【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、緩やかな回復基調にありましたが、2020年の年初から新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により景気は急速な悪化傾向となりました。日本経済においても、世界経済の悪化に加え、新型コロナウイルス感染症拡大防止策により社会・経済活動は停滞し先行きは極めて厳しい状況となりました。
この様な状況のもと、2021年3月期を最終年とする中期経営計画における当社グループの経営方針は次のとおりです。
1.フードソリューション、ヘルスサポート、バイオメディカルの3つをコア領域とする。
2.日本、アジア、北米の生産・供給体制を自由貿易時代に対応すべくグローバルで最適化する。
3.選択と集中を進め、高付加価値製品・サービスを創造し、より高収益な企業体質に変革する。
この経営方針のもと、3つのコア領域での高付加価値製品の開発と新製品の拡販活動、新市場開拓に積極的に取り組み、その一環としてスポーツニュートリション市場向けの新製品PRを目的に各種ランニングイベントへの協賛と製品頒布や、シンポジウム開催等によるコラーゲンペプチドの機能性啓蒙活動に注力しました。当社グループの各製造拠点においては、生産性向上やコストダウンに努めました。
また、選択と集中の方針のもと、2019年12月に特定子会社であったニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.の全株式を譲渡した事に伴い、連結の範囲から除外しました。
以上の結果、売上高は34,543百万円(前年同期比5.3%減少)となりましたが、価格改定及び生産性向上やコストダウン等により営業利益は1,690百万円(前年同期比88.2%増加)、経常利益は持分法による投資利益等の増加により1,798百万円(前年同期比117.1%増加)となりました。一方、株式譲渡に伴う関係会社株式売却損2,788百万円等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は694百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益989百万円)となりました。
販売区分と製品群は以下のとおりです。
販売区分
製品群
フードソリューション
食品用ゼラチン、食品材料ほか
ヘルスサポート
カプセル用ゼラチン、健康食品用・美容用コラーゲンペプチド、
医療用ゼラチン・コラーゲンほか
スペシャリティーズ
接着剤、工業用ゼラチンほか
販売の状況は、次のとおりです。
(フードソリューション)
日本では、顧客の新製品発売等によりグミキャンディー市場が引続き堅調に推移し、製菓用途の売上高が増加しました。コンビニエンスストア向け総菜用途は、単身世帯の増加等を背景に中食需要が堅調であったことに加え、拡販により売上高は増加しました。また業務用市場向けは、新製品発売と拡販活動が成果に結びつき売上高が増加しました。
海外では、北米地域においてグミキャンディー、ゼリー菓子市場等への売上高が増加した一方、コラーゲンケーシングは、連結の範囲から除外したことにより売上高が減少しました。
その結果、フードソリューション全体の売上高は14,394百万円(前年同期比12.6%減少)となりました。
(ヘルスサポート)
日本では、美容サプリメント用途において主要顧客の需要が堅調に推移し、価格改定も行った結果、コラーゲンペプチド製品の売上高は増加しました。一方でインバウンド需要減少等の影響をうけて、カプセル用途向けの売上高は減少しました。
海外では、北米地域において健康、美容用途でのコラーゲンペプチド市場の拡大に伴う売上高の増加に加え、健康食品用カプセル用途も堅調に推移したこともあり、売上高が増加しました。アジア地域では、コラーゲンペプチド市場への積極的な拡販、インドにおける医薬用・健康食品用のカプセル需要及び、健康食品用のコラーゲンペプチド需要の堅調な推移により、売上高が増加しました。
その結果、ヘルスサポート全体の売上高は14,270百万円(前年同期比6.4%増加)となりました。
(スペシャリティーズ)
接着剤の売渡価格変更と衛生材料用の販売減少が影響し、全体の売上高は5,879百万円(前年同期比10.8%減少)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末における資産は前連結会計年度末に比べ4,164百万円減少し、33,551百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少677百万円、受取手形及び売掛金の減少911百万円、建物及び構築物の減少434百万円、機械装置及び運搬具の減少1,869百万円及び投資有価証券の減少376百万円等によるものであります。負債は前連結会計年度末に比べ3,916百万円減少し、16,090百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少1,177百万円、短期借入金の減少812百万円、長期借入金の減少775百万円及び退職給付に係る負債の減少1,084百万円等によるものであります。純資産は前連結会計年度末に比べ247百万円減少し、17,461百万円となりました。これは主に退職給付に係る調整累計額の増加1,726百万円の一方で、利益剰余金の減少988百万円、その他有価証券評価差額金の減少354百万円及び為替換算調整勘定の減少521百万円等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末比670百万円減少の1,381百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は1,969百万円(前連結会計年度は2,232百万円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失943百万円、減価償却費1,448百万円、たな卸資産の増加額627百万円、仕入債務の減少額633百万円及び関係会社株式売却損益2,782百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は889百万円(前連結会計年度は708百万円の使用)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出900百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,739百万円(前連結会計年度は1,009百万円の使用)となりました。主な要因は、短期借入金の純減少額667百万円、長期借入れによる収入1,200百万円、長期借入金の返済による支出1,990百万円及び配当金の支払額293百万円によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、「コラーゲン事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
コラーゲン事業(百万円)
30,461
94.7
合計(百万円)
30,461
94.7
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当社グループは、「コラーゲン事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
コラーゲン事業(百万円)
34,543
94.7
合計(百万円)
34,543
94.7
(注)1.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先がありませんので、主要な販売先の記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,921百万円減少し、34,543百万円(前年同期比5.3%減)となりました。
主な要因は、ニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.を連結の範囲から除外したことによるものです。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比べ85百万円減少し、7,299百万円(前年同期比1.2%減)となりました。
主な要因は、ニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.を連結の範囲から除外したことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ878百万円減少し、5,608百万円(前年同期比13.5%減)となりました。
主な要因は、コストダウン等とニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.を連結の範囲から除外したことによるものです。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ792百万円増加し、1,690百万円(前年同期比88.2%増)となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度に比べ970百万円増加し、1,798百万円(前年同期比117.1%増)となりました。
主な要因は、営業利益の増加、持分法による投資利益(前年同期は持分法による投資損失)の計上です。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純損失は、694百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益989百万円)となりました。主な要因は、ニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.の株式譲渡に伴う関係会社株式売却損の計上です。
b.財政状態
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の増減状況は、主にニッタケーシングズInc.及びニッタケーシングズ(カナダ)Inc.を連結の範囲から除外したことによる影響が含まれております。
(資産)
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末比4,164百万円減少の33,551百万円となりました。主な要因は、現金及び預金677百万円、受取手形及び売掛金911百万円、建物及び構築物434百万円、機械装置及び運搬具1,869百万円及び投資有価証券376百万円が減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比3,916百万円減少の16,090百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金1,177百万円、短期借入金812百万円、長期借入金775百万円及び退職給付に係る負債1,084百万円が減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比247百万円減少の17,461百万円となりました。主な要因は、退職給付に係る調整累計額1,726百万円が増加した一方で、利益剰余金988百万円、その他有価証券評価差額金354百万円及び為替換算調整勘定521百万円が減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は46.7%(前連結会計年度末42.0%)となりました。
c.戦略的現状と見通し
当社グループは、フードソリューション、ヘルスサポート、バイオメディカルの3つのコア領域における高付加価値製品の開発と新製品の拡販活動、新市場開拓に積極的に取り組んでいくとともに、コラーゲンペプチドの機能性啓蒙活動に注力してまいります。また当社グループの各製造拠点においては、生産改革を推進し、グローバルでの競争力向上を図ります。
また選択と集中を進める方針のもと、2021年3月期には、接着剤事業の製造部門をボスティック・ニッタ株式会社へ分割承継し、接着剤事業の承継が完了する予定です。
なお、2021年3月期の新型コロナウイルス感染症による当社グループに与える影響は、外出自粛要請等によりホテル・レストランなど業務用商材の販売が減少することを見込んでおりますが、健康促進をサポートするカプセル用ゼラチンやコラーゲンペプチドは大きな影響がなく、国内外共に堅調に推移すると見込んでおります。ただし、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営環境は、2021年3月期の夏頃まで続くと仮定し、それ以降は収束に向かい始め、翌期には当社グループへの影響が解消されると見込んでおります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1,381百万円(前連結会計年度より670百万円減少)となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入、製造経費、販売費及び一般管理費等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
上記の資金需要に対し、自己資金及び金融機関からの借入を基本として必要な資金の調達を行う方針です。
なお、当社グループは運動資金の効率的かつ機動的な調達を行うため、取引銀行4行とシンジケーション方式により総額4,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、緊急の資金需要等の流動性リスクに備えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
・繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響が2021年3月期の夏頃まで続きそれ以降は回復すると仮定して、期末時点で入手可能な情報等を基に将来の課税所得の見積りを行っております。
・固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。