【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期累計期間における菓子・食品業界は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限が順次緩和され、全国旅行支援の再開などにより、需要の持ち直しが見られたものの、原材料・エネルギー価格の高騰に円安が重なり、物価上昇から購買意欲は低下し、大変厳しい状況が続きました。当社におきましては、創業120周年を機に策定した新たな理念体系のもと、当年度を初年度とする3ヵ年計画『2022年-2024年 中期経営計画』に基づき、理念体系のビジョンで掲げた「これからのくらしに溶け込む、喜んでもらえる食を提案する」を実践すべく事業活動を行い、ウィズコロナの下で、新しい消費行動への対応を続けた結果、当第3四半期累計期間の売上高は、25,100,519千円
前年同期に対し2,111,011千円、9.2%の増収となりました。利益面につきましては、売上増収も、原材料・エネルギー価格の高騰からコスト高となり、営業損失は819,056千円
前年同期に対し175,979千円の改善、経常損失は707,136千円
前年同期に対し34,351千円の改善、四半期純損失は546,590千円
前年同期に対し145,537千円の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①
菓子事業菓子類では、銘店向け「スイーツセレクション」「なめらかクリームチーズケーキ」「とろける濃厚ガトーショコラ」「チーズあられ」を新発売し、カジュアル用途への対応を強化しました。併せて、「ベイクドショコラトリー」ブランドの新商品「なめらかショコラサンド」を発売し、品揃えの強化を図りました。また自家用菓子類では、「ご褒美喫茶」シリーズの季節バリエーションを発売し、商品ラインナップの拡充を図ったほか、「逸品どら焼」を新発売し量販店を中心に拡販を図りました。中華まんじゅう類では、量販店販路向け「肉まん」「あんまん」などの品質改良を行い商品力を強化するとともに、個包装化された簡便性がより伝わるパッケージ改良を行い拡販を図りました。コンビニエンスストア販路では、「肉まん」「あんまん」「ピザまん」「大入り豚まん」の品質改良を行い、商品力の強化を図りました。新宿中村屋ビル地下1階「スイーツ&デリカBonna(ボンナ)」では、コロナ禍以降レストランの味を再現したデリカ商品をご愛顧いただくお客様がさらに増え定着、売上増加につながっています。またテレビ放映の影響もあり「クリームパン」「レトルトソース」「天成肉まん」を求めるお客様が多く来店、大きな増収となりました。以上のような営業活動を行った結果、菓子事業全体の売上高は17,917,436千円、前年同期に対し1,658,105千円、10.2%の増収となり、営業利益は604,845千円、前年同期に対し390,162千円の増益となりました。
②
食品事業市販食品では、増え続ける中食需要に対して、当社の強みであるレストランで育んだ調理技術と「おいしくて簡便」を求める消費者ニーズを結び付けた商品を開発・提供することで、他社との差別化を図りました。また、テレビ番組のランキングで1位を獲得した商品を中心にレトルトカレー類が売り上げを伸ばし、リピート購入につながったことが大幅な増収に寄与いたしました。新商品では、レンジアップしたパウチからそのまま召し上がっていいただける即食性の高い「そのままdish」シリーズを新たに立ちあげ、レトルトとは思えない玄米の食感を再現して作り込んだリゾット2品を発売しました。既存品では、家庭調理の増加に対し、麻婆豆腐の消費者キャンペーンを実施して購入の喚起を図り、売上高の拡大を推進いたしました。また、肉類などの原材料価格の高騰やエネルギー価格等の高騰に対応すべく、約5%~9%値上げを実施いたしました。業務用食品では、飲食需要の回復が進む中、引き続き好調業態であるファストフード、会員制倉庫型小売チェーンのフードコートといった中食販路向けに提案を強化するとともに、外食チェーンに対しても当社の調理技術を活かしたメニュー提案により新商品を獲得、コンビニエンスストア向けのカレーについても積極的な提案を継続して実施し拡販に努めました。新たな取組としては、外食チェーンが展開する冷凍食品の物販向け商品開発にも対応し、温めるだけの簡単な調理でレストランの味を楽しめる商品を提供いたしました。レストラン及び新宿中村屋ビル飲食店では、コロナ禍にお客様の再来店を促すよう店舗で従業員がお客様満足追求を徹底、その成果もあり東京の感染者の高止まりの下、お客様が当社に「安全・安心」を求め再来店されたことで客数が回復し、増収となりました。以上のような営業活動を行った結果、食品事業全体の売上高は6,819,421千円、前年同期に対し460,756千円、7.2%の増収となったものの、営業利益は247,655千円、前年同期に対し68,891千円の減益となりました。
③
不動産賃貸事業不動産賃貸事業では、商業ビル「新宿中村屋ビル」において快適で賑わいのある商業空間の提供に努め、満室稼働を維持しました。一方で、エネルギー費用等コストが増大、また、新型コロナウイルス感染拡大長期化の影響で入居テナントへの一部賃料の減額を実施しました。以上のような営業活動を行った結果、売上高は363,662千円、前年同期に対し7,850千円、2.1%の減収となり、営業利益は85,935千円、前年同期に対し18,199千円の減益となりました。
(2) 財政状態の概況当第3四半期会計期間末における総資産は、建物の減少370,298千円、リース資産の減少233,264千円等がありましたが、売掛金の増加3,033,557千円、原材料及び貯蔵品の増加817,408千円、現金及び預金の増加304,364千円等により、前事業年度末に比べ4,054,864千円増加し、46,197,507千円となりました。負債は、賞与引当金の減少269,336千円、退職給付引当金の減少263,806千円等がありましたが、短期借入金の増加3,600,000千円、買掛金の増加1,000,258千円等により、前事業年度末に比べ4,905,334千円増加し、20,963,705千円となりました。純資産は、四半期純損失546,590千円、剰余金の配当298,031千円による利益剰余金の減少等により、前事業年度末に比べ850,471千円減少し、25,233,802千円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は411,166千円であります。なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。