【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。(1) 業績の状況当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、日本経済の回復が期待されました。一方で、世界的な資源価格の高騰や地政学的リスクの高まりに加え、市場は急速な円安となり、景気は依然として先行き不透明な状況が続いております。菓子・食品業界におきましても、物価の上昇による節約志向が強まり、個人消費の回復も限定的である中、原材料・エネルギー価格の高騰が収益を圧迫するなど、引き続き厳しい経営環境が続いております。このような環境において、当社では「理念体系」と「中村屋の約束(ブランドステートメント)」の実現を目指すべく策定した『2022年-2024年中期経営計画』の基本方針「理念経営の実践」「売上拡大」「経営基盤の整備」に沿い、目標達成に取り組んできました。その結果、当第1四半期累計期間の売上高は、5,470,612千円
前年同期に対し154,116千円、2.9%の増収となりました。利益面につきましては、原材料・エネルギー価格等の高騰によるコスト高の影響は大きく、一部商品の値上げによる対応も行い売上増収しましたが、営業損失は1,292,535千円
前年同期に対し108,909千円の減益、経常損失は1,280,639千円
前年同期に対し147,092千円の減益、四半期純損失は953,392千円
前年同期に対し177,938千円の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。① 菓子事業菓子類ではパックデザート「ひとくちゼリー」を新発売し、手土産の対応を強化するとともに主力商品の品質改良を実施しました。また「キャラメルマンデー」ブランドの季節限定商品の新発売、東京駅での積極的な催事展開などを進め、カジュアルギフトへの取組みを強化しました。自家用菓子では和菓子の新シリーズ「初恋果実」を新発売して品揃えの拡充を図りました。中華まんじゅう類は、量販店販路向けに展開している中華まんをお客様の用途・ニーズに合わせ春夏時期における継続販売を強化しました。肉まん・ピザまんの詰合わせの展開を継続して、広くお客様に喜んでいただけるように品揃えの拡充を図りました。コンビニエンスストア販路向けの中華まんは、一部店舗で「肉まん」「あんまん」「ピザまん」「豚まん」の販売継続を行い、あわせて8月下旬の改良発売に向けて商品の企画開発、商社への提案を推進しました。新宿中村屋ビル「スイーツ&デリカBonna(ボンナ)」では、コロナ禍から継続して好調であるデリカ商品に加え、人流の回復に伴いギフト商品の売上も大きく増収し、引き続き前年より大きく増収しました。通信販売においては春夏に当社の強みである中華まんをお客様への訴求を強めた結果、増収し、連続して前年より増収しました。以上のような営業活動を行った結果、菓子事業全体の売上高は3,263,507千円、前年同期に対し197,342千円、6.4%の増収となったものの、営業損失は810,769千円、前年同期に対し13,814千円の減益となりました。② 食品事業市販食品におきましては、コロナ禍での需要拡大が落ち着きをみせ、昨年8月には価格改定を実施する等の経緯を経てまいりましたが、主力品を中心とした拡販に努め増収を維持しました。主要商品であるレトルトのシリーズについては、春夏向けにレンジ調理対応に刷新したインドカリーシリーズ主力品の拡販、本格四川シリーズの麻婆豆腐を徹底するとともに、新たなブランド「スパイス紀行」の第二弾として当社の強みであるスパイスの調理技術を発揮した「エスニックごはんの素」3品(ガパオ、タコライス、麻辣魯肉飯)を発売し提案強化を図りました。また、大手ドラッグストア向けPB商品開発を強化し販路拡大を図りました。業務用食品におきましては、市場環境の回復が進む中、引き続き好調業態であるファストフード、会員制倉庫型小売チェーンのフードコートといった中食販路向けに提案を強化するとともに、活気を取り戻した大手ファミリーレストランやカフェチェーン向け商品の拡販を図りました。また重点販路に位置付けている大手コンビニチェーン向けカレーの拡販、会員制倉庫型小売チェーン向け商品の安定した獲得に注力し計画に対して増収を図るとともに、一部不採算商品の中止を行いました。新宿中村屋ビル「レストラン&カフェManna(マンナ)」「カジュアルダイニングGranna(グランナ)」、直営レストラン「オリーブハウス」は、お客様の行動範囲が広がる中での営業とお客様ニーズに対応したメニューの販売により、前年よりも大きく増収となりました。特に主力メニューの「純印度式カリー」は大きく販売増となりました。以上のような営業活動を行った結果、食品事業全体の売上高は2,058,440千円、前年同期に対し67,840千円、3.2%の減収となり、営業利益は98,575千円、前年同期に対し22,152千円の減益となりました。③ 不動産賃貸事業不動産賃貸事業におきましては、商業ビル「新宿中村屋ビル」において、快適で賑わいのある商業空間を提供し、満室稼働を維持しました。その他、武蔵工場の敷地の一部を食品製造会社用の工場用地として賃貸したことにより増収しました。以上のような営業活動を行った結果、売上高は148,666千円、前年同期に対し24,615千円、19.8%の増収となり、営業利益は54,287千円、前年同期に対し32,331千円の増益となりました。
(2) 財政状態の概況当第1四半期会計期間末における総資産は、原材料及び貯蔵品の増加1,003,662千円、投資有価証券の増加601,297千円等がありましたが、売掛金の減少1,685,172千円、機械及び装置の減少103,843千円、建物の減少103,096千円等により、前事業年度末に比べ158,778千円減少し、42,321,586千円となりました。負債は、買掛金の減少350,079千円、賞与引当金の減少264,000千円、繰延税金負債の減少239,817千円、未払金の減少209,725千円等がありましたが、短期借入金の増加2,000,000千円等により、前事業年度末に比べ681,942千円増加し、17,420,262千円となりました。純資産は、その他有価証券評価差額金の増加410,894千円等がありましたが、四半期純損失953,392千円、剰余金の配当298,013千円による利益剰余金の減少等により、前事業年度末に比べ840,720千円減少し、24,901,324千円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は156,666千円であります。なお、当第1四半期累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。