【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中に記載の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
また、当社グループは、事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握する利益指標として「事業利益」を導入しております。当該「事業利益」は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した段階利益です。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、景気は全体的には緩やかに持ち直しているものの、足踏みがみられる地域もあり、また、原材料、エネルギー価格の高騰が継続しており、依然として厳しい状況にありました。
そのような状況の中で、当社グループの売上は、国内については、しょうゆ、酒類が前年同期を上回ったものの、食品、飲料で前年同期に及ばず、食料品製造・販売事業全体で前年同期の売上を下回りました。海外については、食料品製造・販売及び食料品卸売事業ともに好調に推移し、前年同期の売上を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの売上収益は4,663億6千3百万円(前年同期比121.2%)、事業利益は482億2千1百万円(前年同期比108.9%)、営業利益は463億2千2百万円(前年同期比107.3%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は363億7千5百万円(前年同期比109.1%)となりました。
<セグメントの業績の概要>
各報告セグメントの業績の概要は次の通りであります。
国内における売上の概要は次の通りであります。
(国内 食料品製造・販売事業)
当事業は、しょうゆ部門、つゆ・たれ・デルモンテ調味料等の食品部門、豆乳飲料・デルモンテ飲料等の飲料部門、みりん・ワイン等の酒類部門からなり、国内において当該商品の製造・販売を手がけております。各部門の売上の概要は次の通りであります。
■しょうゆ部門
しょうゆは、家庭用分野では、テレビ宣伝を中心とした商品の付加価値を伝えるマーケティング施策等を継続しましたが、「いつでも新鮮」シリーズ、「特選 丸大豆しょうゆ」などのペットボトル品が前年同期を下回り、家庭用分野全体として前年同期を下回りました。加工・業務用分野は、外食店を中心に需要が回復し、前年同期を上回りました。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回りました。
■食品部門
つゆ類は、ストレートタイプつゆの「具麺」シリーズ、「濃いだし本つゆ」、白だしが好調に推移し、全体では前年同期を上回りました。たれ類は、前年同期を下回りました。「うちのごはん」は、前年同期を上回りました。デルモンテ調味料は、前年同期を上回りました。また、デルモンテ調味料は2022年5月、たれ類は2022年10月に原材料高騰等を背景とした価格改定を行いました。部門全体としては前期に食材事業を譲渡した影響により、前年同期の売上を下回りました。
■飲料部門
豆乳飲料は、主力の調製豆乳1L、豆乳飲料1Lの売上が前年同期を下回り、全体として前年同期を下回りました。デルモンテ飲料は、前年同期を上回りました。また、デルモンテ飲料は2022年5月に原材料高騰等を背景とした価格改定を行いました。この結果、部門全体としては前年同期の売上を下回りました。
■酒類部門
本みりんは、家庭用分野では、「濃厚熟成本みりん」、高付加価値商品の「米麹こだわり仕込み本みりん」などが売上を伸ばし、加工・業務用分野も前年同期を上回りました。ワインは、前年同期を上回りました。また、本みりんは2022年10月に原材料高騰等を背景とした価格改定を行いました。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回りました。
以上の結果、国内 食料品製造・販売事業の売上収益は1,122億4千8百万円(前年同期比96.4%)、事業利益は81億1百万円(前年同期比72.5%)と、減収減益となりました。
(国内 その他事業)
当事業は、臨床診断用酵素・衛生検査薬、ヒアルロン酸等の製造・販売、不動産賃貸及び運送事業、グループ会社内への間接業務の提供等を行っております。
臨床診断用酵素は前年同期の売上を上回りました。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回りました。
この結果、国内 その他事業の売上収益は165億7千2百万円(前年同期比102.4%)、事業利益は15億3千1百万円(前年同期比105.6%)と、増収増益となりました。
海外における売上の概要は次の通りであります。
(海外 食料品製造・販売事業)
当事業は、しょうゆ部門、デルモンテ部門、海外における健康食品等のその他食料品部門からなり、海外において当該商品の製造・販売を手がけております。各部門の売上の概要は次の通りであります。
■しょうゆ部門
北米市場においては、家庭用分野では、主力商品であるしょうゆに加え、しょうゆをベースとした調味料などの拡充に引き続き力を入れており、当社のブランド力を活かした事業展開を行ってまいりました。また、加工・業務用分野では顧客のニーズに合わせたきめ細かな対応をし、事業の拡大を図りました。この結果、前年同期の売上を上回りました。
欧州市場においては、主要市場であるイギリスなどで売上を伸ばしましたが、欧州経済の低迷、ロシア・ウクライナ情勢による影響もあり、全体では前年同期並みの売上でした。
アジア・オセアニア市場においては、フィリピン、インドネシア、タイなどで売上を伸ばし、前年同期の売上を上回りました。この結果、部門全体では前年同期の売上を上回りました。
■デルモンテ部門
当部門は、アジア・オセアニア地域で、フルーツ缶詰・コーン製品、トマトケチャップ等を製造・販売しております。
部門全体では前年同期の売上を上回りました。
■その他食料品部門
当部門は、主に北米地域において、健康食品を製造・販売しております。
部門全体では前年同期の売上を上回りました。
以上の結果、海外 食料品製造・販売事業の売上収益は1,072億2千2百万円(前年同期比125.0%)、事業利益は215億9千6百万円(前年同期比118.0%)と、増収増益となりました。
(海外 食料品卸売事業)
当事業は、国内外において、東洋食品等を仕入れ、販売しております。
北米、欧州、アジア・オセアニアとも順調に売上を伸ばしました。
この結果、卸売事業全体では、前年同期の売上を上回りました。
この結果、海外 食料品卸売事業の売上収益は2,571億7百万円(前年同期比134.8%)、事業利益は178億4千6百万円(前年同期比128.7%)と、増収増益となりました。
②財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、2,667億9千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ266億4百万円増加いたしました。これは主に、営業債権及びその他の債権、棚卸資産が増加したことによるものであります。非流動資産は、2,841億1千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ212億4千7百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産、使用権資産、その他の金融資産(非流動)が増加したことによるものであります。
この結果、資産は、5,509億1千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ478億5千1百万円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、914億7千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億5千1百万円増加いたしました。これは主に、借入金(流動)が増加したことによるものであります。非流動負債は、527億1千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億1千3百万円減少いたしました。これは主に、リース負債が増加したものの、借入金(非流動)が減少したことによるものであります。
この結果、負債は、1,441億9千万円となり、前連結会計年度末に比べ50億3千7百万円増加いたしました。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末における資本は、4,067億2千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ428億1千3百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金及び円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額が増加したことによるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は72.6%(前連結会計年度末は71.1%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期における現金及び現金同等物の四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ18億9千2百万円増加し、811億2千2百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、355億9千4百万円の収入となり、前第3四半期連結累計期間に比べ38億1千6百万円収入増でありました。これは主に、税引前四半期利益が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、219億1千5百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、185億3千5百万円の支出となりました。これは主に、配当金の支払、リース負債の返済による支出があったことによるものであります。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、36億4千1百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。