【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第2四半期累計期間における菓子・食品業界は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限が順次緩和され、人流の回復に伴う需要の持ち直しが見られたものの、原材料・エネルギー費の高騰、さらには急激な円安の影響などを受け、大変厳しい状況が続きました。当社におきましては、創業120周年を機に策定した新たな理念体系のもと、当年度を初年度とする3ヵ年計画『2022年-2024年 中期経営計画』に基づき、事業活動を行いました。理念体系のビジョン(中村屋の中長期的な姿)で掲げた「これからのくらしに溶け込む、喜んでもらえる食を提案する」を実践すべく、一部の量販店販路における中華まんの通年販売や、栄養バランスを考えた朝食向け食品「しっとり具~ドッグ」を新発売したほか、自家用菓子「ご褒美喫茶」シリーズの拡販などを推進しました。また、レトルトカレーにおける新シリーズ「スパイス紀行」の展開や、中食・内食向け食品の開発推進と成長業態への積極的なアプローチなど、環境変化に対応した取組みを進め、売上の拡大に努めました。一方で、原材料等の高騰を受け、8月以降、主要商品の価格改定を行いました。以上のような営業活動の結果、当第2四半期累計期間の売上高は、12,161,147千円
前年同期に対し1,359,743千円、12.6%の増収となりました。利益面では、売上増収も、原材料・エネルギー費の高騰により、営業損失は2,343,325千円
前年同期に対し52,258千円の改善、経常損失は2,237,212千円
前年同期に対し30,958千円の改善、四半期純損失は1,544,770千円
前年同期に対し65,182千円の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①
菓子事業贈答菓子類においては、主力商品「月の菓」の品質・パッケージ改良を行うほか、「スイーツセレクション」を新発売し、商品力の強化に取り組みました。カジュアルギフトでは、「なめらかクリーム チーズケーキ」「とろける濃厚ガトーショコラ」「チーズあられ」を新発売するとともに、「ベイクドショコラトリー」ブランドにおいて春夏向け新商品「濃厚カカオプリン・果肉オレンジゼリー」を新発売しました。夏のデザート類では、主力商品の品質・パッケージ改良を行うとともに、「彩わらび餅」を新発売し、カジュアルギフト需要への対応にも取り組みました。自家用菓子類では、「ご褒美喫茶」シリーズの季節商品の品揃えを充実させ、量販店販路を中心に拡販に努めました。中華まんじゅう類では、主力商品の品質改良を行い、商品力の強化を図りました。また、電子レンジでそのまま温められる個包装タイプの「肉まん」「あんまん」については、一部の量販店販路において通年販売を実現しました。コンビニエンスストア販路では、基幹商品である「肉まん」「ピザまん」「ごまあんまん」「つぶあんまん」「大入り豚まん」の改良発売をしました。新宿中村屋ビル地下1階「スイーツ&デリカBonna(ボンナ)」では、販売力を高めるため、お客様ニーズに応えた洋食・中華総菜商品の品揃えを強化しました。また、土産菓子への需要が増加し、「新宿カリーあられ」などの売上が回復しました。 以上のような営業活動を行った結果、菓子事業全体の売上高は7,537,734千円、前年同期に対し1,022,794千円、15.7%の増収となり、営業損失は1,400,962千円、前年同期に対し178,171千円の改善となりました。
②
食品事業市販食品では、中食需要が堅調に推移するなか、本格的な料理を手軽に食べられるよう、当社調理人が製法にこだわり開発したレトルト商品を販売することで、他社との差別化を図りました。新ブランド「スパイス紀行」では、世界のスパイス料理を自宅で楽しめるシリーズとして、インドのほか、マレーシア、カンボジアのカリー3品を発売しました。また、家庭での調理に簡単で便利な調理用「ハヤシルウ」を発売し、「カリールウ」とともに品揃えを充実させ拡販に努めました。業務用食品では、引き続き好調業態であるファストフードをはじめとした中食販路向けに、提案を強化しました。また、コンビニエンスストア販路向けのカレーが好評をいただいたほか、需要が回復しつつある外食チェーンにおいて、当社の調理技術を活かしたメニューの新規採用を獲得することで、売上に寄与しました。新宿中村屋ビル地下2階「レストラン&カフェManna(マンナ)」では、6月12日の「インドカリーの日」を記念して幻の米「白目米」を使った「チキンビリヤニ」を新発売し、お客様に好評をいただきました。直営レストラン各店舗では、引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止策を講じ、来店されるお客様へ安全で安心できる店づくりに取り組みました。 以上のような営業活動を行った結果、食品事業全体の売上高は4,380,514千円、前年同期に対し334,860千円、8.3%の増収となったものの、営業利益は131,342千円、前年同期に対し50,685千円の減益となりました。
③
不動産賃貸事業不動産賃貸事業では、商業ビル「新宿中村屋ビル」において快適で賑わいのある商業空間の提供に努め、満室稼働を維持しました。一方で、新型コロナウイルス感染拡大の長期化が入居テナントへ与えた影響は大きく、一部賃料の減額を実施しました。以上のような営業活動を行った結果、売上高は242,899千円、前年同期に対し2,089千円、0.9%の増収となったものの、営業利益は58,989千円、前年同期に対し6,488千円の減益となりました。
(2) 財政状態の概況当第2四半期会計期間末における総資産は、建物の減少230,890千円、売掛金の減少220,795千円、投資有価証券の減少202,117千円等がありましたが、原材料及び貯蔵品の増加775,783千円、商品及び製品の増加452,808千円等により、前事業年度末に比べ353,105千円増加し、42,495,748千円となりました。負債は、繰延税金負債の減少767,719千円等がありましたが、短期借入金の増加2,900,000千円等により、前事業年度末に比べ2,340,844千円増加し、18,399,215千円となりました。純資産は、四半期純損失1,544,770千円、剰余金の配当298,031千円による利益剰余金の減少等により、前事業年度末に比べ1,987,740千円減少し、24,096,533千円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ、127,019千円減少し、1,055,204千円となりました。区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,395,359千円の支出(前年同期は2,068,473千円の支出)となりました。これは主に、減価償却費795,801千円、仕入債務の増加額362,704千円等があったものの、税引前四半期純損失△2,237,882千円、棚卸資産の増加額△1,245,400千円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、274,276千円の支出(前年同期は291,866千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出△281,315千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,542,573千円の収入(前年同期は2,446,160千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払額△298,113千円等があったものの、短期借入金の純増減額2,900,000千円等があったことによるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期累計期間の研究開発費の総額は281,090千円であります。なお、当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。