【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況(連結業績)・EPSは93.19円(前年比+20%、前年差+15.64円)、利益増加と資本政策により過去最高となりました。・グループ総取扱高は2兆9,367億円(前年比+17%、前年差+4,283億円)、フィンテックのカードクレジット取扱高が全体をけん引したことにより、過去最高となりました。・売上収益は1,621億円(前年比+4%)、営業利益は305億円(前年比+3%)、当期利益は185億円(前年比+14%)と2期連続の増収増益となりました。※「第2 事業の状況」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。
※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用後の数値を記載しています。
営業利益増減の主な特殊要因・前期は販管費のうち、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言の発令による店舗の休業期間等に係る固定費を特別損失へ振替えましたが、当期は休業期間等がなく、固定費の特別損失への振替えを実施していないため販管費が増加し、営業利益が11億円減少しました。・上記の特殊要因を除いた実質的な営業利益は20億円の増益(小売+22億円、フィンテック+5億円)となります。
□ 営業利益増減要因
(セグメント別の状況)・小売セグメントの営業利益は23億円(前年比+88%)、前年を11億円上回りました。・フィンテックセグメントの営業利益は336億円(前年比+2%)、前年を5億円上回りました。
□ セグメント別の売上収益・営業利益
※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用後の数値を記載しています。
<小売セグメント>・当期は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた店舗の休業等がなかったことや行動制限が緩和されたことなどにより、客数が前年を大幅に上回ったことから取扱高が増加し、営業利益は4期ぶりの増益となりました。・店舗をオンラインとオフラインの融合のプラットフォームと位置づけ、リアルならではの価値創出をめざし、「売ること」を目的としないD2Cブランドやネットサービスなどの体験型テナントの導入を進め「売らない店」の拡大に取り組みました。各店舗でアニメ、ゲーム、食、コスメなどのイベントを展開し、イベントが来店動機となる「イベントフルな店」への転換を推進しました。その結果、非物販カテゴリーのテナント面積構成は52%(前年差+5%)となりました。
□ 非物販テナント構成の推移
・ECについては、店舗と連動したイベント型のECの拡大に加え、Web系の専門人材を拡充しECサイトのUI/UX改善に取り組みました。その結果、前期下半期からEC取扱高は回復基調を続けており、第3四半期は、第2四半期までの伸びをさらに上回り前年比+16%、累計では前年比+11%となりました。
□ ECの取扱高推移
<フィンテックセグメント>・戦略的に取り組みを進めている「家計シェア最大化」により、家賃払い、ECでのご利用、公共料金などの定期払いが継続的に伸長したことに加え、トラベル・エンターテイメント、商業施設、飲食でのご利用が順調に推移したことで、カードクレジットの四半期としての取扱高は9,563億円(前年比+14%)、累計では2兆6,896億円(前年比+18%)となり、ともに過去最高となりました。
□ カードクレジット取扱高の内訳
□ カードクレジット取扱高推移
・分割・リボ取扱高は、2,514億円(前年比+18%)と拡大し、流動化債権を含む分割・リボ払い残高は、3,906億円(前年比+8%)で過去最高となりました。
□ 分割・リボ払い残高推移(流動化債権を含む)
・エポスカードの新規会員数は52万人(前年差+9万人)、期末会員数は725万人(前年差+15万人)となり過去最高となりました。商業施設での入会とネット入会がどちらも回復傾向にあることに加え、家賃保証をきっかけとする入会も順調に推移しました。
□ 新規会員数の推移(入会経路別)
・これまで事業の成長をけん引してきたゴールドカードに加えて、アニメカードに代表される一人ひとりの「好き」を応援するカードの取り組みを強化しています。一人ひとりの「好き」を応援するカードは、一般カードに比べて若者の比率が高く、LTV(生涯利益)が高いカードとなっています。店舗でのイベントやファンクラブサイトの運営など、独自性の高い取り組みをグループで推進し、ロイヤルティの高い会員の拡大をめざしています。「好き」を応援するカードの新規会員は19万人(前年差+11万人)となり、新規会員数に占める構成は38%(前年差+17%)まで拡大しました。
□ 新規会員数に占める「好き」を応援するカードの構成
□ カード会員数の推移
・商業施設との提携を進め、全国にエポスカード会員を拡大する取り組みを推進しています。提携施設数は39施設(前年差+2施設)に拡大し、施設と一体となってカードを活用した施設価値向上に取り組んでいます。
(LTVの安定性を表す指標)当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTVを重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。
・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は983億円(前年比+3%)となり、売上総利益に占める割合は66.6%(前年差△1.5%)となりました。・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約残年数、分割・リボ手数料やカードキャッシング手数料は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。・期首時点の成約済み繰延収益は3,376億円(前年比+1%)となり、22年3月期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれています。
□ LTV経営の指標
※ 売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。
(2) 財政状態の状況・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードクレジット取扱高の拡大により6,202億円(前期末差+486億円)となりました。総資産は9,885億円(前期末差+685億円)となりました。・有利子負債(リース債務を除く)は5,926億円(前期末差+654億円)となり、営業債権に対する有利子負債の比率は95.5%(前期末差+3.3%)となりました。・自己株式の取得は、当期末までに260億円を予定し、第3四半期末までに158億円を取得しています。自己資本は2,538億円(前期末差△78億円)となり、自己資本比率は25.7%(前期末差△2.7%)となりました。
□ バランスシートの状況
※ 営業債権比=有利子負債/営業債権
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。