【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期したうえでの経済活動正常化が進んだものの、ウクライナ情勢及び世界的な金融引締め等が景気下振れのリスク要因となり、依然として予断を許さない状況で推移しました。
当社グループの主な需要先であります建設業界におきましては、民間設備投資に持ち直しの動きが見られ、公共投資は底堅く推移したものの、鋼材価格の高騰が続く状況となりました。
このような経営環境のなか、当社グループは、2024年12月期を最終年度とする中期経営計画「NEXT100-PHASE2.1」の施策である、脱炭素を含むSDGs経営・DX活用・グローバル展開加速等を重点課題とし、会社の持続的発展と企業価値の向上に向け取組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ118億7千6百万円増加し、1,038億9千4百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ51億3千5百万円増加し、367億8千3百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ67億4千1百万円増加し、671億1千1百万円となりました。
ロ 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は768億5千4百万円(前連結会計年度比18.5%増)、営業利益は52億7千1百万円(前連結会計年度比21.6%増)、経常利益は54億7千1百万円(前連結会計年度比15.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億4千8百万円(前連結会計年度比46.5%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
〔建設関連製品事業〕
国内における建設関連製品の売上高を製品別にみますと、仮設・型枠製品は、鉄筋コンクリート造物件の着工床面積の増加及び鋼材価格上昇分の価格転嫁などにより、主要製品の売上高が堅調に推移した結果、前連結会計年度に比べ10.2%の増加となりました。土木製品は、災害復旧工事案件が減少したものの、鋼材価格上昇分の価格転嫁などにより、土砂災害の防止に使用される製品等の売上高がおおむね横ばいで推移した結果、前連結会計年度に比べ0.2%の増加となりました。構造機材製品は、ベースパックが工場案件等の需要増加を捉え、鋼材価格上昇分の価格転嫁も進捗した結果、前連結会計年度に比べ8.2%の増加となりました。
海外における建設関連製品の売上高は、米国において、新型コロナウイルス感染症による需要減少からの持ち直しや住宅市場の回復等を背景に堅調に推移しました。また、2021年10月に実施した米国における建材製品の製造事業買収により、事業規模を拡大したことから、米国の建材製商品の売上高が、現地通貨ベースで前連結会計年度に比べ62.9%増加しました。
この結果、建設関連製品事業における売上高は630億8千1百万円(前連結会計年度比19.8%増)となり、営業利益は50億9千8百万円(前連結会計年度比34.5%増)となりました。
〔自動車関連製品事業〕
米国におけるトラック・トレイラー向けボルトナット類の販売が堅調に推移したことに加え、円安の影響もあり、売上高は99億1千4百万円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。一方、利益面におきましては、昨年上期まで特別損失に計上していた環境負荷モニタリング関連費用等を、売上原価並びに販売費及び一般管理費に計上したことなどにより、営業損失は1億4千4百万円(前連結会計年度は2億7千3百万円の営業利益)となりました。
〔その他の事業〕
海洋資材製品及び産業機械製品のいずれも販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は38億5千9百万円(前連結会計年度比17.4%増)となり、営業利益は3億1千7百万円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。
事業別・製品別売上高
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減率(%)
建設関連
製品事業
仮設・型枠製品
6,419
7,075
10.2
土木製品
7,252
7,266
0.2
構造機材製品
18,431
19,949
8.2
建材商品
11,600
11,945
3.0
国内計
43,704
46,237
5.8
建材製商品
(注)1
8,966
16,843
87.9
海外計
8,966
16,843
87.9
当事業計
52,670
63,081
19.8
自動車関連製品事業
8,871
9,914
11.8
その他の事業
(注)2
3,287
3,859
17.4
合計
64,829
76,854
18.5
(注)1 建材製商品において、当社の連結子会社であるOCM Manufacturing LLCが、2021年10月より建材製品の製造事業を開始しており、当連結会計年度より同社の業績を計上しております。
2 その他の事業は、当社のコア事業である建設関連製品事業及び自動車関連製品事業に属さない多角化事業であり、海洋資材製品の製造販売、米国における釣り用錘製品の製造販売及び産業機械製品の製造販売等の各業務を行っております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ54億1千9百万円減少し、181億5千6百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入は、19億7千5百万円となりました(前連結会計年度は55億4百万円の収入)。主な要因は、棚卸資産の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出は、82億2百万円となりました(前連結会計年度は6億9千6百万円の支出)。主な要因は、事業譲受による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローにおける支出は、1千8百万円となりました(前連結会計年度は33億4千6百万円の支出)。主な要因は、短期借入れによる収入の増加によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
建設関連製品事業
27,107
47.0
自動車関連製品事業
7,836
5.0
その他の事業
3,921
15.9
合計
38,865
32.7
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
ロ 受注実績
当社及び連結子会社は、建設関連製品事業、自動車関連製品事業、その他の事業において見込み生産を行っており、その一部について受注形態をとっておりますが、重要性がないため記載を省略しております。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
建設関連製品事業
63,081
19.8
自動車関連製品事業
9,914
11.8
その他の事業
3,859
17.4
合計
76,854
18.5
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績等
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ118億7千6百万円増加し、1,038億9千4百万円となりました。
流動資産は主に商品及び製品の増加により前連結会計年度末に比べ46億8千9百万円増加し、635億1千5百万円となりました。
固定資産は主に建物及び構築物の増加により前連結会計年度末に比べ71億5千9百万円増加し、403億4千7百万円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ51億3千5百万円増加し、367億8千3百万円となりました。
流動負債は主に短期借入金の増加により前連結会計年度末に比べ46億8千9百万円増加し、264億2百万円となりました。
固定負債は主に社債の増加により前連結会計年度末に比べ4億4千5百万円増加し、103億8千1百万円となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ67億4千1百万円増加し、671億1千1百万円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.0ポイント減少し、64.6%となりました。
b.経営成績
(売上高)
当社グループの売上高の約6割を占める国内建設関連製品事業においては、鉄筋コンクリート造物件の着工床面積の増加や鋼材価格上昇分の価格転嫁などにより、仮設・型枠製品や構造機材製品の販売が堅調に推移した結果、増収となりました。また、売上高の約2割を占める海外建設関連製品事業においては、米国において、新型コロナウイルス感染症による需要減少からの持ち直しや、住宅市場の回復、建材製品の製造事業買収による事業規模の拡大等を背景に、建材製商品の販売が好調に推移した結果、増収となりました。
自動車関連製品事業においては、米国におけるトラック・トレイラー向けボルトナット類の販売が堅調に推移したことに加え、円安の影響もあり、増収となりました。
その他の事業においては、海洋資材製品及び産業機械製品のいずれも販売が堅調に推移したことなどにより、増収となりました。
以上の結果、売上高は768億5千4百万円(前連結会計年度比18.5%増)となりました。
(営業利益、経常利益)
建設関連製品事業において、鋼材価格上昇分の価格転嫁に努めたことなどにより、営業利益は52億7千1百万円(前連結会計年度比21.6%増)となり、受取配当金の計上などにより、営業外損益が2億円の利益となった結果、経常利益は54億7千1百万円(前連結会計年度比15.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益として投資有価証券売却益を計上したことなどにより特別損益は2億9千5百万円の利益となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は38億4千8百万円(前連結会計年度比46.5%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ロ 資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)や、営業活動に必要な運転資金(人件費等の販売費及び一般管理費)であります。
また、設備資金需要としては、コア事業である建設関連製品事業及び自動車関連製品事業における生産拠点整備、生産設備増強、研究開発投資等であります。
b.財務政策
当社グループは、事業の「選択と集中」により生産設備、研究開発、企業買収等の投資案件を厳選し、フリーキャッシュ・フローの増加を図るとともに、金融市場動向及び当社財務状況等に応じて最適な資金調達方法を選択し、健全な財務体質を維持することを基本的な財務方針としております。
ハ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
(経営上の目標の達成状況について)
当社グループは中期経営計画「NEXT100 – PHASE2.1」において、中期的な業績目標(売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)を設定しております。また、企業価値の向上のため、資産及び株主資本の有効活用が重要との考えから自己資本利益率(ROE)の目標値を設定しております。
当連結会計年度における業績目標に対する実績は、売上高は768億5千4百万円(予想比106.0%)、営業利益は52億7千1百万円(予想比103.4%)、経常利益は54億7千1百万円(予想比103.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億4千8百万円(予想比111.5%)となりました。また、自己資本利益率(ROE)は6.0%となり、目標値を0.4ポイント上回りました。
ニ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
〔建設関連製品事業〕
当セグメントの国内における売上高は、当セグメントの販売状況を左右する指標の着工床面積は前年と同水準で推移しましたが、鉄筋コンクリート造物件の着工床面積が増加したことや鋼材価格上昇分の価格転嫁などにより、仮設・型枠製品や構造機材製品の販売が堅調に推移した結果、前連結会計年度に比べ5.8%の増加となりました。
当セグメントの海外における売上高は、新型コロナウイルス感染症による需要減少からの持ち直しや住宅市場の回復等を背景に堅調に推移しました。また、2021年10月に実施した米国における建材製品の製造事業買収により、事業規模を拡大したことから連結子会社のOCM, Inc.の販売が好調に推移した結果、前連結会計年度に比べ87.9%の増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は630億8千1百万円(前連結会計年度比19.8%増)となり、セグメント利益については、営業利益は50億9千8百万円(前連結会計年度比34.5%増)となりました。
〔自動車関連製品事業〕
売上高は、米国におけるトラック・トレイラー向けボルトナット類の販売が堅調に推移したことに加え、円安の影響もあり、99億1千4百万円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。
セグメント利益は、昨年上期まで特別損失に計上していた環境負荷モニタリング関連費用等を、売上原価並びに販売費及び一般管理費に計上したことなどにより、営業損失は1億4千4百万円(前連結会計年度は2億7千3百万円の営業利益)となりました。
〔その他の事業〕
売上高は、海洋資材製品及び産業機械製品のいずれも販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は38億5千9百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。
セグメント利益については、営業利益は3億1千7百万円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。