関連分野では、各自治体における防災体制強化とデジタル化の動きに伴う防災行政無線の需要が、緊急防災・減災事業債の期限延長の影響等により回復傾向が見られており、また、防衛関連の需要も増加傾向が見られております。放送関連分野においては、放送事業者によるメンテナンス需要は改善傾向にありますがデジタル放送設備の更新需要は依然として先送りとなっております。ソリューション関連分野においては、他社との協業による当社技術とのシナジーを活用した新たな需要の開拓を進めております。また、ソリューション事業の早期確立に向け、2023年9月29日に株式会社サイバーコアの株式を取得し子会社といたしました。当社が培ってきた無線通信技術及び様々なカメラを中心としたセンシング技術と、株式会社サイバーコアが培ってきた画像AI技術やセンシングAI技術をかけ合わせることで、両社の強みを活かしたソリューションビジネスをより効率的且つ精力的に構築してまいります。その他分野としては、屋外建築鉄骨や鋼構造物の表面処理需要の継続的な確保に加え、LED航空障害灯や燃料電池といった環境負荷の低い製品において、積極的に需要開拓を進めております。
このような事業環境のもと、当事業分野では需要の取り込みと生産性の向上を積極的に図ってまいりましたが、部品等の長納期化による影響や原材料費等の高騰が、依然として続いております。
その結果、受注高は前年同期比29.8%減の96億9千2百万円、売上高は前年同期比12.2%減の80億3千4百万円となりました。また、セグメント損失(営業損失)につきましては、2億9千1百万円(前第2四半期連結累計期間は3億8千7百万円のセグメント損失)となりました。
(高周波関連事業)
当事業では、主力であります高周波誘導加熱装置分野においては、自動車関連業界における設備投資需要は回復傾向にあり、また、世界的な半導体不足や部品等の長納期化による影響も徐々に改善の兆しが見えてきております。熱処理受託加工分野においても、自動車メーカー各社の生産調整の解消から、需要は回復傾向にありますが、エネルギーコストの高騰による原価上昇要因は依然として継続しております。高周波新領域関連分野においては、過熱水蒸気装置を用いた食品や廃棄物の処理における需要の創出を進めるため、過熱水蒸気技術の高度化、製品化に向けた周辺技術の検証を進めております。従来取引のなかった様々な機関や企業と実証実験を積み重ね、課題の検証、データ・ノウハウの蓄積を図っており、新たな事業領域の開拓に向けて着実に取り組みを進めております。
このような事業環境のもと、当事業分野においても原材料費やエネルギーコスト等の高騰による原価上昇要因が発生しておりますが、生産性の向上や販売価格の見直しによる利益の拡大に取り組んでまいりました。
その結果、受注高は前年同期比24.6%減の42億6千4百万円、売上高は前年同期比11.5%増の44億5千1百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比20.6%減の4億6千2百万円となりました。
(その他)
その他事業は、土地・事務所等の子会社等への賃貸を行う設備貸付事業並びに売電事業であります。売上高については前年同期比10.2%減の1億3千8百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比8.6%減の7千万円となりました。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ29億5千8百万円減少し521億7千5百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ70億5百万円減少し336億5千6百万円となりました。その主な要因は、棚卸資産が6億5千5百万円、その他に含まれる預け金が3億5千1百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が47億5千4百万円、受取手形を含む売掛債権が34億2千6百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ40億4千7百万円増加し185億1千9百万円となりました。その主な要因は、有形固定資産が3億7千4百万円、のれんが13億9千7百万円、投資有価証券が9億6千1百万円、長期預金が10億円それぞれ増加したこと等が挙げられます。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ16億8百万円減少し75億5千9百万円となりました。その主な要因は、支払手形を含む仕入債務が13億3千4百万円、契約負債が2億4千4百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1千万円減少し41億5千4百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が5千5百万円増加したものの、退職給付に係る負債が2千8百万円、リース債務が1千8百万円、その他に含まれる長期未払金が1千5百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。
純資産は、前連結会計年度末に比べ13億3千9百万円減少し404億6千2百万円となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が6億6千6百万円、為替換算調整勘定が3億6千1百万円それぞれ増加した一方で、利益剰余金が11億2千8百万円減少、自己株式の取得により自己株式が11億3千6百万円増加し純資産が減少したこと等が挙げられます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ36億7百万円減少し、当第2四半期連結会計期間末には106億4千6百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は6百万円(前年同期は8億6千9百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前四半期純損失の計上10億3千7百万円、仕入債務の増減額14億1百万円等の減少要因に対し、売上債権の増減額35億5千4百万円等の増加要因が上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16億8千4百万円(前年同期は7億7千9百万円の使用)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出9億5千万円、有形及び無形固定資産の取得による支出8億7千7百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は20億8千6百万円(前年同期は23億4千5百万円の獲得)となりました。これは主に自己株式の取得による支出11億4千7百万円、自己株式取得のための預託金の増減額3億5千1百万円、配当金の支払額3億1千6百万円等の減少要因によるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6億1千8百万円であります。